平成27年5月18日知事会見記録

ID番号 N35372

平成27年5月18日10時30分から11時18分

 
広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
 
幹事社
 本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。
 
記者
 集中復興期間の関連の質問なのですけれども、先日15日の復興大臣の記者会見の中で、地方負担の割合について、できれば5%以下に抑えたい、例えば3とか2とか1とかというような話し方をされました。具体的に数字が出てきたということだと思うのですけれども、まずこれについて知事の所感をお聞かせください。
 
知事
 まだ決まっていない、政府内で検討中ということなのだと思うのですけれども、何をしたいのかということだと思います。復興をきちっと進めたい、そしてむしろ加速したいということであれば被災、復興の現場からすれば、むしろ最初の5年以上に手厚くしていかなければならないところもある。また用地の取得については市町村からも津波跡地の方ですね、高台移転など行く先の方もさることながら、津波浸水地域で住宅(地)には使えないけれどもというようなところの用地取得に、非常に時間がかかって困るということが今被災自治体、被災市町村では大きな問題になっていますから、そこの用地の制度を変えることについては今からでも間に合いますし、そういう前向きの検討をしてほしいなというふうに思います。
 
記者
 5%以下という一つの数字については、具体的にどのように思われますか。
 
知事
 そこは目的によるのだと思いますけれども、繰り返しますけれども、復興を確かなものにする、復興を加速するという立場からすれば、むしろ国の復興への取り組みをさらに手厚くしていく方向で検討はされるべきではないかと思います。
 
記者
 わかりました。あと6月末をめどに今度は復興支援の枠組みが決定するということですけれども、それまでに地方負担の割合についても被災地と、被災地の自治体と県と話し合っていくというような話ですけれども、地方負担について今後争点になってくると思うのですけれども、それについては県としてはどのように対処していきたいと思いますか。
 
知事
 市町村の声も大分出てきて報道もされるようになってきて、それで国の方でさまざま言っている異例中の異例だとか、自立してほしいとか、そういったことについては受けた被害こそが異例中の異例であったでありますとか、あと自立ということについては、意識の問題としては最初からずっと自立の意識で、また国費を使っての復興事業というのも一つ一つ国と政府とすり合わせた上で必要なものだけをやってきているとか、そして財政面での自立については、これは全然負担の拡大を受け入れられるような状態にはないというような、そういう市町村の実態がより明確になってきていると思いますので、県としてもそういったことを一緒に国の方に伝えていくことで変なふうにならないようにしていきたいと思います。
 
記者
 ありがとうございます。最後に1点、今回地方負担の割合ではなくて、地方負担の対象の事業の中で道路だとか、河川だとか、あと防潮堤だとか、県の事業も多く含まれていて、規模が大きいものがすごく含まれているというような印象なのですけれども、これについてはどのように受け止めていますか。
 
知事
 これも何のためにそういったところを対象にしていくかということで、復興を確かなものにする、また復興を加速するというのであれば、むしろ国の取り組みをより手厚くする方向で検討されるべきだと思いますし、その辺の目的と手段の関係をはっきりさせる中で変なことにならないようにしていきたいというふうに思います。
 
幹事社
 幹事社からも今の関連で。先週の予定ですと、週末に沿岸の市町村の方と意見交換をされて、26日、政府の復興推進委員会の方に知事は上京して意見を述べるというスケジュールだったと思いますが、改めてどのようなことを特にアピールというか、強調していきたいと思うか、重複すると思いますけれども、改めてお聞かせください。
 
知事
 まず、被災自治体の財政は、税収とか、基金とか、いろいろ国の方からも指摘もありますけれども、まだまだ回復していないし、とても負担を拡大できるようなゆとりはないということですね。そして、自立をめぐる議論については、精神的にはもう復興イコール自立以外の何物でもないわけで、最初からそういう気持ちでやっているし、一方、財政の自立という観点については、さっき言ったように、むしろさらなる支援を必要とするような状況にあるということ、そして一方、財政的自立の観点からいえば、県の単独事業で復興事業を進めるということについて過去200億円ぐらいやっていますし、また今回の政府による見直しということがなくても将来にわたって同じ規模ぐらいの県の独自の負担というのは見込まれるところでありまして、決して地方が復興予算を全然負担していないということはないということを改めて確認したいと思います。
 
幹事社
 ありがとうございます。
 他に。
 
記者
 今の話の続きなのですけれども、そうすると26日の政府の方でお話をされる際には、改めて地方負担ゼロというものを継続して求めていくというお考えでよろしいでしょうか。
 
知事
 そうですね、4県合同要望でも集中復興期間の延長というのを軸に要望していましたけれども、そのスタンス、岩手としては私が今考えているところではそのスタンスを大きく変える必要はないというふうに思っています。
 
記者
 それから、例えば今回対象になりそうな、想定されている道路事業であるとか、それにインフラ整備の面で、対象事業の見直しみたいなものも当然求めていかれるとは思うのですけれども、例えば道路であれば岩手における道路整備の意義というのはどういう意義があるのかというのはどのように国の方にお伝えしていくお考えでしょうか。
 
知事
 既に国とよくよくすり合わせた上で国の直轄事業の復興道路や、また復興支援道路がありますし、また県の方で言う復興支援道路、復興関連道路というような道路も、これも国とよくよくすり合わせた上で、かつ市町村の復興計画の中にきちっと組み込まれたものについて復興事業と位置付けてやっているわけですので、むしろ今まで国との間でそういう理解をしてきたことを何か国の方で変更したい、今までの国のやり方は間違っていたとか、今までの国の考えは間違っていたというのであれば、それはむしろ国の方からその説明を聞きたいというところですよね。今は国とすり合わせた上で、相互了解の上で復興に必要だからやっているということで来ているわけですので、それについて国に改めて説明を求められる筋合いはないというふうに思っています。
 
記者
 復興道路に関連してなのですけれども、今後の復興事業のあり方が議論されている中で、復興道路の新たな開通見通しが先週末発表されました。この見通しというのは地方負担が発生するかどうかあれなのですが、そういうものを考慮しないで不確定要素が多い中で発表されたものですけれども、この時期に国がこういうふうに開通の見通しを新たに示されたということについて、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
 
知事
 復興にきちっと向き合っていれば当然の流れの中で出てきているというふうに思います。そもそも東日本大震災以前から計画としては存在していたわけで、国としてもその整備は必要だとしていた道路なわけです。そして、東日本大震災(津波)の中で一般国道45号が津波で寸断されたときに、高速道路、高規格道路の部分だけが残って、命の道路として機能した。これが東日本大震災(津波)のときに、もう全部完成していれば犠牲をより少なく、また難を逃れて避難した人たちのその後の生活もより楽にできたはずという思いの中で、急いで整備しようということになっているわけで、そうした考え方に沿って整備の見通しを発表していただけたのかなというふうに思います。
 
記者
 今の地方負担の対象事業に道路整備というものが挙げられていて、もし地方負担が仮に発生した場合に地方がその負担に対してどのように対応していくか、もし地方負担に対して対応できないなどの場合には、工期の遅れ等影響してくる可能性が出てくると思います。今後復興道路の整備について、どのような予算体系というか、予算措置をとって整備していくべきだとお考えになりますでしょうか。
 
知事
 国が何をしたいのかということだと思うのです。さっき言ったような趣旨に沿って、やはり早期整備が必要と国も考えているのであれば、それに矛盾することはしないはずなのですよね。もし国がよくわからない理由で復興を遅らせたいという目的を持っているとすれば、道路予算の地方負担を拡大することで、それを遅らせようとしているのかということですけれども、さすがにそういう意図、目的というのはあり得ないことですからね。ただ、他の地域、道路建設というのは他の地方でもやっていることであって、そこは地方自治体が一定の負担をしているのだから、東日本大震災被災地においても地方が一定の負担みたいな議論が国の方から言っているのが聞こえるのですけれども、それは論理的には復興を遅らせようという話につながっていく話で、一体何をしたいのかということだと思うのです。ですから、そこを詰めて考えていったときに、国としても復興を遅らせる趣旨ではない、むしろ加速したいと思っているというのであれば、それにふさわしい国と地方の協力のあり方というのが今後、来年度以降の予算のあり方も含めて決まっていくはずですので、そういうことを期待したいと思います。
 
記者
 今までの議論を踏まえつつ、今度の秋の知事選の告示までいよいよ3カ月に迫るということで何点か質問させていただきたいと思います。
 本日の午後には、同じ知事選に出馬を表明している平野達男参議院議員が、政策に関する記者会見を開くことにしております。これから告示が迫ってくる中で直接、間接、候補者同士の政策的な論戦が始まるのだろうと思いますけれども、国政、県政で重要案件がいろいろ出てきておりますので、有権者の関心に応えるため、大きく3つの課題についてご所見を伺いたいと思います。
 3つというのは、まず今まで議論、やりとりのありました復興財源の話と、あとはTPPの話、あとは安全保障の法整備の話について伺いたいと思いますが、それぞれについて賛成か反対かという意思表示と、あとその具体的な理由を簡潔にお聞かせいただければなと思っております。
 まず、1点目の復興財源なのですが、先ほどまで議論ありましたとおり平成28年度以降の復興財源について、地方負担の導入、新たな負担の導入が先週示されたと。これについて、新たな負担の導入を地方に求めるという国の方針については賛成されますか。それとも反対されますか。またその理由をお聞かせください。
 
知事
 賛成か反対かということなのですけれども、何か議決権があるような話ではありませんで、国が決定することについてさまざま情報提供したり、あるいは要望提案活動などを行う中で、国に適切な決定をしてもらうという立場でありますので、何か議会において参加者がみんな対等な立場で1人1票持っていて、賛成・反対というのとは違う中で、県としての対応を求められていますので、特に国には日本国として正しい対応をしてほしいと思っており、そういう意味では国との関係において対立関係だとは思っていませんので、そこはしっかり力を合わせて行政が一体になって被災者、被災地に寄り添って復興を進めていくということを進めていきたいというのは発災直後からずっとそうで、これからもそうしていきたいと思っています。
 なお、復興予算の地方負担拡大ということの問題点については、るる述べているとおりです。
 
記者
 ありがとうございます。先ほどのやりとりの中で、これからの国との協議について、地方負担ゼロを求めていくのかということについては「そうですね」と、集中復興期間の延長を求めるスタンスを大きく変えないということでしたけれども、今後国との協議の中で具体的に求めたい条件とか制度設計みたいなのは何か具体的なものはありますでしょうか。
 
知事
 復興の現場というのは非常に生き物なわけでありまして、生身の人間が大勢そこに住んで苦労して、そして復興に取り組んでいるわけで、国と地方が力を合わせることで、今誰も具体的に持っていないような良いアイデアが出てくる可能性もあると。これは(JR)山田線宮古・釜石間をどうするかという議論のときも当初誰も想定していなかった三陸鉄道が引き受けるという線で話が進んでいったということもあるわけですけれども、だから力を合わせて物事を決めていくという場合にはそういう創造性、クリエイティブな要素も大事だと思うので、何かあらかじめこの数字を固定した条件闘争のようなアプローチをするつもりは今回もありません。
 
記者
 ありがとうございます。そうすると、まずは政府の方針とすれば賛成・反対ということではないけれども、地方負担のゼロを求めていくという姿勢には変わりないということでしょうか。
 
知事
 そこも本当はもっと国の負担を拡大した方がいいわけですよ。だから、そういうことも含めて議論していきます。
 
記者
 ありがとうございます。では、次の質問です。TPPについて伺います。安倍総理が妥結は間近であるというような認識を最近示されているようですけれども、一方では県内の農林水産業関連の団体の間では非常に打撃になるということで、反対の姿勢を示しております。日本がTPP交渉を進めていくことに賛成されますでしょうか、反対されますでしょうか。またその理由をお聞かせください。
 
知事
 これも私どもが、岩手県が議決権を持っているわけではないので、賛否を明らかにするという説明責任はないと思っているのですけれども、アメリカ議会においてもTPP交渉の妥結に必要なアメリカの国内法が、あるいは議会の決議というのでしょうか、それが今順調にいくかどうか不透明なところなのだと思います。アメリカ国内にもさまざまTPPに反対する声もあるようでありますし、私は前にもここで言ったかもしれませんけれども、21世紀、世の中が複雑になり、一方でかつての米ソ二極化、東西冷戦の時代と違って、とにかく自由貿易で西側の生産性を最大限に高めようみたいな、そういうイデオロギーはもう要らないので、それぞれの国の国内事情に配慮しながら農業のような国内経済のみならず、社会のありようにも大きく影響があるような分野については、それぞれの国内事情を最大限配慮した貿易秩序というものがつくられるべきだと思っております。TPP交渉の中で、そういう結論になるのなら良いのですけれども、そうでないのであればもうTPPから脱退ということも視野に入れて日本政府は臨むべきと考えます。
 
記者
 ありがとうございます。では、次の質問です。安全保障についてです。先週、安全保障の関連法案が閣議決定されまして、集団的自衛権の行使容認がまたさらに新たなステージに入っていくのだろうというふうに思います。安全保障法制の賛否を見ると、憲法解釈との整合性がどうなのかという話と、一連の閣議決定から法案を国会に提出するまでの手続論としてどうなのかという2つの観点があるような感じがしますけれども、知事は今回の国が進めている安全保障に関する法整備について賛成されるか、反対されるか、またそれはどういう論点をもって賛成か反対かお聞かせください。
 
知事
 これもいろんな論点がありますし、大事な問題ですから、国民的議論がより活発化して、国会とかその周辺での議論も深まっていくことを期待していますので、今ある案について賛否を明らかにしてどうこうというアプローチは、これについてもとらない方が良いというふうには思っているのですけれども、一方でこれも復興予算地方負担拡大問題について指摘したように、目的と手段の関係が一番大事だと思います。必要であればさまざま必要なことはしていかなければならないのだと思うのですけれども、日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっているという話なのですけれども、具体的にどういうことかというと大きく3つあると思うのです。1つは、北朝鮮のミサイル問題とか、核開発とか、これは日本独自の防衛、自衛の問題として、やはりそういうミサイル防衛の体制はきちっととっていかなければならないのだと思います。また、日本の独自の自衛の延長としての伝統的な日米安保体制でのアメリカとの協力というのも含まれますけれども、北朝鮮の脅威に対抗するために何か安全保障の新しい制度をつくる必要はないというふうに思います。むしろミサイル防衛の装備の充実とか、そういう具体的な手を打っていかないと、制度を変えただけでは全然抑止力云々みたいな抽象的な話で解決できる問題ではないと思います。
 そして、中国との関係についてですけれども、これも僕は北朝鮮はミサイルが岩手上空を飛んだりもしますから脅威と言ってもいいと思うのですけれども、中国との関係は、これは課題ではあっても脅威ではないと考えておりまして、特に尖閣問題も、あれは今それぞれの海上警察同士の角突き合わせであって、それを何か軍事的な体制を強化することで、それに当たるというのは警察、文民レベルでのトラブルというのを軍事のレベルにエスカレートさせるというのはかえって事態を悪化させると思います。もともと国有化ということが、日本には日本なりの理屈があって国有化した方が安定する、平和に資すると国有化したのですが、中国側はそれを挑発と受け取って、それで今海上警察同士の角突き合わせになってしまっているわけで、そういう事態のエスカレートという恐れがむしろあると思います。
 3つ目は、国際的なテロの問題なのですけれども、これは有名なジョセフ・ナイさんも言っていますけれども、テロとの戦い、対テロ戦争とか言うけれども、軍事で対応すべきはタリバン政権のアフガニスタンみたいな国家がテロ支援をしているとき、その国家との間で戦争というのが問題になったときには軍事の問題になるけれども、それ以外は国際的な警察協力であったり、外交的な包囲網の形成であったり、あとは国内治安と、あと開発援助ということがテロ対策なのであって、日本もテロ対策ということでいきなり自衛隊の活動を拡大させるという軍事だけの対応について手を打つというのは、いかにもこれは目的と手段が合っていないわけで、むしろ今まで軍事的に中立の度合いが高かったがゆえに開発援助などが非常に他の国にできないようなことが手厚くできたということとか、またそういう立場から国際的な警察協力とか、外交的包囲網でも日本なりの役割を担っていたというところがあるので、事程左様(ことほどさよう)に目的と手段が一致していないというところに問題があると思っていて、だから今提示されていることの賛成・反対かというよりも、今日本が直面しているそういう北朝鮮の脅威とか、中国との課題とか、またテロ対策というのは、これはやらなければならないと思うのですが、それをやるならさっき述べてきたような手段を的確にとっていくことをしなければならないということについて、国民の皆さんが合意し、国会でもそういう議論が進めばいいなと思います。
 
記者
 ありがとうございます。そもそも論なのですけれども、今回政府が取り組もうとしている法案の内容については、そもそも憲法解釈、9条との整合性も随分議論になっていると思うのですが、そこはどう考えますか。
 
知事
 何をやりたいのかということでありまして、だから北朝鮮の脅威に備えたいとか、中国との問題を解決したいとか、テロへの対策をとりたいというのであれば、さっき言ったようなことをすれば良いと私は思うのです。それ以外に何か別の目的があるのかという中に、今の憲法の原則には反するようなことができるようにしたいというのであれば、これは速攻、憲法違反ということになりましょうし、だから目的によるのだと思うのです。
 
記者
 ありがとうございます。では、特定課題のテーマからちょっと離れるのですけれども、県政の評価について伺いたいのですが、自らかじ取りなさっているので答えにくいかもしれませんが、よろしくお願いします。
 現在の任期が始まったのは、言うまでもなく平成23年の9月ということですけれども、それ以降県政の課題はさまざまあったとは思いますが、簡単に課題達成度をどのように自己評価されるか教えてください。
 
知事
 その達成度の評価については、県行政として行政評価としての復興の進捗状況とか、それから県のいわて県民計画とアクションプランの達成状況とかということについては、年度ごとにきちっと数字をお示しして、そして県民みんなで県民に対してオープンにしながら、それ以降の行政のあり方を変えるべきところは変え、そして新しく加えるべきところは加えるというような体制で進めることができていると思っています。そうしたものと離れてどう評価するかという話になると、そこはちょっともう少し何を聞きたいのかというまさに目的に対する適切な手段ということになると思うのですけれども、その一環として復興覚書という、私が8年間にわたってやってきた主なことや、また基本的な考え方について達増拓也ブログというところで誰でも読めるようにしたりもしていまして、そういう何が大事だったかと思うのかとか、どういう基本的考え方でやっていたのかということであれば、それを読んでもらうとかなりわかると思います。
 
記者
 ありがとうございます。最後に簡単に質問ですが、具体的な知事選の公約については何月ごろ公表されようと今考えていますでしょうか。
 
知事
 公約というのもいろいろありまして、選挙公報に何を載せるかという、そういう公職選挙法上、かちっと位置付けられた文書での公約の発表ということもありますし、また、次の任期でどういうことをやっていきたいと考えているかということについては今、日々の行政の中で復興について、地方創生についていろんな機会に方向性を示しているところでありまして、そういう発言についてご理解を深めていただければなというふうに思います。
 
記者
 長い時間頂戴してありがとうございました。これで終わります。
 
記者
 大阪都構想の関係でちょっと伺いたいのですが、昨日大阪で住民投票がありまして、僅差ではありましたけれども、反対が賛成を上回るという結果になりました。大阪という特定の地域の話ではありますけれども、全国的には地方自治体のありようみたいなものにも影響を与えかねない話だったと思うのですけれども、率直に住民投票の結果についての所感を伺いたいのと、それに併せて橋下さんが政界引退を昨日の記者会見で表明をされたことについても何かご所感あれば教えていただきたいと思います。
 
知事
 大阪都構想については、いろいろ問題点も指摘されていましたし、まず大阪市民の皆さんが住民投票によって否決したという格好になったのだと思います。一方で、賛成もかなりいたということで、大阪が今のままでは良くないという、そういう大阪の住民の皆さんの思いにはかなり強いものがあるということも明らかになったと思うので、ここはやはり大阪のさまざまな政治的リーダーの皆さん、また大阪の住民の皆さん、力を合わせて大阪を良い方に変えるように頑張っていただきたいなというふうに思います。
 復興やその他大阪の方の皆さんといろいろ一緒に仕事をやる機会もあるのですけれども、やっぱり一人一人が非常にパワフルでありますし、またNPOとか、ボランティアとか、民の力の厚みというのを非常に強く感じますので、そういう皆さんが力を合わせれば大阪というのはそうそう悪いようにはならないのではないかというふうに思います。
 また、橋下徹さんの身の振り方については、それはご本人が決めることであり、また周りと相談するのであれば相談して決められるのかなとも思いますけれども、いずれ大阪というところは多士済々、人材は豊富で民力の厚みもあるところなので、みんなで力を合わせれば希望ある大阪というのは実現できると思います。花巻空港から大阪(伊丹)空港は飛行機に乗れば時間距離は大変近くて、お隣のような自治体という、そういう気持ちもありますので、ぜひ頑張ってほしいなというふうに思います。
 
記者
 最後に2点ほど、集中復興期間の件に戻ってしまうのですけれども、先ほど地方負担の割合でまだ決まっていないということで、政府が何をしたいかによるということで、手厚くするものは手厚くした方が良いというような話でしたけれども、一律負担するのではなくて、個々の事業によって対応してほしいというお考えということでよろしいのでしょうか。
 
知事
 いやいや、一般論で来るからおかしくなるので、特に今事業をやっている道路については、全て国と復興に必要だということを了解した上でやっているはずですので、だから復興との関係でここは国費を抜いてもいいのではないかという議論はあり得ないのだと思うのです。はっきり言いますと、日本の他の地方では地元負担ありでやっているからそれに倣えというのは、要は被災地を被災地扱いしないと言っているようなものですよね。それは、もう復興全体を否定する話なので、これちょっとおかしいと思います。前も言ったかもしれませんけれども、国会やその周辺に東北だけが他の地域よりも手厚い国庫補助事業を受けているのはおかしいみたいなそういう雰囲気、空気が国会周辺に及んでいるのかもしれないのですけれども、そういう空気に基づいて今回みたいな地方負担拡大というのをやったら、日本は終わりだと思いますよね。そういう空気の気持ちはわかりますよ。全ての自治体が道路は必要であり、より高い国費負担、裏を返すと地方負担をより少ない中で道路整備したいということを日本中みんなが思っているというのはそのとおりなのですけれども、ただそれをだから今復興に取り組んでいるところをそこと一緒にしてごっちゃにして良いという発想はもう非論理的の極みですからね。だから、そういうところに根があれば、それは全然論理的な協議の対象にはならない話で、感情論になっていくわけですよ。ただ、日本国家がそういう感情論とか、空気のレベルで戦後最悪、最大の東日本大震災(津波)からの復興のあり方、国の予算のあり方について決めるということはまずないと信じていますし、そうさせないようにするのが地元だからということだけではなくて、日本国憲法の元に生きている、そして公務員をやっている私たちとしては、日本が変にならないように力を尽くすということだと思います。
 一方、感情とか気持ちというのは大事なのであって、東日本大震災(津波)からの復興という中で異例中の異例の被害を受けたからではあるのですけれども、異例中の異例の国の取り組みをいただいているというのは、これはもう全国民の皆さんに感謝しても感謝し足りるということはないわけで、それは僕自身もそうですけれども、それは被災者、復興者の皆さんもそういう気持ちだと思います。そして、もし日本のどこかで我々が受けたような悲惨な被害が日本のどこかであった場合には、そこはもうそこが復興を果たせるような思い切った国の措置ということをやるように我々もそこに参画していかなければならないというふうに思っています。
 
記者
 ありがとうございます。最後に、ドローンの件で、各地で規制の動きだとか、祭りでだとか、公園とかの場所で規制の動きが広がっていますが、岩手県として何か取り組みとか、そういう規制をされるというお考えというのはあるのでしょうか。
 
知事
 今のところ、私のところに具体的に何かしなければならないというような話は上がってきていないところであります。
 
幹事社
 幹事社から再度質問したいのですけれども、都構想の件で、橋下市長が政治生命をかけて否決されれば引退というふうに、政治生命をかけて、負ければきっぱり引退を表明しましたけれども、政治家としてこのような橋下さんの考え方あるいは政治活動に対して知事はどのようにお考えになりますか。
 
知事
 政治ほど自由というのが大事な分野はありませんので、政治手法についてもそこは自由であって、その本人が個人の尊厳をかけて自分はこうするという考えであるなら、そのこと自体は尊重しなければならないと思うわけですけれども、一方、今回住民投票で投票する人たち一人一人にもそういう政治的な自由、反対、賛成、どっちに投票してもいいという自由がある中で反対が多数になったと。そういう政治というのは一人一人の個人の尊厳に基づいた自由の調整の中で集団的意思決定がなされていくということで、そういう大阪の皆さんの集団的意思決定というのが今後の希望が持てる大阪へということにつながればと思います。
 
幹事社
 あともう一点、知事選まであさってで告示3カ月になるわけですけれども、改めて今、平野参議院議員が出馬表明されていますし、いわて労連等の革新系の方たちの団体が候補を擁立する意向を示しています。そうした中で、現職である知事にとって今回の知事選というのはどのような戦いあるいはどういうもので論戦が争われるというふうに想定あるいはどういうふうな選挙になってほしいとお考えになっているか、改めてお聞かせいただければと思います。
 
知事
 主役は岩手県民、有権者の皆さんでありますから、岩手県民の皆さんが岩手の未来のために良い決定をすることができれば良いと。さっき大阪の住民投票の話がありましたけれども、一人一人の投票行動の結果によって、そしてその一人一人の投票行動がやはりまず復興をより確かなものにしていくということにつながっていく、そしてふるさとが消滅しない、そういう地方創生の流れにつながっていく、そこがやはり大きいと思います。また、県民それぞれが、子育て世代は子育て世代なりの願いがあり、お年寄りのお世話をしているような皆さんであればそういう願いがあり、農林水産業者、商工業者、観光に携わる人、それぞれの願いがあり、それが最大限実現していくような形で皆さんの投票行動が生きていく、そういう選挙にしなければというふうに思います。
 
幹事社
 争点というのは、今の段階ではまだ形として、形というか、言葉として出るような状況ではまだないというふうに捉えますか、いかがですか。
 
知事
 争点というのも非常に戦術的、戦略的な概念であって、それは大概使う人が自分の立場を強くするため、政治的にですね、使うことが多く、僕は争点にこだわるよりは、さっき言ったように復興が本当にちゃんと進んでいくかとか、地方創生が進んでいくか、その中で県民一人一人が希望を持てるようになっていくかというところに集中すべきだと思っています。変に何か争点をつくらなければならないからといって復興の話に注意を向けず、復興以外のところを争点にして復興に背を向けるような今年度であってはならないと思いますし、それこそ目的と手段でありますからね、県民一人一人の福祉の向上という地方自治の目的が達成され、それがまた岩手全体としても復興の成功をはじめとする、岩手全体としての福祉の向上につながっていくということのために選挙もやっているわけですから、変に戦術的なところにこだわって、そこを崩してしまうようにはならないようにしなければと思っています。
 
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。

次の定例記者会見は5月25日(月曜日)の予定です。

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