農作物技術情報 第6号 果樹(令和3年8月26日発行)

ページ番号2003983  更新日 令和3年8月26日

印刷大きな文字で印刷

タイトル

  • りんご 凍霜害等により収穫期はそろわないと予想されます。すぐりもぎを徹底しましょう。病害虫では、予察と適期防除を徹底します。なお、早生種は収穫期となっているので、農薬の使用基準を遵守し、ドリフトには十分注意しましょう。
  • ぶどう 熟度は概ね平年並みと推察されます。食味を重視した適期収穫に努めましょう。

りんご

1 生育概況

(1)果実生育(表1)
各生育診断圃における8月11 日時点の果実生育(横径)の調査結果は、県平均で平年比98~102%、前年比94~99%で、7月までは平年を上回っていたものの平年並みの果実生育となりました。開花が平年より早かったため6月1日時点の果実生育は110%前後でしたが、その後は、梅雨明け後の高温など気象的な影響に加え、4月の凍霜害で側果の利用が多くなり、中心果と比較して側果は果実生育が劣ることから平年並みになった推察されます。
これまで、樹勢調整のため、大きなサビや傷などがついた果実も着果させていたと思いますが、樹勢への影響が少なくなる8月下旬から9月上旬に摘果を行います。

表1

2 栽培管理のポイント

(1)凍霜害など気象災害の影響を受けた果実の収穫について
一般的な着色管理や収穫は以下に示したとおりです。なお、本年は凍霜害など多くの気象災害が発生しております。4月の凍霜害により側果の利用が多い場合は、中心果と比較して収穫期が遅れると考えられます。一方、サビ果や雹害による傷果、高温による日焼けなど目立たない障害であっても熟期が進む可能性があります。よって、1樹の中でも収穫期がバラつく可能性がありますので、地色の進み具合を確認し、すぐりもぎを徹底します。
(2)早生種
ア 葉摘み作業が遅れている場合でも、果皮に急に直射日光が当たると日焼けが発生しますので、徐々に葉摘みを進めます。高温が予想される日には、極力、果面の温度が上がる午後から実施します。
イ 今年の満開日から見た収穫期の目安は表2のとおりですが、この目安は北上市成田の満開日より算出しており、県南の平場ではこの予想日より早まることも予想されます。
ウ また、仙台管区気象台の1ヶ月予報(8/19 発表)で向こう1か月の天候の見通しは、平均気温は高い、日照時間は少ないまたは平年並、降水量は平年並の見込みです。したがって、高温により着色が緩慢となり、着色と内部品質が一致しないまま収穫期を迎える可能性もあるため、過度な着色は期待せず、食味・硬度等を確認の上、適期収穫に努めてください。
エ すぐりもぎが基本です。特に熟期が不揃いな「つがる」や「きおう」は徹底します。

表2

(3)中生種
ア 「紅いわて」の収穫
(ア)「紅いわて」は着色の良い品種であるため、着色のみで収穫を判断すると、収穫時期が早くなってしまい、食味が劣り、品種の評価を落とすことになります。食味を重視し、表3の目安を参考に収穫してください。
(イ)なお、系統販売等、輸送して販売する場合はデンプン指数2~2.5、直接販売する場合はデンプン指数2程度を目安に収穫してください。

表3

イ 中生品種(「紅いわて」以外)の着色管理
(ア)「ジョナゴールド」などの着色管理は、1回目の軽い葉摘み終了後、陽光面の着色が進んでから、葉や枝カゲをつくらないように玉回しを収穫まで2~3回行います。玉回しと同時に適当な強さに葉を摘みます。
(イ)着色適温は10~20℃です。気温の高い日が続くと、必要以上に葉摘みを強くしても着色は進まないので、過度の葉摘みとならないよう注意します。


(4)晩生種
ア 「ふじ」は、着色期間が30~40 日間と長いため、陽光面が着色してきた頃(9月下~10 月上旬)と10 月中~下旬の2回に分けて葉摘みを行います。1回目の葉摘みは、果実に密着する葉を摘む程度とし、2回目は適当な強さまで葉を摘み、陽光面の着色が進んできたら葉や枝カゲを残さないよう玉回しを行います。
イ 過度の葉摘みは、葉が少なくなり果実の着色や蜜入りが劣り、翌年の花芽の充実が悪くなるなどマイナスの影響が出ますので注意してください。

3 病害虫防除および気象災害対策

(1)病害虫防除
ア 8月6日に病害虫防除からハダニ類の注意報が発表されています。
園地をよく観察し、要防除水準に達している場合は、速やかに防除します。
イ 褐斑病(写真1)は数年前から、県内で広く見られています。
発生が確認された場合は速やかに効果の高い薬剤で特別散布を実施してください。
ウ 黒星病についても、県内広く発生が確認されています。他病害との同時防除を兼ねて、本病に効果のある予防剤を定期的に散布してください。その際には散布ムラがないように十分な薬液量を丁寧に散布します。また降雨が予想される場合は、降雨前に散布を行ってください。
そして、園地を見回り、発生が確認された場合は見つけ次第、発病葉や発病果を摘み取り、土中に埋めるなど適正に処分してください。苗木など未結果樹での発生にも注意し、成木と同様に薬剤防除を徹底します。
エ 果樹カメムシ類による被害果が広く確認されています。園地をよく観察し、大量の飛来が確認された場合は、効果の高い薬剤により速やかに防除を実施します。
オ 早生品種の収穫期となりましたので、農薬の使用にあたっては、ドリフトや使用基準(倍率、収穫前日数等)に注意してください。

写真1 

(2)台風対策
これから、台風が多く発生する時期になります。強風で倒木が発生しないよう、防風ネットの設置、支柱との結束を確認してください。また、気象情報に注意し、台風の接近前に収穫を進めるなど、被害を最小限にできるよう対策を講じてください。
(3)湿害対策
台風に伴う大雨や秋の長雨など、園地内が過湿となった場合、裂果や根部の障害による樹勢衰弱の要因となります。園地内に水が停滞しないよう、溝を掘るなど排水対策を講じてください。

ぶどう

1 生育概況

8月15 日時点の定点調査地点における「キャンベルアーリー」の果実品質は(表4)、平年と比較して、房長はやや小さいものの、果径はやや大きく、糖度は高めとなっていますが、8月中旬の低温と日照不足等の影響により糖度が低くなる品種も出てくる可能性があります。このような状況から、熟度は概ね平年並みに進んでいるものと推察されます。
なお、向こう1か月の天候の見通しは、平均気温は高い、日照時間は少ないまたは平年並、降水量は平年並の見込みです。よって、高温により着色が緩慢となる可能性もありますので、過度な着色は期待せずに、食味を重視した適期収穫が重要です。

表4

2 収穫

収穫は着色、糖度などの食味に留意しながら、品種ごとの基準糖度に達してから行います。過熟になると、商品価値が低下し、裂果や脱粒の発生も助長しますので、過度に着色は期待せず適期収穫に努めてください。
注 詳細は、7月29 日発行の「農作物技術情報第5号 果樹」を参照ください。

最後

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
〒024-0003 北上市成田20-1
電話番号:0197-68-4435 ファクス番号:0197-71-1088
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。