令和7年農作物技術情報 第5号(令和7年7月31日発行)
共通
(1)高温・少雨対策
- 県内は高温・少雨で推移しており、気象庁発表の1か月予報によると、向こう1カ月の気温は高い予報。
- 高温・少雨による農作物等への影響が懸念されるので、今後の気象情報に注意し、被害の未然防止や軽減を図るための対策を適切に行う。
(2)野生獣対策
県内状況
- ツキノワグマは、令和7年4月1日から7月4日までに、11件12名の人身被害が発生。
- 水稲・果樹・飼料作物等において、ツキノワグマ・イノシシ・ニホンジカ等による食害の発生が継続。
技術対策
- 農作物被害発生前の「電気柵」設置が基本であるが、人身被害防止の観点も加え、農作物被害発生後であっても電気柵の設置に努める。
水稲
生育状況
- 県全体の出穂期は平年より3日早い7月29日頃の見込み。斑点米カメムシ類の発生は「多」、穂いもちは「並」~「やや少」の予想であり、適期防除に努める。
技術対策
- 高温や少雨・渇水の影響による玄米品質の低下や登熟不良を防ぐために、地域のかんがい水の状況に応じた水管理を徹底。
- かけ流しかんがいは控え、地域全体に水が行きわたるよう、節水に努める。
- 斑点米カメムシ類の薬剤防除は穂揃期1週間後を基本とし、被害多発の恐れがある場合は追加防除。
- 高温により刈取り適期が大幅に早まる可能性があるため、適期刈取りに向け、コンバインや乾燥調製施設の点検、整備を進める。
畑作物
生育状況
- 大豆の開花期は4日程度早まっている。高温・少雨の影響により、葉の裏面が見える圃場が見られる。
技術対策
大豆
- 開花後干ばつ時にはかん水を行う。圃場の様子を確認し、病害虫防除を適切に行う。集中豪雨や台風に備え、明渠や排水溝等の点検整備を行う。
小麦
- 次期作に向け、かび毒汚染の防止・低減に努める。また、排水対策等、圃場準備を早めに進める。
野菜
生育状況
- 果菜類は概ね順調に生育しているが、高温や乾燥により一部で草勢の低下が見られるほか、ピーマンでは尻腐果が増加している。病害では、きゅうりでべと病、炭疽病、トマトで灰色かび病、葉かび病、ピーマンは斑点病等が発生。害虫ではアザミウマ類、タバコガ類が発生しているほか、平年よりもカメムシ類が多く発生。
- 雨よけほうれんそう、キャベツ、ねぎは高温・乾燥による生育停滞がみられる。レタスは概ね順調に生育。病害虫では、萎凋病、すそ枯病等の土壌病害や、アザミウマ類が発生。
技術対策
全般
- 遮光などの高温対策やこまめなかん水管理により草勢維持を図る。
施設果菜類
- 換気や遮光による高温対策を徹底する。こまめなかん水や追肥により草勢維持を図る。主要病害虫の防除を徹底する。
露地果菜類
- かん水や追肥、不良果の摘果等により草勢維持を図る。群落内が混み合わないように適切な整枝・摘葉を行う。
- きゅうりでは、炭疽病、褐斑病、ピーマンでは斑点病、タバコガ類等の防除を徹底する。
葉茎菜類
- 雨よけほうれんそうは天候の変化に対応した遮光管理と土壌水分管理を適切に行う。
- 露地葉茎菜類は、適期作業の実施と病害虫防除を徹底する。
花き
生育状況
- りんどう、小ぎくの開花は令和6年より遅くなっている。一部で高温による開花遅延や障害花が発生。
- 病害ではりんどう黒斑病、害虫ではハダニ類、オオタバコガの発生が増加。
技術対策
共通
- 適期収穫と出荷選別を徹底。圃場が乾燥する前にかん水。令和8年に向けた収穫後管理を適期に行う。
りんどう
- 高温乾燥が続く場合は、高温時を避けて通路かん水。黒斑病、ハダニ類、オオタバコガなどの防除を徹底。収穫後の圃場の残花処理や病害虫防除を適切に行う。
小ぎく
- 乾燥が続く場合は萎れる前にかん水。一方、大雨によって圃場が冠水した場合は、溝切り等により速やかに排水。
- ハダニ類、オオタバコガの防除を適期に行う。
果樹
生育状況
- りんごの果実生育(横径)は平年並。ぶどうの新梢生育は平年を上回っている。
技術対策
共通
- 少雨・高温が続いていることから、今後の気象情報に注意し、被害の未然防止や軽減を図るための対策を実施する。
りんご
- 見直し摘果を進め、適正着果数にする。
- 誘引や支柱立て、徒長枝の整理を行い、樹幹内部の受光体制の改善に努める。
- 早生の葉摘み開始は収穫予定の10~20日前だが、高温が続く場合は無理に行わない。
- 褐斑病や果樹カメムシ類等の発生に留意し防除を行う。
ぶどう
- 品質向上のため、適切な着果管理と病害虫防除に努め、適期に収穫する。
- 近年夏季の局所的大雨によって裂果が助長されていることから、急激な土壌水分の変化を防ぐため、排水対策の実施や乾燥時の下草管理などに努める。
畜産
生育状況
- 牧草(再生草)の生育は平年並~やや不良。
- 飼料用とうもろこしは5~10日ほど生育が早い。
技術対策
牧草
- 再生草の収穫は高刈り。高温・乾燥時の追肥はできるだけ避ける。
大家畜
- 暑熱対策として、輻射熱の遮断や遮光、牛体への送風と換気など牛舎環境面の暑熱対策を徹底。
- また、同時に、新鮮で十分量の水と食いつきの良い粗飼料の給与、ミネラル等の補給など飼料給与面の暑熱対策も実施。
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このページに関するお問い合わせ
農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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