岩手県立農業試験場研究報告 第11号(昭和42年3月発行)

ページ番号2004867  更新日 令和4年10月6日

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ナタネの雪腐菌核病に関する研究

渡部 茂・松村三男

 1957年の融雪期に岩手農試奥中山高冷地試験地のナタネ栽培圃場において、雪腐れ症状を呈して腐敗枯死する株が多く、このため激甚な被害をうけた。調査の結果Sclerotinia intermedia Ramseyの寄生によるもので、ナタネにおける発生はこれまで本邦未記録のものであった。以来、本病の発生分布、伝染経路、被害解析、防除法等について調査を実施してきた。

  1. 本病の分布調査では、大野村、一戸町、松尾村、玉山村、滝沢村で発生が認められ、融雪後多数の枯死株を生じた。
  2. ナタネ品種、系統と発病との関係は、いずれも発生が多く、実用に供し得る程度の抵抗性品種は検出されなかった。
  3. 本菌の寄主範囲を盛岡地方の越冬作物数種について調査したところ、ナタネのほかに、ニンジンで発病がみとめられ多発した。
  4. 一戸町、松尾村の発生圃場で、本病によるナタネの被害を知るために枯死率と雪害面積率を調査し、これを草丈、葉数、収量構成各要素、および収量との相関を求めた。
  5. 枯死株率では草丈、生葉数では負、また、茎長、子実重は負、分枝数、着莢数は正の相関が認められた。雪害面積率では株数、子実重で負、分枝数、莢数では正の相関が認められた。
  6. 枯死株率、雪害面積率と収量では高い負の相関が認められるが、このことから減収の推定基準を設定し、被害程度の予察を試みた。
  7. 多発圃場における当年の秋~冬季の子嚢盤形成数は極めて少ない。また、秋季にこの圃場にナタネを栽培したところ多発した。更に子嚢胞子の接種では発病を認めなかった。
  8. 菌核は株と接触することによって発病を認めるが、とくに根、根頭部接種で多発した。菌糸接種でも同様であった。根の接種位置を地下2、5、10、15cmとした場合、いずれも発病した。
  9. 菌核は土中で越夏し、冬季の感染期にはこれより菌糸を生ずるが、この菌糸はナタネへの寄生力を完全に保有していた。
  10. 菌核の各種殺菌剤に対する抵抗性は強く、また、越冬前の薬剤散布による防除は発病株が多く、その効果は少なかった。
  11. 菌核の分布範囲は地下10~20cmであるが、この土壌を反転して分布する菌核を深く埋没することによって発病を回避することが出来た。このことから、発生地帯では大型機械を使用しての実際の防除作業が出来る見込みを得た。

岩手県におけるヨトウガの発生予察に関する研究 第1報 越冬蛹が休眠を終える時期およびその後の発育と温度との関係

長谷川 勉

 岩手県地方におけるヨトウガ第2世代の越冬蛹が休眠を終了する時期およびその後の発育と温度との関係について実験的に検討した。その結果を要約すれば次のとおりである。

  1. 野外条件に10月以降おかれていた第2世代の越冬蛹を1963年は翌年の1月中旬から15日おきに、1965年は翌月の11月中旬から10日おきに実験室に移して26℃の恒温において羽化状況を2ケ月余りの間観察した。この観察結果から当地方のヨトウガの越冬蛹は越冬に入った年内の12月下旬頃までには殆んど休眠から離脱した状態にあることが知られた。
  2. 休眠を終った蛹についていわゆる後休眠期発育と温度との関係についても実験を行い、15~30℃の実験温度の範囲において両者の間に直線的な関係を見出した。発育下限温度は約8℃、有効発育積算温度は約290日度と求められ、これらの結果は既に他の研究者が東京や北海道の材料を用いて行った実験の結果とほとんど一致していた。

岩手県におけるヨトウガの発生予察に関する研究 第2報 第1世代発蛾盛期の予察について

長谷川 勉・千葉武勝

 岩手県地方においてヨトウガ第1世代の発蛾時期を発育有効積算温度の理論に基いて予察する方法について1964~1966年の調査資料によって検討した。その結果を要約すると次のとおりである。

  1. 地温あるいは気温の測定値から理論的に求められる発蛾最盛予測日はほとんど差がなく、また各年次とも実際の野外発蛾消長調査による発蛾最盛期ときわめてよく一致していた。
  2. 従って当地方においてヨトウガ第1世代の発蛾盛期はおおむね4月下旬以降(平均気温が越冬蛹の発育下限温度8℃以上を記録する様になる時期以降)の気温の推移からかなり精度の高い予察が実用的に可能である。

ヒルムシロの発生生態とその防除法に関する研究

土井健治郎・中島秀樹

 岩手県下におけるヒルムシロ発生面積は約5,800haもあり、さらに今後も増大の可能性もあるため、普及指導関係機関より強くその対策が要望されていた。そのため、昭和38年より研究に着手し、完全ではないが、一応、研究成果としての対策を解明し得たのでこの要約をすれば次のごとくである。

 ヒルムシロは古来より「畑にジシバリ、田にヒルムシロ」といわれるほど防除困難な宿根性雑草で、その分布は全県下に及び、特に湿田がかった地帯に多く、発生盛期としては6月第5~6半旬が多いようである。その生態は多年生雑草のため、塊茎による繁殖であり、一年生雑草のような種子発芽抑制というわけにはいかず、地下茎までを根絶しなければならない。

 生態の概要としては

  1. 塊茎の重量分布は個体変異が大きいが、0.3~0.6グラムの出現率が高い。しかし発生条件と塊茎重量との関係は少ない。
  2. 塊茎形成と前年の生育形態をみると生殖生長個体(開花)と栄養生長個体(未開花)では後者の塊茎形成数が大きい。
  3. ヒルムシロの地上初発生は土壌水分、温度が高いほど早く、発生形態として地下茎は第3~4茎までで、主として第4茎より地上展開葉を生じその実数は6~8葉である。増殖ランナーの出現は主茎、第1、第2分枝茎の生長秩序がみられ、一定の規則性を有するようである。
  4. ヒルムシロの好適土壌pHは5~6であることは水田土壌の大半がこの範囲であることからヒルムシロ繁殖の誘因ともなっている。
  5. 地下塊茎貯蔵養分の消失は地上生育量の増大とともに行われ、最大繁茂量到達とともに地下茎が新たに伸長、塊茎(越冬芽)を形成する。この塊茎貯蔵養分減少期は7月上~中旬、地下茎の移行開始は8月中~下旬、塊茎形成始期は9月上~中旬、塊茎形成期は9月中旬~10月上旬という時期的把握を確認し得た。
  6. 新たに塊茎形成に当っての地上生育畳の大小は、形成される塊茎の量とは関係が浅いようである。

 このような生態からヒルムシロ防除の重点は地上部を枯死させ、地下茎の伸長を押えることにあり、翌年度の繁殖源である塊茎(越冬芽)を着生させないためにも、地下茎が発生、伸長する前に完全に防除することである。

 防除薬剤としては累年の成績からPCP、A1114の2薬剤が有効であった。PCPは土壌混入処理法によって高い除草効果を期待し得るが、前述の生態からみて完全防除をなすためにはヒルムシロ除草体系としての移植後、PCP表層施用(一般雑草対象)~PCP土壌混入(ヒルムシロ発生中期)~PCP土壌混入(再発生のヒルムシロ)の使用法が確実な防除法のようである。

 A1114は与えられた理想条件、即ち透水性小、温度条件のよい地帯での効果は高いが、地帯条件というより個々の圃場条件によって異なって来るところに問題が残ってくる。しかし、PCP土壌混入処理に比べ、経済的には安くつくので、作用性を把握しての使用であれば魅力ある薬剤である。

 県下を地域的にみた場合、PCP土壌混入は全県下に適用されるが、県北、高冷地の不良環境地帯では生育抑制、県南地帯では2kg(10アール当成分量)の使用は場所によっては薬害を生ずる恐れがある。これをカバーするものとしてA1114は透水性小、温度条件にめぐまれている県南地帯での適応性は大きい。しかし、県北地帯の低温、漏水過多地帯ではその適用には制約をうける、したがってA1114は県中~南部地帯を中心に水持ちのよい水田に使用されよう。しかも、その作用性は遅効的であるので、薬液を流亡させないで、充分に吸収させるよう管理面での注意が必要である。

 本研究を整理するに当って残された問題点としては次のことがあげられよう。基盤整備のなされていない地帯、即ち県北地帯に多いが、気象環境不良条件、過漏水条件ではこれらの防除法適用が困難であり、稲の生育を第1義的に考えたとき、その使用には制約をうけることである。

 次に多年生雑草なるが故に、前述のような基本的防除法は確立されたとはいえ、実際の普及現場では画一的な使用では新たな問題を生ずる可能性もある。一年生雑草では画一的防除でもよいが、多年生雑草ではその生態に変異が大きく、生態把握と個々の作用性をよく理解した上での使用法でなければならず、農家が確実に使用できるのには多少、時間がかかるものと思われる。

果樹園共同化の運営方式に関する研究 -特にスピードスプレヤー運行方式と水槽の適正配置について-

八重樫瑞郎・長岡正道

  1. 本県では労働力の減少と新植による防除面積の増加を背影にして適期防除を遂行するためにスピードスプレヤー(SS)導入がおこなわれている。この研究は集団型園地におけるSSの能率的運行方式のあり方について明らかにし今後の共同防除運営の参考に資するためにおこなった。
  2. 調査はこれからの果樹園経営で運営上目標としている集団園の代表と考えうる県北二戸郡一戸町の果樹園経営改善促進実験集落において2回のタイムスタディによりおこなった。
  3. 調査による分析解明の重点は(イ)作業別運行能率を規制する要因を把握し、(ロ)園地条件に即した合理的運行方式と運行能率向上のための農道および水槽配置のあり方について検討する。
  4. SS運行の実態では10アール当り作業時問は9.15~13.79分で、このうち園地内作業が68~70%を占め、残りは園地間移動および整備時間である。園地内作業のうち散布と給水、薬剤調合時間が80%をしめており園地別の変異は小さい。これに対して残り20%は給水のための走行(給水走行)、園地間移動、事故等の時間であり、これらの各作業は園地別による変異が大きくなっている。
  5. SS運行の能率化をはかるためには各園地における作業時間に変異を与えている圃場条件を明らかにして、その変異要因を解消する方向に運行方式を合理化しなければならない。したがって以下に作業別運行能率を規制している条件について述べる。
  6. 散布作業時間は10アール当り栽植本数と1樹間距離の相剰積で示される10アール当り運行距離と、園地の形状による片面散布距離との相関が強い。また傾斜が7度以上の園地は、タンクに1,000リットル積載して傾斜方向への運行が不能となる。
  7. 給水走行時間は散布経路と水槽位置の関係によってきまってくる給水走行距離によって規制されている。園地内移動時間は栽植様式が不整で散布経路が複雑な園地で多くかかっている。スリップ事故の発生は散布期間中の降雨量と慣斜度による差があり、とくに9度以上の傾斜は等高線運行しても発生頻度高く、1回当りの事故時間も長い。
  8. 以上のことから運行能率化する走行方法としては、イ)走行方向の決定にあたっては傾斜度、園地の形状を考慮して原則としては樹間距離の短かい方向に運行するが、区画不整形の場合には実際に走行可能な散布経路から距離の長短を判断する。ロ)傾斜7度以上の園地では栽植距離に関係なく等高線に沿って運行しなければならない。これに関連してこのような園地では傾斜の上方に水槽を設けることによって給水走行時問を短縮できる。
  9. 新設園地の造成にあたっては園地区画、栽植様式が整形となるようにすれば片面散布距離や、園地内移動時間が短縮可能になる。
  10. 斜傾9度以上の園地では等高線運行しても降雨後はスリップ事故が多いので事故防止のためには農道開設と要所にはスリップ防止の杭打が有効である。
  11. 水槽配置の方法によって給水走行時間の短縮が可能であることが明らかとなったが、この問題は水利不便な団地では運行時間節約をすることにより防除面積拡大に果たす効果が大きいと考えられたので水槽配置数と時間節約の関係について検討した。
  12. 10アール当り散布量550リットルの場合について12.1ヘクタールの必要散布容量59.600リットルを2個所から23個所まで分割して増設したときの給水走行時間節約と、それを防除面積拡大にふりむけた場合のSS稼動限界面積について試算した。
  13. 水槽増設による給水走行時間節約の程度は12.1ヘクタールに対して7個所位までは296分と効果は大きいが、8~23個所までは74分にすぎず増設による効果は少ない。
  14. このとき節約された時間で防除面積拡大すれば2個のとき11.9ヘクタールから23個のとき14.7ヘクタールまで稼動可能となる。
  15. 水槽増設による防除面積拡大は経済的には面積拡大による機械償却費の減少と、水槽増設による償却費増加との相対的関係によって限界が与えられる。その限界は動力送水の場合は1.7ヘクタールに1個、無動力送水では0.9~1.7ヘクタールに1個の割合で設置したとき費用最少となり、このときのSS稼動限界面積はそれぞれ13.9ヘクタール、13.9~14.4ヘクタールとなる。この面積は増設による時間節約が最も効果的であった設置個数に一致している。

岩手県北畑作における大豆作の経営経済的意義

佐藤宏三・中野昌造

 岩手県北畑作地帯における大豆はひえ、あわ、そばなどの雑穀作とともに大巾な減少を示し、それに代って、乳牛の増加を背景にした牧草、青刈とうもろこしなどの飼料作およびりんご、たばこ、甜菜、ホップなどの商品畑作物の抬頭が目立ち、この中で大豆作の減少率は33%にも及んでいる。この傾向は調査対象の軽米町においても全く同様であって、大豆は昭和30年対比の39年現在で22%の減少となっている。この間、大豆の反当収量は昭和36年までは漸増の傾向を示しこのために生産量は増加傾向を示したが、38年以降は冷害の影響もあって、反収、生産量とも減少してきている。

 こうした大豆作の動向を規制している要因は大別すれば大豆価格の動きと個別経営における大豆作の果している意義と役割の如何である。先づ大豆価格の動向をみると、大豆作付面積の減少傾向は大豆の相対価格(農林生産物価指数によって修正した価格)と高い正の相関がみられ、大豆面積の減少は大豆価格の相対的低下に影響されていることが明らかである。しかし、大豆反収の動きは大豆の相対価格と負の相関を示し、大豆価格の低下を反収の増大によって補完しようとする傾向もみられ、また作付面積と相対価格の関係でもかなり高い変動率を示し、大豆作面積の変化は基本的には大豆価格の動きに影響されつつも、なお価格以外の要素にも強く影響されていると推定される。

 大豆作の個別経営における変動を昭和30年と38年の対比でみると、大豆作付面積変動率の高い経営は酪農経営で、作付面積の減少率は50%以上にもおよんでおり、これに次いでりんご経営の減少率が大きく、たばこ作や稲作を中心とする複合経営では大豆の作付面積は殆んど変化を示さない。また大豆作の動向を立地的にみると、酪農およびりんご経営においては、大豆作は所有耕地の中では家から遠い周辺の劣等地に移動する傾向があり、複合経営では基本的には変化はみられない。

 大豆は従来自給的色彩の濃い作物であったが、商品生産の展開に伴ってその様相を異にしてきており、食糧としての大豆作は農家所得が高まれば自給度を低下させてきているし、自給飼料としての大豆作も酪酪経営では飼料としての意義を持たなくなっており、全体として商品経済の滲透によって自給作物としての意義はうすれてきている。

 このように、商品生産の展開とともに大豆作の自給生産物としての意義の低下がみられるものの、なお経営タイプによって作付変動率に大きな変化がみられるのは、大豆作の土地、労働利用上の性格およびそれとの関連での所得形成力が夫々の経営タイプで異なった意義と役割を果しているからである。

 即ち、大豆作は土地利用上からは酪農経営における主要な飼料作である牧草、りんご経営におけるりんごとは両者とも永年作物であるために決定的な競合を来すが、複合経営におけるたばこ作とは作季としては競合しても、従来の畑地利用がひえ-麦-大豆の2年3毛の作付順序で行われていたために、たばこ作の導入、拡大はひえ作を排除しても大豆作面積にまでは影響をおよぼさなかった。このために複合経営における大豆の変動率が少く、逆に酪農、りんご両経営においては大豆の変動率が高くなっているのである。

 大豆作の労働利用上の性格は栽培技術上5月上・中旬、7月下旬、8月上旬および11月上旬の3期に投下されるのみで、しかも年間の投下労働は9.8人で少ない。しかも地区の畑作における主要な商品作であるりんご、馬鈴薯、たばこなどと決定的な労働競合を来たさないのである。したがって、大豆作はこれらの労働集約的な商品畑作物が導入されれば、一層労働補完的な役割を持ってくるのである。

 大豆作を収益性の側からみると、土地単位当収益性は低いが、労働の収益性-特に労働者1人当の年間の所得形成力は高く、この労働収益性は酪農、りんごに次いで高いのである。また大豆作と土地利用上の結びつきの高い麦作とを合せて、表-大豆の結合単位としてその収益性をみると、土地、労働いずれの収益性においても馬鈴薯、南瓜などの商品畑作物を凌駕している。したがって、大豆作は収益性の点からみても酪農、りんご作に駆逐されることはあっても他の畑作物には相当な条件変化が生じない限り駆逐されない。

 酪農が高い収益性と安定的な展開を示すためには3頭以上の搾乳牛が収容できる広い耕地と高い経済力を持った農家であることが必要であり、りんご作も病虫害防除の技術的性格に規定されて地域的な集団化が必要であって、この2つの経営が今後この地帯の支配的な経営タイプになるのには一戸当り耕地規模や価格条件に大巾な変化が伴わなければならない。したがって、今後ともたばこ作を中心とした複合経営は広く存在すると考えられる。この中で大豆作は商品生産の展開とともに自給作から商品作としての性格を強め、大豆価格の変動を強くうけるようになってはくるが、しかし、その影響のうけ方は大豆作として独立した形で直接的に影響をうけるのではなく、あくまでも労働集約的な商品畑作物の導入に対応し土地、労働利用および所得形成の3点でこれを補完する労働粗放的な商品作としてである。

 畑作の商品生産が更に深化発展した場合の経営タイプ別の大豆作のあり方を上記の役割の中から考察すると、まず、りんご作経営についてみると、りんご作の拡大は麦作の排除を強化し、一方では労働補完作物の労働粗放化を要請し、補完作物の作付位置は周辺劣等地になる可能性が高い。大豆作はりんご作に対して労働競合性少く、補完作物として有用であり、りんご作経営での大豆作安定化条件はりんご作との労働競合を激化しない単作大豆としての省力技術の確立であろう。

 複合経営においては、大豆作は今後とも中心となるたばこ作に対して労働補完的な作物であることが強く要請されよう。したがって、その安定化のためには播種をめぐる労働集約化は慎まなければならない。

 酪農経営においては、大豆作は冬季埋草の中核をなす青刈とうもろこしの輪作組立上必要な作物として残存する可能性もあるが、その可能性は飼料作面積に余裕のある場合である。酪農経営は厩肥を通じて地力の向上に役立ち、地力埋草調整時期の労働競合から麦作の排除が強化される。したがって、この経営では厩肥多投を前提とした単作大豆の増収方策が今後の安定化条件となるであろう。

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