年頭における知事訓示

ID番号 N17622 更新日 平成26年1月29日

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とき:平成26年1月6日(月曜日)
ところ:沿岸広域振興局(テレビ中継)
対象者:全職員

 平成26年、西暦2014年の年頭に当たり、訓示を行います。
 東日本大震災津波の発災から3度目の正月を迎えました。昨年12月4日で1,000日、今日で1,033日目になります。
 これまで、職員、そして県外の自治体からの応援職員の皆さんの尽力により、被災地の復興が着実に進んでいます。
 しかし、今なお3万5千人の方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を強いられており、一日千秋の想いで、元の暮らしに戻れることを待ち望んでいます。 
 被災地の厳しい状況を念頭に置き、いまなお「非常時」であるという意識を改めて職員全員で共有し、本年も、復興を県政の基軸として、職員一人ひとりが担当する一つ一つの業務にしっかり取り組んでほしいと思います。


 我々は、昨年、「復興加速年」として、「安全」「暮らし」「なりわい」の3つの原則に基づく復興の基盤づくりに、全力で取組みました。
 その結果、災害廃棄物の約9割の処理を終え、防災集団移転促進事業などの面的整備はほぼ全ての地区で国の事業決定を得ました。
 また、県と市町村が建設を予定する災害公営住宅約6千戸のうち約6割の用地を取得し事業を進めているところであり、被災事業所についても一部再開を含め約8割まで事業が再開され、県内13産地魚市場の水揚量も平年水準の約7割まで回復しています。
 このように、今年度末までの第1期復興実施計画期間は、まちづくり事業等に遅れがあるものの、現時点で、全体として指標の8割以上で目標を達成し、応急復旧を終え、本格復興に向けた復興基盤づくりを進めることができました。
 さらに、昨年は、岩手にとって未来が開ける明るい話題もありました。ILC国際リニアコライダーの国内建設候補地が研究者の組織によって北上山地に一本化されたこと、三陸ジオパークが日本ジオパークに認定されたこと、また、北三陸を舞台としたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」が全国のお茶の間を賑わせ、社会現象とまでなったことです。
 このような岩手の未来を開く要素を「復興の力」とし、復興の推進とその先にある「希望郷いわて」の実現に向け、政策を展開していきたいと思います。


 今年は「基盤復興」から「本格復興」へのステップアップの年であり、『本格復興推進年』と銘打ち、復興のスピードアップを図ります。
 そして、「未来に追いつく復興」の実現に向け、具体的なプロジェクトを前に進める大事な年です。
 現在、平成26年4月からの第2期復興実施計画を策定中ですが、復興を進め、未来に向かう岩手にとって、決定的に重要なのが「若者」と「女性」です。
 ドラマ「あまちゃん」でも、元気な若者や女性が前面に出て、地域振興を成功させ、日本を元気にし、復興を力強く推進する様子が描かれました。
 現実においても、若者、女性が復興や岩手の躍進をリードする例が多くあります。
 第2期実施計画の案においては、特に、若者、女性などの地域社会の担い手や多様な主体と連携し、地域の社会経済活動の基盤となる復興まちづくりの概成、被災者の方々が安心して心豊かに暮らせる生活環境の実現、的確な風評被害への対応や、復興まちづくりと一体となったなりわいの再生による、地域の経済活力の回復を図り、被災者一人ひとりが安心して生活を営むことができ、将来にわたって持続可能な地域社会の構築を目指す「本格復興」の実現を、基本方向に据えています。


 一方、「未来に追いつく復興」の代表として中核的プロジェクトがあります。
 まず、ILCについては、今年は、日本政府の建設の意思決定に向けた一層の働きかけ、国内外の世論・関係者への働きかけ、さらには、全部局にまたがる仕事としてILCの受入れ環境の整備など、地元としてあらゆる努力を惜しまず、やれることは何でもやるという覚悟で対応していきたいと思います。
 日本ジオパークに認定された「三陸ジオパーク」は、青森県八戸市から宮城県気仙沼市までの3県16市町村にまたがる日本最大のジオパークです。震災で疲弊している三陸が観光・地域づくりで未来に向かう創造プロジェクトとして、また、次は世界ジオパークを目指して、市町村や関係団体と協力しながら、様々な活動を展開していきます。
 三つ目は、「平泉の文化遺産」の普遍的理念・価値の普及、PRです。柳之御所遺跡から出土した折敷片のカエル戯画をイラスト化した公認キャラクター「ケロ平」の活用や、「平泉世界遺産の日」県条例の制定、「平泉授業」、海外でのプレゼン活動などを通じ、県内外・国内外への平泉理念のさらなる普及、浸透を図ります。
 そして、平成28年に実施する「希望郷いわて国体」と「希望郷いわて大会」です。冬季大会も含めた完全国体として実施することになりました。冬季大会は1月から開催予定であり、ちょうど2年後になります。市町村や関係団体と連携し、ぬかりなく準備を進めていきましょう。
 このほか、再生可能エネルギーの利活用の促進、いわてマンガプロジェクト、デジタルコンテンツの振興などソフトパワーを生かす施策の推進、また、国内外からの観光客誘致や県産品の販売の促進などについても、積極的に取り組んでいきます。

 
 次に、職員としての心構えに関して、復興と自治の話をしたいと思います。
 復興の目的は、被災者一人ひとりが復興していくこと。被災した一人ひとりの「安全の確保」、「暮らしの再建」、「なりわいの再生」であり、どれほど壊れたものが復旧したり経済的な数字が良くなったりしても、そこで生身の被災者の生活が再建できないとか、仕事に復帰できないという状態では復興とは言えません。
 「地方自治法」第1条の2には、地方自治の目的は「住民の福祉の増進」とあります。住民一人ひとりが目的となっているというところが、復興の構造と同じ構造です。
 復興に取り組むことは、自治の原点に立ち返ることであり、また、自治を進化させることでもあります。
 改めて、自治と復興の関係を意識しながら、日々の業務に当たってまいりましょう。
 そして、岩手県職員憲章の5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令順守」、「地域意識」も、実践していきましょう。


 最後に、部課長研修でも話した「アマノミクス」の話で締めたいと思います。
 昨年は、岩手の県民が、いわば「あまちゃん」から大いに元気をもらいました。
 我々は、地域には宝物がたくさん埋もれており、これらを発掘して磨きあげ、イコール「地元に潜る」ことを基本にして、堀り出した宝物をインターネットやテレビで宣伝するなどして、全国のファンの皆さんとつながり、地元の世界に潜入してもらい、深く潜ってもらって、地域の振興を実現していくという「アマノミクスの原理」を「あまちゃん」の中に発見しました。
 今年を昨年よりも良い年にするように、県内各地でこのアマノミクスを実践し、明るく力強く復興を進めていきましょう。そして、職員全体のパワーで130万県民を笑顔にできるように頑張ってまいりましょう。

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