平成26年8月25日知事会見記録
ID番号 N27629
平成26年8月25日10時30分から11時15分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。
知事
冒頭、広島市をはじめ一連の大雨による災害で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたしたいと思います。また、被害を受けた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
さて、「第3回国連防災世界会議に係る本県の対応について」でありますが、来年平成27年3月14日から18日まで、仙台市で第3回国連防災世界会議が開催されます。国連加盟国193カ国から、各国首脳や閣僚を含む政府代表団、国際機関、認定NGOなど5,000人以上の参加者が見込まれています。岩手県といたしましては、そこで復興支援に対する謝意を示すとともに、岩手県の復興に向けた取り組みや防災・復興に関する本県の先進的事例を世界に発信し、そして国際社会に対して支援の継続をお願いする重要な機会と位置付けています。県では、国連防災会議の開催に合せて、シンポジウムなどの関連事業等を積極的に実施することとしていまして、それについてお話しします。
主な岩手県の対応としましては、まず、国連防災会議の会期中に、仙台市において防災や復興に関する展示を行います。そして、前ユネスコ事務局長 松浦晃一郎さんをコーディネーターに迎えて、一関市内で「文化財と防災」をテーマとしたシンポジウムの開催、そして沿岸被災地の視察を実施します。また、国連防災会議に先駆けて、平成27年3月9日から13日まで国際規格の作成機関であり、防災についても重要な役割を果たしているISO、国際標準化機構の社会セキュリティ専門委員会の総会が盛岡市で開催されることから、これに合せてシンポジウムや被災地視察を実施します。
これらの取り組みを通じて、世界各国から多くの方々が本県を訪れ、被災地の現状を実際にご覧いただくとともに、本県の防災・復興に関する先進的事例をお伝えできることを期待しています。また、震災から4年目を迎える時期でもあります。国連防災会議を契機として、多様な主体が防災や復興に関するさまざまな取り組みを展開して、県全体として盛り上がっていくことを期待します。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
それでは、ただいまの発表事項について各社から質問があればお願いします。
幹事社からよろしいでしょうか。先進的な事例という話でしたけれども、具体的にどういったものか、教えていただければと思いますが。
知事
そこも今いろいろ整理しているところですけれども、若者や女性の参画を促し、また活躍を支援するといったようなことも含まれると思います。
幹事社
震災を経験して、県で要望してきた用地特例(用地取得特例制度)とか、そういった法に関わるようなものも、そういうアクションも含めてということになりそうでしょうか。
知事
そうですね、世界に対する発信ということなので、国内向け、あるいは県内向けの整理の仕方とはまた違うのかな。ただ、現場に来て、これは一時的に国連本部が東日本大震災の被災の現場に来て会議をするということもあるので、ローカル色を豊かにした方が良いのか、そういう全体のトーンも含めて検討中ですので、本番までにはしっかりしたものをお示ししたいと思います。
幹事社
ありがとうございます。他に。
記者
一関でのシンポジウムの関係でお伺いしたいのですけれども、沿岸被災3県で世界遺産はこの平泉、岩手のみということで、岩手県ならではというような独自性があることだと思うのですけれども、改めて、繰り返しになるかもしれませんが、このシンポジウムを通して岩手県からどういうことを発信していきたいというふうにお考えでしょうか。
知事
2011年3月11日、東日本大震災が発生し、その年の6月29日にパリでユネスコ世界遺産委員会が開かれ、平泉が世界遺産登録された。そのとき、平泉というのが復興の精神的な支柱にもなって、人と人との共生、人と自然との共生という、そういう理念が復興の理念にもなるというようなことに、ユネスコ加盟国は、大体国連加盟国ですから、世界各国の理解をいただいたな、という手応えがあります。また、世界各国にはあれだけの地震の中で、「よくぞ無事だった」というところにも関心が高かったので、文化遺産の防災ということについても国際的にかなり関心があるなと思っていますので、そういう具体的で実務的な話から理念的なことまで、平泉ということをテーマに平泉の現場でシンポジウムを開くことができるのではないかなと思います。
幹事社
他ありませんか。それでは、なければ本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。
記者
広島の土砂災害に関連してなのですけれども、岩手県は、土砂災害の危険箇所というのが東北の中でも最も多いという現状がありますが、その一方で警戒区域の指定というのが2割にとどまっていると。そのことについて、まず知事の受け止め、お考えをお伺いしたいのですけれども。
知事
危険箇所を警戒区域の指定にまで持っていくには、市町村の理解も必要で、その理解というものの背景には、警戒区域に指定されると避難体制の整備が法的に義務付けられますので、どう避難すればいいか、また避難所はどこにすればいいかとか、そういうことを市町村の側に決めていく体制ができない間に、県の方で一方的に指定しても趣旨に沿わない。むしろ、そういった避難体制の整備とかということが遅れるのであれば、今既に危険箇所ということでは、それはもうわかっていて、かつ、これは既に公開されています。県の岩手のマップですね、インターネット上で見ることもできますし、またそれぞれの市町村が紙ベースの危険箇所の地図というのは持っていますので、広島のあの災害を受けて、今私が考えていますのは、まず危険な場所かどうかということを、住んでいる人たちがよく知らなかったがゆえに準備がきちっとできない、気を付けていなかったみたいなことがあっては良くないということで、まずは危険箇所であるということの情報共有がうまくできればいいのではないかと。ただこれも、その後の警戒区域指定への段取りも考えると、市町村の方のその後の対応ということと擦り合わせてやっていかないと、県で一方的にやれることではないと思っていますので、市町村としっかり連携しながら、まず警戒区域の指定を早めていくということも、これはしっかりやっていかなければならないと思いますし、また並行して危険箇所だという情報の共有をうまく工夫していくということもした方がいいというふうに思っています。
記者
今知事がおっしゃいましたように、やはり県と市町村が連携してということが今後重要になってくると思うのですけれども、住民への周知とか、指定を促すとか、法改正で国の方も動きが出始めていますけれども、知事として、具体的にこういったことをして危険を周知したい、体制を整えていきたいというお考えがあればお伺いしたいです。
知事
市町村の財政を含めた行政力が一定力ないと、法律を変えれば、すぐぱたぱたと警戒区域の指定が進むというわけではないと思うのです。ですから、実質的に市町村の力を高めるような手を打っていかないとうまくいかないと思いますし、時あたかも人口減少問題の関係で地方創生、地方経済再生といったことに、これから本格的に取り組もうという国の方針もあるところですから、そういう中で市町村の基礎的な力を高めていくということが、防災面でも大いに役に立つことだと思います。
記者
ありがとうございます。あともう一点、ハード面の整備についてなのですけれども、こちらについても、まだ砂防ダムとかの整備の必要な部分というのが1割程度にとどまっているというところで、今後ハード面の整備、ソフト面も含めてだと思うのですけれども、どういうふうに対応されていくのかというのを、お考えがあればお願いしたいと思います。
知事
今、人家の戸数が多いところ、それから災害時要援護者関連施設があるところ、避難所や避難路、また学校、病院などがあるところ、そして被災履歴があるところといったところを優先的、また集中的に整備をしているところでありまして、まずそれをきちっとやっていくことで全体の整備をしっかり進めていきたいと思います。
記者
今のお話に関連して、今回広島の件を受けて、国の方で法改正が必要だというような話が今少し出ていますけれども、今のこの広島の状況をご覧になって、知事ご自身は国の方にどういう形で法改正なり、制度の改正というのを求めていこうと、あるいは国にはどういう姿勢で臨んでもらいたいというふうにお考えでしょうか。
知事
まず、さっき言ったように、自治体の基礎力を高めるということがまず必要で、そこは人口減少対策や地方経済再生というのを本格的に取り組んでいくということが、実は防災にも非常に大事だと思っています。
あともう一つ、かつてないような豪雨、そういう異常気象的なことが背景になっていて、そこは地方に丸投げするだけではなくて、やはり国としても、気象庁という気象観測の、そして気象情報を発信する機関は国の方にあるわけでありますし、そこを中心とした情報の発信とか、自治体との連携ということを国の方でも強化していくということが大事だと思います。法改正ということが、県や市町村に対して、住民理解がなくても法的にびしっと強権的に決めてしまえるみたいな改正というのだとすれば、それは本当にうまくいくのかなというような疑問を感じます。
記者
ありがとうございます。危険箇所の話からは直接はちょっと離れますけれども、今復興の関連で、沿岸部では高台移転でどんどん山が切り出されていたりとか、あと内陸部でも大分山の木が切り出されていたりとか、あと土取り場になっているような山では、もうほとんど山の形が変わるぐらいの勢いで土が取られていたりとかで、そういう山の状況が今結構県内で動いている状況だと思うのです、沿岸、内陸限らず。そうすると、これまでの危険箇所の考え方ですとかというのが、ちょっと変わってくるかなと思うのですけれども、その辺りも、そういう状況も踏まえた県内での土砂災害の防災のあり方みたいなことについてはいかがお考えですか。
知事
工事の現場については、立ち入り禁止にするなどして安全を確保するということが行われていますし、また、家を建てたり、商店を建てたりすることについても、その土地の造成、安全が確保された段階で進めていくというような手順はきちんと踏まれているとは思いますけれども、ただ工事というのは、安全第一がまさに第一でありますし、そういった安全への配慮、安全の確保のためにやっている工事であり、そういう引っ越し、移転等のプロセスですから、そこが危険になっては本末転倒なので、しっかりやっていかなければと思います。
記者
例えば上流の方の山の形状が変わることによって、下流への影響というのが、これまで考えられていたものよりも、少し状況が変化するタイミングだと思うのですけれども、その辺りは改めて危険箇所の洗い出しをされるとか、その状況の変化に応じた対応というのはいかがお考えでしょうか。
知事
具体的にあれば、そこについては、新しい状況に対応した防災の体制を充実させるというふうになると思います。
幹事社
他ありませんか。
記者
今の広島の土砂災害に関連してなのですけれども、4月の市町村の防災担当者を集めた会議のときに、県南のある市町村から今回の警戒区域の指定について、「もうちょっと迅速にやってほしい」というような声が実は挙がっておりまして、そのときの県の担当者の方は、進めてはいるのだけれども、なかなか難しいと。先ほど知事がおっしゃったように、市町村の方との問題もありますし、住んでいる住民に対しての説明というところもなかなか理解が進まないといった問題もあると思うのですけれども、恐らく国の法改正はそういったところを今後狙っていくのではないかなと、もう少しスムーズにやっていくことを考えているのではないかなというふうに推察しているのですけれども、その住民の説明であったり、市町村の方に対する、先ほど財政支援、基礎力を高めるというようなお話が出ておりましたけれども、それ以外で何か考えていることとか、知事としての考えを聞かせてください。
知事
よくよく考えてみると、住民の皆さんが、危険箇所がいかに危険かということをきちっと理解し、市町村当局も危険の実態をきちっとわかって、必要な避難経路、そして避難施設を整備すれば、ある意味警戒区域指定というのがなくても、そこにおいて安全は確保されるわけであります。ただ、警戒区域指定については特別警戒区域指定という、さらに開発を規制する、家を新しく建てられなくなるとか、そういったものもあるので、そこはケース・バイ・ケースで、特にそういう開発業者が、無理にそこに分譲して事情を知らない人に家を買わせようとしているとかであれば、県としても優先的にそこを早く警戒区域に指定しなければならないとかはあると思うので、まさにそこは市町村と相談しながら進めたいと思います。
法律でぱっとやるという他に何かということについては、今言ったように本質的には住民一人一人がきちっと危険性を理解し、かつ市町村が避難体制を整備するというのをどう実現するかということなので、今の段階で危険箇所はもう洗い出されているので、その情報の共有をどう工夫するかということと、あとは市町村の基礎力を高めるということが今大事だと思います。
記者
よく住民の危険性の認識の場合ですと、警戒区域に指定された場合のハザードマップというものがありますけれども、危険箇所でいくとまだそういうふうにはならないというふうな問題もありまして、ハザードマップをなかなかつくれない、今の現状では危険箇所に対しては、県のホームページ上では危険箇所は公表しておりますけれども、広島のように危険箇所とは知らなかったというような住民も恐らくいらっしゃると思いますが、例えば県のホームページの、私も実はけさ拝見しまして、こういったシステムがあるということを私も初めて知ったところだったのですけれども、そういったものを周知していったりとか、そういうような情報発信について何かお考えがあれば。
知事
その辺も市町村と相談しながら、住民にきちっと浸透していく情報共有を工夫していきたいと思います。
幹事社
今の広島の災害のことで、夜間に起きたということが被害を大きくしたとか、いろんな条件の中で夜間というのがあったのですけれども、実際に都市部であれば街灯等が明るいのですが、特に岩手の場合、山間部でなかなか街灯も少なくて暗いところだと、お年寄りの方は夜間に避難するのはどうしても敬遠してしまうというのがあるのですけれども、そういった部分で、ソフト部分で岩手としても対応しなければいけないのではないかなと思うのですが、その点で知事はどのように受け止められますか。
知事
夜間対策というのは、専門的に策はいろいろあるのだと思います。また、それもケース・バイ・ケースで、避難所への避難経路の明るさを確保するといったような方向性がありますでしょうし、また2階に避難することで緊急的な対応をするというようなやり方もあると思います。その危険箇所の危険の様態に応じてケース・バイ・ケースに工夫をしていくということだと思いますけれども、一方、暗いより明るい方がいいというのはそのとおりですので、いかに明るさを確保するかの工夫というのも、これは一つ課題としてあるのだと思います。
幹事社
ありがとうございます。他ありませんか。
記者
先週の会見で、DIOジャパンの奥州コールセンターについて、事業の引き受けに関心を示している企業があるというお話がありましたけれども、その後の経過はいかがでしょうか。
知事
今県として発表できるようなことは聞いていません。
記者
前提としては順調に進んでいるという解釈をしてもよろしいですね。
知事
そこは、県として発表できる段階ではないということです。
記者
何も進んでいないのでしょうか。
知事
日々DIOジャパン関係のコールセンターで働いていた人たちの雇用の確保でありますとか、それぞれ希望に応じた今後の対応については、県、市町が力を合わせて取り組んでいるところです。
記者
知事にご認識をお聞きしたくて、まず首長等の多選問題というのが選挙のたびに出るのですけれども、知事は多選ということに関してはどのように受け止めておられるか、まず教えていただければと思います。
知事
多選による弊害というのが指摘されています。権力が強くなりすぎて、さまざま問題が出てくる。そういうことは避けなければならないと思いますので、多選による弊害というのを避ける工夫をしていかなければならないと思います。
記者
多選というと、どこから多選になるのかという線引きみたいなものがあるのかもしれませんけれども、知事はどのぐらいだと権力が集中するような、そういう弊害が起きるような多選と捉えられますか。
知事
そうですね、衆議院議員時代は、首長の実務の実態というのを経験せずに一般論的に考えて、アメリカ大統領や他にもいろいろ例がありますけれども、2期8年というのが一つの目安と考えていましたけれども、ただ知事になって実際にやってみて、3期仕事をしている知事さん方が大勢いますけれども、多選の弊害というのを、工夫してそういうのに陥らないケースはたくさんあるなと思っておりまして、そういうのはやっぱり多選の弊害を起こさない工夫というのは、任期を短めに切るということ以外にもいろいろあるのだなと思います。
記者
ありがとうございます。それで、知事ご本人のさかのぼったお話をちょっと挙げさせていただくと、1期目のときは2期までというようなお話をされていて、2期目の選挙のときに震災を挟んだわけですけれども、震災前の2010年には原則2期までという、前回の1期目のときのですね、公約についての基本的な考え方は変わらないとおっしゃったのですけれども、震災がありまして、いろいろ状況が変わった中で、そのお考えに変化があったような発言をされていたと記憶しております。今の段階で、知事としては、2期までというような考え方は公約として存在しているのかどうか、その点をお聞かせいただければと思います。
知事
公約というのは、選挙の都度、選挙の前に示されることでありますので、今私は何かの選挙に出るということは決めてはいませんので、公約というものは持っていません。
そして、知事の任期は、原則2期8年が望ましいということについては、復興の関係というのは、私自身の任期が震災の関係で1期目が4月30日任期満了が5、6、7、8、9月11日まで4カ月ちょっとぐらい延びるということで、強制的に8年以上知事をやらなければならないことになったということで、理屈を突き詰めれば8年たった時点で辞めるのかということになるわけですけれども、そういうことはできないなというふうに思っています。あとは、さっき言ったように、知事になって他の県の知事さん方の仕事ぶりを多く見る中で、3期12年知事をやっても多選の弊害ということに陥らない例はたくさんあるので、最初の選挙に出たころ、また2回目の選挙をやっていたころの考え方に比べれば、原則2期でなければならないという考え方は変わっています。
記者
そうすると、何か次の選挙とか、何かの選挙に出ようという考えはないということでしたけれども、そういう意味では次の知事選なのか、あるいは違う選挙なのかということに対してはニュートラルな立場だということで受け止めてよろしいのですか。
知事
自分のことをいろいろ考えている場合ではないということが基本的にありまして、そこでまず今の仕事に専念しなければならないというふうに考えているわけです。
一方、来るべき岩手県の知事選挙のあり方については、それは本格復興期間のど真ん中で行われる選挙であって、岩手の力を一つにし、いわば岩手は一つ、復興に一つというような、岩手、オール岩手の力を結集しながら、また秋に岩手県だけで知事選挙が行われるわけですので、全国が注目する中で、さまざまなつながりの力を高めていくような、全国の皆さんとともに岩手の復興をさらに力強く進めていこうという、そういう力を高めていくような選挙になるべきだなというふうには思っています。
記者
今知事が他の知事のこれまでの多選の弊害にならないような工夫というのを見て、そういった考え方が変わったというふうなお話でしたけれども、お話しできる限りで、工夫の具体的な部分ですね、どういったことが弊害に当たらずに工夫をしているなというふうに感じたのか、ちょっとエピソードを紹介していただければと思います。
知事
ここは個々の知事さんの業績、また特に今実際に知事さんをやっている人の評価とかにも絡むことなので、こういう場でのコメントは、よほど厳密にしなければならないと思うので、記憶をたどりながらのコメントはちょっと勘弁させていただきたいと思います。
記者
どこの知事さんということを示していただかなくても構わないのですけれども、イメージとして多選の弊害の工夫というのがなかなかつきにくいので、一般論でもいいですし、知事が思っている、描いているものでもいいのですけれども、ちょっと教えていただければ。
知事
一般論、抽象的な話ですけれども、3期目の知事さん方というのはいっぱいいるのですけれども、権力が強くなりすぎて、もうだめだ、すぐにでも辞めてもらった方がいいというふうにはなっていないことが多いと思います。
記者
そういう権力が強くなりすぎて、「もうやめてほしい」みたいな声が挙がらないような、そういう3期目以上を越えても工夫されているような知事さんの例を震災を挟んで見られて、考え方が変わったという認識でまとめるとよろしいのでしょうか。
知事
1期目当選した時点から、全国知事会議に出たり、そうすると3期目とかそれ以上の人もいっぱいいるわけでありまして、そのときから徐々に、グラフを書くと1期目就任の時点から一定の長さで延びていって、2期目で急にということではありません。
記者
2期目に出られるときには、原則2期8年ということもおっしゃっていましたけれども、今のお話を考えるとどういうことなのですか。
知事
基本的な考え方は変わらないというのは、聞かれてそう答えたのですけれども、ただ公約集の前の方に掲げたりとかはもうしなくなっていたわけでありまして、そのことをどれだけ重視するかということについては、退職金をもらわないということと併せて、もう公約集には書かなくなっていましたよね。
記者
その考えの変化というところで、他県の知事の例を見てということですけれども、震災があって首長が代わることは、少なからず県政の継続性に影響があるということも踏まえての考え方の変化なのでしょうか。
知事
1期目当選したときから見ていたことなので、特に震災どうのこうのというのはありません。
記者
それからもう一点、1期目のときに掲げた公約の変更ということで、議会から追及が予想されますけれども、その際はどのように説明されるのでしょうか。
知事
公約というのは、今何も持っていませんので、持っていない公約が追及されることはないと思います。というのは、今何かの選挙に立候補すると決めて公約を発表しているわけではありません。
記者
初当選のときに。
知事
いや、例えば、知事が3期目をやることはけしからんと今思っていないのかと聞かれれば、今しゃべったように、他にも3期目活躍されている知事さんはいっぱいいて、いい仕事をされていますからというような答えを言って、考えが変わったのか、けしからんとか言われて、今3期目をやっている知事さんたちを批判しないとおかしいのではないかと言われても、実は今まで3期目やっている知事さんを批判したことは一回もありませんし、そんなに何か特別におかしくなったわけではないと思っています。
記者
確認ですが、1期目のときに、初当選のときに掲げた公約というのは、2期目の選挙に当選した時点でもう関係なくなってしまうという認識なのでしょうか。
知事
さっき言ったように、突き詰めると2期目に立候補した時点で、この2期目の途中で1期目から合わせて8年間がたつから、そこで辞めるというのを公約にしないと整合性がとれないということになるのでしょうが、ただそれはかえって愚かな話というふうな、オール岩手の民意的なものを感じながら選挙戦に突入しましたね。
記者
先ほどの多選の関係でなのですけれども、知事が多選することによる弊害ということで、権力が強くなり過ぎるということをおっしゃっていましたけれども、逆に多選になることによって生まれるメリットとか、そういうものについて知事はどのようにお考えなのでしょうか。
知事
やってみれば確たるものがわかるかもしれませんが、今は他の知事さんの経験を見ているだけですので、責任ある回答はできないなと思います。
記者
例えば弊害がないというだけでは、なかなか多選でもいいかなというものにはならないと思いますけれども、むしろ他の知事の方々が、こういうところで多選をすることによって県政にいい影響をもたらしているというふうに感じたものがあってのことだと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
知事
多選論については、関心がある方はどんどんそうやって議論を深めたり、また研究をしていただければいいのではないかと思いますけれども、私自身については、まず今は岩手の復興というのをしっかりやっていくことに集中し、いろいろ優先順位の中でむしろ「あまちゃん」関係の本を読むことの方が、多選について考えるよりは優先度が高いかなと、そういうPRをしていくこととかの方に時間をかける。2期目立候補の際は、もうそれは公約の中には入れていなかったということもあり、今それについてたくさん質問が出ていることに不思議だなという印象を得ているところもあるのですけれども、今ご指摘いただいたような発展的なテーマについては、いろいろすぐれた知見が発表されていれば、そういうものを参考にしていきたいなと思います。
記者
今の話の関連なのですが、今指摘として1つあったのは、つまり1期目の公約が2期目の公約と必ずしも一緒でないときに、整合性はどうかという話があったのですけれども、一方では、例えば国政を考えたときに、例えば同じ政党が継続的に政権を持っているときに、前の政権が公約してないものを次の政権が公約するというときに、例えば解散総選挙をして民意を得た上で実行するというのが、あるいはそういう考え方もあると思うのですけれども、そういう意味では、これは地方選挙にももしかしたらこういう考え方は当てはまるのではないかという考えもあると思うのですけれども、その辺り選挙と公約の持てる意味というのはどうお考えになりますか。
知事
選挙の本質は、有権者の力で国なら国、県なら県の進む道を変えていく、決めていくというところにありますので、有権者が主役でありますから、そのときの有権者が、多選問題であれば多選問題について、ああしたい、こうしたいというふうに有権者が意思を持ち、そしてそれに沿った候補者が当選するということが実現すれば、民主的な選挙によって有権者の意思が国なり県なりを動かしていくということが実行されるのだと思います。立候補する人たちが先にいて、その人たちがどんなメニューを出しているのかなという、そのメニューから有権者が選ぶというのではやっぱり弱いので、むしろ有権者の側からこういうことを公約にしてほしい、実質的には有権者が、それは子供たちも含めてそこの主権者たちが日本なら日本、岩手なら岩手をこうしなければならない、ああしなければならない、そういう思いにうまく応える公約というのを、政治家たちが工夫してパッケージを組んで、そしてそれを選んでもらったものを有権者の負託を受けて実行していくということが選挙のあるべき姿だと思います。
記者
そういう意味では、2期8年の公約の話が今クローズアップされていますけれども、そうすると1期目と例えば2期目、あるいは3期目がもしかしたらあるかも、あるいはですね、可能性としては。そういうときに、例えば社会情勢の変化がある中で、一般論とすれば前の1期目の政策と、例えばイデオロギー的なところでものすごく転換するというならともかく、例えばその個別の政策の中で内容が変わり得るということは基本的にはあり得るということでよろしいのでしょうか。
知事
ある意味、選挙において立候補するとかしないというのは、全ての人にとって自由だし、そこでどういう公約を掲げるかというのも、これは自由なのだと思います。ただ、それが選んでもらえるかどうかということが問題だし、本質的には有権者が何を選ぶのかということが問題なので、僕は日本全体のことについて言えば、今野党になっている人たちは、今の与党がやっていることを上回る政策、公約というのを意地でもつくり上げ、そのパッケージを示し、それを有権者が選ぶことで日本の政治は進歩していく、発展していく、そうやって政権交代が起きて、下野した人たちが、今度は今の人たちがやっていること以上のことを公約にしていく。そういうやり方というのは、かつて自分たちが公約にしていたことを否定したりとか、その時代、時代、最も良いであろう、さらに良いであろうと思われることを公約にして選んでもらうというのをやろうとすれば、それは過去の自分たちを否定することにもなることでもあって、でもそれが国民のためになるし、その国の発展のためになるやり方だと思います。そういう意味では、むしろ過去の政策とか、公約とかに固執し続けるというのは、過去の右対左、資本主義系対社会主義系の二大勢力が戦っていたら、それはそれぞれのそういうところから離れたらおかしいということになるのでしょうけれども、もうそれは古い冷戦時代の考え方であって、むしろ民主主義の発展、あるべき姿からすれば、選挙のたびに過去のそれぞれの主張を上回るような、そのときの民意により適合するような政策、公約を提示し、それを選んで決めてもらうことで、有権者が有権者の意思によって世の中を変えていくということを実現する、それが選挙だと思います。
記者
ありがとうございます。最後なのですが、さっき多選の弊害というのはいろいろ議論がありましたけれども、例えば多選の弊害部分だけを絶対的に評価するといけないということになるかもしれませんけれども、例えば相対評価で、実は多選のメリットの方が大きいのだけれども、弊害もあるという場合もあると思うのです。やっぱり弊害というのは、メリットが大きくても弊害部分が問題なのか、それとも差し引きでメリットの方が大きいというのであれば、また違った評価の仕方もあるというお考えでしょうか。
知事
難しくて、今この瞬間にはぱっとはわからないのですけれども、ケース・バイ・ケースなのかなという感じもしますし、何か統一的な理論化ができるのであれば、いろんな知見を参考にしていきたいと思います。
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。
次の定例記者会見は9月1日(月曜日)の予定です。
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