年頭における知事訓示

ID番号 N41692 更新日 平成28年1月5日

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とき:平成28年1月4日(月曜日)
ところ:大船渡地区合同庁舎(テレビ中継)
対象者:全職員

【訓示】

 平成28年、2016年の年頭に当たり、訓示を行います。
 
 東日本大震災津波の発災から5回目の正月を迎えました。これまでの間、職員、そして、県外の自治体からの応援職員の皆さんの尽力によって、復興は着実に進んでいます。 
 
 昨年を振り返りますと、陸前高田市で稼働していた土砂運搬用ベルトコンベアー「希望のかけ橋」がその役目を終えるなど、新たなまちづくりに向けた面的整備事業が進むほか、1月には、県内初の学校校庭からの応急仮設住宅の完全撤去、3月には、ラグビーワールドカップ2019岩手県・釜石市開催の決定、第3回国連防災世界会議での「防災・復興に関する岩手県からの提言」の世界への発信、JR山田線宮古釜石間の復旧工事の開始、県立高田高校の新校舎の完成、7月には、釜石「橋野鉄鉱山」を含む「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録、県内初となる仮設商店街の本設移転オープン、11月には、台湾での復興報告会の開催、復興道路の三陸沿岸道路「吉浜道路」の供用開始などがありました。
 
 被災地、復興地の安全、暮らし、なりわいを支える復興事業を着実に進めるとともに、国内外とのつながりや情報発信を強化する取組にも力を入れているところです。
 
 一方、復興のための人材や、地方負担を含む財源の確保、用地の問題などの課題もあり、今年も「復興第一」に取り組んでまいりましょう。
 
 今年、2016年は「国体・大会イヤー」。希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功に向けて、オール岩手の力と様々なつながりの力を結集し、全力を挙げて取り組んでいきます。
 
 そして、復興とともに重要なのが「ふるさと振興」です。本格復興を完遂させるとともに、ふるさと振興にスタートダッシュする1年にしていきたいと思います。
 
 
 始めに、復興についてですが、今年は、本格復興期間3年間の最終年度となります。本格復興期間をやり遂げるという強い意志を込め、今年を『本格復興完遂年』と位置づけたいと思います。
 
 県内では未だおよそ2万3千人の方々が応急仮設住宅等での生活をされています。平成28年度末には、災害公営住宅の約9割を完成させます。宅地造成の進展と併せて、恒久的な住環境の整備を急いでいきます。
 
 また、応急仮設住宅等での生活の長期化に伴う心と体の健康の問題や、移転先の団地等での新たなコミュニティの形成など、地域や「被災者=復興者」一人ひとりが抱える課題に寄り添った支援をしっかりと進めていかなければなりません。
 
 相談・見守り体制の充実、地域産業の再生などとともに、ILC国際リニアコライダーの実現、海洋再生可能エネルギーを生かした国際的な研究拠点の形成を目指す取組、高田松原津波復興祈念公園や津波伝承施設の整備推進、三陸地域の総合的振興を展開するための新たな推進体制の整備など、岩手・三陸の将来を拓く取組も強力に推進していきます。
 
 本格復興をやり遂げて次の計画につなげていくために、職員一人ひとりが、担当する業務にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 
 次に、ふるさと振興についてですが、昨年10月、まち・ひと・しごと創生法に基づく「岩手県ふるさと振興総合戦略」を策定しました。
 
 「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」の3つを柱に、必要な施策を重点的かつ着実に推進し、人口の社会減ゼロ、出生率の向上、岩手に住みたい、働きたい、帰りたいという人々の願いに応え、あらゆる世代が生き生きと暮らす岩手の実現を目指します。
 
 やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を創出し、岩手への新たな人の流れを創出します。
 社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指します。
 医療・福祉や文化、教育など、豊かなふるさとを支える基盤の強化を進め、地域の魅力を高めます。
 
 このような取組を進めていく中では、いじめ対策についても、関係する機関や団体との連携を強化して取り組みます。
 
 ふるさと振興を進める上では、地域資源を活かし、岩手ならではの地域振興策を工夫することが大事であります。
 
 その取組として、競争力の高いものづくり産業の振興、世界遺産登録5周年を迎える「平泉」、釜石「橋野鉄鉱山」の2つの世界遺産を核として岩手の魅力発信や交流拡大を図る取組、妖怪文化のようなものを含め、岩手の歴史文化を地域資源として捉え、地域の活性化を図る取組、農林水産物の高付加価値化を図る「6次産業化」、今年デビューする岩手オリジナル水稲新品種「銀河のしずく」や、それに続く岩手118号のブランド化を核とした、全国トップクラスの米産地の形成、台湾からいわて花巻空港への定期便就航を見据えた東アジア交流などを進めるとともに、一人当たりの労働生産性を高めて、所得の向上や人手不足への対応につなげていく、また、TPP協定への対応、北海道新幹線函館開業に伴う教育旅行や震災学習、観光分野での一層の交流拡大に向けた取組などにもしっかり取り組んでまいりましょう。
 
 復興とふるさと振興を進めるに当たっては、特に「若者・女性」の活躍支援に力を入れてまいります。
 
 意欲ある若者や女性が、岩手で一段と力を発揮することができる土台づくりを進めるとともに、若者や女性がやりがいを感じ、生活を支える所得が得られるように、産業界と連携した働き方の改善や、創業支援の充実を官民挙げて推進するため、新たに、県及び経済団体や教育関係者等で構成する推進組織「いわてで働こう推進協議会」を設立します。
 
 昨年10月の「いわて若者文化祭」では宇野常寛さん、11月の第4回いわて復興未来塾では大沢真理先生からも強力な応援をいただきました。若者・女性の参画や活躍支援をさらに発展させ、地域の魅力を高めていきましょう。
 
 そして、今年は、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の開催の年です。
 
 昨年の紀の国わかやま国体で、岩手県は天皇杯16位と躍進をしました。特に、本県初となる柔道成年女子やカヌー少年女子の優勝など、女子選手の活躍にも目を見張るものがあります。いわて国体・いわて大会で目標としている天皇杯8位以内、1位も含む8位以内という目標達成も見えてきたところですので、がんばってまいりましょう。
 
 さらに、文化芸術分野でも県民や地域の活動を盛り上げ、それを国内外に発信し、岩手ならではの地域資源の売り込みや、地域経済の活性化にも結びつけていきます。そういった地方が主役の地域振興のモデルになるように、「国体・大会プラス」と銘打った取組を展開し、将来に引き継ぐべき様々なレガシーを残すものにしていきましょう。
 
 仁坂和歌山県知事から、国体旗と全国障害者スポーツ大会の大会旗を引き継いできています。 冬季大会は1月27日からスタートということで、「広げよう感動。伝えよう感謝。」、その気持ちで、万全を期してまいりましょう。
 
 
 終わりになりますが、今年は、第3期アクションプランを確定して、現行の希望郷いわて、県民計画の最後の4年間を実行に移していく年であり、また、次期総合計画に向けて、岩手のあるべき姿を考えていく年でもあります。
 
 国体・大会をきっかけに、県民全体で、岩手の現在、過去、未来を思い、復興とふるさと振興の実践を通じて、全国、そして、世界に通用するような人と社会のあり方を岩手から創り上げていきましょう。
 
 県職員としては、岩手県職員憲章の5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令順守」、「地域意識」に常に立ち返りながら、それぞれ自分と周囲の健康に留意し、本格復興を完遂し、岩手ならではのふるさと振興を進め、そして、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を成功させるよう、今年もがんばってまいりましょう。

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