平成27年1月13日知事会見記録

ID番号 N31802

平成27年1月13日10時30分から10時58分

広聴広報課

 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
 
幹事社
 きょうは、クラブを代表しての幹事社質問はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
 
記者
 本日からリニアコライダー・コラボレーションのリン・エバンスさんら主要メンバーが東北を訪問されます。知事も夕方レセプションにご出席される予定になっていると思うのですけれども、改めてILCの建設実現に向けて、知事はきょう何かレセプションの場で訴えたいこととかあれば教えていただければと思います。
 
知事
 去年CERNを訪問したときにもエバンスさんにはお目にかかっていまして、近況報告的なこと、それからLCC側の状況について伺ったりしまして、(今回は)さらにそれを膨らませるようなやりとりができるのではないかなと期待しています。
 研究者の皆さんが、岩手の北上山地を前提にした詳細設計に入られて、また北上山地周辺の生活環境についてもいろいろ調べ始めているということで、そういったことに岩手県としても協力をしていくというふうにしていきたいと思います。
 
記者
 それで、一方政府の方ですね、今回の訪問に関しては文科省の方も関わっていると思うのですけれども、先週も同様のお話、質問があったと思うのですけれども、改めて政府の方への働きかけについてもご所見というか、認識を教えてください。
 
知事
 文科省をはじめ日本としての科学研究、そして科学研究に関する国際協力という中で、国際リニアコライダーの意義と必要性というものをより明らかにしていっていただければと思いますし、またそれを支える財政面での体制とか、国全体としての基本的考え方の整理とか、そういったところも政府全体としてどんどん固めていっていただきたいなというふうに思います。
 
記者
 ありがとうございます。あともう一点なのですけれども、同じ本日から韓国政府の専門家委員会が本県産含む水産物の輸入規制に関する見直しについての調査に入ることになっていまして、既にもう久慈の魚市場の方に予定では入っているようなのですけれども、この韓国の原子力災害に伴う輸入規制に対する知事の考え方と、それに伴う緩和に向けた取り組みというか、認識についても教えてください。
 
知事
 岩手の海産物は、日本国政府の厳しい基準をクリアしたものだけが市場に出回るということで、岩手の海産物についても安全な、どんどん利用していただいて結構なものばかりが市場に出ているわけですから、韓国の皆さんにもぜひぜひご利用いただきたいと思います。それぞれ旬を迎えておいしいものもたくさんあるわけですし、そういったことが現地を訪問することで漠然とした不安のようなものが解消されて、きちっと明確な基準に基づいて合理的に判断いただいて、岩手の海産物の利用促進につながればと思います。
 
記者
 ありがとうございます。あと中国の方に関しては、知事の海外でのトップセールスで海産物に限らずですけれども、開拓されていますけれども、お隣の韓国でもそういった働きかけがあってもいいのではないかなと思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。
 
知事
 中国の場合、干しアワビに対する熱烈な需要とか、それから干しナマコについても同様の需要とか、そういうのもあって、岩手はアワビについては全国一の水揚げ量、そしてナマコについてもとげの格好が良い全国有数の良いナマコがとれるということで、中国との間ではそういうことを基盤に岩手の海産物をご利用くださいということは進んでいるのですけれども、韓国との間でもいろいろあり得ると思いますので、そういう意味で県名とか地域にばっと網をかけて規制するというのではなくて、ちゃんと日本国内の明確な基準に基づいた利活用という線で岩手の海産物も利用してもらえば、さまざまいいものをどんどん利用していただけるというふうに思います。
 
記者
 間もなく阪神・淡路大震災から20年になりますけれども、先日知事も兵庫県知事とお話しされまして、改めて阪神(・淡路大震災)の教訓を生かした東日本大震災の取り組みですとか、今後の連携について教えてください。
 
知事
 発災直後の避難所の設営、その運営といったところから、大いに阪神・淡路大震災の経験、教訓は参考にさせていただいております。そして、今本格復興に入る中で、(応急)仮設住宅生活の長期化というところで生活支援が大事になってくる局面で、生活というものを重視した復興のあり方ということについても、阪神・淡路大震災からの復興は非常に多く教訓がありまして、去年の今ごろ、ちょうど「生活復興のための15章」というのを清原先生を中心に阪神・淡路(大震災)の経験を踏まえてまとめていただいたものも今参考にしているわけでありますけれども、そういったところを今後ますます参考にしながら本格復興を岩手において進めていきたいと思います。
 
記者
 ありがとうございます。住宅、生活再建もそうですし、またなりわいですね、経済面も今後重要になってくると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
 
知事
 「生活復興のための15章」の中でもなりわいというのは大きく取り上げられていて、地域資源活用型の地域に根差したなりわいの再生ということが強調されていて、岩手にもそれが合うと思います。もちろん復興道路ができて、今コネクター製造のような、そういうものが既に新しい産業も立地しているのですけれども、復興道路ができればもっと大きいもの、重いものでもどんどん高速道路で運ぶこともできるようになり、より産業立地の条件も優位になっていくわけで、農林水産業から始まって製造業、そして観光を初めとするサービス業もやれるものは何でもやって、沿岸のなりわいの再生というのは進めていかなければならないのですけれども、そういう中でも地域資源活用型のアマノミクスですね、「あまちゃん」のウニをウニ弁、ウニ丼にしてローカル列車の中で売るみたいな、ああいうところを生かしていくということが大事だと思います。
 
記者
 今の阪神・淡路大震災の質問に関連してですけれども、知事がいろいろと今回神戸に行って交流されてきて、いろんな課題というか、この20年を経て浮き彫りになっている課題で、特に岩手の方にも今後起こり得るだろうというようなもので、何か気になったものがありましたら一つお伺いさせてください。
 
知事
 ポスト10年という、そういう言葉が印象に残っていまして、まず10年を一つ節目にして、いろいろ行事を行ったり、あるいはコンサートホールをつくったりとか、そういうことで阪神・淡路大震災は10年目というのが一つの大きな節目だったのですけれども、でもそこで復興が終わってしまうわけではなくて、ポスト10年で、そこからさらにまた10年、今回の20年というところまでさらに10年、これは復興が続くという言い方もできるのですけれども、この10年の復興というのが一区切りついた後、ポスト復興というような、そういう地域の諸課題を解決したり、また地域振興というのを改めて行ったりとか、新しいステージにどんどん上がっていくのですけれども、でも阪神・淡路大震災のことを忘れ去って進んでいくわけではなく、むしろ決して忘れない、伝えていこうと。あれ以降生まれた子供たちもちゃんと上の世代から学んで、それを下に伝えようということをやっているわけですからね。だから、そういう復興というのは、岩手の場合8年計画をつくってやっているのですけれども、その先ということがあるのだなということが今回、先週神戸に行って一番印象深かったことでありまして、8年計画の中に入っていることは8年以内にできるだけきちっと終わらせるべきなのですけれども、同時にポスト8年というのですか、岩手の場合であれば。そういうポスト8年の復興の新しい段階のことも考えていかなければならないなということが参考になりました。
 
記者
 政府予算の関係でお伺いしたいのですけれども、あす閣議決定の予定だったと思うのですが、地方財源が前年よりも全体としては増えて、交付税が減った分、地方創生の関係の事業費が今回増えたということで、全体としては地方財源は増えたということになるようなのですけれども、まずそれについての評価を伺いたいのと、新年度は地方創生というのが大きなテーマの一つになると思うのですが、政府の方も手厚い予算配分をするというような方針のようなので、改めて岩手としての新年度予算という部分について、どういうふうに、新たな事業なり、メニューなりというのをどのようにお考えかというのをお聞かせ願いたいと思います。
 
知事
 先週も地方財政計画を全体として充実させることが大事と言っていまして、基本的にそういう方向で調整されているというのは良いことだと思っております。総じて地方創生で1兆円とか、そういう地方により財源を、力をというところは評価できると思っています。ただ、不安材料もありまして、一つは消費税増税分と、あとその他の税収増が見込まれているわけですけれども、都会と同じくらい都会以外の地方も税収が増えるのかということについては、景気の動向、消費税増税ショック、8%ショックの影響というところから見て、そう簡単に楽観的にはなれないかなと思っていますし、景気の現状については、エコノミストによっては、これは補正予算の方ですけれども、3.5兆円の(経済)対策というのでは足りないという説もエコノミストにはあって、そういうところで地方創生枠も1兆円という額で本当に十分なのかということは経済の先行きを見守っていかなければならないと思います。これも前に言いましたけれども、地方の景気が悪化して、相対的に都会経済の方が良くなってきますと、それはものすごい人口流出圧力になってしまうので、涙ぐましい努力をして都会から若夫婦を何組市町村の方に移住してもらったというのを何組かやるというのを圧倒するような何千人、県単位で見て何千人という人口流出が起きてしまいますので、経済情勢によっては。だから、そもそもそういう地方経済の悪化をさせないということがまず大事で、そこが不安であればその分、地方財政はさらなる充実をさせていかなければならないという警戒感を持って今後進めていってほしいというふうに思います。
 
記者
 先週もお尋ねしておりますけれども、また地方創生の関係で、徐々に他県では地方創生特区をやりたいというか、手挙げをしているような自治体も近くですと仙台であったり、秋田であったりが出てきておりますけれども、岩手県として何かそういう特区に対しての考え方とかがあれば教えてください。
 
知事
 ことしの県と市町村の意見交換会も人口減少問題をメーンテーマにしてやる予定で、県と市町村とでやりとりを盛んにして、それでそれぞれの市町村が人口減少対策イコール地方創生について、それぞれビジョン、戦略、そして具体的な政策を持ってもらえるようにしていかなければならないというふうに思っています。
 
記者
 現状で岩手県として、こういった特区をやりたいというような具体案というのはまだ示していないけれども、これから市町村との間で話し合っていくということなのでしょうか。
 
知事
 そうですね。そういうものが固まり次第、それはどんどん出していきたいというふうに思います。
 
記者
 国の原子力行政のことに関連してなのですけれども、先ほど韓国政府の話をさせていただいたのですけれども、再生可能エネルギーの方の発電抑制について、年末に国で新しいルールをつくってかなり発電制御が厳しくなった上で、受け入れの方が申し込みですか、可能になったということで、実質的には再生可能エネルギーの導入促進の足かせというか、促進を阻むような動きになっていますけれども、知事はこれに対してどのような、県の方でも再生可能エネルギーの導入の方を促進しようとしている中で、ちょっとブレーキがかかるような動きでしたけれども、この点に関して知事はどのようにお考えでしょうか。
 
知事
 再生可能エネルギー振興については、日本全体としてやろうという方向に向いているのだと思いますし、特にそれは地方から盛り上げていこうということで、地方創生的にもそれに水を差すようなことは良くないのだと思います。特に東日本大震災の被災地は、復興の柱の中に位置付けていて、これは福島県や宮城県でもそうなのですけれども、また市町村単位で、特に被害の大きかった市町村ほど津波で使えなくなった土地を再生可能エネルギーの発電場所にというようなことをたくさん(計画に)盛り込んでいますので、やはりそういうやる気と希望に水を差さないように、むしろ応援して促していくような方向性を国には持ってもらいたいと思います。
 
記者
 その点で、今後県で取り組もうとしている再生可能エネルギーの導入促進には、これ影響というのはどうでしょうか、数字的なものというよりは、感覚としてどのように受け止めていますか。
 
知事
 今現在具体的なマイナスの影響というのは見えてきていないので、まず今後においてそういうことがないようにと訴えるというのが一つ。
 あと岩手の場合には、太陽光関係がだいぶ進んでいて、それに比べて風力や、あと岩手得意の地熱の方が相対的にまだ進んでいないところがありますので、風力や地熱の方にも力を入れていくというところが岩手としてのポイントだと思っています。
 
記者
 ありがとうございます。一方で、衆院選が終わってから政府の方で原発の再稼働に向けた動きがことし加速するというような予想だったり、政府側の方の発言があるわけですけれども、再生可能エネルギーを導入すれば原発は再稼働しなくてもいいのではないかというような考え方を持っている政党もある中で、知事としては再稼働の加速に向けた動きに関してはどのように捉えていらっしゃいますか。
 
知事
 安全性の問題を突き詰めていかなければならないのだと思うのですけれども、それに当たっては福島原発の検証ということが重要なのですけれども、報道等で見ていますと、「NHKスペシャル」でも実は長期にわたって放射性物質が出ていたのだと。今までそういう話ではなかったようなことを前提に議論していたのが、それは話が違うではないかと。では、何で長期にわたって放射性物質が出ていたかというと、事故発生後の原子炉を全然コントロールできていなかったということが理由ですからね。だから、そういうところが放っておかれたままで再稼働ということについて、地元住民の皆さん、周辺自治体の皆さんを中心に慎重論が出ているというのはそのとおりなのだと思っております。
 だから、政府としてはやはり福島原発事故の検証ということをおざなりにしていてはだめでありますし、一方ですぐ再稼働できないという状況の中で、やはり再生可能エネルギーの方の振興に力を入れていくというような、そういうかじ取りが今必要な局面だと思います。
 
記者
 そうすると、ちょっとうがった見方をすると再稼働ありきでいろんなことが進んでいるような感触も一方であると思うのですけれども、そういう面はお感じになりますか。
 
知事
 いずれ3.11のあのときの衝撃というのをやはり忘れてはいけないわけで、原発事故を経ている日本国民の疑問にまだきちっと答えられていないがゆえに、再稼働問題についても反対が根強いという状況でありましょうから、やはり広い国民的な合意の中でエネルギー政策は進められていく必要がありますので、そういう努力を政府に求めたいと思います。
 
記者
 11日に佐賀県知事選がありまして、結果としては自民党、公明党系の候補が敗れるというようなことがございました。ここのところ、知事選では滋賀県知事選、あと沖縄県知事選ですね、自民党系、与党系の候補が敗れているということがありますけれども、率直にそういった地方の知事選ではこういった自民、公明系の候補が敗れているということについてご所見があればお伺いしたいです。
 
知事
 当選された山口(祥義)新知事さんは、東日本大震災が発生したときに長崎県の総務部長さんで、かなり災害支援、その後復興支援で尽力していただきましたし、あと総務省でも過疎問題の担当の部署で岩手の過疎対策についても理解があったというふうに記憶していまして、佐賀県民の民意でさまざま今後期待できる知事さんが選ばれたのではないかなというふうに思っております。
 
記者
 知事は今現在三選に向けて表明されておりまして、県民党という立場で出られるということなので、今回のように政党をメーンに出てくるということは、知事としては恐らくそういった戦い方をするつもりはないと思うのですけれども、一方でそういうふうな戦い方をしているという他県の例もありますが、一般論でも構わないのですけれども、今この時代として、知事選において政党を出すという戦い方があったり、もしくは達増知事のように県民党と言って政党色を前面に出すような戦い方をあまりせずに広く民意をくむというやり方もありますけれども、その2つの考え方についてどうでしょうか。
 
知事
 これは本当に地域によるし、また立候補する人にもよるということなので、逆にこういう問題は一般化するのが難しいなというふうに思っております。私の場合は、これはみんな知っているから言いますけれども、岩手日報さんの世論調査で達増県政を評価するが四捨五入すれば65%、評価しないが22%、評価してくださる65%という皆さんが一つの政党の中に入っているわけではありませんからね。そういう65%の皆さんに支持いただきながら、また評価しないという22%の皆さんはここが問題だとか、ここはこうした方が良いというご意見をお持ちの皆さんで、そういう皆さんの声はしっかり聞いていかなければならない。そういう意味で、潜在的にその22%の皆さんもきちっと対応すれば「評価する」の方に入ってくださる。その評価するの65%を超えて、さらに多くなっていくような方々に、仮に一つの集団名をつけるとすれば「県民党」ということなのだと思っております。
 
広聴広報課
 それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は1月19日(月曜日)の予定です。

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