(いわて式)ワイヤーメッシュ立体柵の実証成果

県では、ニホンジカの農作物被害の防止に向け、農地への侵入防止と侵入防止柵の維持管理の省力化を目的として、「(いわて式)ワイヤーメッシュ立体柵」(仮称)の現地実証を行っており、実用化に向けた成果が確認されましたので紹介します。
1 「(いわて式)ワイヤーメッシュ立体柵」(仮称)の構造と特徴
(1) 構造
- 「(いわて式)ワイヤーメッシュ立体柵」(仮称)は、直角に折り曲げたワイヤーメッシュ(2m×1m 又は 2m×1.2m)2枚と、折り曲げないワイヤーメッシュ1枚を1組とし、結束バンドで2つの連結された立方体状に固定し、さらに、これらを横方向に連結しながら設置した立体状の侵入防止柵です。
- 地面へ20~60mm程度挿入し、立体状の柵が互いに支えあって自立する、設置時の支柱が不要な構造です。
- 電気柵ではなく、ワイヤーメッシュを用いて物理的にニホンジカの侵入を防止する柵です。

(2) 特徴
- ワイヤーメッシュ立体柵は、高さ1mまたは1.2mの二重の柵(奥行1m)に加え、横1m毎に隔壁があることから、シカが一気に飛びえることも、一度、中に入ってから飛び越えることもできない構造となっています。
- 設置後は、電気柵では必要な下草刈作業も不要です。また、柵の高さを超える積雪でも、倒壊や破損はほとんど無く、電気柵では必要な積雪期前後の撤去や再設置も不要なことから、電気柵と比較し、省力的な侵入防止柵です。
2 ニホンジカの侵入防止効果の実証
- 岩手県盛岡市の採草地において、令和5年度に1箇所(約1.6ha)、令和6年度に1箇所(約0.6ha)のワイヤーメッシュ立体柵を設置しました。
- ワイヤーメッシュ立体柵で囲った採草地における令和6年度、7年度の牧草収量は、囲わない採草地の約2倍となり、侵入防止効果を確認しました。
3 設置コスト、設置時間
- 設置1m当たり使用するワイヤーメッシュは、1.5枚です。令和6年度に設置した際の材料費(高さ1.2m)は、1,680円/mでした。
- 設置時間は、133m(ワイヤーメッシュ200枚)につき、18人時間を要しました。延長約530m(約1ha)を設置する場合には、72人時間(3日×4名×6時間)程度を要する計算です。
4 今後の取組
令和7年度は、新たに県内3カ所で実証展示を行い、収量調査等を行いながらニホンジカの侵入防止効果を確認するとともに、農業者等へ周知を図っていきます。
また、岩手県農業研究センター畜産研究所では、試験研究を開始しています(課題名:(R7-05)牧草地における立体防護柵によるニホンジカ食害防除効果の実証)。
これらの結果を含めて、今後、「設置マニュアル」を作成し、普及に向けた取組を進めていく予定です。


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