【JICA青年海外協力隊】熊谷 史さん(ガーナ派遣)、三浦 文香さん(ブータン派遣)、須藤 香里さん(マレーシア派遣)
熊谷 史(くまがい ふみ)さん 【JICA コミュニティ開発 2015.09~ガーナ派遣】
間もなく2年という任期を迎えますが、活動の成果や今後の課題について教えてください。
長いようで短い、短いようで長いガーナでの2年間がもうすぐ終わりを迎えようとしています。
2年間の活動の成果として、ガーナ北部の3州において計54個の貯水池や魚の養殖池、そして灌漑設備の建設をサポートすることができました。乾季には深刻な水不足に苦しむガーナ北部地域において、これらのコミュニティ資源が地域住民の生活の糧となることを祈りつつ、これからは住民の方々がより強固な結束力と自主性を発揮し、これらの資源を有効活用していってほしいと願います。
2年間という時間はガーナの人々を知り、理解を深め始めるのに必要最低限の時間だったように思います。まだまだ、知らないこと知りたいことが多くありますが、今後は日本や世界の別の場所からガーナを想い、ガーナについて考えたいと思います。そして機会があれば、またこの国に戻ってきたいと思います。
忘れられないエピソードはありますか。
エピソードではないのですが、2年間洗濯機がないので手洗い、お風呂は浴槽がないので水のシャワー、テレビは勿論ないですし、停電や断水の頻度も多くい、乗り合いタクシーは人やモノや家畜がぎゅうぎゅう詰めになって走り、食べ物は手で食べ、放し飼いの家畜が道路を阻んで車が立ち往生するのが日常茶飯事・・・という生活をしてきたので、日本に帰ってからの生活の質に逆カルチャーショックを受けるであろうことが少し怖くもあり、楽しみでもあります。
海外で培った経験を今後どのように活かしていきたいですか。
途上国で過ごしたこの2年間の経験は、自分自身がそれまでに抱いていた既成概念や価値観を考え直すきっかけをもたらしてくれました。今後、世界のどこに行っても、常識にとらわれることなく、柔軟に考え、異なる文化や価値観を享受し、理解に努めたいと思います。
岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。
岩手の四季折々の風景、おいしいごはん、温かい人々、東北の言葉、季節の行事・・・など、岩手の魅力を数え始めるときりがありません。岩手のそれとはまったく異なるガーナの風土や文化に触れることで、岩手の持つ魅力を再認識することができました。今後は、岩手の魅力を世界に発信し、反対に岩手の人にガーナの魅力を知ってもらえたらと思います。
岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。
もうすぐ岩手に帰ることができると思うと、自然と顔がほころんでしまうくらい楽しみでなりません。岩手を離れることで感じた岩手の魅力を帰ってから実感したいなと思います。また、帰国後はガーナでの生活や文化について岩手のみなさんとも共有できたらなと思います。宜しくお願いします。
三浦 文香(みうら ふみか)さん 【JICA 卓球指導 2015.10~ブータン派遣】
間もなく2年という任期を迎えますが、活動の成果や今後の課題について教えてください。
活動の成果としては、ブータン国内における競技人口の増加や、地方都市での卓球のプロモーション活動を実現できたこと、そして国際試合への出場の目標を叶えられたことです。
しかし、大きな一歩を踏み出すことができたのは確かですが、卓球のみならず、ブータン国内におけるスポーツ振興はまだまだこれから…というのが現状です。ひとつひとつの活動を行って終わりではなく、継続的に行われていくようにするのが今後の課題です。
この2年間は、長いようで本当にあっという間でした。正直なところ、自分が何かできたことよりも、自分が教えてもらったことの方が多いように感じます。
忘れられないエピソードはありますか。
今年3月にインドで行われた大会で、ブータンの女子ダブルスが銅メダルを獲得したことです。これは、ブータン女子チームにとって史上初のメダル。メダル決定戦は最終セットまで持ち込む接戦で終始はらはらしていましたが、勝利が決まった瞬間、選手たちも私も喜びで涙が止まりませんでした。
海外で培った経験を今後どのように活かしていきたいですか。
様々な文化や価値観に触れたことで、自分自身のなかにもこれまでなかった柔軟性がうまれたと感じています。日本国内でも2020年のオリンピックに向けて、国際化の波が押し寄せています。帰国してからも、日本と海外をつなぐ役割を担うことができたらと考えています。
岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。
岩手、ブータン共に自然の美しさは自慢できるものです。しかしその中でも、岩手の空気、水のきれいさは素晴らしいと思いました。
岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。
任期中に岩手でブータン展が開催されたり、私自身も雫石で行われたブータンに関するイベントにSkype出演させていただいたりと、岩手とブータンがつながりを持っていたことをとても嬉しく思っておりました。残り少ない任期を全うし、岩手に帰ることを楽しみにしています。
須藤 香里(すどう かおり)さん【JICA 障害児・者支援 2015.09~マレーシア派遣】
間もなく2年という任期を迎えますが、活動の成果や今後の課題について教えてください。
二年間、障害者当事者団体で活動をさせていただきました。自立支援やスタッフへの支援技術指導等、試行錯誤の日々でした。予想はしていたものの、うまくいかなかったことのほうが多く、目に見える成果を得られたという実感はそう多くありません。数値で評価されることはなく、変化が物として表れるわけでもなく、現地スタッフもモチベーションを保つのは大変だったと思います。
スタッフたちは改善していかなければならない課題に気づいても、どのようにしたら良いか分からずにいることがほとんどです。また、今までのやり方に慣れてしまい、改善するために動くことには気が進まない様子です。確かに、新しい考えややり方を取り入れ、それらを試していくことは簡単なことではありません。しかもそれが、他の国から来たボランティアからの提案となれば、なおさらです。
しかし、どのような支援をすることが大切か見きわめ、様々なアイディアを提案・実施していくことはやはり必要なことです。障害児に対する早期療育が重要なのはもちろんですが、支援者を育てることも課題だと感じます。そのためには、長い目で見て、教科学習や「覚える」「従う」学習だけではなく、クリエイティブな感性を磨く基礎教育が必要であると思います。
これは発展途上と言われる国々に限ったことではなく、もちろん日本にも当てはまることだと思います。
未来を担っていく子どもたちへの教育…というとなんとなく美談のような響きになりますが、自分たちの生きている地を知り、他を知り、相手が誰だろうと尊敬する心を育てることはとても大切だと強く感じました。支援者を育てること、と書きましたが、基礎教育は障害者、支援者など関係なく、共生する社会をつくる礎になると思います。
忘れられないエピソードはありますか。
「外国人」として、マイノリティーに属することが多かった二年間。私が日本人だとわかると、とても歓迎されたり、またその真逆の対応をされたりすることも多々ありました。時には、市場で買い物をしていても、売ってもらえない…ということも。その土地・人々の歴史や意識に深く根付いたものを感じた瞬間でした。
活動先ではなかなか受け入れてもらえず、困ることが多かったのですが、障害者(利用者)家族が、「この子は最近、家でよくあなたの話をしているのよ」とか「いつ日本に帰ってしまうの?もう少しいることはできないの?」と声をかけてくれることがあり、なんとも言えない嬉しい気持ちになりました。
海外で培った経験を今後どのように活かしていきたいですか。
岩手、日本の子どもたちに、岩手や日本のすばらしさ、地元を大事に思うことの大切さを伝えたいです。
そして、世界には、いろいろな環境で生活をしている人たちがいるのだと伝えていきたいです。
岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。
なんと言っても四季の美しさと季節の食材のおいしさ!そして人々の勤勉さです。
暑い時期にも一生懸命働き、収穫を喜ぶ、長くて寒い冬を耐え、春を待ちわび花を愛でる…そういう心はいつまでも大切にしたいと思いました。
帰国する頃は、秋の味覚が出始めているころですので、おいしい岩手のごはんをいただくのが、とても楽しみです。
岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。
二年間、無事に活動をすることができたのは、派遣前から多くの人の支えがあってこそでした。本当にありがとうございました。またこの「いわて親善大使レポート」を読んでくださる皆様にも感謝いたします。少しでも、海外の様子、青年海外協力隊のことなどが伝わっていれば幸いです。
東京オリンピックが開催される2020年に、マレーシアは「先進国入り」することをめざしています。「先進国」とは・・・日々考えさせられます。
マレーシアにはきれいなビーチがあり、国内外からたくさんの人が訪れます。一方で自然破壊などの問題も山積みです。素晴らしい自然を守るために、しなければならないことがあります。
道路や電車が整備され、高いビルが立ち並び、都市開発がどんどん進むマレーシア。時々、自然へ帰ると、私が育った町に似た風景があり、ほっとします。
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