平成26年12月22日知事会見記録

ID番号 N31162

平成26年12月22日10時30分から11時14分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は、知事からの発表はございません。
 
幹事社
 それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して質問します。この1年を振り返っての知事のご所感についてお聞かせください。
 
知事
 この1年は、本格復興を進める体制、そして人口問題に取り組む体制、また若者女性活躍支援を進める体制、この3本の柱が確立した1年だったと思います。本格復興に関しては、まず年の初めから準備を加速し、年度の変わり目で三陸鉄道の全線運行再開がありまして、これが1つ象徴的なイベントにもなったと思います。三陸鉄道の関係は、年度の初めがそういうハイライトがあり、また今この年の終わりの12月にもJR山田線宮古・釜石間の三鉄移管ということが山場を迎えておりまして、三鉄に始まり三鉄に暮れる1年という印象もあります。
 このJR山田線宮古・釜石間のことも含めて、本格復興期間は市町村のまちづくり事業と県の事業をしっかり連携させて進めていくということが大事な時期でありますので、ことし1年、県と市町村の連携もかなり進んだと思います。私自身も、沿岸の市町村長さんたちと一緒に市町村の事業を視察したり、また市町村の事業に関して意見交換するとか、そういうことが増えました。
 それから、人口減少問題に対応する、いわゆる地方創生的な動きについても、ことしは大きく前進を見たわけでありますけれども、これも市町村と県がしっかり連携をし、そして国にも本気になって取り組んでもらって成果が上がることでありまして、この分野でも市町村と県の連携が大きく進んだと思います。
 ということで、市町村と県の連携が深まった1年でもあったのですが、一方では開かれた復興として、海外とのさまざまなつながりも強まった1年でした。年度をまたいで、この1年間ということで見ますと、私は海外出張を5回やりまして、これは過去最多の回数になります。また、アメリカ、ヨーロッパ、中国という大きなところをことしは回りまして、そして台湾には2回行くというような、今までなかったような海外出張のパターンだったのですけれども、まず復興報告ということを軸にしながら、物産や観光の面でも大きくアピールできたと思います。特に台湾との関係については、台湾・花巻間の定期便化に向けた動きが大きく前進した1年でありました。来年3月には、仙台で国連防災(世界)会議がありますので、そこでも岩手県も関連の会議、また参加者の岩手への視察旅行等々を通じて、国際的なアピールをさらにしていきたいと思います。
 この1年は、「いわて復興塾」というのを行った1年だったのですけれども、これでまず復興の現場を結ぶネットワークが強まりました。そして、オールジャパンで活躍する有識者の方々とのネットワークも拡大しまして、まず日本を代表する防災の第一人者であります河田恵昭(かわたよしあき)さん、田村圭子さん、そして復興にも希望学の活用を進める玄田有史(げんだゆうじ)さん、復興の文化面を指導してくださる平田オリザさん、対立を克服する構造構成主義のアプローチで復興に貢献する西條剛央(さいじょうたけお)さん、復興塾以前から指導をいただいているジェンダー研究の大沢真理さん、生活視点復興の清原桂子さん、地域産業論の藻谷浩介(もたにこうすけ)さん、また地方創生関係でことし知遇をいただきまして、今盛んにいろいろ教えてもらっているL経済、ローカル経済論の冨山(とやま)和彦さんなどなど、本格復興の量を確保しつつ、質も高めていくために、岩手県としては日本最高水準の人文社会科学の力を動員する、そういう体制をことしつくることができたと思っております。
 そういう有識者、科学者の皆さんが関係するのがILC、国際リニアコライダーです。こちらも国内外の科学者の皆さんとの連携が深まりまして、来年度から県立大学にはKEK、高エネルギー加速器研究機構長の鈴木厚人さんに来ていただけることになったということも含め、ILC関係でも大きい前進がありました。
 それから、スポーツの盛り上がりがことしは岩手はものすごかったと思います。(希望郷)いわて国体・大会まであと2年という中で準備が進み、競技力向上も進んで、インターハイや国体でもそれぞれ成果があったわけでありますけれども、何より思い出すのはソチオリンピック・パラリンピックでの県人選手の活躍、それからJ3がスタートしてグルージャ盛岡が活躍しています。バスケットのビッグブルズ、ラグビーのシーウェイブズと併せまして、岩手のプロスポーツの活躍ということが大きく見えてきた1年だったと思います。
 プロスポーツということについて言うと、プロ野球での県人選手の活躍もすごかったですし、それからプロボクシングの八重樫選手も頑張っていますし、あとは国際大会が2つ大きいのがことしあったというのも特筆すべきことだと思います。日・韓・中ジュニア交流競技会、そしてアジアマスターズ陸上(競技選手権大会)、それからもう一つ、これもスポーツに入れていいと思うのですけれども、JBC競馬が成功したということもことしの大きいことでありました。
 文化の関係でも、中学生、高校生がそれぞれ活躍してくれたことがあり、また全日本合唱コンクールが岩手で開かれたり、それから黒沢(智子)バレエ(スタジオ)60周年というのも岩手にとって大きなことだったのですけれども、「あまちゃん」の関係で年の初めにNHKに感謝状を贈ることから始まって、ことしもさまざまファンの集い、「あまちゃんサミット」が岩手で開かれたりとか、三陸鉄道の全線運行再開ということとも関連しながら、久慈東高校の「あまくらぶ」の活躍とか、そういうさまざまな「あまちゃん」関係の盛り上がりがことしも続いたと。「あまちゃん」に出ていた人たちが映画に出たり、テレビに出たりというのも県民の皆さんを喜ばせてくれたと思います。
 あと、ことしはいろんな50周年があって、東京オリンピック50周年、それと関連しているのですけれども、新幹線やら高速道路やらの50周年があり、私がことし50歳で、私の誕生年が東京オリンピックの年だったので、誕生年を祝ってもらっているような感じもしていたのですけれども、岩手においても(いわて)花巻空港の(開港)50周年、(岩手県)スポーツ少年団の(創設)50周年、そして岩手県産(株式会社)の(創立)50周年という大きい節目の年でありました。
 最後に、ことしは竹内元副知事の叙勲の祝賀会と、そして同じ年に竹内元副知事のお別れの会があったということも、私個人的にもですし、また岩手県にとってもこれは大きなことだったと思っております。
 私は、ことし2期8年の呪縛が解けましたので、体が動く限り岩手のために尽くしたいという思いで、来年も頑張っていきたいと思います。
 以上です。
 
幹事社
 ありがとうございます。この幹事社質問に関連して、各社から質問があればお願いします。
 
記者
 今1年をまとめていただきましたけれども、日本にはことしの漢字というものの発表がありまして、知事にとってことしの漢字、1文字で表すとどうなりますか。
 
知事
 三陸鉄道で始まり、三陸鉄道で暮れる1年というところから、漢字の「三」でいきましょう。これは、東日本大震災から3年たったという「三」でもあり、また本格復興期間の3年が始まる年ということでもあり、「三」という字をことしの漢字にしたいと思います。
 
記者
 今のに関連して、「三」ということでしたけれども、これは3選出馬を表明した「三」も入っていると捉えてよろしいでしょうか。
 
知事
 気が付かなかったけれども、それ入れていただいても結構です。
 
記者
 一番最後に2期8年の呪縛が解けた年というお話をされましたけれども、どのような呪縛になっていたのか、その真意をもう少しお聞かせください。
 
知事
 自分の気持ちの中では、前回選挙に出るあたりから2期8年ということにはもうこだわらなくなっていたのですけれども、ただその気持ちは県民の皆さんに共有していただいていたわけではなく、どうなっているのかという、そういう疑問がずっと続いており、それをマスコミの皆さんのおかげもあって、県民の関心に応えなければということで、私がはっきり来年の選挙、立候補の意思表明をすることで、そういう疑問が解けたという意味で呪縛が解けたということです。
 
記者
 そうしますと、来年の9月10日任期満了になりますけれども、それに向けて、呪縛が解けたということで、どのような、要するに次の選挙に向けて活動というのはどのような感じに考えていましたでしょうか。
 
知事
 呪縛が解けたというのは、達増知事はもう今期でやめられるのですよねとか、そういうことを前提にしていろいろやるということがもうないと、そういうことを考えないで、私自身岩手の中長期的な将来のことも考えながら、そしてそれに向かってどんどん積極的に手を打っていくということを、またそれを県民の皆さんと一緒に進めていくことができるという、私にとっては明るい展望が開けたという、そういう思いです。
 
記者
 先ほどILCについて触れられましたが、県内でもことしはいろんな集会などがあって機運が高まってきていると思いますが、国の方はなかなかやっぱり動きが見えないというところで、来年に向けて県として、知事として、国を動かすにはどういうふうな課題があって、それをどうやって克服していこうかみたいな戦略がありましたら伺えればと思います。
 
知事
 国は国として、財務省を中心に年度年度の予算を厳しく査定して決めていくという、基本的仕組みの中では、きちっと対応いただいていると思います。8千億という数字、本当にそのくらいかかるのか、もう一回ちゃんとそこを見直してほしいとか、あと本当に研究者が世界中から集まって実現できるのかというような、そういう意味では実行に移す、実現させるための段取りを丁寧に踏んでもらっているというふうには思っております。
 ただ一方で、もっと早く決めていただきたいということがILC関係者の中に広くあるのも事実でありまして、そこを加速していくには今の日本政府の仕組みの外からいろいろ促していく必要があって、県民におけるILCの理解はかなり進んできていますので、それを日本国民全体、また世界全体ということも視野に入れて、人類全体にとってILCがいかに必要か、それを日本に建設することが日本にとっていかに意義があるかということを広めていくのがいいと思います。
 最近、新書版でILCについての本が初めて出まして、村山先生の編著で、そういうILC本が初めて出て、国民全体にILCの意義を浸透させていくのに良いきっかけになると思います。私もツイッターでちらっとSF作家で協力してくださる人いませんかみたいなことをつぶやいて、いくらか反応があったりもしたのですけれども、もう少し文学的な分野の力もかりて、広く国民にILCの意義を浸透させる工夫を来年はしていきたいと思っています。
 
記者
 衆院選の関係をちょっと改めてお伺いしたいのですけれども、選挙中には8人全員の当選を期待したいというようなお話でしたけれども、実際7人になりました。それについての所感をまず一言お願いできますでしょうか。
 
知事
 岩手から国会に出られる衆議院議員さんの数が減ってしまったことは、残念だったと思います。
 
記者
 今後、今回当選された7人の方にどのような期待なり、今後の復興関係ですとかさまざまなところで、どういうところを改めて期待されたいでしょうか。
 
知事
 今回の選挙は、消費税増税を予定どおりにはしないことにする、それでいいですかということが選挙が行われた理由であり、それについては予定どおり行わないようにしましょうという民意が示されたと思いますので、まずそこをしっかり、消費税増税を予定どおりにやらないということを確保しつつ、なぜそういうことになったかというと、それは景気が良くないからでありますので、国民経済をきちっと地方の経済、また地方の人たちの暮らしにまできちんと日本経済がプラスに働くようなことを実現してほしいということがまず1つです。
 ただ、そもそも予定どおりに消費税を上げないということは、法律上、国会の議決があればできることであり、本当はそれで選挙というのはやらなくてよかったと今でも思っているのですけれども、何か国民全体に問いかけ、改めて国民意思を統合していくとすれば、それは東日本大震災からの復興を着実に進め、そしてそれを地方創生にもつなげていくということだと思いますので、復興と、そして人口問題対策ということについて頑張っていただきたいというのが2つ目です。
 
記者
 それから、来年、先ほど任期満了になるという、知事選もあるというお話がありましたけれども、改めて来年1年をどのような年にされたいとお考えでしょうか。
 
知事
 本格復興期間の真ん中の年であり、予算規模で量る事業の量(※平成26年3月末をもって終了したがれき処理を除く)がピークを迎える年であります。この量をしっかり確保していくことと、同時にこの復興の質も高めて、生活支援面をはじめ、被災者イコール復興者の皆さんが心と体の健康を維持しながら、意欲を持って復興にまい進していけるようにということが来年の大きなポイントだと思います。
 
記者
 知事選も絡めるとなるといかがでしょうか。
 
知事
 普通の選挙以上の意義ある選挙にしたい、そうなればいいという気持ちがありまして、復興ということで岩手県民の意思と力を統合し、そして復興を成功させていく、それが人口減少問題対策にもつながって、21世紀の岩手というのがずっと先まで見通しが明るくなっていく、それを県民みんなでつくり上げる。知事選というのは岩手でしかなく、その他の地域で選挙はまずその頃ないわけですから、全国の注目もいただいて、さまざまな岩手の復興を応援しようという、そういう全国とのつながりも高まるような、そういう選挙になればいいなと思います。それは、選挙の準備というよりは、現職知事として復興を進めていくという仕事、現職知事としての仕事をきちっとやっていくことが、そのままそういう選挙を実現できることにつながるというふうに思っています。
 ことし、先ほど本格復興の体制と人口問題に対応する体制、そして若者女性活躍支援の体制ができたということを言ったのですけれども、この3本の柱がきちっと確立すれば、21世紀の地方自治というのは基本的に心配がない、そういう形が岩手に実現しますので、それをつくり上げる。前にも継続性を訴えるのですかという質問をどこかでいただいた記憶があるのですけれども、継続性というよりも、そういう未来に進む新しい岩手をつくるということが来年の知事選挙で実現できればというふうに思います。
 
記者
 私も衆院選のことと知事選のこととそれぞれお尋ねします。知事は、知事選の出馬に関しては、県民党でということを表明以来おっしゃられているのですけれども、今の知事の進め方に反対する勢力としては、決して県民党ではないというふうな指摘が衆院選を通じても出ております。来年の選挙に関しても、そういった意味で対抗馬を立てる意向を示しております。知事が県民党と言っているのに、そうではないと否定されることに関して、知事はどのようにお考えになるかということをまずお聞きしたいと思います。
 
知事
 まず、一般論として、立候補の自由というのはとても大事な自由ですから、来年の知事選に誰が立候補しようと、あるいはそういう立候補する人を誰が応援しようと、それは基本的に侵されてはならない自由でありますので、そこについては私はとやかく言うつもりはありません。
 一方、12日間の衆議院議員選挙期間中に、私は全く選挙運動をしなかったわけで、1996年、平成8年の衆院選に立候補して以来、初めて国政選挙において選挙運動を全くしなかった。これは、腕章をつけてマイクを握るということを前提にしなかっただけではなく、電話かけでありますとか、それからバスを待っているときにそばにいる人に、誰それお願いしますというような、普通の人が自由にやっていいような類いの選挙運動も一切しなかったわけです。インターネットを使ったネット選挙が解禁されていますけれども、そのネット上の運動も一切しませんでした。そういう一種完全中立を保ったのですけれども、それでもだめだという理屈はわからないですよね。完全中立は、それは厳然たる事実として完全中立であったわけで、それでも足りないというと、あとはもう心の中から何か相手が望むようなそういう内心の、内心を相手が望むようにつくらなければならない。ただ、内心にまで立ち入っていくというのは、民主主義の、近代立憲主義の国や社会にあっては、基本的にこれは独裁的なやってはいけないことだと思いますので、だから内心の次元から相手が思うようにそういう心をつくれという意味で、そういう独裁主義的なことを言っているわけではないと思います。事実として完全中立してきただけでは足りないという意味がよくわからないということであります。
 
記者
 ありがとうございます。そういったお答えをいただいた中で何なんですけれども、これまで知事と近い関係にあった生活の党が今回衆院選でかなり大敗しまして、政党の成立要件も失ってしまいました。これに関して知事はどのように所見を持っておられるか、あれば教えてください。
 
知事
 純粋に個人的な情の次元においてはさまざまな思いもありますけれども、それはもう内心のこととして、公人としては公にはしないでおきたいと思います。国民の審判として、そういう結果が選挙で出たわけでありますから、それを前提にして、これは何党であれ、どの政治家であれ、それぞれの意思に従って前進していただきたいというふうに思います。
 
記者
 ありがとうございます。あともう一つ、投票率に関してなのですけれども、投票前にもやりとりしたように、やはり過去最低になってしまいました。非常に残念に思っております。これは知事も同じ気持ちだと思っています。それで、前回の知事選でいうと投票率が59.92%で、さらにその前の選挙より8.61ポイント下がったという、これもまた事実で、国政選挙だけでなく地方選挙も投票率が下がっておりますので、そうした中でやはり政治に関わる方たちが投票率を上げる努力というのが必要なのではないかと思っていますし、知事が今までおっしゃったように本格復興を進めている、あるいは若者、女性の活躍の推進をしているのであれば、投票率は上がるのではないかなと期待していますし、上げていかなければいけないと思うのですけれども、当選することが目標であると同時に、やはり投票率が、民意が、多数が選挙に参加したという意思表示を政治する側から上げていく努力が必要だと思っているので、投票率に関して何か知事選に向けて思いがあれば教えていただきたいと思います。
 
知事
 世の中を大きく変えていく、そこに投票を通じて自分も参加したのだと、そういう歴史的な大きなことに自分も参加したのだという、そういう思いを持っていただけるようにするのが投票率を上げるコツだと思うのです。ですから、そういう意味で単なる普通の選挙ではなく、選挙を通じて、投票を通じて21世紀の岩手づくり、岩手の未来を切り拓いていく、その事業に参加いただく、その先頭に立っていただく、そういう思いを有権者一人ひとりに持ってもらえるような選挙であればいいし、そういうふうにしたいというふうに思います。
 
記者
 確かにそのとおりだと思います。数字目標みたいなものを立候補する人が立てるのはいかがかなと思いますけれども、やはり前より投票率が上がってほしいとか、そういう少し踏み込んだものをお聞かせいただければと思いますが、どうでしょうか。
 
知事
 本質は、さっき言ったように一人ひとりがそういう思いを持っていただけることが本質でありますので、そういう思いは持っていたけれども、何かさまざまな事情で投票に行けないとか、そういうところまで含めて数字目標化すると、かえって本質から皆さんの関心が離れてしまうきらいがあるので、数字目標については特に設けずにいきたいと思います。
 
記者
 今の衆院選の関連なのですが、知事は県民党の立場からご意見をお聞きしたいのですけれども、今ちょっと話がありましたとおり、県内の衆院選の中で岩手4区について伺いたいのですけれども、岩手4区は今までにないような激戦となりましたけれども、岩手4区の小沢一郎さんの選挙といいますと、ここ20年余り非自民系が強いという岩手の県政界の象徴的な選挙区だったと思うのですけれども、そこで激戦に、自民系との、若手候補と激戦になったと。これというのは、岩手の有権者の心理あるいは県政界の力学の変化といいますか、その辺りどのように今回の結果を受け止められたかお聞かせください。
 
知事
 一般論ですけれども、選挙は1票差でも勝ちは勝ちでありますので、その意味では小選挙区ではそちらが勝利ということは、それがまず結果であると思います。また、比例選挙も同時にやっていますので、次点の方が比例の方で当選されたというのも、それはそれとして事実であって、この当選ということが民意の結果でありますから、それぞれその民意を受けて頑張っていただければいいのではないかと思います。
 
記者
 その民意の結果なのですけれども、要するに大きなトレンドの中での今回の民意の結果があったのか、あるいは今回何か争点とか、風とか、何かの今回の一時的な環境の中で有権者の民意の結果が示されたと思われますか、どのように受け止められますか。
 
知事
 突き詰めれば、消費税増税を予定どおりにはしないということが、これは安倍首相が解散を記者会見で述べたときの唯一の理由なわけですから、その意味で岩手4区においてはずっと消費税増税を今回決められたタイミングでやるのは良くないということを言っていた小沢一郎さんが当選したということかなと思います。
 
記者
 では、最後に1点伺います。さっき投票率の話がありましたけれども、選挙制度について伺いたいのですけれども、今回自民党が小選挙区全国で得票率50%を割ったのですけれども、結果的に小選挙区の議席を4分の3以上とったと。これは、前回の2年前の衆院選のときもそういう結果になりました。これは、今の制度が民意をきちんと示している制度、システムと言えるのかどうかというところをお聞かせください。
 
知事
 大ざっぱに言いますと、民意を国政レベルで統合していくには、一つの極端は比例選挙のみにして、ヨーロッパの方にはそういうやり方、それに近い方の国はあるのですけれども、完全比例にしますと、いわゆる死に票というものがほとんどないような形になって、国民にアンケートをとったときの支持政党の割合とほぼ同じ割合で議席が決まる。ただし、そこでは過半数をとるような政党が出てこないことが多くなり、連立を組まなければならないのですが、ヨーロッパでよくあるパターンですけれども、どことどこがくっつくかというのは国民が全然関与できないところで、意外な党と党が連立を組んでしまったりということで、それだったらあそこに投票するんじゃなかったというような不満が国民に残ったりするのです。小選挙区制というのが一方の極端にあるやり方で、それはいわゆる死に票は多くなってしまうのですけれども、ただ国民の投票によって大きな多数をそこで決定するということで、国民の手によって誰を総理にするか、どの党に政権を委ねるかという決着を国民がつけられる制度ではあるわけですよ。ただ、それが国民にとって満足いくものであるためには、基本的には2つに1つみたいな選択を国民ができる。そして、国民が選びたくなるような理念、政策のパッケージ、だからやっぱりマニフェストというのはないとだめなのだと思います。しっかりした理念、政策のパッケージを示し、それを国民が選ぶというような形で、その国民の投票によって決着をつけて、それで多数をとった方がそれを推進していくという、そういうやり方であれば小選挙区というのは、特に変化の激しい時代、情報化、グローバル化で変化が激しい時代において、例えばピケティの「21世紀の資本」を読むと、社会保障の財源を消費税でというのはもう古いというのがあの本の主題なわけですよ。やっぱり累進性のある税を基幹税にしていかないと21世紀の資本主義とうまくつき合うことはできないみたいな。これは1990年代、私が衆議院議員をやっていたころにはなかった視点であり、発想であり、そういうのに臨機応変に対応していくには、小選挙区制でその時代、時代の最先端の理念、政策パッケージというのを政党が示し、国民がそれを選んで国のかじ取りがキュッキュッキュッキュッと、激しい変化に対応して動いていくようなやり方が望ましいのだと思います。全面比例だと、これは19世紀、20世紀前半のヨーロッパみたいなあまり変化がないところだとそれがいい。スイスとか、北欧諸国とか、そういう変化のないような国には向いているのです。だから、日本において、今の21世紀の日本において、そういう変化のない安定した政治を志向するやり方と変化に対応してキュッキュッキュッと国民意思統合ができるやり方とどっちがいいかというと、やっぱり小選挙区の方がいいのではないかと私は思っています。ただ、その小選挙区で国民が満足できる結果を出すには、よほど理念、政策パッケージの出し方、選挙のあり方を政治の側が工夫しなければうまくいかないということです。
 
記者
 少し戻ります。山田線に関して、冒頭の1年を振り返っての所感でも、三鉄に始まり、三鉄に暮れる1年というお話で、年末にまた一つ山場を迎えているというお話をされました。24日、あさって、沿岸市町村長会議がまた開かれる。前回の会議終了後に、知事が印象としてお話をされていたとおりというか、特に山田線沿線の首長さん方は、その後地元との協議の中では、JR側の提案については受け入れたいという意向を順次示されていると理解しています。そうした中でも、次の会議では何事もなければといいますか、地元としての合意に至るのではないかと考えるところですが、いずれタフな交渉の最中ではあるとは思いますけれども、年内にここまで話が至ったということについてもう一言だけ所感をお願いできますか。
 
知事
 私は、かつてJR貨物さんとIGRの方の貨物車両の線路使用料交渉で、今から振り返っていえば泥沼の交渉を経験した苦い経験があり、今回はそういうふうにしたくないし、またそうあってはならないなと思っていました。おかげさまで、関係市町村にも自信を持って提示できる良い内容の合意をJR東日本さんとつくることができまして、おおむね関係市町村においてもそれでいいのではないかというふうになってきているというふうに私のところにも聞こえてきておりますので、良い感じで年を越せるのかなという気持ちになってきています。ただ、今度、あさって、みんなで集まるのは、あくまでそこで決めるということであって、三鉄移管ありきでその会を開くわけではありませんので、決してありきで開くわけではなく、あさっての会議で関係市町村の意見も伺った上で、そこでみんなで方針を決めるということですので、そういう段取りで丁寧に進めていきたいと思います。
 
記者
 1年を振り返ってのところで改めて再度お伺いしたいのですけれども、ことしの冒頭の記者会見で本格復興推進年ということで、復興を力強く進めていきたいというふうに知事はおっしゃっておりましたが、この1年、改めて知事はどのように評価されているのかということと、あと、まだ残されている課題がたくさんあると思いますが、来年に向けてこういった課題にどういうふうに取り組んでいきたいか、具体的に教えてください。
 
知事
 県の体制、市町村の体制、国の体制、そういう行政同士の連携、また民間のさまざまな主体の活動やそこと行政との連携といった中で、基本的な本格復興推進の形はできてきた1年だと思います。そういう中で、さまざまスケジュールの遅れでありますとか、またやってみて見えてくる新しい課題でありますとか、また仮設住宅生活の長期化に伴い、これは先に行けば行くほどしんどくなってくるという、そういう問題でありますとか、そういった新しい課題もまた出てきているわけでありますけれども、ただそういった課題に対してきちっと取り組む体制はできているなと思っておりまして、放っておくとどんどん悪化していく状態が危機的な状態なのですけれども、放っておくようにはなっていませんし、何か課題があっても、それは悪化し続けることなく解決方向に向かっていくような状況にありますので、まずきちっと対応しながら本格復興の最初の年を終われそうだということは評価できると思います。
 
広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。
 
知事
 それでは、皆さんよいお年を。
 

次の定例記者会見は1月6日(火曜日)の予定です。

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