平成26年8月4日知事会見記録
ID番号 N27307
平成26年8月4日10時30分から11時02分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表事項はございません。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。
記者
JR山田線について伺います。今週の7日に、JR山田線に関連して沿岸の首長を集めた会議が開かれると聞いております。その会議には知事も出席するというふうに側聞していますけれども、この狙いについて教えてください。
知事
その会議は、新たに何かを決めるということではなくて、南北リアス線の関係市町村にこれまでのJR東日本との協議状況等を報告し、そして沿岸市町村全体で今後の対応方針を共有することを目的として開催するものです。沿岸市町村全体で今後の対応方針を共有することによって、山田線の早期復旧に向けてJR東日本との詰めの協議を加速していきたいと考えています。
記者
ありがとうございます。JRとの詰めの協議を加速させていきたいということですけれども、大きな方向性があってこそ協議が加速させられると思うのですけれども、JRが示している三陸鉄道への移管ということについての知事の考えを改めてお聞かせいただけますか。
知事
大きな方向性としては、鉄路復旧ということで、そのためにJR東日本も大きな役割を果たし、そして地元市町村、県、そして三陸鉄道も努力するという、そういう大きな方向性の中で、あとは技術的、また経営上の詰めをしていくというふうに理解しています。
記者
ありがとうございます。協議を加速させた先にどこにゴールを目指すかというところなのですけれども、現時点で、これからの交渉次第ではあるのですけれども、知事の考え、希望として、いつまでに例えば着工させたいとか、復旧させたいとか、そういう考えがもしあればお聞かせください。
知事
JR山田線、宮古・釜石間の復旧ということは、復興全体の中に位置付けられる話であって、被災者の皆さんイコール復興者の皆さん、そのお一人お一人の生活、仕事、また学び、そしてそれぞれの地域、市町村の復興という中にしっかり位置付けられ、そして復興全体がうまくいくことが目標というふうに考えています。
記者
オスプレイの件についてお伺いいたします。先週なのですけれども、滝沢の陸上自衛隊の岩手山演習場がオスプレイの分散訓練の候補地の一つに浮上したというのがありましたけれども、このことにつきまして知事の受け止めと今後の対応方針についてお考えがあればお聞かせ願います。
知事
県のほうで、報道でそう報道されているけれどもどうなのかということを東北防衛局に問い合わせ、つまり防衛省に問い合わせたところ、決定しているものではないという答えでありました。正式な決定あるいは提案、また県への相談があるわけではありませんので、反対も賛成もないのですけれども、一方沖縄で行われているような米軍の単独訓練が岩手山演習場で行われるということについては、一つは日米地位協定では、岩手山演習場というのは自衛隊の施設、演習場で米軍単独あるいは日米共同の訓練、演習を行うことができるというふうに位置付けられてはいます。他方、米軍単独の訓練というのは、戦後もう70年くらいになるわけですけれども、岩手県でかつて行われたことはないわけであります。米軍単独の訓練というものは、沖縄の大学にヘリが墜落したという事故がありましたけれども、思い出すのは地元警察もそこに入れない、そしてさまざまな役所関係も入れない。地方自治や国民主権が及ばない領域というものが、かつて岩手県の中に設定されたことはないわけでありまして、そういうものを新たに設定するという話は、これは「はい、そうですか」とそう簡単に言える話ではないというふうに思っています。
記者
今のオスプレイに関連してなのですが、国民主権が及ばないことが岩手に設定されたことは今までにないということですけれども、国民主権が及ばないことが沖縄県1県に集中されている現状については、どういうふうに認識されていますでしょうか。
知事
沖縄だけに負担をさせてはならない、沖縄に負担を押しつけてはならないということはまったくそのとおりで、全国知事会でもそういう議論を重ねてきたというふうに思っています。一方で、沖縄の負担ということの核心部分は、地方自治や国民主権の及ばない領域が設定されているということだと思うのですけれども、日本全国にそういう地方自治も国民主権も及ばない領域をどんどん拡大するということは、沖縄に負担させてはならない、沖縄だけに負担させてはならないという、その趣旨というか、原点というか、そういう基本的な考え方からすると、かえって本末転倒なことではないかというふうに思います。
記者
ありがとうございます。三(陸)鉄(道)の件に戻りますけれども、今ほど知事さんは今後の対応方針を共有するということで7日に会議を開催されるというふうにおっしゃいましたけれども、それを聞く限りですと、今までは県としてはJRによる運行再開、もしくは三(陸)鉄(道)への移管、両にらみ、そういう姿勢で交渉に臨んでこられていると思うのですけれども、そのどちらかに大きく舵を切るとかということにはならないのでしょうか。
知事
私がにらんでいるのは、東日本大震災からの復興というのが成功することでありますので、そういう中で、あとは運行技術や経営技術というのでしょうか、技術的、専門的にきちっと調整がなされて、いいように決まっていくということが進んでいけばいいということについては大きな変化があるわけではありません。
記者
先週末に一部報道では、三陸鉄道の運営移管の受け入れに合意する方向だということで、赤字補填の枠組みなどは今後具体的に協議に入っていくというふうな報道がされていましたけれども、その報道についてはいかがなものでしょうか。どういうふうに受け止めて(いますか。)
知事
まだ開かれていない会議でありますから、その開かれていない会議の内容に関する報道というのは、基本的に眉につばをつけて読んでいただければと思います。
記者
一般的なことなのですけれども、そもそもJR側の赤字補填額をどれぐらいにするかとか、仮に三(陸)鉄(道)に移管された後の運賃の値上げ分の差額の補填をどうするかということ、そういうことをまさに今協議されていると思うのですけれども、その協議されている、その協議の途中で受け入れに合意するということでは、かえってJRに足元を見られかねないと思うのですけれども、そういうことはちょっとおかしいなというふうに思っているのですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。
知事
地元に不利な、つまり復興のあり方を損なうような方向に持っていこうというふうにはならないと思います。
記者
今の山田線の話に関連してなのですけれども、山田線の沿線の市町村であるとか、沿線にお住まいの方からすれば、どういう形であれ、いつ復旧するのか、復旧させるのかというのが一番最大の関心だと思う(のです)けれども、この7日の会議の場で県としていついつまでにと、先ほどの質問の繰り返しになりますけれども、めどであったり、県としての目標であったり、考えであったりというものを示すお考えというものは、今のところないということでよろしいでしょうか。
知事
できるだけ早く、発災直後においてそういう復旧の見通し、さらには計画がいち早く決まっていればよかったのですけれども、いまだにそういうものはない状態で申し訳なく思うわけですけれども、一方で技術的、専門的な詰めがないとそういうものが決まっていかないということもありますので、もうしばらくお待ちいただきたいなというふうには思います。
記者
それでは、要するにJRとの協議というのがまだ継続中だということでよろしいでしょうか。
知事
ええ、そこはまだ技術的、専門的な調整というのは継続中です。
記者
復興予算の執行についてお尋ねします。先週復興庁の方から復興予算の執行率の発表がありまして、65%は使われておりますけれども、未執行でいくと35%という数字が出ておりますが、知事、これについての受け止めをまずお願いいたします。
知事
不必要な要らない予算を立てたがゆえにそうなったわけではなくて、やらなければならない事業の予算を確保していたけれども、さまざまな事情で事業が遅れてしまったということが基本的な理由でありますので、事業の遅れが発生しているということについては残念ではありますけれども、それぞれ遅れている理由がありますので、人手不足、資材の不足あるいは用地取得についての手続上の問題、またそれぞれ解決するためにさまざま現場での努力とか、あるいは議員立法をはじめとする制度的な改革による工夫とかも進んでいますので、できるだけ早く、計画どおりでうまくいくのであれば計画よりも早くつくりたい、復興は一日も早く事業を進めたいということで、計画より早くできるならそれに越したことはないというものでありますので、遅れの可能性を視野に入れ、あらかじめ予算を抑制的に足りない、足りなくて当たり前なぐらいな予算の確保の仕方では復興全体の進捗に支障が出ますので、それなりに未執行ということが出るのは、これは広く納税者、国民の皆さんには申し訳ないことではあるのですが、復興という事業の本質としてそこはご理解いただきたいと思います。
記者
一方で、岩手県の方も、これまで何度か財源の確保についても政府の方にも要望されておりますし、まだ集中復興期間以降、どういうふうになるかというところの見通しが立たない中で、お金のつけ方というのが、なかなか国も震災発災直後のように何でもかんでもつけるというスタンスではないのかなというふうに感じておるのですけれども、知事はその辺、使い切れない予算と、それでもまだ一方でこれからも必要であり続けるというところについては、その二つを考えるとどうお考えになっていますか。
知事
やはり人が大勢亡くなり、そしてまた万単位の家を失った人たちが、今(応急)仮設住宅生活を強いられている。そういう中で、必要な事業はどんどん積極的にやっていくということをやはり国には求めたいですし、そういう意味で集中復興期間を越えても復興交付金ですとか、事業の予算の復興枠ですとか、そういったことが維持され、財源が確保されるということを求めていきたいと思います。それは復興のために必要ということなのですけれども、人口減少対策や地方経済再生という、そういう地方創生の観点から見ても、過去のバブル崩壊の後とか、あるいはリーマンショック対策とか、大型の事業が地方において行われることによって人口流出が大きく改善されていった実例もあるわけですので、国においては積極的に取り組んでほしいというふうに思います。
記者
ありがとうございました。あともう一点です。先週の復興推進本部会議で知事がご発言の中で、人手不足問題の件についてご発言されておりまして、その中で「仕事現場の構造改革」という表現を使われてお話しされていましたけれども、ちょっとそこについて詳しくお尋ねしたいのですが。
知事
これは、まず復興という観点からも人手不足が深刻ですので、そこで必要に迫られていますし、また構造的にも日本全体が人口減少によって人手不足経済というような、そういう経済に構造的になってきている。大手ファストフード、日本型ファストフードチェーン店の人手不足問題というのも盛んに報道されていますけれども、復興現場の問題だけではなく、日本全体で人手不足経済というのは構造化しているわけです。その中で大事なのは、一人一人の人間の価値を高めていくということです。一人一人の労働の価値を高め、1人当たりの労働生産性を高める。一人一人の労働生産性が高まればその人の給料を上げることもできますので、給料をはじめ労働条件も良くなる。そうすると岩手の中でそういうことが起これば地元で働こう、地元に就職しようということにもつながって、そういう人間本位の働く現場からの経済社会の構造改革、地方が主役になる内需主導型の経済構造になっていくという、以前から私が言っていたものですけれども、それを日本全体でやっていくチャンスでもあり、特に復興現場でそういうことを進める必要に迫られているということであります。
記者
労働生産性を高めるということを今の被災地の労働現場に照らし合わせますと、なかなかそう簡単にはいかないのかなというのが実感としてはあるのですけれども、知事として何か打開策というものの考えがありますでしょうか。
知事
これはいろいろあります。例えば水産加工においては、例のトヨタ式のカイゼンで多くの水産加工場のラインが整理され、そして少ない人数でより付加価値の高い製品をつくれるようになっていますので、まさに一人一人の労働生産性が上がって給料も上げられるような形になってきているわけです。そういったことをサービス業の分野とか、要は少人数でも稼げるような、そういう働き方を工夫することで、そして給料が上がっていくと、いわゆるブラックというものの反対です。少人数で働くといっても長時間労働ではだめなわけでありまして、短い労働でも付加価値がついて高く売れるような財やサービスを提供できるような、そういう働く現場に構造改革していくということですよね。それが今復興の現場においては、水産加工の他、建設でありますとか、あと介護もそうですね、それを労働局と県で力を合わせてそういうふうな改革を進めていこうということを先週宣言したところでありまして、これをしっかり進めていきたいと思います。
記者
コールセンターのDIOジャパンに関してなのですが、先週、本社が業務休止状態であるという報道もありまして、現状の受け止めと、それから奥州市のコールセンターはまだ動いていますけれども、そちらについての対応をお伺いしたいと思います。
知事
あれだけ多くの問題が生じていながら、連絡がとれない状態になっているというのは非常に無責任なことでありまして、憤りを感じております。速やかに連絡がとれるようにして、さまざまな問題の解決を進めてもらわなければならないというふうに思っています。
奥州コールセンターについては、県と奥州市が力を合わせまして、コールセンターで今さまざま働いている皆さん、また本社とのやりとりを何とかしたいと思っている皆さん、またコールセンター業務で取引先との関係というのもそこにありますので、そういったことをうまく整理、調整しながら従業員の皆さんが少しでも条件が良くなっていくように県としても対応していきたいと思います。
記者
今の緊急雇用にも関連するのですが、「大雪(りばぁねっと)」の方でお願いします。先週会計検査院が(検査に)入ったようですけれども、知事あるいは県の対応として、再検証を求める決議について、年内に会計検査院の実地検査が入ることが想定されるので、それにきちんと対応する中で徹底した検証に努めたいというような意向を発信していましたけれども、検査を受けて「大雪(りばぁねっと)」問題の検証の方向とか、あるいは再発防止の取り組みについて、改めて考えをお聞かせください。
知事
会計検査院の検査については、それが会計検査院から国会に対してきちっと報告が出るまでの途中の段階というのは、これは非公開ベースで進むわけですので、その内容について知り得たとしても公表するわけにはいかないのですけれども、いずれそのように天下に向かって公表されますので、そこで極めて客観性の高い、かつ徹底した検証ということが発表されるようになると思いますし、その過程において岩手県としても全面的に協力をしているところであります。
記者
ありがとうございます。その会計検査院の報告書というのは、恐らく年末に近いあたりで公表されるのかなと思いますけれども、どういう指摘を受けるかにもよりますけれども、報告書を受けて、改めて何か取り組む考えがあればお聞かせください。
知事
一般論として、過去に会計検査院から何か県に対して特別な発表があれば、それに沿って対応するということはあって、実際にそうしてきているわけでありますけれども、一方でそういうことがなくても、県の商工労働観光部の検証委員会の報告書に基づいて、既に庁内的に再発防止のための対策をとり、そして例えば総務部長通知で、県や市町村の補助事業については今まで全く県や市町村と関係のなかったような団体や企業との補助事業に関しては、より注意深く対応していくようにというような通知を発したりしていて、そのように再発防止、また補助事業の執行体制の高度化ということは常に必要があれば進めるということでありますので、今後もそういうふうに対応していきます。
記者
最後ですけれども、7月の終わりの方に、DIO(ジャパン)に関して市町村と連絡会議を開かれましたけれども、DIO(ジャパン)なりあるいは「大雪(りばぁねっと)」なり、いずれも緊急雇用創出事業の関係だということで、これからも市町村とああいう形で意思疎通を図りながら、また改めて対策をブラッシュアップしていくとか、何かそういう考えはありますでしょうか。
知事
さっき言った総務部長通知の内容は、市町村に対してもそういうふうに県から働きかけて、より厳しく補助事業を進めていこうというふうになっていますし、そういった普段からの対応も県、市町村連携してやっていきますが、特に何か問題が発生したときには迅速に県と市町村が力を合わせて対応していきたいと思います。
記者
盛岡エリアで豪雨災害が昨年の8月9日にありまして、間もなく1年がたとうとしていますが、それで全国的にも今四国ですとか、非常に記録的豪雨がありますけれども、また本県を襲わないということはないと思いますが、それで改めて1年経過して、インフラとか農地の復旧とか進んでいるところ、進んでいないところあるわけですが、改めて1年たって水害への備えとして、県でどのような対応をとっていくべきか教えていただければと思います。
知事
いわゆるゲリラ豪雨とか、今までなかったような災害が発生するようになって(きて)いて、それは岩手県でも例外ではないわけです。これに対して、国でも気象庁が気象情報に関する発表の仕方をさまざま工夫していますし、そして県と市町村の方でも防災マップの見直しでありますとか、またマニュアルの見直し、そういったことをケース・バイ・ケース、河川ごとあるいは気象の状況ごとに改めて高度化していくということを進めていて、これはなかなか専門的、技術的に大変な作業ではあるのですけれども、まずしっかり進めていると思います。特に自然を相手にする気象の関係は、こうすれば絶対大丈夫というのがなかなかない分野なので大変なのですけれども、先端的なそういう科学的知見を活用して、やはり常に高度化させていかなければならないところでありますので、県も市町村と力を合わせてしっかりやっていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。それで、津波警報などでも言われていることなのですけれども、警報が出ても逃げないで自宅にとどまるということが多いというのがあって、最近の岩手大学の研究でも、去年の8月の豪雨と9月の台風で大きい被害を経験しながら、その直後、間もなくに避難勧告等が出ても逃げないという事例が研究されていまして、やっぱり効果的な避難情報の報道、今知事がおっしゃったようなものも含めて防災関係機関、行政機関が行う努力もありますけれども、やはりソフトの面で考えると地元の自助の部分で取り組まなければいけないものも多々あると思うのですけれども、そういうところにソフト面の住民の自治の部分、自助の部分で何か行政が働きかけて自主的に動く取り組みを活性化させる必要もあるのではないかと思うのです。その点については、知事はどのようにお考えになりますか。
知事
何かあったら、危ないと思ったらまず逃げるという、そういう避難、フットワークよく、まず避難するということは繰り返し、繰り返し、そしてさまざまな形で県民の皆さんに、市町村からすると住民の皆さんに広めていかなければならないと思います。さまざまな訓練を通じて、あるいは広報活動を通じて、そういうことをしっかりやっていくということですね。前も「空振りを恐れず」という話をしましたけれども、避難の基本は一晩様子を見るとか、どうも川があふれそうだ、土砂崩れがしそうだ、また津波の警報が出ているということで避難所に移って一晩様子を見て、無事だったらそれは良かったねという話であって、無事だろうなと思っていても、やはり一晩様子を見るというような、一晩でなくても、朝に発生すれば半日くらい様子を見るとか、そのためにもまず避難ということで、自分の家が壊れる確信があるときだけ避難というのでは、それはもう全然避難ということの考え方が根本的に違いますので、自分の家に被害が及ばないだろうと思っても避難というのはするものなのだということをきちっと徹底したいと思います。
広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は8月18日(月曜日)の予定です。
このページに関するお問い合わせ
政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。