年頭における知事訓示

ID番号 N5194 更新日 平成26年1月17日

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とき:平成24年1月4日(水曜日)
ところ:沿岸広域振興局(テレビ中継)
対象者:全職員

平成24年の年頭に当たり、訓示を行います。
昨年3月11日に発生した東日本大震災津波によって、極めて大きな被害が生じ、多くの尊い命が失われました。あらためて亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りし、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
震災発生以来、県職員が、今までにない大きな災害対応の中で、今までにないような努力と工夫で、しっかりと対応していることを多とします。また、他都道府県の自治体から応援に来てくださっている職員の方々は、本当に助けていただいておりまして、心から御礼を申し上げます。
本年は、年頭から復興に向けた大変な年になりますが、それぞれ健康に留意しながら、引き続きしっかり業務を進めていただきたいと思います。
東日本大震災津波により、本県は、死者・行方不明者が6千人を超え、2万4千棟を超える家屋が損壊し、沿岸部を中心に甚大な被害を受けました。
近代的な生活や産業の基盤が、一瞬にして壊滅するという未曾有の大災害を目の当たりにし、私は、「犠牲になった方々の故郷への思いを引き継ぐこと」、「被災された方々の幸福追求権を保障すること」の2つを復興の原則として掲げました。一方、「答えは現場にある」ということで、発災直後から、職員それぞれが現場力を発揮して被災者支援、復旧・復興に当たってくれたと思います。
また、自衛隊やDMAT災害派遣医療チーム、警察、消防、地元消防団の方々には、献身的に救助活動、被災者支援に御尽力をいただきました。
このように、県職員が、県民やご支援してくださる方々と一丸となって困難を乗り越えようと底力を発揮し、前例のない取組をして、発災当初の危機的状況を乗りきることができました。
発災1ヶ月後の4月11日に着手した県の復興計画づくりも、県民の皆様からの御意見をいただきながら、8月11日に策定することができました。
そして、国に先んじて編成した9回にもわたる補正予算により、応急仮設住宅の建設、災害廃棄物の仮置場への撤去、サケふ化場や魚市場の施設復旧など、被災者支援や、復旧・復興に向けた取組を進めることができました。
特に、懸案事項であった災害廃棄物は広域処理に向けて動き出し、二重債務問題は岩手県産業復興機構を設立し企業への支援を開始し、放射線対策では、米や牛肉、魚などの農水産物の放射線量の測定、公表や、小学校の校舎や校庭などでの放射線量の測定や除染などの安全対策を進めてきました。
昨年末までには、被災した沿岸市町村の復興計画も全て出揃い、危機管理から復興管理へと、岩手全体で進んでいける体制ができました。
本年は、実質的な復興へのスタートとなる年です。
復興計画の3つの原則に掲げた事業を着実に推進していかなければなりません。
まず、「安全」の確保として、津波によって破壊された防潮堤などの整備、次に、「暮らし」の再建として、被災者の住環境の整備に向けた各種支援制度の創設や充実、こころのケアの推進や学校施設の整備、そして、「なりわい」の再生として、壊滅的な被害を受けた水産業施設の整備、再建した企業の経営安定化に向けた支援、雇用の安定的な確保など、これらの事業について、国の補正予算や平成24年度当初予算、復興特区制度の活用、復興庁の設置などと併せ、復旧・復興に向けた取組を加速させていかなければなりません。
それから、本年は「いわて県民計画」の第2期アクションプランがスタートします。内陸地域の活力が沿岸地域の振興を支えていくことにも十分に配慮し、復興計画と併せて、「希望郷いわて」の実現を目指していきます。
平安時代に、激しい戦乱により荒廃した東北に平和な理想郷を実現するために築かれた「平泉」が、昨年、世界文化遺産に登録されたことは、今回の震災で大きな被害を受けた岩手、東北に勇気と誇りを与え、復興に向けた希望の光となっています。
また、ILC国際リニアコライダーも、復興の象徴として本県への誘致を進めているもので、国の補正予算において北上高地などの調査費が計上されるなど、国も動き始めています。
平泉と国際リニアコライダーは、それぞれ歴史、地形という地域資源を活用するものであり、国家プロジェクトとしても相応しく、世界中とも繋がっていくことができる素晴らしいものだと考えています。東日本大震災津波からの復興もそうでなくてはならず、地に足のついた、オールジャパンの取組、そして、さらに世界に開かれた復興となっていかなければなりません。
そして、本年は、「いわてディスティネーションキャンペーン」が32年ぶりに本県単独で開催されます。平泉から沿岸、県北へと物語をつなぎ、多くの方々に来県いただくことにより、その経済効果を、復興に向けた力として全県に波及させていきたいと思います。
本県では、カスリン・アイオン台風の後に、北上特定地域総合開発計画において、北上川流域に5大ダムを造り、企業局を設置して工業用水を確保したり、三陸縦貫鉄道の整備も進めたりするなど、一大開発を進めてきました。今回、沿岸地域の復興を進める中で、復興道路として、三陸沿岸道路、東北横断自動車道釜石秋田線や宮古盛岡横断道路の整備が決定し、三陸鉄道も全線復旧に向けた作業が開始されました。岩手の三陸海岸を縦に貫く移動手段と、沿岸部と内陸部を結ぶこれらの移動手段の確保は、明治以降からの悲願である沿岸地域と北上高地の開発、そして、岩手県全体の総合開発につながるものです。
職員の皆さんには、今後100年間の岩手の繁栄の礎を作る気概で業務に臨んでいただきたいと思います。
また、昨年の部課長研修の場でも申し上げましたが、世界全体が、今、どの方向に進んでいくのか分からない状態にあって、復興の現場でこそ、これからの世界のあるべき姿が明らかになっていくという手応えを感じています。人、行政、社会のあるべき姿を復興の現場において実現させていくことで、グローバル社会のあり方について、この岩手から発信することができると思います。そこまで視野に入れて復興に取り組んでほしいと思いますし、県職員にはそれが出来ると確信しています。
岩手県職員憲章の5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令遵守」、そして「地域意識」を常に心の中に抱き、前進していきましょう。
岩手は必ず復興します。
日本中、世界中から寄せられている祈りと、差し伸べられている支援の輪、つながりを大切にしながら、岩手県の開かれた復興に向け、心を1つにしてオール岩手で取り組んでいきましょう。
終わります。

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