平成26年9月26日知事会見記録

ID番号 N28745

平成26年9月26日10時30分から10時55分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
 
幹事社
 本日は幹事社質問の用意はありませんので、質問があればお願いします。
 
記者
 きのう人口問題の本部会議がありまして、中間報告が示されまして、きょうにも公表の予定かと思われますが、改めて、まとめた内容の肝といいますか、趣旨と、あと今後どのように展開していくか、知事からお話を伺えればと思います。
 
知事
 人口減少問題というのは、何年後にどうなるということが取り沙汰されるわけですけれども、本質的には今目の前にある問題だと思っています。大きく人口流出の問題と、あとは出生率の問題があるのですけれども、人口流出については、東京一極集中型の経済、社会構造というのがあり、また、その時々の経済財政政策がそういう東京一極集中加速型の、裏を返すと地方切り捨て型の経済財政政策になると、てきめん人口流出が増えていく。だから、今そういう経済財政政策をきちっと見直すことと、そして地方の方にいいような経済社会政策をとっていくというようなことを、今やらなければならないというようなことがあると思っています。
 そして、出生率の問題については、これは若者、女性の生きにくさの問題というのが今目の前にあって、若者や女性が就職しにくい、結婚しにくい、家庭を持ちにくい、子供を産みにくい、子育てがしにくいという、そういう生きにくさという今目の前にある問題を解決していかなければならないということで、そこで県の来年度予算にも、もう早速人口減少対策的な事業を盛り込んでいかなければならないということで、その準備のための今回の中間報告というところがあります。岩手県の直面する人口減少問題のまずデータを整理した上で、そして課題を明らかにし、プロジェクトチームを中心に考えた、こういう方向性の政策をとっていけばいいのではないかということをこれから岩手県民の皆さんに見ていただいて、市町村との意見交換もしますし、それから県の総合計画審議会の皆さんの意見も伺いますし、そうやって年度内に最終的なものをつくって、年度内に最終的なものができるころには、具体的な来年度の事業もそこに盛り込むことができるようにつくっていきたいというふうに思っています。
 
記者
 ありがとうございます。きのうの中間報告の中身を見ると、背骨というか、骨格的なものが大分列記されていたのかなと思うのです。その中で、具体化する事業ということなのですけれども、これからいろんな意見を聞いた上で庁内での意思決定というふうになると思うのですが、大体どのぐらいの予算をかけて取り組まなければいけないかとか、数ではありませんが、質の部分も当然ありますけれども、どんなイメージを知事としては今の時点で持たれていますでしょうか。
 
知事
 来年度の予算編成もまさに今から本格化していくところでありまして、来年度予算編成においては、まず復興というのが大きいわけで、ただ竹下亘復興大臣もおっしゃっているように、復興こそ地方創生の一番大事なところなので、まず復興をきちっとやることで、それがかなりの部分岩手の人口減少対策にもなりますから、まず復興の必要な事業をきちっと確保していくことと、あとはいわゆる通常分の中で、全体として切り詰めていかなければならないのですけれども、政策推進費的なところはある程度余裕を持たせ、その中で人口減少対策につながるようなものを、ある程度増やしていけるように、いいアイデアをどんどん関係部局から出してほしいというふうに思っています。
 
記者
 あと政府の方で「まち・ひと・しごと創生法案」の方を今度の臨時国会に提出しようとしていますが、国もそういった動きを進めているということで、期待なり、注文といいますか、希望することがあれば教えてください。
 
知事
 言われているスケジュールですと、ことしのうちに国のビジョンや総合戦略が出て、そして来年度までに都道府県や市町村の方の基本的計画、総合戦略をつくってもらうということなのですけれども、もう人口減少問題は今目の前にある問題ですので、県としても、来年度事業としてやらなければならないことは今準備してすぐやるわけです。
 復興のことを思い出しますと、国の方が基本方針を決めたり、また、結局復興は、国全体の計画というのはないままやっているのですけれども、「答えは現場にあり」ですので、復興現場の県、市町村がつくった計画に、むしろそれに合わせて国が事業を工夫したり、そして交付金を決めたりということなので、やはり、地方創生についても、地方の側が、やはり「答えは現場にあり」ですから、先導していくような形でいかなければならないのではないかなと思っています。そういう意味でも岩手はいち早く、今回つくっているのは、国の法律に基づく基本的計画とまだそういう位置付けが決まってはいないのですが、そういうものにも発展し得るような形で、もうつくり始めているわけでありまして、一つ気になっているのは、国がかちっとした戦略をつくるということで、国が国としてこういう数値目標を決めた、各県この目標に従って、その目標を達成できるよう、市町村においても市町村ごとの数値目標を決めて計画をつくれみたいに、何か国から目標と、あと基本政策も国の方から下してきて、こういう国のパッケージに合わせて、都道府県も市町村も計画を立てよみたいにすると、人口減少問題の地方で起きている実態にそぐわないような計画の体系ができてしまうのではないかということをちょっと恐れていまして、全国知事会議の方でも地方創生対策本部をつくりました。全国知事会は全国知事会で、地方の現場に沿った提案をどんどん国の方にしていきますし、ですからそういう地方が先手をとって、こうしなければだめだ、ああしなければだめだと国に提案していくという流れを妨げないような形で国の総合戦略云々というような、そういう政策の流れを法律の形でつくっていってほしいなというふうに思っています。
 
記者
 きょうからいよいよ決算議会が始まるということで、何点か伺います。
 その前に、山田町のNPO問題に関してなのですけれども、山田の現地の方で議会が報告書をつい先日まとめました。内容は、もちろん執行部の不手際も指摘しているのですけれども、一方議会もチェック機能を果たせなかったという自戒も込められた報告書になっているようです。そういう町議会の対応について評価をまずお聞かせください。
 
知事
 山田の町議会として、今回そういう報告書、かなり労力をかけて丁寧につくったというふうに聞いていまして、それは大変素晴らしいことだなというふうに思い、敬意を表したいと思います。また、その中で、議会として個々の議員が問題点の指摘はしていたけれども、もっと早い段階から議会全体として取り組んでいれば良かった、というようなことも盛り込まれているというのも報道でだったかな、ちょっと聞いているところでありますけれども、そうした山田町議会の姿勢というのは大変いいことだなというふうに思います。
 
記者
 ありがとうございます。県議会については、2月定例会でこの問題について再検証を求める決議が行われました。6月議会については、まずは捜査とか裁判、あるいは会計検査院の動向を見ながら検討するという答弁だったと思いますけれども、改めて現時点での対応状況をお聞かせください。
 
知事
 基本的にそういう司法の動き、また国の政府の動きの中で、より客観的な形で、またより徹底した究明というのが行われるということに対して、県も協力できるところを協力していくということを今やっているところであります。
 一方、県としてのより良い対応ということについては、もっと何かないかということについてはもうこれで終わりと決めているわけではありませんので、そこは常に考えていかなければならないというふうには思っているのですけれども、ただ具体的に何をやるということについては、今決定しているものはありません。
 
記者
 ありがとうございます。きょうの議会で平成25年度の決算が提出されますけれども、振り返って過去2年間の一般会計については不認定となっているということで、その不認定に対する対応、受け止めと、それからきょう提出される25年度決算について、これが認定に足る内容なのかということも含めて、議会に臨む抱負というか、姿勢をお聞かせください。
 
知事
 県議会議員の代表の方にも入っていただいた県の監査委員によって、きちっと審査もしていただいて、内容的に問題ないと、どこに出しても恥ずかしくないものに仕上がっていますので、認定をしていただきたいと思っております。過去に不認定になったものもそのように認定していただきたいものとして提出していたのですけれども、今回の25年度決算も県の予算に加えてというか、その中に入る形でというか、国から多くの復興予算をいただいているところであり、また多くのご寄付もいただいて、執行に当たっては、全国から応援職員(の派遣等)もいただいて執行し、また開かれた復興の形でさまざまな主体の参画もいただき、被災地イコール復興地の皆さんにも参画いただきながら執行してきた決算でありますので、ぜひ認定していただきたいと思っています。
 
記者
 ありがとうございます。最後なのですけれども、岩手県の一般会計の決算は、過去6年間のうち4回不認定になっていますけれども、最初の2回については、県の不正経理とか、あとは県警の不正経理とか、構造的な問題について疑義が示されて不認定になっていますけれども、ここ直近の2カ年度については、単一争点といいますか、1つ個別の案件について疑義が示されたことで全体の決算が不認定になっている。これについて良い、悪いという評価はいろいろ分かれるところですけれども、今の地方議会における認定、不認定の制度といいますか、これについて何か課題意識というか、あればお聞かせいただきたいと思いますけれども。
 
知事
 1つは、予算の執行に当たってさまざま問題があったり、課題があったりすることについては、どんどん議会で取り上げていただいて、そして県の行政の執行というものがよりよくなるように大いに議論していただくのがいいと思っていますし、議会というのは、本会議や各委員会の場を通じてそういうことができるようにデザインされていますので、基本的に県政課題については、そのような扱いで取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 そして、決算の認定ということは、数字の正確さを認定していただいて、そしてその数字が、政府の統計にも反映されますし、さまざまな学者の皆さんや一般の皆さんも岩手の決算は幾ら幾らだった、内訳はいくらいくらだったということに基づいていろいろ研究や仕事にも生かし、また生活にも役立てていくという、そういうものとしての決算をオール岩手として力を合わせてつくって、世間にお示しするというのが決算の目的ですので、そういう決算の趣旨に沿った形で取り組みが行われればいいなというふうに思っています。
 
記者
 昨日県が8月に実施した内陸、県外へ移動されている被災者へのアンケートの結果が公表されました。居住場所の意向については、移動先の現在の居住地に定住したいという方が、内陸、県外ともに内陸は50%、県外43%と、そういう数字に上った一方で、元の市町村に戻りたいという意向については、いずれも20%台という結果でした。既に震災による沿岸部の人口流出ということは、非常に大きな課題となっていると思うのですが、そうした中でなかなか厳しい数字が出たというふうに受け止めていますが、これに関しての所感をお願いします。
 
知事
 今現在、沿岸市町村の外に出ている方々が戻るかどうかということですので、流出するかどうかというよりも流入になるのかということで、なかなか流入が、みんながみんな流入するわけではないということが課題なのかと思うのですけれども、これは、お一人お一人、一世帯一世帯それぞれの事情もあり、また同じ岩手県、子供たちは内陸の方に住んでいるとか、親戚は内陸の方に住んでいるとか、これをきっかけに一緒に住むようになるとか、さまざま個別の事情もあってそれぞれが判断しているというふうに聞いています。
 また一方では、まだ沿岸の住宅関係の宅地の造成でありますとか、新しいまちづくりですね、宅地の造成や、それから災害公営住宅の建設もまだ全体とすれば始まったばかりでありますので、まだ今の段階では戻ると決められないというような、事業の進捗状況が理由になって戻ると決められないというのもあると聞いています。やはり県としては、この本格復興の中できちんと住宅関係の事業を進めていくことで、その不透明さが原因になって戻る判断ができないということがないようにしていかなければならないと思いますし、また本格復興が軌道に乗り、新しいまちのビジョン、特に陸前高田市でありますとか、大槌や、あと山田、また鵜住居や田老といった、そういう市の中の地区で震災前よりも安全で、またにぎわいがあって、そして安心できる、そういう孫子の代まで自慢できるような新しいまちができるというのがはっきり見えてきますと、やっぱりそっちにまた戻ろうかという、そういうことにつながるような形で本格復興というのを進めていきたいというふうに思います。
 
記者
 県として、まだ速報の結果ではあるのですけれども、この結果を受け止めつつ、例えば今も知事は少しおっしゃったと思うのですけれども、被災地の住まいの、もともとのふるさとでの住まいの確保ということに関しての、例えば災害公営住宅の入居募集の状況であるとか、そうした情報提供を、移動されている方に対しての情報提供ということを例えば強化していくとか、そういった具体的な新たなアクションとか、強化とか、そういったことについては検討されるでしょうか。
 
知事
 今回のアンケートも、市町村は市町村でそれぞれ連絡をとったり、情報提供したり、また調査もしたりしているのを、県として全体的に県からもそういうお一人お一人に対してつながっていく、そういう取り組みとして今回の調査をしたわけでありまして、やはり復興の段階、段階に従って、最適な、そういう市町村の境を越えて移動したり、またつながりを持っている方々に対しては、それぞれの市町村プラス県が協力して働きかけていくことが必要で、それは復興の段階に応じて最適なやり方を工夫していきたいと思います。そして、市町村の境を越えて、実家はここの市町村、でも今住んでいるところは別の市町村とかというような人たちへの市町村と県が連携しての働きかけというのは、人口減少問題対策としてもとても重要になりますので、復興で培われたノウハウというのは、広く人口減少対策にも生かされていけば、住民票上はどんどん人口が流出しても、交流の形ではきちんとつながりが保たれているというような、そういう工夫がこれからはとても大事だと思いますので、県としても力を入れていきたいと思います。
 
記者
 きのうの原発影響対策本部員会議で、原発ADRから2011、2012年度、県が申し立てていた6億3,000万円分の和解案の骨子案が示されたと思うのですけれども、事業費は大体98%くらいが認められたというのに対して、人件費ですね、超過勤務手当などこれまで認められてこなかった部分というのが認められた一方で、通常の勤務分というところがあまり認められていなくて、4分の1くらいの県の申し立て分に対する回答額だったと思うのですけれども、ここのところの受け止めというのをどのように考えていらっしゃるかお願いします。
 
知事
 司法的解決、そういう法的に争っていかなければならないということの背景には、東京電力が基本的な考え方として、事業費関係で言えば、自治体が放射線量測定のために購入した機材というのは、あれは自治体の資産になっているのだから賠償の対象にはならないというような、およそ認められないような基本的考え方が東京電力の主張で、およそ人件費も認められないというような、そういう基本的な考え方はこれはとても認められないということで、裁判で法的に争う方向に進んだのですが、今回の和解システムの中で、そういう基本的考え方については、我々の、県や市町村、自治体側の基本的な考え方が認められたというのは、非常に大きいことだと思っています。ただ、その中で、数字についてまだこちらの主張が認められていない部分が結構ありますので、そこについては認めていただけるように、さらにきちんと説明をしていくというふうに対応していきたいと思っています。
 
広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。

次の定例記者会見は10月10日(金曜日)の予定です。

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