平成27年3月23日知事会見記録

ID番号 N33356

平成27年3月23日10時30分から11時01分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表事項はございません。
 
幹事社
 きょうは記者クラブを代表しての幹事社質問はございませんので、各社から質問があればお願いいたします。
 
記者
 先週開かれた国連防災会議の関係なのですけれども、日本人の参加者も限られる中で、ある意味国内代表としての発言の機会となったと思うのですが、この所感を一言いただければと思います。
 
知事
 ニューヨークにある国連本部が一定期間岩手県、東北に移ってくるような大規模な国際会議、しかも防災というテーマで行われるわけでありますので、岩手県としてもできるだけ参画したいと思っていろいろ準備をしていました。それで、まず岩手県でもISOのセキュリティー部門の総会のようなああいう関連会議も含め、また一関市での、あれは国連防災世界会議の冠をつけた関連会議ということもやることができ、また岩手の被災地、復興地についても、会議参加者に視察をしていただくなど、かなり岩手県としても参画することができたと思います。また、私や岩手県の人たちが仙台まで行っていろんな会議に出て発言をするということもかなりあったと思いますし、岩手県として経験したかつてなかったような悲惨な大災害であったわけですけれども、そこから得られた教訓、世界や、また未来に伝えたいことというのをかなりの程度発信することができて良かったと思います。
 
記者
 知事は特に県としての提言を強調されて発表されたと思うのですけれども、参加された各国の皆さんからの反応だったりとか、あと今後につながるようなものが得られたのかどうかというところについてはいかがですか。
 
知事
 やはり国連防災世界会議という機会に、岩手県として得られた教訓を提言の形にして発信することはしておかなければならないなと思って準備をしていました。英語版のパンフレットも作りまして、いろんな機会にお渡ししたり、お配りしたりしたところ、かなり評判も良くて、私が会議で一緒になったチリのある市の市長さんも大変参考になると言ってくれましたし、また防災(担当)の国連事務総長(特別代表)であるワルストロムさんも、私と直接話をする機会があったのですけれども、大変感銘を受けたということを言ってくださいました。ああいうものを準備しておいて良かったなというふうに思います。
 
記者
 国連防災世界会議の関連なのですが、新たに仙台行動枠組として2030年までに具体的な数値目標を掲げました。犠牲者の数を減らすとかという具体的な数字なのですけれども、これについて知事の所感と、岩手としてその目標に対してどう関わっていきたいかというところも聞かせてください。
 
知事
 東日本大震災津波は、諸外国からの支援も大変大きくて、いわば世界的、人類的な大災害でもあったと思っております。まず、そういう人類共通、世界共通に対応しなければならないような大災害というのが地球上で起きていること、また私が参加したコミュニティの防災に関する会議でも、コミュニティとして対応しなければならない、そういう小さな災害についても議論の対象になったのですけれども、そういった災害への対応についても国際的にいろんなノウハウを共有したり、そして協力して防災の体制づくり、準備等々やっていくということで効果を上げていこうというような方向性も今回の仙台会議ではあったと思います。ですから、そういった必要性、また方向性ということを最終的に文書の形で国際的にまとめることができたというのは大変意義あることだと思います。岩手県としても、引き続きそういった国際的な防災の取り組みに積極的に参画していきたいというふうに思います。
 
記者
 ありがとうございます。また、別の2つの質問をしたいと思うのですが、3月10日に安倍総理大臣が記者会見で、2018年度以降の5年間の(復興支援の)枠組をこの夏までに策定して発表するということの考えを示されました。まず、この点について知事のお考えをまた改めて聞かせてもらっていいでしょうか。
 
知事
 岩手県でも定期的に復興の進め方についてレビューをする、進捗状況について確認をしたり、あるいは被災者の皆さんに意識調査をして進捗状況、進め方について検討していく機会というのは折に触れ設けているわけでありまして、国としてもそういう復興の進め方について改めて考える機会を持つというのは大事なことだと思っています。ただ、報道などから伝わる印象では、2つの誤解が国政の場では広がっているのではないかと。1つは、復興はもう4年たって大体終わっているのではないかという、そういう大誤解ですね。実際にはこれからが本格的な事業が進んでいく時期でありますし、全然終わってはいないわけです。もう一つは、時間がたてばたつほど復興というのは楽になっていくという、復興に注がなければならないお金やエネルギーが時間の経過とともに一定ペースで減っていくという、そういう誤解もかなり国政に広がっているのではないかと思います。実際には(応急)仮設住宅生活など、先に行けば行くほど事態が悪化し、しんどくなっていくところもありますし、また持ち家再建支援など、時間の経過に伴う建設費の高騰によって、今まで以上の財政的支援も求められるような局面も出てくるということで、ですから国に対して求めたいのは、復興がまだまだこれからだということをしっかり認識してほしいということと、そして時間がたてばたつほど予算は削減していいとか、国の関与を減らしていいということではなく、むしろ住宅の建設の問題などさらに予算を増やさなければならないところ、国の関与をさらに増やさなければならないようなところもあるのだと、そこをしっかり見極めてほしいと思います。
 
記者
 ありがとうございます。その関連で、夏までに策定ということですけれども、岩手県として要望活動を含めて、どのように政府に今後夏までにアプローチしていくかというところもわかる範囲で教えていただけますか。
 
知事
 普段からいろんなレベルで復興庁の県の出先、沿岸地方への出先もあるので、いろんなレベルで国に情報提供して、また意見も発信してはいるのですけれども、まず新年度に入ってすぐにでも被災県で協力して、合同で国に対して要望、提案するという機会を持ちたいと思っています。
 
記者
 ありがとうございます。最後に1点、補助金に関する問題なのですけれども、先日久慈市の協同組合が交付された補助金で、関係のない別の機械を購入していた問題があって、協同組合に対して県が返還請求を行ったという話もありました。その前の段階で予算の未計上の問題もあって、国の補助金をめぐる問題というのは最近よく出てきているなというところも印象としてあるのですけれども、一連の補助金の問題について、知事の問題点なり、問題認識であったりというのを聞かせてもらっていいでしょうか。
 
知事
 それぞれ違う話でありまして、決してやってはいけないことをやったような件については、それは大変遺憾なことでありまして、契約の停止、補助金の返還請求等々、そこはしっかりやっていかなければならないと思っています。それから、県としての補助金の取り扱い方、広く補助金行政のあり方については、大雪りばぁねっと。事件やDIOジャパン問題などの教訓も踏まえながら、体制の強化を今年度も図ってきたわけでありますけれども、本格復興邁進(まいしん)年、来年度は実質的な予算規模が最大になる年でもありますので、さらに補助金のことを含めて復興予算の執行については、よりきちっとしていくような体制の強化というのを新年度に向けて構築していきたいというふうに考えます。
 
記者
 復興財源の関係で追加でお伺いしたいのですけれども、当然要望というのはとっかかりの部分で、まずそこからスタートするというのもあると思うのですけれども、かなり国のこれまでの、この間の首相の会見などを聞いていても、地方負担の発生であったりとか、ある程度絞り込んでいくという方針が大分固いのかなという印象を受けておりまして、ある意味要望という形だけではなくて、より理解してもらうというか、ある意味説得するようなぐらいのことをしないとなかなかこの現状というのは理解されないのではないのかなという気がするのですけれども、それで4県合同の要望というのはこれまでもされていることで、より踏み込んだ具体的な対応というものが今後必要になるのではないのかなという気がするのですけれども、その辺りいかがでしょうか。
 
知事
 一方で事態の深刻さというのは、今までになかったようなところがあると思います。政府の要人からの発言の中に100%国費負担ということが被災者の皆さんの自立を妨げているかのような発言でありますとか、またそこにモラルハザードというような言葉が使われたりとか、復興の現場で働いている我々からしますと信じられないようなとんでもない言葉、発言とかもあって、それに対して正面から速攻でかみつくよりも、私は県の事務方を通じて政府の事務方の方に、高いレベルの人たちがあまり変な発言をしていくと、今までと質的に違った抵抗感というものが被災の地元の方から出てきかねないので、そういう国に対する根本的な不信感のようなものが復興の現場で出ないように、よくよく気をつけてほしいという、結構ある意味最後通牒(さいごつうちょう)の前の前の段階ぐらい的な厳しいことは事務レベルでは政府の方に伝えています。そういったことを踏まえた上での4県合同要望、提案になっていきますので、それでもまだ変な考え方、変な言葉が政府の方から発せられるようであれば、復興の現場からの政府に対する反発、抵抗というのもちょっと質的に違ったものにならざるを得ないという深刻な状況にあると思っていますので、そこはかなり緊張感のあるつばぜり合いのような合同要望になると考えています。
 
記者
 補助金の方の話に戻らせてください。それで、補助金に関してお話がありましたけれども、今定例会で提案を見送った補助金適正化の条例なのですけれども、いろいろ事情があって見送りされたというのはお話を聞きました。それで、知事の今任期中に例えばある程度形を整えたいというご意思があるのか、それであれば6月提案を大体見込んでいるというふうに、6月定例会の提案でないと間に合わないので、その辺りどのようにお考えか教えていただけますか。
 
知事
 条例は議会が決定するわけでありますから、やはり議会側の方で歓迎ムードの高まりというのがないと、提案だけすればいいというものではありませんので、今議会の当該条例構想をめぐる議会での議員の方々からの発言、あるいは態度のようなところから考えますと、なかなか次の議会で提案みたいな、そういう雰囲気にはならないかなというふうに感じています。
 
記者
 ありがとうございます。それと補助金でもう一つ、同じように議会で今回もやりとりがありましたけれども、大雪の件、あるいはDIOの件も含めてになるのかもしれませんが、県議会側の多数というか、県議会で求めている外部検証ですね、第三者検証というものを任期中に何か方針なりアクションを出すというようなお考えがあるか、改めてお聞きしたいと思います。
 
知事
 会計検査、また裁判の方の進捗もありますので、第三者委員会の設置ということにはやはり慎重でなければならないという状況には変わりがないと思っております。弁護士の方、そして大学の専門家の方、そして地方自治体、そのお三方に検証いただいた結果については、かなり参考になる部分もあると思っておりますので、それも踏まえながら新年度、今年度もスタート時点で補助金の執行の適正化等に向けた体制の強化を、今年度当初も図ったのですけれども、来年度のスタートに当たってもさらなる強化を行って、どんどん県民の皆さんにご迷惑をかけず、県民の皆さんに信頼していただけるような執行の体制というのをいち早くつくっていきたいというふうに思っています。
 
記者
 そうすると、今までもご答弁されているように、裁判の進捗とか会計検査の状況等が進展がなければ、新年度になるからとか、任期満了前になるから、何か手を打つということはないということですよね。
 
知事
 何のためにそういうことをするのかというのは、究極的には県民の皆さんに迷惑をかけず、そして信頼に応えるような行政執行を行っていくというところにあると思いますので、そういったところをしっかり進めながら、状況に対応していきたいというふうに思います。
 
記者
 ありがとうございます。あと、別件でもう一点。復興財源のことで先ほどやりとりありましたけれども、今月の初めに知事、ツイッターの方でコメントされていますが、自民党の県連幹事長が与党に近くないと復興や農業の方での交渉が難しいなというような趣旨の発言をしたことに対して、ファシズムの感じがするというか、ファシズムを感じるというふうにコメントしているのですが、これは短文なので、ファシズムというふうに書いてリツイート等も出ていますが、どういう真意でファシズムとおっしゃったのか、ちょっと教えていただければと思います。
 
知事
 発言内容を突き詰めていきますと、日本全国全ての行政の長、自治体の長は、政府与党に近くなければならないという、それは全体主義になってしまうわけでありまして、だからそういう感じを受けるということをツイートしたところであります。特に最近日本では、いろんな、日本だけが優秀な民族で、その他の民族については悪口を言ったり、死ね、死ねとか公言してもいいみたいな、非常に良くないファシズム的な風潮が日本全体にありますので、ちょっとそういうのを感じたという次元であっても、ある程度積極的にそういうのはチェックするような発言は、ツイッターではありますけれども、した方がいいのではないかと思っています。国会で八紘一宇(はっこういちう)という言葉が与党議員から出され、閣僚がそれをその場で否定しなかったということも、かなりファシズムっぽい、良くないことだと思っていて、それもツイッターで、八紘一宇がいいと思っている人はこのブログを読めばいいということで、日本のことを愛するのであれば、むしろ日本がやった良くないことについてきちんと反省するような意識を持たなければだめだというブログを紹介したりとか、そういうのをしているところです。
 
記者
 ありがとうございます。そうすると、今安保法制のこととか安倍政権が進めようとして、世論も二分するような形になっていますけれども、直接的に今の政権がそういうファシズムの色合いが強いというふうに知事は解釈しているということでしょうか。
 
知事
 これは難しい、デリケートな問題で、ファシズムのレッテルを張って攻撃するというのもまたこれは問題がありまして、だからあまり軽々しく人をファシスト呼ばわりしたりとか、人の言動をファシズム呼ばわりというのをあまり軽々しくやることは良くないとも思っていますので、政府のさまざまな政策とかやっていることについては、それは個別にきちっと見ていかなければならないとは思っているのですけれども、ただ折々、ちょっとこれはまずいのではないかなとあえて発言、チェックするようなことをしておかなければならないのではないかなというような発言が時々あるので、まずそれについてはチェックするというようなことを私としてはやっているのですけれども、今政府が進めようとしている安全保障政策については、リアリズムの観点からそういう必要性が本当にあるのかとか、またそれを新しい体制をつくることによって、いかなるメリット、またデメリットがあって、本当にやらなければならないのかというようなことをリアルにきちんと検討していけば、そうそう悪いようにはならないというふうに思っています。
 
記者
 ありがとうございます。あと1点。そうすると新聞紙上で自民党の関係の方がおっしゃったような、例えば政権に、あるいは自民党に近くないと、復興であれ、さまざまな問題であれ、要望しても通りにくいということに対して知事はどのようにお考えでしょうか。
 
知事
 まず事実ではないということ。自民党が推薦する候補と選挙して競争して当選している首長さんというのは日本にはいっぱいいるわけでありまして、そういった人たちのところで国政が何か悪さ、意地悪をしているということについては、沖縄県はちょっと別ですけれども、それ以外のところについては基本的にそういうことはないと思っています。ですから、基本的に事実に反する。
 また、事実に反することを言って、どういう趣旨で言ったかというのは、それは発言者の方に確認してほしいわけでありますけれども、それは冗談半分で言ったということから脅迫するつもりで言っているということが、幅はあるのだと思うのですけれども、いずれにしろ好ましいことではないと思います。
 
記者
 念のためお伺いしたいのですけれども、きょう実はこの後の時間帯なのですが、県議会の県民クラブの会派の方々が知事選に関して、平野達男参議院議員に出馬要請をしたということで、この後会見を開く予定になっております。そのことについての所感を伺いたいのと、まだ出馬の要請の段階なので、それをお受けになられるかどうかというのはまた別の話だと思うのですけれども、一つ選挙戦になる可能性が高まったということについての所感と、平野さんへお願いをしたということについての受け止めをお伺いしたいのですけれども。
 
知事
 選挙戦の可能性が高まったということについては、共産党の県委員会さんの方で知事選候補擁立を決めたという報道に接しまして、それでまず選挙にはなるのだなというふうに印象を受けていますし、選挙があった方がいいというのは前にもこの記者会見で話したとおりですので、それは有意義な選挙にしていきたいなというふうに思っているところです。
 平野達男参議院議員が知事選に出る云々ということについては、おととしの参議院議員選挙で、参議院議員、この仕事を続けさせてください、仕事を続けさせてくださいということでかなり活発な選挙戦を繰り広げ、そして参議院議員になられて今活躍されているわけです。そして、私は平野達男さんが参議院議員に初当選するときの選対本部長でありまして、かなり苦労して当選をかち取った。そのときの参議院議員選挙、全国最少僅差でのぎりぎりの当選で、終わった後に私は文字どおり足が棒になって歩けなくなって、自分の選挙でもそうなったことはないのですけれども、外科に行ってニンニク注射をしてもらってようやく歩けるようになるくらい一生懸命やって参議院議員になってもらっているので、ここはやはり今参議院議員を辞めるという選択肢はあり得ないのではないかなと思っています。しかも、知事選挙に出ることを理由にということはあり得ないのではないかなと思っています。
 
記者
 それに関連してなのですけれども、あり得ないというのは、2年前に再選したばかりだからなのか、知事が選対本部長を務めて、もともと仲間だったから、弓を引くようなことはしてほしくないという、どういう意味ですか。
 
知事
 2つあって、ご本人が参議院議員を続けさせてくださいと強く訴えた選挙戦をおととし展開していたこと、そしてそれに対して多くの県民が参議院議員をしてくださいという負託をしており、もともと平野達男さんが参議院議員をするということについては私もそこで苦労してなっていただいて、そして当選を果たした以上、私も平野達男さんについては参議院議員としての活躍に期待しています。最近も原発問題について国会で質問に立たれて、多くの岩手県民の人たちが福島に何かしてあげたいと思いつつ、まず岩手の復興に取り組まなければということで、福島のありように対して私も含めて岩手県民じくじたる思いがあると思うのです。そこを参議院議員という立場をフルに生かして、原発問題について深く調べ、そして提案をしているということは、非常に私からもありがたいなと思っていますので、ぜひそういうことを続けていただきたい。というのは、私の思いでもあるし、多くの岩手県民の思いでもあると思います。
 
幹事社
 よろしいですか。
 
広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。

次の定例記者会見は4月1日(水曜日)の予定です。

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