号外 畜産 飼料資材高騰対策 1(平成20年9月25日発行)

ページ番号2002051  更新日 平成20年9月25日

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現在、飼料価格のほか、原油や鉱物資源等の価格高騰による燃料や各種生産資材も値上がりしており、県内の畜産経営に大きな影響が生じています。

これに対応し、畜産経営においては特に低コスト自給粗飼料の確保を中心に、経営全般にわたるコストの低減も含め、早急な対策が求められています。

そこで、中央農業改良普及センターでは、有効と考えられる事例を収集し、対策をとりまとめましたので、数回に分けて紹介します。

1.粗飼料の確保

(1)公共牧場の積極的利用=ロール等の購入や作業の受託

県内にはおよそ130の公共牧場がありますが、その内およそ50カ所では、採草事業を行っています。
また、活動を休止している公共牧場も少なからず存在します。
乾牧草については、かなり需用が高まっている状況ですが、乾草のロールやラップサイレージを購入できる場合がありますので、管理している最寄り市町村やJA等に問い合わせてみましょう。
域外流通も見られる状況ですので、近隣市町村が運営する公共牧場から購入できる可能性もあります。
また、公共牧野における採草作業等を農業者等に委託している事例もあります。
農家組織で指定管理者となることが必要な場合もあれば、任意組織で作業を受託している事例も見られます。
施肥から収穫調製作業まで、管理の委託を行っている例もあり、生産される乾牧草等がそのまま受託者の所有物となる場合などは、より高品質の牧草が生産される傾向にあるようです。

(2)トウモロコシの増産=ほ場一筆毎の管理で肥料費を削減できます。また新技術も活用しましょう。

ア トウモロコシを作付けしましょう

トウモロコシは、一回刈りで収量も多く、栄養価も高いことから、自給飼料としては大変魅力があります。
近年、県内でも収穫等の作業を受託するコントラクターが育成されているほか、バンカーサイロや細断型ロールベーラの普及等により、トウモロコシの作付けは増加しています。
更新を予定していた草地へのトウモロコシ作付けも見られます。
トウモロコシの栽培には、土地が必要であり、収穫作業等は、どうしても労力もかかります。
個人で解決できない場合、借地による栽培、共同作業、(耕種農家への・コントラクターへの)委託等を検討してはいかがでしょう。

写真:播種の様子
不耕起播種機によるトウモロコシの播種

イ 新技術を活用しましょう

トウモロコシ栽培においては、高標高地向けの品種を選定するほか、細断型ロールベーラの活用、さらには、不耕起栽培などの新技術も現地実証が始まっています。
また、トウモロコシの多給技術も開発されており、乳牛1頭当り20Kg以上の給与で高成績を上げている事例もあります。

ウ トウモロコシ栽培における肥料と土壌改良資材経費の削減(添付ファイル参照)

この他、堆きゅう肥の有効活用や、化成肥料削減についても考慮しなくてはなりません。
土壌診断結果に基づき、一筆毎に肥料や土改資材の投入量を決定することで、費用を減少させている事例があります。
石灰質資材は、毎年広く薄く散布するより、必要な圃場を選定して毎年1/4程度のほ場に十分量の散布をすることで、土壌改良効果が高まります。

エ 各種事業を活用しましょう(添付ファイル参照)

トウモロコシの作付けについては、新規作付けの場合等、各種の補助事業もあります。
添付した一覧表で確認の上、JA、振興局、農業公社等の担当窓口機関にご確認・ご相談下さい。

(3)牧草の増産=更新の実施(添付ファイル参照)

生産性が低下した牧草地の場合、草地の更新が必要となります。
牧草の株化状態や雑草の繁茂状態等から判断し、簡易更新法(不耕起での追播)や完全更新法による草地更新を行います。
牧草の更新に適している時期は、お盆明けの8月20日から9月5日頃であり、遅くとも9月中にはは種作業を終了します。
平成19年9月27日に簡易草地更新を行った結果、翌年の一番草において、既に、草地更新による増収効果が認められています。

備考:調査日 平成20年6月10日,8月10日
()は、未更新を100とした比

生収量
区分

簡易草地更新

未更新

一番草 Kg/10a

1,430(165)

862

二番草 Kg/10a

936(125)

749

小計 Kg/10a

2,366(147)

1,611

乾物収量
区分

簡易草地更新

未更新

一番草 Kg/10a

399(155)

257

二番草 Kg/10a

195(125)

156

小計 Kg/10a

594(144)

413

なお、岩手県農業公社では、52,500円/ha (肥料代・種子代含まず)にて簡易草地更新作業を受け付けています。
作業可能な面積には限りがあります。
お問い合わせはお早めに農業公社まで(添付ファイル参照)。
また、肥料代・種子代の経費がかかりますが、補助事業を活用することも可能です。この事業に関しての窓口は農業公社です。

(4)二毛作の利用=ライ麦の作付けを(添付ファイル参照)

農地を最大限に活用できる二毛作。
それぞれの播種と収穫の作業が重なるため、省力的な作業が必要となります。
本県においては、トウモロコシ作付け後に、ライ麦を播種する体系が考えられます。
葛巻町では、トウモロコシの不耕起は種技術を活用した事例がありますが、通常の耕起は種体系でも作付けは可能です。
なお、今年度については、種苗メーカーによっては、採種の失敗等もあり、種子の販売がなされない場合もありますので、販売するメーカーの品種から、越冬性・早晩生・収量等を考慮して品種を選定します。
「出穂期」「収量」並びに「雪腐病抵抗性」(越冬性)から判断し、「春一番」(雪印種苗)またはキングライ麦(タキイ種苗)が有望かと思われます。

2.コスト(費用)の削減

(1)消費税を見直そう=一般課税の採用を検討しませんか(添付ファイル参照)

消費税の税額計算における「簡易課税」制度は、計算も楽ですが、いかなる場合も(経営が赤字であっても)売り上げがある限り、消費税を支払うことになります。
一方、「一般課税」制度を適用した場合、消費税の受け払いに応じた金額を支払うこととなる事に加え、機械や家畜の導入などを行った場合や、収支状況により、払った消費税額が受け取った消費税額を上回る場合などは、消費税が戻ってくることもあります。
なお、簡易課税制度の適用をとりやめて実額による仕入税額の控除を行う場合には、原則として、やめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。
個人事業者の場合、12月末日までに届出書を提出する必要があり、一度簡易課税制度を選択した場合は、2年間の継続が必要です。

(2)県有種雄牛を活用しよう(添付ファイル参照)

県有種雄牛の精液については、格安の1本525円で販売されています。
F1生産にもお勧めします。

注意!
この記事は発行年月日時点の内容のまま公開していますので、ご覧になった時点の法規制(農薬使用基準等)等に適合しなくなった内容を含む可能性がありますから、利用にあたってはご注意下さい。

担当課: 中央農業改良普及センター滝沢村駐在
問い合わせ先: 019-688-5525

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このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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