《八幡平》ルポルタージュ 「八幡平バイオレット」生産拡大に向けた取り組み

ページ番号2004960  更新日 令和4年3月22日

印刷大きな文字で印刷

八幡平市におけるにんにく「八幡平バイオレット」について

 八幡平市には、個人の栽培者により30年以上選抜されてきた「ふきのとう」、「うるい」、「にんにく」、「ぎょうじゃにんにく」の優良系統があり、これまで山菜栽培研究会において、これらの山菜等について、栽培面積の拡大を図りながら、品種登録による八幡平市独自ブランドとしての確立を目指してきたところです。

 このうち、にんにくの「八幡平バイオレット」については、八幡平市が合併する以前の旧松尾村で栽培されていた国内最大級の大きさを誇る在来系の「八幡平」という品種から選抜がされたもので、一般に流通している白色のニンニクに比べ大ぶりで、外皮が紫色という特徴があります。

「八幡平バイオレット」の栽培の現状について

 「八幡平バイオレット」の栽培は、手作業が中心であることから中小規模生産者が主体となっており、近年では高齢化も進んでいることから、その生産は伸び悩んでいました。また、生産者間で収量・品質のばらつきが大きいことなどがあり、高単価が期待できる大玉規格の生産に有利な「八幡平バイオレット」の優れた形質を生かし切れておらず、十分な市場評価が得られていない状況もみられていました。

にんにくを手作業で定植している様子
定植作業の様子

にんにくの機械化一貫体系導入の検討

 これまで八幡平地域のにんにく栽培は、手作業を中心とした中小規模生産者が主であったことから、機械化体系の導入事例は地域内で見られていませんでした。このような状況の中、平成30年より管内の2農業法人において、水田フル活用のための有用な転作品目として、にんにくの生産拡大について検討が行われ、県のトップモデル事業を活用して、水田転作品目として機械化体系を導入した大規模栽培に取り組む動きへとつながってきました。

 機械化体系による大規模栽培を普及するため、機械化一貫体系の現地調査を行い省力化等について明らかにし、その導入効果について取りまとめました。

 現地調査の結果からは、機械化が可能な作業のうち、「マルチ敷設」、「種子選別・植付・覆土」、「薬剤散布」、「収穫・乾燥前調整」の各作業について、機械化体系を導入することで合計の作業時間が慣行体系と比較して62.7%まで削減可能なことが明らかとなりました。

植付用機械によるにんにく種子の植え付け作業
植付機による種子植え付け作業
機械作業の現地実演会の様子
機械現地実演会の開催

 また、実証した機械については、省力化機械現地実演会を開催して、実際の機械作業の状況を生産者の方に見てもらうことで、機械化体系導入の推進を図りました。

「八幡平バイオレット」栽培技術改善に向けた取り組み

実証圃で調査をしている様子
施肥改善実証圃の設置
相互圃場巡回でにんにくの出来を確認する生産者
圃場相互巡回の実施

 「八幡平バイオレット」の優れた形質を生かすために、生産者間で収量・品質のばらつきが見られていた問題を解決し、高単価が期待できる大玉規格の安定生産に向けて栽培技術を改善するため、現地のにんにく栽培実態調査と施肥に関する現地実証を行いました。

 現地実態調査で判明した栽培条件に基づいて大玉規格生産に適した栽植密度・施肥等を策定し、栽培資料の作成、栽培技術改善に向けた指導を行いました。また、生産者の圃場相互巡回を開催して、栽培技術の改善及び向上を図りました。

生産拡大に向けた取り組み成果

 以上のような取り組みを進めた結果、作付面積は機械化一貫体系を導入した大規模経営体を中心に増加し、機械化体系導入前の平成30年の249aから、令和3年には1,211a(R3.12月時点)と大幅に増加しました。販売面でも大玉規格の1個詰め包装による販売も開始されて、令和3年は1,500円/kg程度で販売されています。

にんにく作付け面積の推移

 「八幡平バイオレット」は機能性成分のアリシンが通常の品種よりも多いことが判明しており、それに伴いブランド化に向けた動きも活発になってきています。大玉規格を中心として需要も増加してきており、産地とともにより一層の安定供給に向けた生産拡大に今後も取り組みを進めていきます。

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

八幡平農業改良普及センター
〒028-7112 岩手県八幡平市田頭39-72-2
電話番号:0195-75-2233 ファクス番号:0195-75-2269
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。