平成26年4月21日知事会見記録

ID番号 N23936

平成26年4月21日10時30分から11時00分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。
 
知事
 きょうの発表事項は、豚流行性下痢、PEDまん延防止対策についての補正予算の専決処分です。豚流行性下痢のまん延防止対策として、本日、平成26年度一般会計補正予算第1号を専決処分したので、報告します。
 補正予算は、緊急に事業者が養豚場等で使用する消毒薬の購入に要する費用に対し、経費に対し補助するものであり、補正予算の額は462万7千円です。
具体的には、県内における豚流行性下痢、PEDの流行拡大を防ぐため、養豚場及び養豚関連施設における出入り口の消毒をこれまで以上に徹底させることで防疫体制を強化するものです。県内全ての養豚場等を対象とし、事業実施主体である岩手県養豚振興会を通じて消毒に必要な薬剤を緊急的に支給することとしています。事業実施に当たっては、事案の緊急性に鑑みて特例的な対応として、県が事業実施主体に対して全額補助をするものです。
 以上です。
 
広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。
 
幹事社
 それでは、ただいまの発表事項について各社から質問ありましたらよろしくお願いします。
 
記者
 この消毒薬の配布なのですけれども、時期としては大体いつごろから始めるお考えでしょうか。
 
知事
 もうやっていると、たしか報告を受けたと記憶していますが、きょうはその担当は今いないかな。きょう開始ということです。
 
記者
 平成8年にも同じようにPEDが発生しましたけれども、県がこのように緊急対策費として補助するのは初めてなのでしょうか。また、知事の所感と申しましょうか、判断、相次いでいますけれども、改めていかがでしょうか。
 
知事
 前回については、今手元に資料がありません。
 
記者
 また、今週も5例目、6例目と相次いで被害が拡大していますけれども、この緊急対策費を補助することで県としては防ぎたいという思いだと思うのですけれども、改めて知事の意見をお聞かせください。
 
知事
 感染経路が基本的に確定していませんので、入り口の部分でやはり防いでいくということを全県的に一斉にやっていく必要がある。個々の事業者ごとにですとお金がなくてとか、そういう理由で漏れが出てくることがないように県が予算を確保して一斉にやろうということです。
 
記者
 聞き漏らしていたら申し訳ないのですけれども、これから購入するものだけではなくて、既に購入されている部分とかも一緒に手続すれば補助されるという解釈でよろしいでしょうか。
 
知事
 岩手県養豚振興会を通じて、消毒に必要な薬剤を緊急的に支給するというスキームです。
 
記者
 緊急的、これからではなくてもう既に支給されている部分についても対象とされる、今期の発症についてでしょうか。
 
知事
 繰り返しますが、岩手県養豚振興会を通じて、消毒に必要な薬剤を緊急的に支援するというのが内容になっています。
 
記者
 その協会を通じてであれば……
 
知事
 県が岩手県養豚振興会に対して全額補助するという内容です。
 
記者
 県内の養豚業者の中で養豚振興会に加入していない養豚業者もいると思いますが、そういったところも対象になるのかというのがまず1つ目です。
 もう一つは、単純に462万7千円を154養豚業者、と畜場、化製場含めて158件あると思いますが、単純に割り返すと2万9,000円ぐらいということですが、規模もさまざまあると思いますが、1つの養豚場には大体どのぐらい、何万円ぐらいの支給というか、薬剤費が現物として支給されるのでしょうか。
 
知事
 平素から家畜感染症のまん延防止でありますとか、あとは家畜の取り扱い等について、県と岩手県養豚振興会は連携しながらやっているわけでありますので、今回もそういう実態に詳しい岩手県養豚振興会を通じてこの豚流行性下痢、PEDまん延防止対策を実施するということであります。
 
幹事社
 では、それ以外の件につきまして、各社から質問がありましたらお願いいたします。
 
記者
 台湾出張の件なのですけれども、台湾を訪問されて国際定期チャーター便就航に向けての活動だったと思いますけれども、成果、手ごたえをお聞かせください。
 
知事
 まず、中華航空との間で今行っている定期チャーター便の実績を重ねていくことについて、改めてしっかりやっていこうということを確認でき、また今やっている4月から6月までの定期チャーター便をさらに延長し、そして定期便化につなげていこうという、そういう将来の方向性もまた共有することができたのは非常に大きな成果だったと思います。
 また、今回の訪台では、中尊寺ハスの株分けということを行いまして、岩手県と台北市との連携関係も新しいページを開くことができてよかったと思います。台湾と岩手県、過去の歴史のいろんな縁がありますし、またいろんな経済団体、社会団体が戦後積み上げてきた実績があり、また東日本大震災の際に多くの義援金を初めとする支援を台湾からいただいた。今回の中尊寺ハスの株分けは、それに対する御礼という意味もあったわけですけれども、さまざまな困難も一緒に克服しながら両者の間で新しい良い関係を築いていくという、そういう良い方向性も今回つくることができたと思います。また、中尊寺ハスが生けられたのは、台北市内にある北投温泉というオール台湾的な、あるいは国際的と言ってもいいようなリゾートの真ん中にある公園の池でありまして、立派な説明書きの看板も立てられましたので、かなり世界遺産平泉、また岩手県ということへの宣伝効果も高いというふうに思っています。
 
記者
 ありがとうございます。台湾と花巻を結ぶ航空路線の定期便化については、もう少し具体的な、例えばいつ頃の見込みだとか、そういったところというのはございますでしょうか。
 
知事
 基本は、中華航空としてもビジネスとして成功させる、そして岩手県としても観光客が台湾から岩手へ多く訪れてくれる、また岩手県民が台湾に行くということをきっかけとした国際化の進展にもつながるという、そういう中身を確かなものにしていこうということで中華航空側と岩手、地元側が深い理解を共有しているということでありますので、それを実現していくためにそれぞれ具体的ないろんな手を打っていくということで、それをしっかりやっていけば自然な形でスムーズに定期チャーター便の延長、そして定期便化というふうに結果が後からついてくるというような考えを共有していると言っていいと思います。
 
記者
 具体的な打っていく手立てというのは、今のところ何かお考えございますでしょうか。
 
知事
 今既にやっていることなのですけれども、中華航空サイドとしてはスムーズで、安全な運航、そして台湾における台湾旅行会社等の誘客、いろんな商品をつくったり、誘客したりする、そういう努力、そこは岩手県、地元側と一緒にいろんな雪と桜の回廊みたいな、そういう新商品の開発、宣伝、そういったことを盛んに行う。また、きょうから台湾で再放送が始まる「あまちゃん」には岩手県のほうでスポンサーになって、「岩手劇場」という字が番組の放映中、画面の中に常に「岩手劇場」という字が出るようにしたりとかもしていまして、そういったさまざまな誘客のための工夫、そして岩手県から台湾に訪問する人たちを増していくためのさまざま努力というのも一緒にやっていく。あと大事なのは花巻空港を今年度予算で国際化対応するように改築しますので、それも一つ大きい前進です。
 
記者
 今の花巻空港の増改築に関連してだったのですが、増改築するという理由が、主に午後4時から6時台に台湾からの定期便が来る、そしてあと国内線が数便到着して、状況に応じてはターミナルビルがすごく混雑するというのが理由にあったと思うのですけれども、きのうは知事が実際にお帰りになった際に、実際に見てみてどういう状況だったかというのを教えていただければと思います。
 
知事
 国際線の入国の手続、関係各機関にも尽力いただいて、きちっとそろってスムーズに入国できるような体制はできているのですけれども、やはりちょっと手狭な感じ、それは否めないなと思いましたので、やはりスペース的に余裕を持つということが必要だなと感じました。
 
記者
 山田線の件でお尋ねします。土曜日に、山田町の方で山田線についてお話し合いをするという、集う会というのが開催されていました。その中で、自民党の鈴木俊一国会議員が山田線の赤字補てんの話とはまた別に、三陸鉄道南北リアス線と今回の山田線を含めた一体的に久慈から盛まで、何とか国で支援できないかということを今提案しているというお話がございました。知事、率直にどうお感じになられているのか教えていただけますか。
 
知事
 過去のいろいろな経緯の中で、三陸鉄道は第三セクターとしての経営になっているわけですけれども、そのときも本来国鉄がやるべきだということを地元としては主張していたわけであります。これはIGRいわて銀河鉄道もそうなのですけれども、もしも国鉄、それがJRになってもそれぞれ東北本線、そして三陸縦貫鉄道、国の背景の下にそういう交通、鉄路が確保されるのであればそうなっていたはずなわけでありますから、国の支援というのは常にあり得る、かつ、あるべき話であると私も思っておりまして、大きな震災があったということを契機に、改めてそういう地方交通に対する国の責任ということを実際の政策として実現していただければと思います。
 
記者
 具体的な話はまだできていないそうなので、なかなか難しい話だと思うのですが、仮にそういったことが可能だった場合、山田線の部分に関して、今県が求めているようなJRの保有というのが条件に当てはまらないのではないか、というようなお話も出ているのですが、これは県としては考えられることなのでしょうか。
 
知事
 県の復興委員会の専門委員もお願いしている藻谷浩介(もたに こうすけ)さんが最近出した本の中で、鉄路が赤字だからといって廃止にするというのは良くないということを主張しています。道路の場合は、高速道路など国費を大々的に投入してつくって、あと地方の道路は特に有料道路制には普通しないわけでありまして、そこの利用者からお金を取って、それで全てを賄うというふうには道路はしていない。それと比較したときに鉄路の方に徹底的な黒字を求めていくというのは、国の交通政策としてのバランスを欠いているのではないかという指摘があって、私もそのとおりだと思っています。これは道路であれ、鉄路であれ、税金を無制限に投入していくという無駄遣いになってはならないわけでありますけれども、そもそもそういった地方交通というものが、国全体に対してどういう意義があるのかというのを考えた場合に、そこがぼろぼろになっていくと国全体もやはり困ることになっていくわけですし、特にいざというときの危機管理において、国として国民に対して保障すべき安全を保障できないようになってしまうわけですから、そうならないように地方交通に対しても国は一定の責任があるということを、この際、認識を新たにして、そういった観点からしっかりした支援をしていただきたいと思います。
 
記者
 あともう一点別な話なのですけれども、先日内閣府の方で災害時の避難勧告、避難指示などのガイドラインについて、発令基準を求めるようなガイドライン等を発表されました。岩手県では、土砂災害と水害では約3割の市町村が基準を策定しているのですが、全国と比較しますと全国で大体8割近く平均であるので、かなり差が開いておりまして、全国最低だったというような調査になっております。津波に関しては、対策はかなり進んでいると思うのですが、これから梅雨時期にも入ってきますし、土砂災害や水害の恐れは岩手県でもあると思うのですが、知事の所感をお聞かせください。
 
知事
 県としても4月18日に開催した会議の場において、市町村に対して国が示したガイドラインに基づいて、避難勧告等の発令基準を策定するよう改めて求めたところであります。市町村の意見も参考にしつつ、県としての取り組みも早急に整理して、盛岡気象台等関係者、関係機関とも連携しながら、市町村の取り組みを積極的に県としても支援していきたいと思います。
 
記者
 土地取得の迅速化を図れる復興特区法の改正案が明後日にも成立の見通しですが、知事の所感をお願いします。
 
知事
 地元市町村を初め、県としても国にずっと要望してきたことでありまして、それが国会の全会一致、衆議院の復興委員会の委員長提案で全会一致の法案として成立するということ、大変喜ばしく思います。どんどんこれを必要なところに活用できるように、国の方でもガイドラインをつくるという話を聞いていますけれども、それを待たずに並行して県の方でもしっかり準備を進めて、法律が使えるようになったら迅速に使っていくように準備をしていきたいと思います。
 
記者
 その中で抜本的な方策ではないとか、また結局地権者を探す作業というのはやらなければいけないという自治体もありまして、なかなかうまく使えるか心配だという自治体もあるのですが、その辺についてはいかがでしょうか。
 
知事
 今回の法律も、うまく使えばかなりのことができると思いますので、そこを最大限使えるようにしていくための準備をしていきたいと思います。一方、復興を成功させるために地元としてこういうふうにした方がいい、ああいうふうにした方がいいという声は、それは県としても常に耳を傾け、また必要であれば国に対して要望していくということは今後も続けていきたいと思います。今回のこともやはり答えは現場にあるという、現場において必要性というものが認識されて、そしてこういう新しい制度をつくらなければならないという声が結局国を動かしていくということの大きな例だと思いますので、これで全てが終わったということではなくて、復興を成功させるため、またそのプロセスをより実りあるものにしていくために、そういう現場の声を大事にしながら制度を変えるべきところは変えていくということは、今後もそういうふうにしていきたいと思います。
 
記者
 今の復興特区法に関連してなのですけれども、自治体の関係のお話もありましたけれども、土地収用制度というそのものが、知事はうまく使えばかなりのことができるというふうにおっしゃっているのはそのとおりだと思うのですけれども、土地収用制度自体がかなり今までは緊急的というか、最終手段というか、あまり積極的に使ってはいけないものという認識がこれまであって、そことの市町村の現場との認識のギャップといいますか、心理的なハードルといいますか、そういったものがあるのかなという感じを取材していて受けるのですけれども、そこら辺に関しては、知事から市町村の現場に対して今回の制度を活用するに当たって、何かメッセージなりなんなりというのがあればお願いします。
 
知事
 今回の法改正については、地元のニーズとしても、自分の土地所有権をそこにこだわってなかなか土地を売ってくれない、譲ってくれないという人から、いわば無理に土地を取り上げるために使おうという話では全然なく、相続可能性のある人がものすごくたくさんいたりとか、またその人たちが集まって話し合って、誰か一人が相続するという形に決めるのにものすごく時間がかかるというような、時間さえかければ穏健、穏便に契約ができる。ただ、その間仮設住宅にお住まいの皆さんに何年も仮設住宅に住んでいただくのかというバランスの中で、どうせ穏便で穏健な結論が出るのであれば、並行して工事を進めるとかすることが全ての人にとっていい結果になるだろうというところに使おうということでありますので、そういう意味では私有権、土地所有権の保護の問題うんぬんというのとは別のところに論点があるというふうに私個人としては思っていますし、地元市町村としても問題意識は同じ結論になるのであれば、できるだけ早くそこの結論に向かいたい、そして工事を早く進めたいということではないかと思います。
 
記者
 TPP交渉の件で、先週も質問させていただきました。最近の報道を見ると牛肉の関税の方を10%あるいは9%というふうに、結構オーストラリアよりも厳しいのではないかというような数字が、案というか出ています。先週知事がお話しになった、変なことをしなければいいということなのですけれども、今回の数字を、報道ですけれども、ご覧になった所感を伺わせていただければと思います。
 
知事
 今10%以下という数字が取り沙汰されているのですけれども、やはりぎょっとしますので、そういう数字は関税撤廃ではないから譲歩を勝ち取ったみたいな説明もされているのですけれども、30数%が10になる、ゼロにならないからいいという、そういう話でTPP交渉に参加したわけではないはずです。趣旨は今、日本の中でまじめに一生懸命畜産をやっている人たち、牛肉については畜産ということで、あとは米とかいろいろあるわけですけれども、そういうまじめに一生懸命やっている人たちに突如ルールが変わった、苦労せよということをするのはおかしいのではないかということがあるし、ましてや私がよく言っているのですけれども、21世紀というのはそれぞれの国の中の地方、地方のその土地に根差した産業、1次産業を初めとする産業を大事にしていくことでそれぞれの国民経済も順調に伸び、世界経済も発展していくわけだから、それを何か冷戦時代の発想で、とにかく東側に勝つには西側の経済効率を最大限高めるために徹底的に分業して、得意な分野だけやればいいみたいな、そういう冷戦時代の発想で自由貿易、自由貿易というふうにやるのは本当によくないと思います。
 
記者
 先週、副知事、農林水産部長が農林水産省の方に行って要望されたと思いますし、その中の要請の項目でも国会の決議を踏まえてということだったり、地元の声を聞くようにということでしたけれども、全くそういうものが度外視されているというか、無視した形でどんどん進んでいるような、地方あるいは畜産生産現場の声を無視されたような形で進んでいるような感触も強いのですけれども、その点に関してはいかがでしょうか。
 
知事
 そういう国内経済、国内産業のリアリティーというのを、それに背を向けた交渉という展開になっていると思います。繰り返しますけれども、ただ表面的にアメリカと仲良くしているという体裁を取り繕うためだけに日本の経済、産業を大いに不利にするような、それはひいては世界経済を失速させる逆効果があるわけですから、そういう合意をしないようにと、国内経済、産業のリアリティーに基づいて国家間の共存共栄が図られるような、そういう経済、貿易秩序をつくっていってほしいと改めて言いたいと思います。
 
広聴広報課

 それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は4月28日(月曜日)の予定です。

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