平成27年6月3日知事会見(臨時)記録

ID番号 N36277

平成27年6月3日 <臨時会見> 16時00分から16時29分

広聴広報課
 ただいまから臨時記者会見を行います。知事から復興事業に係る自治体負担の対象事業及び水準について発表があります。それでは、知事お願いいたします。
 
知事
 復興事業に係る自治体負担の対象事業及び水準について、国から発表があった場合に知事のコメントを求めたいというふうに言われていました。きょう、国から発表がありましたので、今からそのコメントを口頭で述べたいと思います。
 本日、国から平成28年度以降の復興事業に係る自治体負担の対象事業及び水準が示されましたが、本県等のこれまでの要望を踏まえて、三陸沿岸道路整備事業や任期付職員支援等について、引き続き国の全額負担で実施されることとなったこと、社会資本整備総合交付金事業について、ほぼ全ての事業がこれまでどおり復興特別会計で措置されることとなったことなどについては、一定の評価をしたいです。
 一方で、一部負担拡大の方針が変わらなかったことは残念でありますが、新たに財政負担を求める割合については、財政状況の厳しい被災自治体に対する国の配慮がなされたものと受け止めています。
 本日示された一部負担の対象となる事業及び水準に基づき、本県の影響額を試算しますと、今後5年間で新たに生じる地方負担額は、県・市町村合わせて約90億円と見込まれます。これまで県だけでも既に200億円程度の事業を一般財源で実施してきており、今後においても相当の負担が見込まれる中、できる限り自治体の負担拡大が少なくなるようにしたいです。
 今後、国も被災自治体からの意見を聞くというふうにしていますので、引き続き他県や市町村とも連携して対応してまいります。
 以上です。
 
広聴広報課
 それでは、各社から質問があればお願いします。
 
記者
 今、三陸沿岸道路が引き続き国費全額負担ということで、一定の評価をするというコメントありましたが、一方で横軸の宮古盛岡横断道路であるとか、釜石秋田線に関しては一定程度、多分1.7%だと思われるのですが、地方負担が発生するという方針になりました。そのことについては、いかが受け止められますでしょうか。
 
知事
 これは、引き続き国の全額負担ということを求めていきたいと思います。
 
記者
 それから、今後国への働きかけなのですけれども、負担軽減に向けて働きかけたいというお話がありましたが、これまでずっと全額国費負担を求めたいということをおっしゃっておられて、今回一定の評価をするということがありましたけれども、全額国費負担、集中復興期間の特例制度の継続という方針は、今後どうなりますでしょうか。
 
知事
 他県や市町村と連携して対応していきたいと思っておりますけれども、基本的にはできる限り自治体の負担拡大が少なくなるようにということで、国に要望・提案していきたいと思います。
 
記者
 そうすると、わずかな割合でも地方負担というものが今後発生することはやむを得ないというような受け止めをされていますか。
 
知事
 先ほど例に挙げたような三陸沿岸道路整備事業や任期付職員支援、これが引き続き国の全額負担で実施されるということ、社会資本整備総合交付金事業でほぼ全ての事業がこれまでどおり復興特別会計で措置されることになったこと、そういったことについては岩手県等のこれまでの要望を踏まえたものだというふうに思っておりまして、思えば(平成27年)3月11日直前のNHK「日曜討論」、あの辺りから被災地の実態、被災地イコール復興地の実態というものをしっかり伝え、その中で判断してもらうということをずっとやってきたわけでありますけれども、一定程度我々の実態についての説明ということについては耳を傾けてもらったかなというふうに思っております。
 ただ、一部負担拡大の方針ということについては、やはり残念だと思っておりますし、先ほど県・市町村合わせた影響額の試算の数字を述べましたけれども、これは、ぱっと捻出できるような数字でもありませんし、やはりできる限り自治体の負担拡大が少なくなるように、国に要望・提案をしていかなければならないと思っています。
 
記者
 それに向けての今後の要望など、スケジュールとかは何か決まっていますでしょうか。
 
知事
 あした岩手県から来年度予算に向けての対政府与党予算要望が予定されておりますけれども、来週月曜日に復興庁と県・市町村との意見交換という場が予定されています。復興庁副大臣か政務官か、そういう方が岩手県に来て、県、市町村と意見交換を行うと。そして、岩手の県と市長会、町村会との合同要望をその後行う予定でありますし、また青森、岩手、宮城、福島の4県合同要望についても調整しているところでありますので、あすの時点では県として他県や市町村とのすり合わせというところ、まだ十分にしないままでの要望活動になりますので、あしたはきょう発表された、政府の発表内容に打ち返すというよりは、今まで準備してきた来年度予算に向けての県の要望・提案を、大きい枠の中で伝えていくような格好になると思います。そういう意味では、本格的な他県や市町村と連携しての対応というのは、来週以降になると思います。
 
記者
 先ほど岩手県全体としての負担額が90億円というふうにおっしゃいましたけれども、県と市町村それぞれの内訳をまず教えてください。
 それと、その数字について改めて知事としての所感、90億円という数字についてどのように考えて、仮に地方負担が出た場合にどのように岩手県として捻出していくのかというところまで、言える範囲でお願いします。
 
知事
 詰めれば詰めるほど正確性についてはちょっと留保しなければならなくなっていきますが、県分と市町村分をあえて分ければ、県分が約73億円、市町村分が約16億円というふうに見込んでいます。
 先ほど言ったように、これまで県だけでも既に200億円程度の事業を一般財源で実施していて、今後においても相当の負担が見込まれるという中で、県分の73億円という数字ですけれども、これは直ちに復興全体がストップするというような数字ではないと思いますけれども、他方そう簡単に捻出できる数字でもないということで、そういう意味で自治体の負担拡大が少なくなるようにというのは、市町村分も含めて、さっき言っているのですけれども、県分についてもこれは県の負担拡大が少なくなるように求めていかなければならないと考えます。
 
記者
 仮に地方負担が出た場合に、どのような方法で負担をしていくとかというところはありますでしょうか。
 
知事
 そう簡単ではないですね。すぐぱっと手が打てるような数字ではないです。
 
記者
 これまで、先ほどの質問に出ましたが、全額国費の負担の主張を岩手県としてはずっとされてきて、先ほど知事ができるだけ軽減するようにというような言い方をされていました。少し立場だとか考えが変わったというか、スタンスが変わったのかなというような印象を受けられるのですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
 
知事
 きょうの発表内容については、県含め被災自治体からの要望というものについて、一定の配慮がなされたというふうに考えます。しかしながら、地方負担を拡大するということについては、やはり基本的にそういう方向性が貫かれていることについては残念だと考えておりまして、できる限り自治体の負担拡大が少なくなるようにしていかなければならないと考えています。
 
記者
 これまでの会見で、知事は地方負担が拡大することによって、まさに復興を遅らせるということをたびたび発言なさってきたと思うのですけれども、今回一部で地方負担の拡大が、結果的に方向性としては強いと思うのですけれども、そういったときにご自身としては今まで考えていたとおりの復興のスピードが遅くなるのかどうか、どういうふうに個人的にお考えになっているかをお聞かせいただけますか。
 
知事
 今回発表になった数字というのは、今まで想定していたよりは被災自治体の要望に配慮されたような数字になっているというふうに思います。したがって、今回の数字で直ちに復興全体が止まってしまう、復興全体が崩壊してしまうというようなことはないと思いますけれども、他方で、地方、被災自治体側としてはそう簡単に捻出できる額でもありませんので、やはり復興を着実に進めていくためには、自治体の負担拡大をできるだけ少なくするように、今後やりとりをしていかなければならないというふうに考えます。
 
記者
 今回示されたのはあくまで案で、今後国との交渉ができると思うのですけれども、ここだけは譲れないですとか、もうちょっとここの分野の負担を減らしてほしいというような、何か項目ですとかはありますでしょうか。
 
知事
 まず、他県や市町村とも連携して対応していきたいと思っていますし、また相手があることですので、初めからこれが絶対というようなものを示しながらのやりとりにはしない方が良いと思っていますけれども、基本的には今の局面でこの被災自治体の地方負担を拡大していくということは、これは残念なことと考えていますし、また被災自治体の負担拡大というものはできる限り少なくしなければならないというふうに思っています。
 
記者
 例えば、社会資本整備総合交付金が復興特(別)会(計)には残った部分が多いですけれども、その割合をもっと減らしてほしいですとか、そういった具体的な何かアプローチですとか、呼びかけの想定はありますか。
 
知事
 他県や市町村と連携しながら対応していきたいと思います。
 
記者
たびたび済みません。70億円、県の負担
 
知事
 さっきしゃべったのは、73億円。
 
記者
 その中で、影響額が大きい事業、もしわかりましたら、国の直轄道路も含めてあると思うのですけれども、もしわかれば。
 
知事
 影響額が大きいとか、どういう意味かよくわからないところもあるのですけれども、いずれにせよ地方負担はできるだけ少なくなるようにしていかなければならないと思っています。
 
記者
 先ほど冒頭の発言の中で、一定の評価はするというお話でしたけれども、5月の最初の方針が示されたときを振り返ってみますと、被災の自治体からは震災津波被害が大きくて、復興事業の工事の進捗が遅れているところほど、仮に地方負担が入れられれば負担が重くなるということで、これは不公平で格差が広がるのではないかという懸念の声が随分出ておりましたけれども、きょう示されたこのスキームをご覧になって、その辺りの被害の程度による格差が是正されたと受け止められますか。それともそうではないと、課題がやっぱり多いと受け止められますか。
 
知事
 今の指摘は、市町村からそういう意見が出てきていたということだと思うのですけれども、その辺も改めて市町村と今後の対応ぶりについては調整をしながら対応していきたいというふうに思っています。
 
記者
 ありがとうございます。それから、これから復興庁とこれをたたき台にして、また具体的な協議が始まるということですけれども、復興事業の根幹といいますか、やっぱり国と地方の信頼関係がなければ復興というのは進まないという中で、きょう復興大臣が会見の中で、5月の発表時に最初の方針を示したときには、必ずしも具体性のある内容ではなかったということについて、不安な心理が起きたことは進め方がまずかったと反省しなければいけないというふうに言及されました。あと、それ以前には、例えば地方負担を持ち出すときに、自立の気概という精神論を持ち出して反発を招いたということもありますけれども、これまでの復興庁の、まだ6月の最終決定まで時間がありますけれども、これから信頼関係を持って国と地方が協議を進めていく中で、これからどのような姿勢といいますか、対応を復興庁に求めたいというふうに考えられますか。
 
知事
 おっしゃるとおり、一時はこれではもう復興が止まってしまう、復興全体が崩壊してしまうというような不安を被災自治体側が抱いたというのはそのとおりであります。きょう決してそういうことではない、被災自治体からの要望も踏まえて、今回一定の評価ができる内容だったと思いますし、そこからさらに被災自治体からの意見を聞いていきたいという国の姿勢でありますので、全てはここからかなというふうに思います。
 
記者
 きょう示されたばかりなので、お話しできるのはなかなか難しいかもしれないですけれども、きょうのこの方針に基づいて事業そのものを見直さなければならないとか、例えば道路整備なんかも、内陸の方は今回対象外になるということで、その辺りの工事の進捗であったりとか、そういうものを見直すということはお考えでしょうか、それともこれから詳細を詰めていくような感じでしょうか。
 
知事
 今やっている事業をやめてしまうとか、縮小するみたいなことは、今全く念頭にありません。
 
記者
 今回5年間の復興の枠組みの中での政府の方針が発表されたと思うのですけれども、逆にこの5年間で復興事業が終わらないと、さらにその5年以降はどうなるかわからないという状況だと思います。一般会計に戻るものが多くなったりだとか、その辺、今後5年間復興を逆に遅らせては、さらに地方負担が増えてしまうというような悪循環になると思うのですけれども、今後の5年間の復興事業のあり方について、県として、また聞かせください。
 
知事
 復興は、基本的にできるだけ早く進め、早く完成させなければなりません。そういう中で、陸前高田市の希望のかけ橋、大型ベルトコンベヤーのように、発災直後には想定されていなかったような、トラックであれば7、8年かかるものが1年2カ月で終わると、そういう新技術というものが導入されるでありますとか、あとは用地取得迅速化のための復興特区法の改正のような、そういう制度改正、立法措置によって制度を変えて、よりやりやすくしていくというような、そういう技術的、制度的な工夫ということは、これからも求められていくと思います。あらゆるそういうことを駆使しながら復興を早めていかなければなりませんけれども、他方復興が拙速であってはならないということもあり、特にこれから市町村のまちづくり事業が本格化して正念場を迎える中で、新しい住宅地、新しい商店街、そういったところをきちっと、後悔しないように、いい復興をさせていくには、思わぬところで時間をかけなければならないような局面もあり得ると思います。そこは人件費の高騰、資材の高騰とか、そういう外的要因によって、やはり思わぬ時間がかかるというところもあると思います。
 そういったところを何か5年は5年で切ってしまったりとか、被災地、復興地の実態と関係なく締め切りを設けたりすることなく、あくまで被災地、復興地の実態に合わせながら、丁寧にやらなければならないところは丁寧にやるということを認めつつ、また技術的、制度的に加速できるところは加速させながら、被災者イコール復興者一人ひとりが新しい生活、新しい仕事、そして新しい学びをきちっと獲得できるようにしていくということが、今後5年間というのを見据えた方向性になると思います。それは、あくまで今後の5年間という方向性であって、何かまた5年で国の関与は大きく下げなければならないとかという、そういう考え方は、やはりしてはならないというふうに思います。
 
記者
 済みません、最後に1点。今回の地方負担の話で、メディアもそうですけれども、復興事業の遅れだとか、懸念をしてきました。今回の地方負担が改めて1%から3%という数字が出ました。それによる復興の遅れ、今回の地方負担による復興の遅れということは心配ないというか、そういったことについての懸念が出てきたことに対して、今改めて数字が出たことについてどう思いますでしょうか。
 
知事
 まず、そう簡単に捻出できる額ではありませんので、捻出できなければさまざまな滞りでありますとか、復興がそうでなければできたような形で進んでいかなくなる恐れは出てくるわけでありまして、であるからこそできる限り自治体の負担拡大が少なくなるようにしていかなければなりません。
 
記者
 これからの5年、負担が発生することになったわけですけれども、特にハード整備、大きくなればなるほど負担率が小さいといっても、やはり負担額が拡大してくると。それから、できた後も市町村、県に対してメンテナンスの費用がかかってくると思います。そこら辺を含めて、これからそういうソフトを組み合わせて、なるべくハードを極力少なくすると、そういう努力はこれまでもされていると思いますが、今後負担が出てくるということで、それをさらに進めていかれるような、そういう考えはおありですか。
 
知事
 阪神・淡路のときの神戸空港みたいな、何か維持管理にものすごくお金がかかるような全く新しいものをつくるというのは、東日本大震災(津波)において、岩手県だけではなく、それはあまりないのだと思います。基本的に人が生活し、働き、あるいは学び、そして安全を確保するということに必要な部分について復興を進めていますので、それを維持していくということについては、それは当然やっていかなければならないことですから。
 高田高校も新しく立派になりましたけれども、それは元の壊れてしまった高田高校も、津波の被害を受けなければやはりそういう維持管理はしなければならなかったわけで、新しい住宅地や新しい商店街というのも、それは津波の被害がなければ維持管理というのはそれなりのことだったわけでありまして、そういう意味では何かそういう過去の震災、あるいは日本のあちこちで起きている何か新しくつくったけれども、維持費で地方が困っているとかというようなことは、今のところあまり私は深刻には考えてはいないところです。
 
記者
 基本的にはそうだと思うのですが、災害復旧に加えて、今回の震災で、例えば水門とかの整備なんか、新しく随分つくったところがあると思うので、またそこでかなり維持費の部分が膨らんでくるような気もするのですが、そこら辺についての懸念はどうですか。
 
知事
 安全のために必要なことでありますから、そこは特に安全で必要度が高いことについては、国としても列島強靱化の中で、国としての責任も果たしていくということで、国と連携しながら必要な財源は確保していきたいと思います。
 
記者
 今回の復興庁の発表資料の中に、自立につながる復興施策展開という資料が出ているのですけれども、たびたび知事は、被災地は既に自立をしているということで、国側の自立を促すという、そこの発想、施策に対する発想スタンスが違っていたように私は受け止めるのですけれども、また改めて国側が自立を促すというというのですか、まだ自立していないというふうにも受け止めるような施策のこの資料については、知事ご自身ではどのように感じていらっしゃいますでしょうか。
 
知事
 岩手県において、東日本大震災(津波)からの復旧・復興というものを岩手県民がどのような思いで進めているのか、そして被災自治体がどのように取り組んでいるのかということについては、もう多くの皆さんがおわかりだと思いますので、今後、きょう示された具体的な事業の区切りや、また数字というものをめぐって、国と被災自治体との間でやりとりをしていく中で、特に必要でなければそういう精神論については触れなくてもいいのではないかと考えています。
 
広聴広報課
 以上をもちまして、臨時記者会見を終わります。

次の定例記者会見は6月8日(月曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。