具体的なリスク分散の方法
束稲山麓地域では、個人及び共同で災害に対するリスク分散を行っています。
個人によるリスク分散
右の図は地域全体の農地分散所有状況を示した図で、黄色が分散所有農地(低平地と山麓地両方に農地を持っている人の農地)です。
赤い点線の左が低平地、右が山麓地です。低平地に農地を所有する農家の約9割が、山麓地にも農地を所有しています。このように分散所有することで、低平地が洪水で水に浸かっても、自分たちの食料については確保ができました。
共同によるリスク分散(低平地)~水を避ける~
下の図は、月ごとの洪水の回数を水色の棒グラフで、作目ごとの収穫期間をオレンジ色の四角い囲みで表しています。
洪水の多くが7~9月に発生しており、被害を抑えるため、収穫時期が異なる作物を組み合わせています。
右の図は、低平地の作付状況です。
下の写真のように、洪水が発生する際には、下流側の低い土地から浸水します。そのような土地には、洪水が発生する時期を避けて収穫できる小麦や飼料用米などを作付けしています。
主食用米以外の転作作物は、委託を受けた農業法人が、作物の組合せや作付場所を工夫して洪水害のリスクを分散していますが、かつては桑の木を高く仕立てて収穫したり、水害時期をさけて収穫できる菜種などを作付けしていました。
「水を避ける」ための長年の経験を生かした営農の知恵が、伝統的知識として現在まで継承されています。
共同によるリスク分散(山麓地)~水を守る~
山麓地には「水を守る」ため、約900カ所のため池があり、下の図のように農地周辺に数多く分布しています。
山麓地には沢水やため池などを水源とする農地が多いことから、水利施設の維持・保全を地域が共同で行っています。
干ばつ時の対応として、水の流れを良くするための水路の掃除や、ため池の水漏れが無いように点検・修繕が行われています。
共同によるリスク分散(山地)~水から守る~
右の図は、奥州市生母地区のハザードマップで、赤い箇所が土砂災害特別警戒区域です。
生母生産森林組合では、この区域の上流部、赤い点線で囲まれたところのスギを伐採し、広く根を張る広葉樹を植えています。
地域が共同で森林を管理し、「水から守る」ことで、土砂災害防止につながっています。
このページに関するお問い合わせ
県南広域振興局農政部 農政調整課 企画・管理チーム
〒023-0053 岩手県奥州市水沢大手町1-2
電話番号:0197-22-2841(内線番号:304) ファクス番号:0197-22-6194
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。