平成27年5月11日知事会見記録

ID番号 N35202

平成27年5月11日10時30分から11時13分

 広聴広報課

 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。
 
知事
 まず、1つ目の発表事項は、平成27年度の県勢功労者の決定についてです。県勢の発展に多大の功労があり、その事績が極めて顕著であって、県民の模範となる方々を県勢功労者として昭和55年度から顕彰しています。本年度の県勢功労者については、県内各界の代表の方々で構成する県勢功労者顕彰選考委員会にお諮りした上で、このほど決定をしました。
 まず、岩手県地域婦人団体協議会会長等、男女共同参画社会の実現に向けた機運の醸成に貢献された瀬川智子(せがわともこ)様。
 岩手県観光協会理事長等として、観光業界の発展に貢献された佐藤義正(さとうよしまさ)様。
 岩手県漁業協同組合連合会代表理事会長等として、沿岸漁業の発展に貢献された大井誠治(おおいせいじ)様。
 岩手県身体障害者福祉協会会長等として、社会福祉の向上に貢献された長谷川忠久(はせがわただひさ)様。
 岩手県商工会議所連合会会長等として、産業経済の発展に貢献された元持勝利(もともちかつとし)様の5名。
 そして、岩手県建設業協会会長等として、建設業の発展に貢献された故宮城政章(みやぎまさあき)様の1故人。
 そして、小岩井農場まきば園の運営などを通じて岩手県の知名度向上や観光振興に貢献された小岩井農牧株式会社の1団体としました。
 表彰式は5月25日、知事公館において行います。この5月25日といいますのは岩手県が今の形になった日でありまして、1876年、明治9年に今の形の岩手県になり、ことしは139周年になります。
 そして、発表事項の2つ目、「岩手県ふるさと振興有識者会議」の設置についてです。まち・ひと・しごと創生法に基づいて、県版「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定するために、今般産学官金労言や県民の代表の方々で構成する「岩手県ふるさと振興有識者会議」を設置することとしました。
地方創生の実現のためには、行政が努力することはもちろん、県民や民間、NPOなどさまざまな方々が参加して協働で取り組んでいくことが重要です。今後、県が策定する県版総合戦略と人口ビジョンについて幅広くご意見を伺うために会議を設置し、年度前半に重点的に議論をいただくこととしています。会議の構成員については、お手元の資料を参照してください。第1回の有識者会議は5月15日に公開で行います。なお、今般設置する有識者会議とは別に、県の各部局や広域振興局が所管している審議会や会議などの場を通じ、地方創生に関しては幅広く意見交換を行うこととしておりまして、全開県政で総合戦略を策定していきます。
 以上です。
 
広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。
 
幹事社
 それでは、ただいまの知事の発表事項2件について、各社から質問があればお願いいたします。
 
記者
 県勢功労者の件で、いただいた資料を見ると年に大体2人だったり、ここ最近4人だったのですけれども、今回は5人、1故人、1団体と久しぶりに多く表彰されているようですけれども、やっぱり岩手を担う、貢献されてきた方が多いということは喜ばしいことなのかなと思うのですけれども、知事自身のご所見をいただればと思います。
 
知事
 選考委員会の皆さんに客観的な基準や、また前例なども参考にしながら選んでいただいたと思っています。そして、この顔ぶれを見ますとやはり東日本大震災(津波)からの復興に尽力された方々だなと思いますし、また今岩手県として若者・女性活躍支援に力を入れているところで、女性の分野を代表する瀬川智子様が入っていること、それから来年はいわて国体とともに全国障害者スポーツ大会・いわて大会があるのですけれども、身体障害者福祉協会会長を務められた長谷川忠久様が入っていることなど、そういった今県民が頑張っている方向性をさらに盛り上げるような、そういう人選になったのではないかなというふうに思います。
 
記者
 ふるさと振興有識者会議の方の質問をさせていただきます。こちらの方、幅広く意見を聴取するということなのですけれども、知事としてこれだけ多大な、広範ないろんな団体の方々が、専門家の方が入っていますけれども、どういった意見を期待するというか、今回の会議の狙いとこの会議の結果として、どういったものが出てくること、どういった意見が聞ければいい、何か期待することをお答えいただければと思います。
 
知事
 人口減少問題については、国立社会保障・人口問題研究所をはじめ統計がさまざま出ていて、また他のいろんな経済・社会分野の統計、予測に比べて、予測が当たりやすいみたいなことも言われているのですけれども、でも実はどこに住むか、そして結婚するかしないか、どのように家庭をつくるか、子供を育てるかというのはかなり一人一人の人間にかかっている、個人の主体性によって全然違ってくることの積み重ねで市町村単位あるいは県単位の人口のありようが決まってきますので、やはりそれぞれの分野を代表するような方々から見たそれぞれの分野の実態というものを踏まえた議論をしながらでないと機械的に机上の空論で人口減少対策を決めてはいけないなと強く思っていますので、そういう地域や分野など現場の実態を踏まえた適切な人口減少対策としての地方創生のビジョンや戦略ができていくようにということを期待しています。
 
記者
 そうしますと、ここで例えば素案みたいなものができたところで、意見を受けた上で県版の人口ビジョンですとか、総合戦略にもかなり反映される部分は多いというふうな見方でよろしいでしょうか。
 
知事
 そうですね、はい。あとは人口減少問題に取り組んでいくということについては、昨年度の終わりごろにもいわて未来づくり機構でラウンドテーブルでちょっと議論したのですけれども、心理的効果がかなりあるのではないか、高い目標を掲げればそれだけ、おお、やろうというふうに頑張れる。また、低い目標にしてしまうと、もう将来の岩手はこんなに人口が減るのでは、今のうちに都会に行っておいた方がいいかなみたいな、そうやってさらに人口減少を悪化させていくような、そういう効果。ですから、他の行政の分野に比べて目標の掲げ方というのは非常に難しい、目標の掲げ方でかえって結果が違ったふうになってくるというような、そういう心理的効果もあるので、国もはっきり目標というのを決めて2060年に1億人(程度)と言っているわけではなく、全てがうまくいけば、結果としてそうなるだろうという意味での数字を設定しているということで、それだけ人口問題に関する目標というのはデリケートでありますので、関係者がかなり深く共通の考え方を持って理解し合った上で、そういう目標あるいは目標的な数字というものを扱っていかなければならないので、そういう県民の共通理解が広がっていくためにもさまざまな分野の皆さんに議論を重ねていただきたいということがあります。
 
幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
 
記者
 復興財源に関連してなのですけれども、災害公営住宅の建設など基幹事業については国が全額負担すると。その一方で、内陸部の道路整備事業とか、その一部の事業については地方の自治体にも財政負担を求めるということを政府として方針を示された、安倍首相もその点について了承されたというような報道もありますけれども、そのことについてまず知事の受け止めを教えてください。
 
知事
 政府としてどういう結論が出たかということについては、まだ伝えられていないので、被災地イコール復興地の現場の声を踏まえた適切な考え方や内容であることを期待しているのですけれども、今のプロセスを見ていますと本当に現場の実態を踏まえた議論、検討が行われているのかということをやはり疑問に思わずにはいられません。そもそも被災した市町村あるいはそれを含む県において何か財政的に大いにゆとりが出てきて、そのゆとりある財政を今まで国費を使っていた部分に回せないかみたいな議論であればそうした論理に基づいた議論ができると思うのですけれども、実態としては岩手の場合、市町村はいまだに震災前の税収よりも低い税収、そしてその税収の落ち込みを震災特別の交付税交付金で補填してもらっているわけですので、そもそも自主財源を補填してもらっているような財政状況の市町村に地方負担を拡大させるという根拠がどこにあるのかというところが疑問だと思います。県は、税収は増えているのですけれども、でも税収というのが増えますとそれに見合う分、普通の交付税交付金が減りますので、ここ数年岩手県としては税収は増えているけれども、交付税交付金やそれと対になる臨財債(臨時財政対策債)の額は減っておりまして、いわばその部分で税収アップした分、国費をいただかないでいるということが進んでいるわけで、そうした当然財政制度に乗っかって、財政面についての自立度を高めているということが着実に行われているのですけれども、それを越えて今までやってきたことをやり方を変えて地方負担を拡大するという論拠は全然ないのだと思うのです。
 また、さっきから地方負担拡大、地方負担拡大という言葉を使い、地方負担導入と言わないでいるのですけれども、国費10分の10とか100分の100の復興事業がかなりを占めているというのはそのとおりなのですけれども、自治体の一般財源を使ったりした地方単独事業で復興関係の事業をやっているというのは少なからずありますので、地方は既に負担はしているわけです。だから、地方は全然負担していない、地方負担ゼロ、それでいいのかというような論調がオールジャパンとしてあるのですけれども、既にそれなりの負担はしておりますし、その背景には、これはもう全ての皆さんにオープンな形で復興庁を窓口として地元と政府とで調整をしながら復興予算で賄う事業というのはかなり限定されたものとして、政府に認められたものだけ復興事業としてやっているわけでありまして、そこで認められなかったものについては一般財源、県の単独事業などでやっているわけです。ですから、決して地方負担、今の段階でもゼロではないので、地方の財政力に見合ったというか、本当はもっと、今地方負担でやっている部分についても国費で見てほしいというやりとりの中で、でもここはやむを得ず地方負担でやっているというところがかなりあるわけでありまして、むしろ復興を加速するとか、復興が長期にわたる中で自治体が直面している、あるいは被災地、復興地が直面している疲弊状態を補うためには、むしろ国の支援を増やすべきではないかという発想もあってしかるべきなのだと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども、そういった地方の実態というのを踏まえた議論、検討に本当になっているのかという、そういう疑問を強くしながら国からの正式な連絡を待っているというところです。
 
記者
 ありがとうございます。今知事がおっしゃいましたその中にも、県としても負担している部分もあると。正式な発表というところが今後されると思うのですけれども、少しの負担でもその割合の問題にもなってくると思うのですけれども、今後の復興事業にも影響が出てくる可能性もあるのではないかというふうに被災地元の自治体からも懸念の声というのは聞かれる部分であるのですけれども、その点について今後政府、国に対してどういうふうに対応していくお考えか教えてください。
 
知事
 今説明したように、市町村の場合はまだまだ税収が震災前よりも低いままなので、そこを特別な交付税で補填してもらっているという中で、負担を拡大というのはできるはずがないのでありまして、そこで負担を増やせということになれば、それは問題になります。県は県で税収は増えているけれども、その分交付税を減らすとか、臨財債(臨時財政対策債)を減らすという形で国費から地元負担にそういう意味でシフトしているわけで、それ以上の、制度的に定められている以上のそういう負担を求められた場合には、やはりそれはできない、困るということになります。ですから、そういう地方、被災地域の財政の実態というのを踏まえないままで何か大きく大なたを振るおうというのは何か弱者切り捨て的な、自己責任原則みたいな、そういうイデオロギー的なものに引っ張られて、政府として内閣を挙げて作業をしているのかなと。
 地方財政の、被災地財政の回復の度合いに合わせて地元負担の拡大を図っていくというような作業は、本来財務的に、事務的に財務担当者間の事務的な調整によって行えば基本的に悪いようにはならないものだと思うのですけれども、それを何か内閣を挙げて大なたを振るうみたいなやり方で始めたところからちょっと間違っているのかなというふうに懸念します。
 
記者
 今の話の関連なのですけれども、被災地の実態をどれだけ踏まえてくれたのだろうかというお話がありましたが、この復興財源、地方負担の話が出てくる前からもずっと、例えば昨年とかも4県で合同要望されていたりとか、事あるごとに被災地の実態のようなものは伝えられていたと思うのですけれども、それで今回地方負担の話が出てきた後も4県で合同で要望されたりとか、あと県としても市長会、町村会と合同で要望されたりとか、何度かその被災地の実態を政府に届ける機会というのはあったと思うのですけれども、今回正式にはどういう枠組みのものが出てくるのかというのはまだわかりませんが、基本的には地方負担がゼロというのはなかなか難しい状況なのかなというのが今の段階だと思うのですけれども、そういう実態というものを伝えてきたというお立場だと思うのですが、改めてこれまで伝えてきた部分というのをどれだけ酌み取ってくれたのかというのはいかがでしょうか。
 
知事
 さっき説明したような市町村や県の財政の実態というのは、これはもう全ての人たちに開かれているわけでありまして、岩手の場合、決算は不認定という形にはなっているのですけれども、それでもその数字はこういう議論のときには根拠にしていただけるような数字としてきちっと誰にでも見れるようになっているわけでありまして、そういう客観的な事実をベースに議論を積み上げていけば国と地方の間でそんなに大きな齟齬(そご)はないだろうと思って、そういう事実関係を改めて繰り返し伝えるということをしてきておりまして、これは今この瞬間でもそういえばそうだよなというふうに事実関係から改めて議論を組み立て直すということはできると思っていますので、そういう意味では今でも全然あきらめてはいなくて、答えは現場にあるということで現場の実態から適切な答えを国が導いてくれるということには今でも期待をしています。
 一方、懸念するのは地元の地方の負担とかということも純粋に財政上の事務的、技術的なこととして負担が今どれだけ可能か、どこまですべきかというふうに議論を積み上げれば冷静に答えを出せると思うのですけれども、自立という言葉とあわせて、また地方負担ゼロ、地方負担ゼロというような、何か地元被災地、復興地が何もしていないかのごとく何の負担も負っていないかのごとき空気が醸成されているというのは風化以上に危険なことだと思っていまして、そういう広い意味での負担ということからすればまず身近な人が亡くなった、大勢の方々が亡くなったというところからすさまじい負担、お金にかえられない負担を既に被災地は負っているわけでありまして、その後の被災自治体の人たちが負ってきた負担とか、そして住民の皆さんが負ってきた負担、乗り越えてきた負担という、そういう意味で何かそういうのがゼロで、全然自立していないみたいな、そういう空気が醸成されるというのは、国のあり方としても非常にまずいなというふうに思っています。
 そして、自立ということも純粋にそれも財政上の専門的、技術的な意味で税収と国費のバランスなどで自立度を今このくらい高められるとか、そういう冷静な議論の中で自立ということが語れるならいいのですけれども、何か被災者の皆さん、復興者の皆さんが一生懸命力を振り絞ってやっていることを否定するような、自立していないみたいな言葉がひとり歩きしていくというのは、国を挙げて復興を進めようというときに非常に良くないなというふうに思っていまして、何かそういう空気の中で政府が間違った決定をしないようにということを祈っています。
 
記者
 それから、先ほど弱者切り捨てとか、そういうイデオロギー的なもので引っ張られているのではないかという話がありましたけれども、それは今の政権の考え方というものが今回の復興財源の枠組みのあり方の議論の中にもやはり反映されているのではないかというふうにお考えですか。
 
知事
 4県合同要望なども行って、これだけ現場の実態というのを伝えているにも関わらず、自立していないのではないか、このままだと自立できないのではないかというような言葉がいまだに語られるというのは、かなり大災害があっても、個人も、地域も自己責任でやるべきだみたいな固定観念が背景にあるのではないかなということを疑います。しかし、自立というのは、いざというとき助け合うという共生あっての自立でありまして、共生なくして自立なし。政府の方でそういう助け合いとか、共生とかがない状態を自立と言うとすれば、それはかなり偏った新自由主義的な市場原理、万能主義的な発想でありまして、そういう発想からは復興ということは成功させることはできないと思っています。
 
記者
 それから、最後なのですけれども、こういう形で被災自治体、被災地側と政府側での考え方の齟齬(そご)というか、そういうことが今回かなり表面化していると思うのですけれども、そういう状況で国を挙げての復興ですとか、オールジャパンで復興加速させるとか、そういうものが実現できるかどうかというところについてはいかがお考えでしょうか。
 
知事
 これは実現させなければならないことです。復興は成功させなければなりませんし、そして東日本大震災からの復興を果たして、次に万が一というか、日本のどこかでまた大災害があったときには我々も日本国民として税金などを通じ、財源にもちゃんと貢献してオールジャパンでその都度大震災被害に苦しんでいるところをみんなで助け合うということをしていきたいと思いますし、プラスアルファ岩手県としては人材の派遣でありますとか、そういったことを率先してやれるようにするためにも今目の前の復興は成功させなければならないので、政府においてもそういうふうに復興の成功というのを最優先にするようにしていってほしいと思います。
 
記者
 今の関連で伺います。県の財政状況は、単年度200億円ぐらいの財源不足が生じていると。今まさに公債費のピークを迎えているという中で、地方負担が生じるというのはかなり大きな懸念を抱いているというところだと思いますけれども、知事はさっき復興を最優先でというお話をされましたが、今までも地方負担というのは導入されれば復興にブレーキをかけるというのを繰り返し主張されてきました。こういう財政状況の中で、もし地方負担が少しでも拡大すれば、拡大するというのは負担はもはや困難な状況で、それを実質ゼロに近づけていくということをこれからそうすると国に求めていくということになりますか。
 
知事
 地方負担は既にしているわけでありまして、その結果、地方財政全体としても、県財政全体としてもカツカツでやっているという状況です。ですから、議論のあり方としては岩手の県財政のこの部分にこれだけ余裕があるなら、これを国が出していた部分に充てられるのではないかという議論で、それはそこに正当性があるのであれば、そこは相談に乗れるわけですけれども、そういうまさに地方側からの財源の根拠がないような、いきなり負担拡大せよというような話であれば、それはもう議論のしようがないなと思うわけです。
 
記者
 ありがとうございます。復興もそうなのですけれども、先ほど人口減少の話もありましたけれども、本年度の県の当初予算では、人口減少対策はかなり力を入れてやったところだと思いますけれども、この地方負担がもし拡大を求められることになると財源確保のために、あるいは県の事業の削減とか縮小というのも、これを検討せざるを得ないという状況にこれは必ず陥ると思うのですけれども、そうするとこれは人口流出に影響してくるのではないかという懸念と、そもそも政府が地方創生を推進している中で、そういう事態になれば地方創生と、あるいは復興、その辺りと整合性が地方負担はとれるのかという懸念があると思いますが、その辺りどう考えますか。
 
知事
 私は、政府が復興はきちっとやる、むしろ復興は加速させ、東京オリンピックというのは復興を果たした日本の姿を世界の人に見てもらうオリンピックとしてやるのだという言葉を信用したいと思っていますし、また地方創生、まち・ひと・しごと創生ということについても、それは言っているとおりのことをやろうとしているので、逆に地方消滅が加速するようなことをしようとしているわけではないというふうに信じたいというふうに思います。
 
記者
 話変わりまして、先週イコモスの方から世界遺産の件で日本の明治の産業革命について登録が適当という勧告が出ました。これについて、知事改めて所感をいただきたいと思います。
 
知事
 まだ最終決定ではないのですけれども、イコモスの勧告という形で世界遺産登録という、そういう勧告が出たのは大変良かったなというふうに思います。また、既にもう23のサイトについて報道もされる中で、釜石のことも紹介されているのですけれども、幕末、明治の産業革命、日本の近代化といったときに薩摩、長州中心のそこに佐賀藩とかですか、そういうのも入ってくるようなそういうイメージもあると思うのですけれども、そこに岩手県がバンと入っているというのは、日本史のバランスをとって、そして世界史の中にもきちんと位置付けられるということで、大変意義のあることだなというふうに思っています。
 
記者
 ありがとうございます。今おっしゃったとおりだと思いますし、あと橋野鉄鉱山が八幡製鉄所に行く前の発祥の地として、国内では九州、山口を中心にというタイトルでしたけれども、それをあえてイコモスの方ではそれぞれの産業分野についてのタイトルの方が望ましいというふうになったというのは、そういう評価ではないかなと思っていまして、いかがでしょうか、その点については。
 
知事
 今大河ドラマでも松下村塾をやっていて、そこも世界遺産の中のサイトに入ってくるわけで、そういったいわゆる薩摩、長州中心の明治政府本流部分が果たした部分の役割の重要性というのはそのとおりだし、日本全体として大事にしていかなければならないとは思いますけれども、だけれどもそれだけではないというのが非常に大事なので、釜石が果たした役割で当時の直接的には南部藩なわけですけれども、南部藩というのも実は幕末にかなり外国のことを学んだりとか、新しい近代化に向けてさまざま手を打ったりとか、雄藩と呼んでもいいようなことをやっていたし、また隣の伊達藩も全国トップクラスの大藩で、南部藩と伊達藩がお互い刺激し合う中で、そういう今につながる近代化の日本のスタートというのが釜石の地で行われたということはどんどん日本や世界に広めていきたいと思います。
 
記者
 ありがとうございます。世界遺産の件であと2点お聞きしたいのですけれども、全国的に見ると軍艦島とか、松下村塾とか、九州の方、山口の方が注目されますけれども、平泉での経験も踏まえて、どのように岩手県全体にそういったことを活性化に向けてつなげていくかということについて、どのようにお考えになるのかというのが1点と、あともう一点は韓国がこの勧告について少し異議を申し立てておりますけれども、それについて知事の所見をお聞かせいただければと思います。
 
知事
 東北の方で岩手釜石だけがサイトに入っていて、東日本で見ても伊豆と釜石ですか。多くの人がなぜここも入っているのかと、まず釜石に注目すると思うのです。そういう意味では、その注目、関心に対してきちんと説明をする体制、またぜひ実際に行って見てみたいという人たちをお迎えできる体制というのをきちっと整えていくことがむしろ少数派であるがゆえに関心、注目されやすいところがあると思うので、それをバネにして展開していけば良いというふうに思っております。
 それから、韓国含むアジアとの関係で、戦争中やその直前、さまざま反省すべき不幸な歴史があったのはそのとおりで、それはそれで歴史を大事にして、ちゃんと何が起きたのかというのを後の世代にも伝えていきながら、これからの友好関係に結び付けていくように、現在とこれからの友好関係に結び付けていくような努力をしていかなければならないと思います。
 一方、世界遺産としての今回の明治産業革命遺産については、幕末から明治にかけての50年くらいの期間を対象にしているということで、それはそこの産業革命という観点からの意義を、そこをイコモスも評価して世界遺産登録の勧告をしてくれたのだと思いますので、そういう国際的に既に理解が進んでいる部分について、それを守って発信を続けていくということが大事だと思います。
 
記者
 ありがとうございます。あと1点、先々週でしょうか、「希望郷いわてを実現する会」と知事が会談というか、お会いされましたけれども、その場で知事も参加をしてほしいという意向が伝えられたと思いますが、その点について知事はその後どのように検討され、あるいは回答する予定か、今の段階でわかっている範囲で、決まっている範囲でお伝えください。
 
知事
 趣旨には大いに賛同するので、参加する方向で調整をしていきたいと思っています。参加の時期については、新たに参加したい、新たに参加する予定という、そういう県議さんや県議候補さんや、またいろいろな方々がいると聞いていますので、そういう皆さんの動きとすり合わせながら、いいタイミングを見て参加を決めたいというふうに思います。
 
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。

次の定例記者会見は5月18日(月曜日)の予定です。

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