内外情勢調査会盛岡支部懇談会における知事講演『「幸福」で描く岩手の将来像』

ID番号 N62049 更新日 平成30年2月28日

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とき:平成29年11月27日
ところ:ホテルロイヤル盛岡

はじめに

 本日は、『「幸福」で描く岩手の将来像』と題し、この幸福という言葉、これを県の次期総合計画の中に盛り込んでいこうということをお話しします。
 県の総合計画というのは10年計画でありまして、10年前のこの場でも当時策定を進めていた新しい総合計画の内容をもとに講演をさせていただきました。
 その計画は「いわて県民計画」という名称で、今もそれに基づいて県政を行っているところですが、その計画が来年度末で計画期間終了となることから、去る9月に次期総合計画の策定に着手することを正式発表したところです。
 東日本大震災津波や昨年の台風第10号災害など大災害からの復旧・復興と、またいわゆる地方創生、ふるさと振興を大きな課題として取り組んできた中で得られた知見や教訓を生かしていきたいと思っています。

1 「復興」と「ふるさと振興」

(1)大災害からの復旧・復興

《岩手県東日本大震災津波復興計画》

 まず東日本大震災津波からの復興についてお話しします。
 震災から1か月後の平成23年4月11日、県では「東日本大震災津波からの復興に向けた基本方針」を発表しました。その基本方針では、二つの原則として、「一人ひとりの幸福追求権を保障すること」と「犠牲者の故郷への思いを継承すること」を掲げました。
 そして震災から5か月後の平成23年8月11日には、「岩手県東日本大震災津波復興計画」を策定しました。
 計画では、「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」を目指す姿に掲げ、復旧・復興の第一歩となる緊急的な取組や本格的な復興に向けた基礎づくりを起点として、被災者の生活の安定と住宅再建、水産業をはじめとする地域産業の再生などの本格復興の取組など、段階に応じた多様な事業を計画に基づいて推進してきました。
 一方、この復興の目的というのは、突き詰めますと被災された方々一人ひとりが復興していくことでなければなりません。一人一復興ということです。それぞれが希望をもって確かな歩みを進めることができるよう寄り添ったこまやかな対応も必要です。
 現在、「安全」の確保、「暮らし」の再建、「なりわい」の再生というこの3本柱で復興事業を進めています。
 

《「安全」の確保》

 「安全」の確保について、防災文化を醸成・継承しながら、災害に強い安全な多重防災型まちづくりの実現を進めています。
 (まちづくり面整備、復興道路)
 土地の区画整理や高台への集団移転など、まちづくり面整備事業は、7割以上が完了しています。
 そして復興道路。沿岸部を縦断する三陸沿岸道路と、内陸と沿岸を結ぶ二つの横断道路はかつてないスピードで整備が進んでいます。平成30年代前半には概ね完成する見込みです。
 三陸沿岸の高規格幹線道路は、津波が襲ってきた時の避難場所にもなりますし、緊急物資の輸送路や地域住民の避難路として、まさに「命の道」として極めて有効に機能しました。昨年甚大な被害をもたらした台風第10号でも、この高規格幹線道路部分には何ら支障がなく、災害に強い命の道路ということが示されました。
 (水門・陸閘(りっこう)自動閉鎖システムの本格運用)
 今年7月31日からは、水門などの遠隔操作自動閉鎖システムの本格運用を始めています。
 津波が発生した場合の水門を閉める作業は、東日本大震災津波の時点では人力で行うものであったために、48人の消防団員の尊い命が犠牲になりました。
 こうしたことを繰り返さないためにも、最新技術を生かしたこのシステムを大規模に構築しまして、まずは宮古市と大船渡市の8基の水門等に整備してスタートしましたが、今後全県に広げて、約220基にシステムを順次導入していきます。
 

《「暮らし」の再建》

 次に「暮らし」の再建です。恒久的な住宅への移行とコミュニティの再構築を支援し、お互いに支え合い、安心して心豊かに暮らせる生活環境の実現に取り組んでいます。
 県では、持ち家による住宅再建を約1万戸と見込み、県と市町村で災害公営住宅を5,872戸整備する予定としています。今年9月末現在で、その約8割が完成しています。
 公立学校施設については、被災して移転・新築が必要となった県立学校はすべて復旧しています。市町村立学校についても、6月末までに97%が完成しています。
 また、被災した県立病院も順次再建しており、昨年度の大槌病院と山田病院の開院に続き、残す高田病院も建築工事が進捗し、今年度末の開院が予定されているところです。
 

《「なりわい」の再生》

 次に「なりわい」の再生です。地域資源を活用した産業振興や交流人口の拡大によって、地域のなりわいの再生と地域経済の回復に向けた取組を進めています。
 沿岸地域の基幹産業である水産業は、登録漁船数が計画値の97%に達しており、漁船や養殖施設の生産基盤の復旧はほぼ完了しています。
 それから被災事業所の約8割が事業再開または一部再開しており、約6割が震災前の状態にほぼ復旧しています。ただし、業績については、震災前と同程度以上というのは5割に満たない状況でありまして、水産加工業をはじめ、対策が必要となっています。
 商業については商店街や商業機能の再生が本格化しており、陸前高田市では「アバッセたかた」、大船渡市では「キャッセン大船渡」が、それぞれ今年4月に相次いで開業し、市街地ににぎわいが生まれています。
 (ガントリークレーンの供用開始)
 今年の9月23日、釜石港でガントリークレーンの供用が開始されました。
 岩手県でガントリークレーンが設置されるのは今回が初めてのことでありますが、復興のため多くの職員を派遣してくださっている大阪府から、無償でお譲りいただきました。両府県の絆の証としまして、大阪府章と岩手県章が並べて表示されています。
 今までのジブクレーンの約3倍の作業効率がこのガントリークレーンにはありますので、急ピッチで整備が進む復興道路など、港湾を取り巻く環境が大きく変化する中で、釜石港の取扱貨物量の飛躍的な増大が見込まれ、地域経済の力強い発展に結び付いていくことが期待されます。
 (新たな交通ネットワークの形成)
 港湾に関してはもう一つ、来年6月22日に、宮古港と北海道室蘭港を結ぶ、岩手初のフェリー航路の運航が開始されることを御紹介します。
 東北、関東の太平洋沿岸地域と北海道を結ぶ新たなアクセスルートとしまして、復興道路などと相まって、物流や観光面で大きな役割を果たすことが期待されます。
 岩手県沿岸広域振興局と北海道胆振総合振興局が連携協定を結びまして、地域間交流やポートセールス等、貨物や旅客の利用促進にも取り組んでいます。
 港湾機能の向上や、道路や航路の新たな交通ネットワークの形成が進み、沿岸地域では、既に物流関連企業や製造業の新規立地も進んでおりまして、復興にもダイナミックな動きが出てきています。
 

《現在の課題》

 一方、さまざまな課題も出てきています。
 (被災者のこころと体のケア、コミュニティ形成)
 恒久的な住宅への移行が進みつつも、岩手だけで9千人以上の方々が、応急仮設住宅等での生活を余儀なくされています。一部には、住宅再建の意向が未定又は把握できていない、というような方々もいらっしゃいます。
 応急仮設住宅等での生活の長期化や生活環境の変化等に伴う被災者の方々のこころと体のケア、また、恒久的な住宅への移行を踏まえたコミュニティ形成の支援が必要となっています。
 岩手県では、沿岸4地区に「被災者相談支援センター」を設置しまして、被災者の方々の様々な相談にあたっています。また、生活支援相談員の配置によりまして、被災者の見守り、コミュニティづくりの支援など、被災者に寄り添った取組が進められています。
 (復興業務にあたる職員の不足)
 復興業務にあたる職員の不足ということも大きな課題です。
 県も市町村も、膨大な数の工事の設計・発注、埋蔵文化財の調査等に対応するため、任期付職員や再任用職員の任用などを行っていますが、まだまだ人が足りません。
 現在、全国の自治体から県や被災市町村に対して多くの職員を派遣していただいて、復興業務を担っていただいています。
 今年度の応援職員要請数は、県で144人ですが、確保数が129人で15人の不足、被災市町村では、要請数680人に対して確保数632人ということで48人の不足という状況です。
 引き続き、全国の皆様からのお力添えをお願いしますとともに、派遣事業の継続等を全国知事会はじめ関係機関に要請しているところです。
 

《台風第10号災害からの復旧・復興の状況》

 東日本大震災津波からの復興に取り組む中、昨年の台風第10号により、岩手県は再び大きな被害を受けました。
 太平洋側から東北地方に上陸する台風の進路は、気象庁の統計史上初めてのことでした。
 台風第10号は、岩手の沿岸部を中心に記録的な大雨をもたらし、各地で大規模な浸水や土砂崩れが発生しました。最も被害の大きかった岩泉町では、2日半の間に248mmの降水量、年間降水量の約4分の1が一時に降りました。
 (被害状況)
 岩手県内で関連死も含め、24名もの方々が犠牲になりました。住家の被害は、全壊・半壊が約2,800棟、浸水被害が約1,500棟と大変大きいものでした。
 公共土木施設被害800億円余と産業被害580億円余等、合わせて1,400億円を超える被害は、東日本大震災津波を除きますと、戦後最大の被害額です。
 東日本大震災津波からの復旧・復興に取り組む沿岸被災地に重ねて大きな爪痕を残した台風第10号でありまして、完成又は着工中にある漁港が防波堤の倒壊などの被害を受けました。また、浸水等により、なりわいの再生に向かう事業者等が再び甚大な被害を受けました。サケ・マスふ化場についても、台風により被災したふ化場の半分が、東日本大震災津波とあわせて二重被害という状況でした。
 (復旧・復興に向けた取組)
 発災直後から県では、被災者の生活再建に向けて、国の制度の対象とならない被災世帯に対しても、市町村と連携して県独自の支援金を支給しました。
 また、商工観光事業者の再建に向けて、従来の融資型の支援に加えて、市町村の判断と裁量によって柔軟な対応が可能になる県独自の交付金制度を設けまして、地域の産業活動等の早急な再開に取り組みました。
 他にも、サケ・マスふ化場の再開支援など、被災された方々が希望をもって復旧・復興に取り組むことができるよう、さまざまな対応を展開しました。
 今年の3月に龍泉洞が営業を再開し、4月には道の駅いわいずみが本格的に営業。そして先月、岩泉ヨーグルトの販売が再開と、復旧・復興に向けた象徴的な動きがどんどん出ているところです。
 

《風化させない情報発信》

 東日本大震災津波と台風第10号災害からの復旧・復興を進める中、特に東日本大震災津波については、震災に関する情報に触れる機会が減ってきており、いわゆる風化が懸念されています。
 (Webサイト「いわて震災津波アーカイブ~希望~」)
 県では、東日本大震災津波の資料収集と公開を行うシステムの構築を行い、今年3月にウェブサイト「いわて震災津波アーカイブ~希望~」を開設しました。
 県内の市町村や防災関係機関など、多くの皆様に御協力をいただいて、20万点を超える震災津波関連資料を収集して公開しています。
 各機関の震災時の対応を時系列に見ることができますし、またテーマごとに情報を追うこともできるなど、防災活動のほか、防災・復興教育、復興ツーリズム・震災学習など、様々な場面でも役に立つように工夫しています。
 (震災津波伝承施設(仮称))
 三陸沿岸地域は、歴史的に数多くの震災・津波災害の被害を受けてきましたし、今後も地震の発生や津波の襲来が予想されます。
 過去の震災・津波災害の事実と教訓を確実に次の世代に継承していくことが、今回東日本大震災津波を経験した私たちの責務と考えています。
 そのための施設がこの震災津波伝承施設(仮称)でありまして、国営高田松原津波復興祈念公園の中に整備します。
 高田松原津波復興祈念公園は、「東日本大震災津波の被災の実情と教訓の伝承」、「復興への力強い意志と力の発信」、「三陸地域に育まれた津波防災文化の継承」等を基本方針として、復興の象徴として整備を進めています。
 震災津波伝承施設は、ラグビーワールドカップ2019™の釜石開催までに開館できるよう準備を進めています。
 震災津波災害関連の研究者・専門家から防災学習で訪れる小中学生まで、幅広い層の利用を想定しており、東日本大震災津波の伝承と防災学習の拠点として、全国・世界から多くの方々に訪れていただける施設となるよう整備していきます。
 (東日本大震災津波の記憶を発信するドラマ)
 「復興に向けて立ち上がる岩手の姿」を全国に伝えて、継続的な支援につなげていこう、と様々な情報発信を行っています。
 歴史小説「炎立つ」で有名な高橋克彦さんの監修のもと、スタッフ、エキストラ、ロケ地なども含めて、オール岩手で復興ドラマを制作しました。
 ストーリーテラーとしては、陸前高田市出身の俳優、村上弘明さんに出演いただいています。
 このドキュメンタリードラマは、今年3月に公開して、県内各地での上映会、地元テレビ局での特別放送、そして今、ユーチューブの岩手県公式チャンネルでの公開などしておりますので、御覧いただきたいと思います。
 

《防災体制の強化》

 東日本大震災津波では、現地調査やヒアリング等のほか、岩手県防災会議で、人命救助や医療活動、避難所運営、ボランティア、被災市町村の行政機能など21項目について、綿密な把握・検証を発災の年、平成23年度中に行っています。
 この検証結果を踏まえて、同年度中に岩手県地域防災計画の見直しも行っています。
 台風第10号災害においても、同様な検証を行いまして、「風水害対策支援チーム」という新しい仕組みを設置しました。これは、事前に災害の発生が予想される場合に、市町村が避難勧告などの発令を判断するための情報提供や助言を行うチームを県が招集するという仕組みです。
 災害で得られた知見や教訓を、その都度、その後の防災体制の強化にしっかりと反映しています。
 
 

(2)ふるさと振興の展開

《岩手県ふるさと振興総合戦略》

 いわゆる地方創生の取組、ふるさと振興については、まち・ひと・しごと創生法に基づくビジョンや戦略として、岩手県では、平成27年10月に「岩手県ふるさと振興総合戦略」を策定しました。岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの3つの柱の下に施策を展開しています。今年度は、このふるさと振興総合戦略における計画期間の中間年にあたります。
 

《岩手で働く》

 「岩手で働く」については、社会減ゼロを目指す、を施策推進目標に掲げて、やりがいがあり、安定して働くことができる雇用、労働環境の整備の促進、首都圏の移住相談窓口の拡充など、U・Iターン対策の強化を行っています。
 (いわて働き方改革推進運動)
 昨年度からは「いわてで働こう推進協議会」を核とした全県的な働き方改革推進運動を始めています。
 復興とふるさと振興の両方において、地域経済の維持・発展の原動力として企業の生産性を高めるということが重要であり、またその担い手である働く人たちが生き生きと働くことができる魅力ある雇用環境も重要です。長時間労働の是正等、働き方改革は、そういう流れの中で不可欠と考えておりまして、人材確保を図る上でも必要なものとして取り組んでいます。
 働き方改革推進運動に参加する企業の優良事例を「いわて働き方改革AWARD」として表彰するということも行っています。
 (いわてで働こう総合イベント)
 若者の県内就職の促進、職場定着につなげていく取組として、今年の9月、いわてで働こう総合イベント「いわてとワタシゴト展」を開催しました。
 経営者、職人によるトークイベントや、若者によるプレゼンテーション、地元で活躍する若手社員の参加型トークセッションなど、岩手で働くことの魅力を、経営側、働いている人たち、またこれから働こうとする若い人たちやそういう人たちが通っている学校関係者などの間で共有することができるように工夫しました。
 (いわて産業人材奨学金返還支援制度)
 また、将来のものづくり産業を担うリーダーとなる人材の確保・定着を図るため、大学等を卒業した後、県内企業に一定期間就業した場合に奨学金の返還を支援する制度を、産業界、経済界に協力をいただいて今年の4月からスタートしています。
 

《岩手で育てる》

 (“いきいき岩手”結婚サポートセンター「i-サポ」)
 「岩手で育てる」については、“いきいき岩手”結婚サポートセンター「i-サポ」を立ち上げました。このi-サポの会員数はどんどん増えているところですが、直近の平成28年における岩手県の合計特殊出生率は1.45であり、全国値は上回っているものの、前年に比べると0.04ポイント下降となっています。
 このi-サポは、1,287人の会員登録をいただき、設置以来、お見合い790件、交際まで発展した会員が390組、そして成婚に至ったカップルが今年度だけで14組、累計24組という成果が上がっています。
 今年10月、盛岡市と宮古市に次いで県内3番目の「i-サポ奥州」をオープンしたところです。
 

《岩手で暮らす》

 「岩手で暮らす」については、医療・福祉や文化、教育など豊かなふるさとを支える基盤の強化を進めて、地域の魅力向上を目指す取組を展開しています。
 施策推進目標として、国民所得に対する県民所得水準を93.4以上にすることを目標値に掲げていますが、直近の平成26年に94.7と上昇しています。
 特に、若者・女性の活躍支援に力を入れておりまして、働きにくさ、結婚しにくさ、子供の産みにくさ、子育てのしにくさ、そういった「生きにくさ」というものを「生きやすさ」に転換することによって合計特殊出生率の向上を目指していきたいと考えています。
 (女性の活躍支援)
 女性の活躍支援の取組としては、県では、国の女性活躍推進法の施行に先駆けまして、県内の経済団体・産業団体等で構成する「いわて女性の活躍促進連携会議」を設置して、各種セミナーの開催等、様々な事業を実施しています。
 今年度は、「けんせつ小町部会」、「農山漁村で輝く女性部会」など、5つの部会を設置しまして、様々な分野の団体等と連携しながら取組を進めています。県独自の「いわて女性活躍企業等認定制度」の創設や、「いわて働き方改革AWARD」の中に「女性活躍推進」に係る個別プロジェクト賞の設置など、取組も充実させています。
 (若者の活躍支援)
 若者の活躍支援としては、「いわて若者文化祭」や「いわて若者会議」を開催しています。
 若者が地域や職場、学校の壁を越えた交流を深めながら、それぞれに活躍の場を広げ、また、岩手で起業して成功している先輩の話、岩手から世界に打って出るようなビジネスを展開している人の話を聞く、そういう会議など、岩手の若者が力をつけてそれぞれの生産性を高めながら、岩手で働いて、稼いで暮らしていくことができるようにしているところです。
 その中で今年の7月には「いわて若者カフェ」を開設しました。
 「いわて若者会議」での若者からの提案を実現させたものですが、県公会堂の地下を活用して、活動・交流スペース、またインターネット放送ができるミニスタジオ機能も兼ね備えており、さまざまな交流や情報発信に使うことができます。
 

《希望郷いわて国体・希望郷いわて大会のレガシー》

 昨年、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を成功させることができました。選手の目覚ましい活躍によって、天皇杯・皇后杯2位を勝ち取ったこと、また、岩手の文化・芸術のすばらしさやおもてなしの心なども高い評価をいただいて、県民が自信と誇り、そして希望を持つことにつながったと思います。
 これをレガシーとして引き継いでいくために、岩手県文化・スポーツ振興戦略を今年3月策定し、県組織として「文化スポーツ部」を新設し、言わば今年を「文化・スポーツ振興元年」として様々な取組を展開しているところです。
 国体・大会から1周年となる今年の9月から10月には、1周年記念事業を展開しまして、レガシーの定着・発展を図りました。
 (全国の舞台で輝く若者の力)
 今年愛媛県で開催された国体、「愛顔つなぐえひめ国体」では、昨年のいわて国体を除いて、2巡目国体で最高順位となる14位を勝ち取りまして、長年にわたる選手強化の取組の成果として、レガシーがしっかり受け継がれた大会となりました。
 山岳少年女子の田中里旺選手・伊藤ふたば選手組のリード準優勝とボルダリング優勝、自転車少年男子の中野慎詞選手のスプリント優勝、ホッケー少年男子の優勝やフェンシングのフルーレ男子の連覇など、若者の力が全国の舞台で輝き、東京オリンピックなどの国際大会での活躍も期待できます。
 (国際大会等の誘致)
 国際大会については、今年、東アジアU22ハンドボール選手権が花巻市で開かれたほか、カヌージャパンカップが奥州市で開催されました。来年には、テニスの国別対抗戦のデビスカップが盛岡市でも開催されることになりました。
 また、伊藤ふたば選手も練習している、県営運動公園に整備したスポーツクライミングの登はん競技場では、今年5月、カナダ代表チームによるワールドカップ事前キャンプが行われました。8月には、JOCの強化センターに認定されています。
 10月には、「いわてスポーツコミッション」を設立しました。オリンピック・パラリンピックの事前合宿や全国規模のスポーツ大会、企業・大学等のスポーツ合宿の誘致などにもより力を入れていきます。
 

《ラグビーワールドカップ2019™岩手県・釜石市開催》

 2019年には、ラグビーワールドカップ™釜石市開催を迎えます。
 東日本大震災津波の際に世界中から頂いた支援に対する感謝を伝えるとともに、復興の姿を発信するための絶好の機会と捉えています。
 今年4月に、県内、東北・北海道エリアの行政、民間、関係団体など146団体で構成する「ラグビーワールドカップ2019釜石開催実行委員会」を設立しました。そして今月2日には、対戦カードや試合日程が決定し、大会が目前に迫ってきたことを実感しています。
 岩手県釜石市会場では、東日本大震災津波の支援をしてくださっていたフィジーなど、岩手にゆかりのあるチームの試合が行われます。この世界的スポーツイベントが県民にとってより身近な大会になることを願っています。
 大会を契機として、国内外観戦客等の来県による交流人口の拡大や、地域経済の活性化が期待されます。この機を捉えて、東北・北海道エリアにおける関係機関・団体と連携を取りながら、情報発信の強化で誘客促進や受入体制の充実に取り組んでいきます。
 

《県産オリジナル水稲品種のブランド化》

 地方創生、ふるさと振興の展開にこれも含まれますが、昨年の10月に「銀河のしずく」という県産オリジナル水稲品種が市場デビューしまして、参考品種ながら県独自品種としては初めての「特A」評価を米の食味ランキングでいただきました。売れ行きも大変好調で、今年は作付面積をさらに拡大しました。
 そして、今年は先月「金色の風」がデビューしまして、全国に誇れる最高級品種として売っていきたいと考えています。
 「金色の風」「銀河のしずく」のPRには、共通して女優ののんさんに出演をいただいて、大きな話題となっています。
 「金」「銀」2つの品種の相乗効果を図りながら、オリジナル新品種のブランド化を核として県産米全体の評価・知名度を向上させ、全国トップクラスの米の産地形成を進めていきたいと思います。

2 これからの地方のあり方

(1)県が担う役割・領域の変化

《県の果たす役割の拡大》

 復興やふるさと振興などを進める中で、県が果たす役割が大きくなってきていることを実感しています。
 例えば、岩手県ふるさと振興総合戦略では、その策定根拠となるまち・ひと・しごと創生法において、目標設定や施策の方向性について市町村の調整機能、舵取りが県に求められています。
 また、国土強靱化地域計画の推進、国の緊急経済対策に呼応した取組のほか、医療や社会保障、農林水産業などあらゆる分野で、これまで以上に県としての対応が求められるようになってきています。
 財政規模や広域性、様々な専門的知見やノウハウといった面と、暮らしや仕事の現場に近いということの中で、国と基礎自治体である市町村の間にある、この県というものの役割が高まっていると思います。
 

《県と市町村の役割分担》

 平成12年4月、地方分権一括法の施行など地方分権が大きく進む一方、市町村、県、また国もありますが、役割分担をはっきりさせて二重行政、三重行政を防ぐべきだという改革の方向性が強く言われていましたが、東日本大震災津波からの復興に取り組み、また希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の準備や運営に当たっておりますと、県と市町村が密接に連携して、いわば混然一体となって課題に取り組んでいくということが求められ、かつ効果があると感じています。
 例えば、東日本大震災津波の発災直後、災害支援物資を普通は直接市町村が受けるわけですけれども、県が中継点を設けて、県が仕分けをした後に市町村に送り込むという物資物流システムを構築してうまくいきました。また、災害廃棄物の処理事務は基本的に市町村が行うことになっていましたが、これを県が代行しました。市町村の行政機能が停滞して処理能力を超えるような危機に直面した場合には、地方自治の二層制の役割分担を超えて県が市町村を支援するということが必要であり、かつ有効であったと思います。
 いわゆる地方創生の課題である人口減少も、これはかなりの非常事態でありまして、そういった中においてはやはり県と市町村が密接に連携して、リスクにもチャンスにも柔軟に対応していくということが住民本位の視点からも重要ではないかと考えています。
 
 

(2)全国知事会議in岩手の開催

《全国知事会議の役割》

 このように県の役割というものが大きくなっていく中で、今年の7月に岩手県盛岡市で全国知事会議が開催されました。
 歴史を紐解きますと、帝国議会ができる前、桂小五郎、後の木戸孝允が議長を務めた第1回地方官会議が明治8年に開かれています。
 これは当時、帝国議会、今で言う国会の役割を先取りしたものという位置付けもありました。
 全国知事会議の開催にあたって、地方の声を代表して一つに集約していくという意味では、今の日本の国会の機能を補っていく役割、状況によって補って余りあるような役割も果たすことができると思っていまして、全国知事会議というものの重要性も高まっているのではないかと思います。
 

《東日本大震災津波における全国知事会の取組》

 東日本大震災津波発生時には、復興予算の確保や復興特区の創設等に向けた国への提案・要望活動、また発災直後から物資・機材の提供や職員の派遣等の調整など、全国知事会には各都道府県の活動を強力にサポートしていただきました。
 特に、各都道府県からの応援職員の派遣調整については、被災県からの要請に応えるべく取り組んでいただき、いまなお多くの貴重な人材を派遣いただいています。
 

《初の被災地開催~「岩手宣言」の採択~》

 今年、岩手県盛岡市で開催した全国知事会議では、「孤立社会から共生社会へ~地方から日本を変える~」をテーマにしまして、東日本大震災津波からの早期復興や東京オリンピック・パラリンピック、地方創生、経済財政政策など、日本の地方自治の最前線、地方から日本を変える最前線の議論が行われ、国への提言がまとめられました。
 全国の知事さん方に、あらためて東日本大震災津波の被災地を直接見ていただき、また関係の展示を見ていただくなど、そういう機会としても大変有効であったと思います。
 全国知事会議では、「岩手宣言」という名前で、復興に関する宣言が満場一致で採択されたところでして、大変心強く思っています。

3 次期総合計画の策定に向けて

(1)「幸福」への着目

《ブータン「国民総幸福量」》

 行政が「幸福」という言葉に注目するようになった始まりはブータンではないかと思います。1972年にブータンが「国民総幸福量」という考え方を提唱して、世界が注目しました。
 その背景としては、1970年代、経済成長偏重への疑問が世界中に広がっていたことがあると思います。経済成長はしているけれども、本当の豊かさは得られているのかという疑問。日本国内にも広くあったと思います。公害問題が深刻化し、自然環境の問題など、経済成長の一方で大切なものが損なわれているのではないかという疑問が広がっていたと思います。
 そういう中でこのブータンの国民総幸福量という考え方に多くの人たちが共鳴したのだと思います。
 

《幸福度をめぐる動き》

 近年、世界各国で幸福に視点を置いた研究や指標の策定が進んでいます。
 OECDでは「より良い暮らし指標」を策定しています。日本国内では、内閣府が幸福度に関する研究会を設置して「幸福度指標試案」を平成23年に示しています。また、東京都の荒川区や熊本県等、幸福の概念を政策評価等に用いる自治体が出てきています。
 高度経済成長期においては、社会経済の状況を評価する指標として、主に国内総生産、GDPのような経済指標が用いられてきましたけれども、経済指標のみで社会・経済の状況を評価することの限界のようなものが感じられてきていて、物質的な豊かさだけではない様々な要素にも着目しなければならないのではないか、というようになってきていると思います。
 

《幸福の研究(「岩手の幸福に関する指標」研究会の最終報告)》

 岩手県では、昨年「『岩手の幸福に関する指標』研究会」を立ち上げて、有識者の皆さんに、行政における幸福指標の活用方法について調査・研究していただきまして、今年の9月、最終報告書が公表されました。
(幸福に関する12の領域)
 いろいろな内容がありますが、大事なポイントは、幸福に関する12の領域を体系的に整理してもらったことです。
 12の領域、仕事、収入、居住環境、安全、余暇、健康、子育て、教育、家族、コミュニティ、歴史・文化、自然環境、それぞれの領域について、例えば「仕事にやりがいを感じるか」とか「住まいに快適さを感じるか」など5段階で質問して、それを別途「現在、どの程度幸福だと感じるか」という直接幸福の度合いを5段階で尋ねた「主観的幸福感」との相関関係を調べたところ、そこには相関関係があるということがわかりました。
 そういう意味で、この12の領域ごとにそれぞれの分野、仕事、収入、居住環境、云々とそういったところがどのくらいうまくいっているのか、という形で個人やあるいは県としての幸福度を測ることができ、そして測ることができるということは、その数字を増やしていくこともできるということですので、政策に生かしていくこともできるという、そういう理論的なベースに基づいて次期総合計画を作っていこうとしているところです。
(協調的幸福感、ソーシャル・キャピタル)
 報告書ではもう一つ、「協調的幸福感」、「ソーシャル・キャピタル」という考え方も紹介していまして、「協調的幸福感」は、自分が幸福かどうか考える際に、他の人が幸福かどうかということなどを重視するものです。「ソーシャル・キャピタル」は、社会関係資本とも訳されますが、ご近所づきあいのような交流や社会参加等、個人間のつながりで役に立つようなもののことを言っているわけですが、これらについて、岩手ならではの良さがあるというようなことが指摘されまして、これらも計画に取り入れていくといいのではないかと思っています。
 

《民主主義と幸福》

 東日本大震災津波からの復興の基本方針として、幸福追求権の保障を掲げましたが、この言葉が、日本国憲法第13条に出てきます。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」ということです。
 遡りますと、アメリカ独立宣言に、この「生命、自由、幸福追求の権利」という言葉が出てきまして、そういう意味で幸福追求ということは、デモクラシー、民主主義の原点でもあると考えています。
 ともすれば「幸福」は漠然とした言葉で、人によって意味も内容も違っていて、行政が取り組むのにふさわしいか、という疑問も湧くかもしれませんが、実は民主主義の原点でもあって、何のために国というものを作るのか、何のために共同体というものを民主的に運営していかなければならないのか、というそもそも論の中に、やはりこの幸福の追求ということが不可欠なのだと考えています。
 
 

(2)次期総合計画の策定

《総合計画の変遷》

 県の総合計画は、過去それぞれの時代に応じて様々作られていまして、高度経済成長の時代には、それにふさわしい内容の計画が作られ、また、地方分権、行財政改革などが強く言われた時代には、それに応じた計画が作られたりしてきました。
 現行の総合計画について、今までは「岩手県総合計画」というように県の計画だという名称でしたが、初めて「県民計画」としました。
 県の計画というと、ともすれば行政体としての、県組織の計画と思われてしまいますが、実は県民みんなの計画なのだという趣旨で、「いわて県民計画」という名称にしました。
 10年前、県民所得の低迷、厳しい雇用環境、そして当時から人口流出、また地域医療の危機に直面して、その危機に立ち向かう、それを克服する、そういうトーンの計画として策定されました。
 

《次期総合計画の策定に向けて》

 (基本的な考え方)
 次期総合計画は、2019年度が初年度となる10年間の計画でして、いわて県民計画がまず危機に立ち向かう、特に経済的な危機に立ち向かうという状況の中で作られたのに対し、今私たちは東日本大震災津波を経験し、その後復興に取り組み、県民所得と国民所得のかい離についてはだいぶ数字が良くなってきていますし、10年前深刻だった雇用の問題については今はむしろ人手不足問題の方が本質的な課題になっているということもあり、そういった時代の変化と、そして私たちの経験の積み重ねに基づきながら、物質的な豊かさプラスアルファの豊かさを広げて追求していく。それによって、岩手で働き、岩手で暮らし、岩手で子育てをしていくことができるような、そういう人を確保できるような県にしていく。そういう今なりの問題意識を持って計画を策定していけばいいのではないかと考えているところです。
(県民的な議論を踏まえた計画策定)
 計画策定に当たっては、岩手県総合計画審議会が検討の母体となりますが、全県的に様々な意見交換の場を設定し、またツイッターやフェイスブックなどSNSも活用して、発信と意見聴取を盛んにやっていきたいと思っています。
 オープンな形で県民的な議論を重ねて、県民の、県民による、県民のための計画を策定していきたいと思っていますので、企業、団体からの御意見も大歓迎です。個人としての提案なども歓迎ですので、よろしくお願いします。

4 明日への一歩

 次の10年を展望するにあたって、今から力を入れている取組を紹介します。
 

《三陸防災復興博(仮称)の開催》

 2019年は特別な年でして、ラグビーワールドカップ2019™が開催される年ですが、その年の春には、三陸鉄道による久慈・盛間の一貫運営がスタートします。
 この機を捉えて、この三陸鉄道の南北一貫運営のスタートとラグビーワールドカップ2019™開催の間の時期に、三陸防災復興博(仮称)というイベントを開催することとしています。
 東日本大震災津波への支援に対する感謝の気持ちや、復興の歩みを進める地域の姿を発信し、いわゆる風化防止、あの震災の風化を防ぎ、得られた教訓を広く共有し、そして岩手沿岸三陸地域の今を知っていただく。イコールそれは、岩手沿岸三陸地域の観光地としての魅力、そこで生産される財やサービスの魅力を知っていただくということでもありますので、経済の振興、地域の振興につなげる事業としてビジョンを描いているところです。
 こちらは、今月10日に準備委員会を設立して、ビジョンの段階から具体的な事業の策定に移っているところです。
 

《ILC国際リニアコライダーの実現》

 そして「ILC国際リニアコライダー」です。
 岩手県北上山地に直線の長い地下トンネルを掘って、そこに最先端の加速器を据えて、物質の根源や宇宙の始まりなどの謎を究明しようという国際的なプロジェクトです。
 これが実現しますと、海外の研究者やその家族など、地域での受入れは数千人に及ぶことが想定されています。研究者やその家族が安心して生活し、また研究に専念することができるような環境づくりに向け、オール東北として連携しながらその受入体制の準備を進めているところです。
 今月上旬に、高エネルギー研究の物理学者からなる国際組織「国際将来加速器委員会」で、ILC実現に向けて課題とされてきた高額な整備費用の削減見通し等が承認されました。31~50kmの長さの地下トンネルといわれていたものを、まず20kmから始めるという段階方式の整備で初期の費用を大幅に削減する方針を研究者の皆さんが採択したことで、日本をはじめ、関係国の政府における議論も大きく前進することが期待されます。
 県としましては、日本政府の誘致決定を促す活動を様々に展開しているほか、国民的な理解も大事ですので、そういう意味でPR活動も行っています。ILCを題材にしたSF小説の出版にも岩手県が全面協力しています。あらゆる手段を使って、ILCの国民的な支持を背景に政府が決断できるようにしていこうということです。
 

おわりに

 復興の目的として一人一復興なのだというお話をしましたが、いわて県民計画もまた県民一人ひとりが自己実現を図ることができなければならない、そういう県政でなければならない、という思いから名付けた経緯があります。
 いわゆる地方創生、ふるさと振興についてもやはり究極的には一人ひとりが岩手で暮らし、岩手で働き、岩手で子育てをするという決断ができるようにする、そして実際にそういったことをやりやすくしていく、ということが県に求められていますので、次の10年に向かっても、県民一人ひとりの幸福度を高めていく県政を展開していく、それを実現させる総合計画を作ることができればと思っています。
 
 宮沢賢治さんが「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という言葉を残しています。
 一見とても理想的で普通の人にはついていけないという印象を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、今の世界情勢を考えてみますと、例えば中東において圧倒的な貧困や、圧倒的な貧困を背景に宗教間や民族間の対立が深刻化していく。日本から遠く離れた所の出来事でも、この日本においてテロの発生を心配して暮らしていかなければならない、という国際情勢は「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という言葉のリアリティを感じさせるような状況ではないかと思います。
 また、経済の面で、どんな素晴らしい財やサービスを生産しても、みんながお金に余裕があって、そういう財やサービスにお金を払えるような状況にないと、そこでお金も稼ぐこともできない。そこにも「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」ということのリアルさを感じることができるのではないかと思います。
 そういう意味での幸福度を高めていく取組を岩手においてであれば県民の皆さんが納得して進めていくことができるのではないか、ということを期待しています。
 同じ日本の中でも地域によっては行政が幸福について語るということに全然耳を傾けてもらえないような地域もあるのではないかと懸念しますが、宮沢賢治さんのこの言葉が広く共有されている岩手であれば、この幸福というテーマに対して耳を傾けてくださり、また真剣に考え、さらにはそうだそうだと言って行動に移してくれる、そういう県民の方々がかなり多い。あるいはみんなそうなのではないか、という希望が持てると思っていまして、次期総合計画に向けてこの幸福というテーマを取り入れていければと考えています。
 計画策定までにはまだ時間がありますので、それは非現実的だとか、こういうところはうまくいかないのではないか、というような意見も大歓迎です。むしろそういった批判的な意見をいただきながら、それらに対して更なる工夫を凝らしていくことによって、より良い幸福追求計画ができるのではないかとも思っています。
 やはり民主主義の原点であること、また東日本大震災津波が発生した直後に県として何をしなければならないかと考えた時、難を逃れた方々の幸福の追求を保障するということをしなければならない、それが復興だと感じ、それを県のミッションとして共有し、県民の皆さんと力を合わせて実行に移してきたという経験もありますので、うまくやっていきたいと思います。
 よろしくお願いしまして、私の話を終わります。ありがとうございました。

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