平成27年2月2日知事会見記録
ID番号 N32290
平成27年2月2日10時30分から10時53分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問がありません。各社から質問があればお願いします。
記者
イスラム国の件でご見解を伺いたいと思います。邦人2人が人質にとられておりましたけれども、日本政府の交渉の末にもかかわらず、2人とも殺害されたという可能性が高いという報道がなされ、また政府もそういう見解を示していますけれども、これについて、一連の出来事についての知事の見解をまずお聞かせください。
知事
一連の報道にあるような、あのような形で人の命が奪われたり、またあのような形で人の自由が奪われるということは、これは決してあってはならないことです。こういうことが決して起こらないような世界にしていく必要があるわけでありまして、それはそう簡単なことではないのですけれども、やはり自由というもの、そして命というもののかけがえのなさということを改めてみんなが深く自覚することで、こういうことが起きないような世の中をつくっていかなければならないと思います。
記者
ありがとうございます。今回の邦人の安全確保並びに、あるいは例えばテロの脅威にさらされたときの邦人救出について、いろいろな形で教訓、課題を突きつけたと思うのですが、今回の政府の一連の対応、もちろん交渉事ですからオープンになっていないところも随分多いのですけれども、どのように評価されて、あるいはこれからの日本の外交にどのような形で、姿勢で臨んでいくべきかという辺りをお聞かせください。
知事
湯川さん、後藤さんそれぞれ去年のうちに既に拘束され、そしていわゆる人質のような形になっていて、犯人側からさまざまアプローチがあったというふうに報道されていますけれども、そのやりとりや、またそこに政府がどう関与していたのかということは全然明らかになっていませんので、まず国民的に今回起きたことがどういうことだったのかということをきちっと理解して、また今後のさまざまなことに役立てていくためにも、そういった事実関係をまず政府において明らかにするということが必要だと思います。
記者
今回邦人の拘束された映像が公開されたというのがまた偶然か、必然か、安倍首相が中東で人道支援を発表したタイミングと重なったということで、そういう意味では日本の外交、これからの姿勢についていろいろな形でまた問題提起したのかなと思いますが、その辺りで、繰り返しになりますけれども、検証はもちろん大事だということですけれども、今までの安倍政権の外交姿勢にも何か改めて検証あるいは軌道修正が図られるというところもあるのかないのか、その辺も含めてお聞かせください。
知事
これも検証が必要だと思うのですけれども、今報道等から知ることができる範囲内では、身代金が目的であったわけではなく、また人質交換が目的であったわけでもなく、というのは、もしそれぞれが目的であればまだ殺害ということには至っていないはずですからね、できるだけ身代金を取ろうという交渉が続いているでしょうし、また人質交換の交渉が続いているでしょうし、犯人側として身代金はもうあきらめ、また人質交換もあきらめて殺害に及んだということは、それは先方の言っている内容からすれば日本に対する報復、日本がいわゆるイスラム国と戦う側の一員になったことに対する報復ということであれば、まず本当にそうなのかということをきちっと政府は説明しなければならないと思います。そして、去年から既に人質になっていたにもかかわらず、ことしになってからそういう報復として殺害という展開になったのだとすれば、その報復の対象となるような日本側のアクションということが本当に良かったのかということについても、これは検証されなければならないと思います。
記者
これ最後にしますけれども、一番最後の後藤さんが殺害されたとされる映像の中で、日本はこれからまたさらにテロの標的になるようなメッセージもありましたけれども、これまで日本がそれほどテロの標的にされるような脅威というのに直面していなかったという意味では、新しい局面に入ったのかなと思いますけれども、対外的なところはともかく、国内での水際対策とか、その辺で何か考えはありますでしょうか。
知事
政府において、犯人側に対してさまざまメッセージとか、あるいは国際社会を通じてのアピールということは、これは今もさまざま工夫されていて、そしてこれからも工夫されていくのだと思いますけれども、一国民として考えれば日本国民というのは人と人との共生、人と自然との共生ということを大事にし、特に私が今まで育ってきた環境や、今まで仕事をしてきた環境から言えるのは、同じ人間同士を敵と味方にあえて分けて争い合うということは非常に悲惨な結果をもたらし、しかし過去、私たちはそれを克服する歴史というものをつくってきて、その歴史というのも決して順調ではなく、さまざま日本国内での戦争でありますとか、日本と海外との間の戦争とか、そうしたことも経験してきたのですけれども、経験するたびにその悲惨さを反省して、やはり人と人との共生、そして人と自然との共生ということを大事にしていかなければならないということを世界の人たちとも共有しようとするのが私たち日本国民であると思っていますので、まずそういうことをしっかり伝えていくということが大事なのではないかなと思います。
記者
今の件に引き続いて、一部ネット上で今回の人質になった方たちに対しての自己責任論というものがかなり出ていまして、一時期収束したり、また改めて後藤さんの奥さんの声明が出たときにも、ネット上ではかなり自己責任であって、命を落としても仕方がないという風潮がややネット上では出ていましたけれども、知事はこの自己責任論ということに関してはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
知事
今回のようなケースにおいて、自己責任という言葉では何も説明はできないと思います。いずれ国民が危険に陥った場合には、国としてその国民を守らなければならないですし、そして外国において犯罪被害に遭った場合には、特に今回は犯人側が日本政府を名指ししてその犯行理由を説明しているということもあり、きちんと日本政府としてその犯罪に対していかなければならないですし、今こうなった状況においては、筋からいけば日本の警察に対して犯人が自首してくるようにして、そして日本の法律に基づいて犯人を裁くということが筋なのだと思うので、そこはもう自己責任とかという話では全然説明ができないことだと思います。
記者
ちょっと話題が変わるのですけれども、内陸部に避難した方に対する災害公営住宅を建設するかどうかについて、それに関連したアンケートを実施しているということなのですけれども、実際に知事として内陸部に避難された方で定住希望されている方がいらっしゃって、ただ経済的な問題もあると。そういった背景がある中で、内陸部に災害公営住宅を建設することを実際に検討されているのかどうかということをお伺いしたいと思います。
知事
復興については、被災者イコール復興者一人一人が自分の生活を再建して、働くべき人は働き、学ぶべき人は学ぶ、そういうことを県としても市町村と連携し、また国の力も得てやっていくということであって、それをきちっと実態を把握しながら行政として対応していくということで、住まいのあり方についても対応しているわけですけれども、質問にあったような内陸への災害公営住宅の建設を検討しているかということであれば、それは検討はしていません。
記者
それは、建設も視野に今後検討していくこともあり得るでしょうか。
知事
実態を調査、実態を把握する中でそういうアンケートが行われているということは承知していますけれども、それはそのアンケートの結果が出ない段階で何かをするとか、可能性があるということは言えないと思います。
記者
実際に入居を希望する方が多かった場合に、建設について検討する余地というのはあるのでしょうか。
知事
まずは、実態を調査するということです。
記者
あとは、県立高校の再編についてなのですけれども、たたき台となる見直し案が発表されたと。その中で、原則として1学年4から6学級程度を基本とするという内容になっているのですけれども、そのことについてまず知事のお考えをお伺いしたいのですが。
知事
教育のさまざまな観点、角度から検討して、実態に合った考え方をまとめてもらっているなというふうに思っています。
記者
3学級以下の小規模校についてですけれども、(全日制)県立高校の4割を占めているということですが、再編について今後具体的に検討していく中で、住民の方の意見だったり、考えというものも重要になってくると思うのですけれども、どのようにして今後具体的に再編計画というものをつくっていきたいというふうにお考えですか。
知事
それは、それぞれケース・バイ・ケースだと思います。基本は学ぶ生徒一人一人の自己実現ということを中心に考えていくことが大事だと思っておりまして、生徒も多くて、先生も多くて、授業や、また課外活動も充実している中で学んでいくという、そういう方向性と、将来ふるさとに貢献したい、地域の中で自己実現を地域との関わりの中で地域の外に一旦出たりとかはあったとしても、また戻ってくるとか、いずれそういう地域との関わりの中で自己実現したいという、それに向かっていくのにふさわしい学び方をしたいという、そういうさまざまな生徒の自己実現、学び方のニーズというものに応えていくことができるような学校の体制をつくっていくということが基本だと思います。
記者
きのうなのですが、復興大臣が復興集中期間一区切りというような発言をしたというふうに一部報道で流れているのですが、それについてどんなふうにお考えかをちょっとお聞かせください。
知事
復興に関する区切りとしては、岩手県の計画で基盤復興期間、本格復興期間というような、その時々の復興のフェーズについて総括するような区切りをして、そして関係者の理解を深めて、力を合わせて復興しやすいようにしていくような区切りのつけ方というのはあると思うのですけれども、何か財政の論理とか、あるいは行政の事務のやりやすさみたいな論理から被災地の実態を無視して、終わってもいないのに終わったかのごとくしていくような区切りというのは良くないと思います。
記者
一部報道で「美味しんぼ」の作者が単行本で、昨年「美味しんぼ」の表現で話題になった、健康影響として鼻血が出るということに関して、改めて鼻血は出るというふうに本の中で表現しているそうです。これに対して知事はどのように受け止められるか、あるいは前回は抗議というか、何か質問書のようなものを提出したと記憶しておりますけれども、出たものに対してどのように反応するか、何か今の時点で考えがあれば教えてください。
知事
鼻血をめぐる論争というのは、広く原発由来の放射線をめぐる健康問題の議論の一部としてずっとあるわけで、そこにそういう本に書くという形ですか、(議論に)参加したということだと思うのですけれども、かなりもう議論の蓄積はあるわけで、そこに何か全く新しい事実をつけ加えたとか、あるいは新しい何か結論になるような関係者とか、あるいは政府の新しい行動を促すようなことが述べられたというわけではないと思いますし、またご専門といいますか、漫画の形で発表されたときに比べれば社会的影響力もそれほどないと思いますので、今のところ何か特に対応しようということは考えていません。
記者
ありがとうございます。あともう一点別件で、政府が農協法(農業協同組合法)改正に関してJAの全中(全国農業協同組合中央会)の廃止を盛り込む方向で調整していって、今後与党の方に示す予定だという報道がありました。この農協法改正の動きに関して知事はどのように捉えていらっしゃいますか。
知事
そこはJAの組織や、あるいはその基盤になっている農業者の皆さんとよくよく話し合って、そして目的は農業者の皆さんがより仕事がしやすいようにしていく、イコール生活しやすいようにしていく、そのためにどういう組織のあり方がいいかということなのでしょうから、そこは農業者の皆さんが納得しないような形で組織をいじるとかということになると、それはうまくいかない危険性が出てくるわけですから、ちゃんと農業者の皆さんや、その関係の組織と議論を重ねて、納得の上で改革を進めるというふうにしてほしいと思います。
記者
今回のこの議論の中では廃止とか、反対する側というか、全中側からすればいろんな政府が今やろうとしている農業、農政改革に反対する大きな勢力である農協、全中をねらい撃ちしたものだというような指摘もありますけれども、知事はそういったことへの認識はどのようでしょうか。
知事
本来敵味方の関係ではないはずのものを、あえて敵味方の構図にして争っていくというのは、悲惨な結果をもたらすものでありますので、ちゃんと基本を踏まえて農業協同組合というのは協同組合として気候の変動とか、それから作物の相場とか、本質的に脆弱な農業者の仕事や生活を集団化することによって支え合っていこうというところからスタートした仕組みなのであって、それがきちっと機能して農業者の皆さんが安心して稼いで、稼いだ分、報われるというようにしていけば良いという話なので、その辺はよくよく話し合って、いいように決めてほしいなというふうに思います。
幹事社
ほかにありませんか。
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。
次の定例記者会見は2月9日(月曜日)の予定です。
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