年頭における知事訓示

ID番号 N61104 更新日 平成30年1月4日

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とき:平成30年1月4日(木曜日)
ところ:久慈地区合同庁舎(テレビ中継)
対象者:全職員

【訓示】

 平成30年、2018年の年頭に当たって、訓示を行います。
 
 一年を通じて平成であるという年は今年が最後となります。全国的に平成の30年間を振り返るような一年となるでしょうが、そこから次の世に引き継ぐべきものを見出していくことが重要です。平成時代は前半の阪神淡路大震災、後半の東日本大震災津波に代表される自然災害激化の時代と言うことができますが、岩手はこの東日本大震災津波の現場であり、復興の主体であります。東日本大震災津波からの復興は今年丸7年を迎え、8年目に入ります。応援職員の皆さんもよろしくお願いいたします。昨年は、台風第10号災害からの復旧・復興と併せ、被災地=復興地の安全、暮らし、なりわいを支えるための復興事業に取り組みながら、県内外への情報発信にも力を入れてきました。また昨年は、全国知事会議が岩手で開催され、満場一致で採択された「岩手宣言」では、オールジャパンで復興に取り組み、震災を風化させず教訓を継承していくことを力強く全国に発信することができました。
 
 今、沿岸部の災害公営住宅は約9割が完成し、予定区画の約3分の2の宅地が供給されるなど、恒久的な住宅への移行が着実に進んでいます。また、今年3月には、県立高田病院が開院し、東日本大震災津波で被災した県立病院全てが再建ということになります。かつてないスピードで整備が進む復興道路は、昨年11月、震災後に事業化された区間では初となる「山田宮古道路」が開通し、今後も「三陸沿岸道路」など、次々と完成が予定されています。今年6月には、宮古港と北海道室蘭港を結ぶ、本県初のフェリー航路の運航も開始されます。このフェリー航路の開設と、昨年の釜石港へのガントリークレーンの設置は、震災発災当初には計画になかったものであり、言わば想定以上に復興が進んでいるケースです。港湾機能の向上を含む、新たな交通ネットワークの形成の進展によって、三陸地域のポテンシャルが想定以上に高まる中、交流人口拡大による観光振興や経済交流の活発化による地域産業の一層の振興を図ってまいりましょう。
 いよいよ来年、ラグビーワールドカップ2019™が開催されます。来年には、三陸鉄道の一貫運営の開始、震災津波伝承施設の開館もあり、三陸地域が国内外から大きな注目を集める好機です。この機会を捉えて「三陸防災復興博」、仮称でありますが、これを開催し、しっかり準備を進めながら、地元の底力を高め、また地域の外からも様々な力をいただき、地元の底力と様々なつながりの力を合わせて、復興の更なる展開につなげていきます。
 一方、未だ8千人以上の方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされています。被災者の心と体のケア、恒久的な住宅への移行に向けたお互いに支え合うコミュニティ形成の支援など、一日も早く安心して暮らすことができるよう進めてまいりましょう。
 一人一復興を基本として、被災者=復興者一人ひとりに寄り添いながら、一日も早い復興を実現してまいりましょう。
 
 平成はふるさと創生に始まって、地方創生で終わろうとしています。
 今年は岩手県ふるさと振興総合戦略の計画期間の中間年にあたりますが、これまで、全県的な働き方改革推進運動や若者の地元定着に向けた奨学金支援制度の創設などの産学官連携の取組、結婚支援センター「i-サポ」開設などの結婚支援や出産・子育て支援、「いわて若者カフェ」の開設など若者・女性活躍支援、更に、競争力の高いものづくり産業振興やアパレル産業や食産業の振興など地域の特性を生かした産業振興、林業アカデミー開校による専門人材の育成や農林水産物の高付加価値化など、労働生産性を高め人手不足解消や所得向上につなげる取組、また、岩手の信頼と魅力を更に高めるような「金色の風」「銀河のしずく」を前面に打ち出した県産品のブランド化や販路拡大、メイカームーブメント推進など、各般の施策を強力に推進してきました。今年4月の岩手県雲南事務所開設を決定するなど、有望な海外市場への国際展開も拡大しています。今年一年、市町村との連携をより密に図りながら、引き続き、ふるさとを消滅させないという強い決意のもと、ふるさと振興の取組を大きく進めてまいりましょう。
 
 ラグビーワールドカップ2019™岩手県・釜石市開催は、東日本大震災津波の被災地から、支援への感謝と復興の姿を世界に向けて発信する絶好の機会です。実行委員会設立、また対戦カード、試合日程の決定などを受け、開催機運を大きく高めながら、大会の成功に向けて万全を期して準備を進めていきましょう。ラグビーワールドカップ2019™の翌年には、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催が控えています。既に、県産木材や食材などの提供が決定し、また県内市町村のホストタウン登録や事前キャンプ誘致が進むなど、「復興五輪」としての成功に向け、さらに取組を進めていきましょう。
 
 医療・福祉・教育が一体となった総合的な障がい児療育の拠点として、昨年移転新築した岩手県立療育センター、これがいよいよ開所を迎え、また岩手県立盛岡となん支援学校が今日開校となります。障がい者の文化芸術活動や、障がい者の就労の場を確保する農福連携など、障がい者の社会参画を積極的に支援し、障がいのある人もない人も、互いに支え合う共生社会をより確かなものにしてまいりましょう。
 
 平成時代は、ILC国際リニアコライダーが構想の段階から実現に向けた具体的作業へと進んだ時代でもあります。昨年には、ILCを20kmとする計画が国際将来加速器委員会において承認され、政府の検討が大きく進むことが期待されます。今後も日本政府の誘致決定を促す活動を積極的に展開するとともに、県内や東北の関係機関等と緊密に連携し、ILC受け入れに万全を期していきましょう。
 
 今年は、次期総合計画の策定に本格的に取り組みますが、元日のNHKスペシャルで平成時代を振り返った最後に、幸福を願う一人ひとりの思いが黄色い紙に書かれて貼られている北海道夕張にある幸福の館(※正式名称は「幸福を希うやかた」)が紹介されておりまして、我が意を得たりと感じました。平成30年間の終わりに当たって注目するべきテーマが幸福であるということであります。
 今の総合計画は、今年4月から最終年度となりますが、これまで、県民所得の向上や地域医療における医師確保など、危機を希望に変える取組を進めてきました。また、東日本大震災津波など多くの大災害からの復旧・復興、人口減少対策に力を注ぐ中、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功、平泉の文化遺産、橋野鉄鉱山・高炉跡の世界遺産登録、北上山地のILC国際リニアコライダー国内候補地決定、三陸ジオパークの日本ジオパーク再認定、デンソー岩手や東芝メモリなど新工場の建設決定など、長年にわたる取組が着実に実を結んでいます。
 来年、平成から次の時代へという大きな節目を迎える中、次期総合計画がスタートするわけでありまして、新たな時代になすべきことは何か。現計画が成し遂げた成果を踏まえながら、県民の皆さんとともに次の10年の岩手を描いていきましょう。復興計画も計画期間の最終年度を迎えます。次期総合計画では、復興の取組を明確に位置づけ、切れ目なく復興の着実な実現を進めていきます。東日本大震災津波を経験し、そして復興に取り組んでいる岩手ならではの総合計画を作ることで、復興を成功に導き、そして岩手の未来を切り拓いていくことができると信じます。計画策定に当たっては、全県的に様々な意見交換の場を設定し、オープンな形で県民的な議論を重ねていきたいと思います。このようなプロセスを通じて、県民の皆さんと方向性を共有し、県民みんなで実行していく計画にしていきましょう。
 
 今年は、明治維新、戊辰戦争から150年、原敬総理大臣就任から100年でもあります。幕末維新期の岩手の先人たちの苦難、先進性、高い志、そして郷土愛に思いを寄せながら、有意義な一年にしてまいりましょう。
 最後に、働き方についてでありますが、私はイクボス宣言を行いまして、職員のキャリア形成を図りつつ、率先して育児や介護休業などを取得しやすい環境づくりに努め、仕事と家庭の両立を応援することを表明しています。職員力を合わせて、そのような働き方改革を進めてまいりましょう。職員の皆さんにあっては、岩手県職員憲章に掲げる5つの信条、県民本位、能力向上、明朗快活、法令遵守、そして地域意識、これらに常に立ち返りながら、自分や家族、同僚等周囲の方々の健康にも留意をして、業務に精励していただきたいと思います。事故のない健康な一年を過ごしてください。
 

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