農作物技術情報 第8号 水稲(令和3年10月28日発行)

ページ番号2004112  更新日 令和3年10月28日

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タイトル

  • 今年の栽培管理から、生育に応じて必要な対策を実施できたか、コスト面の無駄はなかったか等、来年に向けて振り返りを行いましょう。

1 本年の生育経過と作柄

(1)育苗期
県内の播種盛期(50%)は4月16日、終期(90%)は同23日で、いずれも平年並となりました。
苗質は概ね良好でしたが、育苗後半の5月中旬は気温が高く経過したことから、やや徒長気味の苗となり、充実度(乾物重/草丈)が苗質の目標に届かないものも散見されました。
(2)活着~分げつ期~幼穂形成期
県内の移植盛期(50%)は5月17日(平年±0)、終期(90%)は同24日(同-1日)で、各地域とも概ね適期内に田植え作業が終了しました。分げつ期の6月前半は気温が高く、日照時間も多かったことから、茎数は平年に比べ多く推移し、幼穂形成期も平年より4日程度早まりました。
(3)出穂・登熟期
県全体の出穂盛期は平年より5日早い7月31日となり、過去40年間で最も早くなりました。以後8月上旬まで高温・多照で推移したことから、初期登熟は早く、8月中旬に一時低温・寡照で経過したものの、成熟期は平年より5日早く。県全体の稲刈り盛期(50%)も9月29日頃と、平年に比べ5日早まりました。
成熟期の生育について、稈長は平年に比べ長く、特に「ひとめぼれ」地帯では倒伏も多くなり、穂長・平方メートル穂数も平年を上回りました。
(4)本年の作柄、品質
9月25日現在における岩手県の作柄概況(農林水産省東北農政局、令和3年10月12日公表)は、作況指数103、10a当たりの予想収穫量は528kg(篩い目幅1.90mm)と見込まれています。
外観品質は、白未熟粒は少なく概ね良好ですが、出穂が早く刈遅れ気味の地域では胴割粒も散見されています。なお、斑点米カメムシの多発が予想されましたが、概ね適切なタイミングで防除が行われ、斑点米の混入は昨年に比べて少ない傾向となっています(10/18現在 現地聞取り)

2 来年の作付けに向けて

(1)育苗
大規模育苗では、気象予報に応じて浸種水温の制御や温度管理・かん水等を細かく行うことが難しい場合があります。来年に向け、育苗設備や人員体制、作業スケジュールをチェックするとともに、基本に立ち返って必要な技術対策(浸種水槽の保温対策、プール育苗等の技術導入)を講じます。→ 参考 農作物技術情報 第1号〔2021.3.18〕

(2)本田管理
本年は生育前半の好天により、過去になく生育ステージが早まり、追肥や草刈り、防除など、適期管理が追い付かないケースもみられました。近年は大規模法人での取り組みなど栽培規模が大きくなってきていることから、以前のような基本管理の徹底が困難になりつつあり、結果的に収量や品質の不安定化につながっている実態もあるようです。必要な栽培管理がもれなく実施できるよう、現在の営農体制(作業暦や人員、機械装備)と作付規模を照らして、必要に応じて見直しをするとともに、複数品種の作付や苗質の変更、直播栽培などの技術導入による作業分散も検討してください。

3 稲作の低コスト栽培技術の導入に向けて

稲作のコストダウンのため、必要な資材までも安易に使用を控えると収量確保や良質米生産に悪影響を与えてしまいます。以下のような観点から総合的なコスト低減に努めてください。
(1)作付面積の拡大(規模拡大)⇒ 10aあたり生産費の低減
(2)生産量の増加(収量増加) ⇒ 60kgあたり生産費、生産物10,000円あたり生産費の低減
(3)販売単価の向上(有利販売)⇒ 生産物10,000円あたり生産費の低減
生産コストの低減手法については「低コスト稲作栽培技術マニュアル(平成29年3月、岩手県)」が作成され、岩手県ホームページに掲載されています。是非一度、お手持ちのパソコンやスマートフォンから確認してください。(掲載アドレスhttps://www.pref.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/686/manual.pdf)
また各種のICT技術が稲作にも活用されてきており、県内でも導入に向けた取り組みが始まっています。県内外の先進事例などの動向に注目し、将来的な経営への活用などを今から考えてみてください。

水稲 最後

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