平成26年4月1日知事会見記録
ID番号 N23362
平成26年4月1日10時40分から11時14分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は、知事からの発表事項はございません。
幹事社
では、質問に移らせていただきます。
まず、私のほうから1つだけ伺いたいと思います。平成26年度がきょうから始まります。平成26年度、1年間どのような姿勢で県政運営に当たられるかのご決意を伺いたいと思います。
知事
東日本大震災津波からの復興が基盤復興期間から本格復興期間へと移行していくということが大きいと思っています。さまざまな事業、それに関する予算もこれからの3年間がピークになっていきます。そして、その間仮設住宅等での生活の長期化という課題も大きくなります。一方で、岩手県民の地元の底力、どんどん高まってきていますし、また県外とのさまざまなつながりの力、これも高まってきておりまして、この本格復興期間においてますますそれらの力を高め、復興の力を高めながら、この本格復興というやるべきことをしっかりやっていく、その初年度である平成26年度、本格復興推進年として成功させていきたいと思います。
幹事社
ありがとうございます。では、各社から質問お願いします。
記者
県議会の2月定例会で山田町のNPOのことが問題になりましたけれども、それについて質問させていただきます。
県議会が山田NPO問題の再検証を第三者委員会によって再度検証するように求める決議が賛成多数で可決されました。これについて、まず、知事の対応、現時点での対応というのをお聞かせください。
知事
2月定例会では、額は前年度と同じくらいの規模ですけれども、がれきの処理を除けば前年度よりもさらに大きくなる平成26年度の予算というものを審議するということを中心に、復興に関してもさまざまな質問、それに対する答弁、やりとりができて、県民の皆さんにも今復興がどういうふうに進んでいるのかというのを示すいい機会になったと思います。
そういう中で、商工労働観光部の方で委員会をつくって調査報告書をまとめ、大雪りばぁねっと事件に関する県の対応について、県としてはその報告書に沿って今後しっかりした仕組みを整備して、さらに県の事務の適正な処理の力を高めていきたいと思います。新年度になって、この事務の適正化のための特別な課長職も設けました。総務部含め、全庁一丸となってこの復興全体に関する予算の額も多くなるわけでありますので、この予算の適正な執行、復興の着実な推進を県民の信頼に応えながら進めていきたいと思います。
なお、議会最終日の決議、今質問があった決議に関しては、今担当部局の方で精査をしているというところです。
記者
今のご回答と、それから当日のコメントで、県が設けた検証委員会の所期の目的は達成されているというふうにおっしゃっていましたが、それを考えますと、第三者委員会の新たな設置というのは、もう必要ないというお考えということなのでしょうか。
知事
質問に関する決議については、今担当部局で精査をしているところです。一方、商工労働観光部のほうで設置した検証委員会の報告書については、もうこの新年度、4月1日、きょうから実際の県の適正な事務処理、適正な予算の執行ということにすぐに役立てていかなければならないと考えていますので、もう、きょうからどんどん手を打っていくというところです。
記者
決議については精査をされているということですが、精査の結果、第三者委(員会)を設ける可能性もあるし、そうならない可能性もあるということですか。
知事
今精査をしているということです。
記者
その精査の結果、どうなるかということについては。
知事
何かその都度報告すべきことがあれば、公表していくことになると思います。
記者
わかりました。ありがとうございます。
記者
今の質問に関連してなのですけれども、知事ご自身は決議を受けてでも受けていなくてもいいのですけれども、その再検証の必要性についてのご見解というのはお持ちではないのでしょうか。
知事
決議に絡んだ討論の中で、斉藤議員からも改めて大雪りばぁねっと事件に関する県の対応についての論点が挙げられて、まず、あの論点が基本的に今までも議会で取り上げられ、また議会の外でも話題になっていたことだと思います。それについては、基本的にはもう答弁は既に行われているのですけれども、そういった答弁の中で特にこれがわかりにくい、もう一回質問したいとかいうことであれば、今後の議会の中でそれは一般質問の中、あるいは商工労働観光部を担当する委員会の中、いろんな場でそこは確認することができるでありましょうから、そういう意味ではもう完全に終わって、このことについては議会では一切取り上げてはならない、県として話題にしてはならないということはあり得ないわけであって、それは常に確かめたければいつでも確かめられる、そういうステータスです。そういうステータスと理解しています。
記者
ということは、現状県議会で取り上げられている論点のみであれば、改めての再検証、県の方で組織、調査機関をつくっての再検証は必要ないというか、現状調べているもので答弁をしていくというスタンスという理解でよろしいですか。
知事
議会において、今質問しているような内容に関係する決議があったわけですから、それについては今県において精査しているというところです。
記者
今回県議会の決議ということで、県民の代表たる議会での意思表明なのですけれども、それを受けて行政の長としてどう対応するかというところもあると思うのですが、仮に精査の結果、再検証必要ないと、第三者委員会も必要ないというふうに判断された場合の議会との関係性についてはどのようにお考えですか。
知事
2月定例会中にも議会と執行部の関係についてと、私が質問を受け、そのときも答えましたけれども、東日本大震災からの復興ということをしっかり見据えて、そしてそれぞれの立場でそれぞれのやることをしっかりやっていけば、悪いようにはならないと思っています。
記者
ありがとうございます。
記者
別の話になるのですが、政府の方で前年度まで実施していたコンテンツ緊急電子化事業というのがあって、書籍を電子化するというので、復興支援も兼ねた東北に関係するものの書籍を電子化しようという事業だったようなのですが、4分の1程度だったでしょうか、成人向け雑誌がかなりその中に含まれていて、全く復興とは関わりないものだというのが報道で一部出ておったのですけれども、もし、情報、あるいは報道等耳にしていたら、知事、これに関して所感をいただければと思います。
知事
東日本大震災発災直後に、当時の菅内閣の関係者といいますか、政府の中で被災地の雇用確保が大事で、そこにはまずがれきの処理とか、そういう体を動かす仕事はたくさんあるだろうと。他方、体を動かす仕事よりも事務的な仕事の方がいい、また将来のことも考えてIT関係の仕事、そういうものを被災地で増していくようなことのためにデジタルコンテンツ関係の仕事を被災地にもという議論があったということを記憶しています。ですから、もともとはそういう発想だったのだと思うのですけれども、ただ、今報道等で問題になっていることについて、どうも被災地の人たちがどれだけそこで職を確保できていたのか、雇用に役立っていたのかという話は聞こえてこないわけで、その辺はちょっと当初の考え方とは違う方向に行ってしまったのかなということを危惧します。
記者
これに関しては、岩手県としては特にその部分での雇用とかというのは、経済産業省と、あと出版の業界団体との事業だったので、直接関係するということはなかったのだと思うのですけれども、認識としてはどうでしょうか。
知事
そうですね、私のところではちょっと情報は把握していませんけれども、県として何かそういう仕事に関係していたのかということは、ちょっと担当に直接確認してみてほしいと思います。
記者
あと、以前から復興予算の流用ということがやっぱり問題視されていた中で、またこういったことが今明るみになっていることで、これから復興予算ますます必要だというふうな認識の中で、改めて政府、しっかり復興予算、あるいは復興のための予算の確保というのをお願いしたいなと私自身も思うのですけれども、知事としては復興予算、これからどういうふうに改めて政府にはお願いしていくお考えでしょうか。
知事
復興というのは、国民が一つになって、国民みんながその気になって進めていかなければならないものなのです。そのいい例としては、用地取得迅速化のために法改正を行おうということについて、先週、党派を越えて、いわば国会で日本が一つになるような形で地元の要望を実現していこうという動きがあって、そういう国をまとめていくような形で復興というのは進めていかなければならないと思っています。それを国民を分断してしまい、またその中に疑念や対立を引き起こすような形で復興予算が決められ、また使われていくというのは、非常によくないなというふうに思います。
そもそも私は復興予算の財源を増税に求めるべきではなくて、まさに緊急事態でありますから、こういうときこそ国債を増発して財源を調達していいのだと思っていたのですけれども、菅内閣から野田内閣にかけて増税で復興予算を調達するということで、特別会計になってしまったわけですよね。県は、復興は特別会計にしているわけではなく、普通の予算と一緒の会計でやっていて、そして岩手県は内陸における産業振興のようなことも、これは回り回って、あるいは直接的に沿岸の復興振興、復興にも役に立つのだから、そういうオール岩手として復興すべきということで、県民の皆さんにも理解いただきながら予算を決め、執行しているのですが、日本全体の場合は復興予算を特別会計にしてしまったがゆえに、被災地以外のところで使われる予算については対象にしてはおかしいとか、そこでどうも復興に向けて国がまとまらないような構造になってしまったというところに問題があると思っています。本質的には、被災地以外のところでの復興に直接関係ない事業だとしても、それがオールジャパンとしての復興に役立つのであれば、私は歓迎すべきだと思っているのですけれども、そこが今の政府においてきちっと整理されず、国民の理解を得る形で行われていないというのは問題だと思います。
記者
そうすると、やっぱりもう一度改めて、新年度予算の成立、政府の方でもしていますけれども、改めて復興予算に関しては政府として再点検というか、しっかり改めて見詰め直してほしいというようなお気持ちだという、ざっくり言うとそう捉えましたけれども、いかがでしょうか。
知事
今のような特別会計のもとで復興を進めるという制度ができてしまっている以上、そこに直接関係ない予算については、別途列島強靱化の枠になるのか、あるいはそれとは別の日本再生の枠になるのか、いずれそこはきちっと整理して予算を決め、執行するというふうにしなければならないのだと思います。
記者
ありがとうございます。
知事
そのためには、きょうも私、手紙である建築家の方から、3年たつけれども、復興がうまく進んでいないように見えるが、これは国全体としてのグランドデザインがないからだという手紙が届いていまして、それはそのとおりだなと思っていて、さっきから言っているようなオールジャパンとして東日本大震災から復興していくという、そういうグランドデザインがあれば、その中で被災地に直接関係しない部分でもこういう事業をやって、そしてそれが復興にもつながりというような、そういうグランドデザインが今ないがゆえに、さまざまな混乱が生じているということがあると思います。
震災から3年たって、改めて国全体のグランドデザインをつくるべき時だと思います。
記者
今、税の話がありましたので、きょうは節目の日なので、改めてお話を伺いたいのですが、冒頭に県政運営の方針の中、本格復興推進年ということで力を入れていくということでしたけれども、一方できょうから消費増税が始まりました。駆け込み需要とかもありましたので、これからいろんな反動が見込まれるということと、あとこれからもちろん増税になったわけですから、いろいろな面で影響が出てくるということの中で、県としてどのような点に留意していく、目配りしていくとか、あるいはどのような形で県が役割を果たしていきたいというところをちょっと節目の日なので一言いただけますか。
知事
私はもともと東日本大震災発生直後から消費税増税はやらないほうがいいと、少なくとも被災地ではやらないほうがいいというふうに言ってきたのですけれども、やることになってしまい、きょうから増税ということですので、これを前提として考えなければならないので、まず消費税増税がこの消費を冷え込ませ、経済を縮小させて、それで雇用が減るとか、また生活が苦しくなるとか、そういったことがこの岩手で起きないようにしていかなければならないと思います。また、特に経済的、社会的に恵まれない状況にある人たち、特に仮設住宅等にお住まいの被災者の皆さんがそうなわけですけれども、その皆さんが生活に困ることがあってはならないということがあります。そこはまず被災者の皆さんの生活支援というのをきめ細やかに市町村、県、そして国とでしっかり力を合わせてやる中で、この生活の悪化というふうにならないようにしていかなければと思いますし、それから県民経済については、消費増税分、消費が冷え込むというのは、もうこれは理論的に計算上起きることではあるのですが、それを相殺し、それを上回るだけの経済活動を県内で盛り上げていくということだと思います。復興事業を着実に進めていくということがそういうことになりますし、また復興の中で地域資源活用型の内需拡大型経済成長を図るという目標、これをオール岩手で進めることで、全県的にも持続的に身の丈に合った成長をしっかりしていくような強い経済を実現していきたいと思います。
記者
2点ありまして、1点目は全線開通の陰で、きょうは三鉄開通から実は30年なわけなのですけれども、それの所感をお聞かせくださいというのと、少し早いのですが、南北リアス線全線復旧のこちらも思いというか、感想を聞かせてください。
もう一点は、ちょっと別な話題で、3月末に仮設住宅の空き部屋の運用について市町村に通知をされましたが、一方で大分、仮設住宅の部屋が空いてきている中で、集約をどうしていくかというのも課題になっていると思うのですが、県として市町村にこれについても方針を示していかれるのか、その辺りのお考えを聞かせてください。
知事
仮設住宅の方からですけれども、これは本当にケース・バイ・ケースでありまして、どういう土地を使っているかによって、早くその土地を使えるように、空いた仮設住宅を早くどかしたいというところもあれば、ある程度そこにもう少し仮設住宅を置いておくことが可能で、むしろ住宅不足の中でIターン、Uターンで戻ってきた人に住んでもらうとか、さまざま雇用が求められている、そういう働き手に住んでもらうとか、そこはその地域、地域の経済、社会情勢や、また土地の性質によって決まってくることですので、そこは県、市町村一体になって国とも相談しながら実態に合うように進めていければいいと思っております。
そして、三陸鉄道30周年というのは、日本初の第三セクター鉄道として誕生して30年。30年よくぞ続いたなということで、これは沿線の地域の皆さんがマイレールとしてかわいがっていただいたこと、いろんなお手伝いをしていただいたこと、それがまず大きいと思いますし、あとは関係者の努力でさまざまな困難を乗り越え、そして赤字についても沿線市町村が県と一緒にそれを補てんしながら、そういう意味では県民みんなで守ってきて30年ということだと思います。その中で、東日本大震災発災直後に動かせるところだけまず動かすということが、打ちひしがれた地域の皆さんに元気を持ってもらって、立ち上がるその大きな力になったというような貢献をすることができましたし、また3年間で計画どおり全線復旧ということで岩手全体の復興の牽引役にもなってもらっていると思います。そして、去年「あまちゃん」の放映もあって、全国的に三陸鉄道が知られるようになり、またファンが増え、そうしたさまざまなつながりの力、これがまた復興の力にもなっていくということで、これからますます三陸鉄道というのは地域のためにも大事であり、かつ全国のファンとともにも歩んでいくべき存在に今なっていると思います。
記者
三鉄の話題が続きましたが、一方でJR山田線は復旧のめどが立っていません。これは、復旧をいち早くという住民の思いもあると思うので、今年度どのようにJR側と交渉を続けていきたいのか、知事のお考えをお聞かせください。
知事
JR東日本の方でも山田線の釜石・宮古間、宮古・釜石間の復旧ということについて、なかなかやるということを明言しないで3年近く来たわけですけれども、復旧後の運行を三陸鉄道がやるのであれば、鉄路の復旧をやりたいというところに踏み込んだのは非常に大きな前進だったと思っています。市町村、県、地元の側も、またJR東日本、会社の側も鉄路復旧ということについては同じ方向を向いている、同じ思いを持っているというふうに考えていまして、あとは誰がどのぐらい力を出して、どのような形で運行をしていくのかということをよくよく話し合って決めていく、特に地元がきちっと納得できるような形で決めていくということだと思います。
記者
その知事がおっしゃった、誰がどのぐらい力を出していくという部分なのですが、JR側とまだ開きがあるように思えて、三鉄も赤字が20年続いたということで、山田線に関しても復旧がどうなるかわからない。そういった中で、JRが今のところ10年の赤字補てん額というのを交渉で出してきていますが、それについては知事はどのように受けとめていますか。
知事
私の立場からは数字的なところについて、今は、ああだ、こうだと言うべきではないなと思っておりまして、さっき復興というのは日本の力を一つにしていく、日本国民が統合されていくような形で復興は進めていかなければならないという話をしましたが、このJR山田線問題についてもまさにそのとおりで、私は相対立する立場にいる2者の間での交渉、いわゆるバーゲニングのような交渉ではなくて、同じ仲間同士、一蓮托生、鉄路復旧、地域振興という同じ目標を目指す者同士で誠実に調整を、話し合いを行っていけば悪いようにはならないと思っています。
幹事社
ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。
記者
今、知事が山田線のことについて、非常に大きな前進だというお言葉があったのですけれども、提案されたときには半歩前進だということで県がコメントを出していたのですが、そのときよりも前向きに今は受けとめていらっしゃるというふうにも聞こえるのですが、その辺りいかがでしょうか。
知事
半歩は半歩ですけれども、大きい半歩だったということですね。
幹事社
それでは、よろしいでしょうか。
広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は4月7日(月曜日)の予定です。
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