農作物技術情報 第4号 畜産(令和3年6月24日発行)

ページ番号2003834  更新日 令和3年6月24日

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タイトル

  • チモシー一番草後の追肥を忘れずに行いましょう。二番草の収穫は適期に行いましょう。
  • 飼料用とうもろこしの生育期処理除草剤を遅れずに散布しましょう。
  •  新鮮な十分量の水、食いつきの良い粗飼料、ミネラル等の補給など飼料給与面からの暑熱対策にも留意しましょう。

1 牧草

(1)チモシー草地は、一番草刈り取り後の施肥が重要
チモシーは一番草刈り取り後に新しい分げつが発生し、それが二番草となり、越冬し翌年の一番草を構成します。よって、チモシーの一番草刈り取り後の施肥を省略してしまうと新しい分げつ発生数が減少し、年を重ねるごとに密度が低下していきます。「チモシーは一番草しかとらないから、一番草刈り取り後は施肥しない」というのは収量低下の大きな原因になります。
施肥は一番草刈り取り後10 日目ごろに行います。肥料は速効性のある化成肥料の効果が高いです。
(2)二番草の収穫、収穫後の管理
二番草の収穫時期は、一番草収穫後から40~55 日が目安です。土壌及び牧草の水分が高く、気温の高いこの時期は、牧草が蒸れ上がり易いので、刈り遅れないようにします。また、極端な低刈りは、光合成の低下と呼吸の増加により夏枯れを招く原因となります。刈り取り高さは10~15cm(握りこぶし一つ分ぐらい)とします。
三番草の生育促進のため、二番草収穫後、できるだけ早く施肥します。施肥量は、10a あたり窒素5kg、リン酸2.5kg、カリ5kg です。尿散布を行う場合は、肥料焼けを防ぐため、曇天や降雨前後に行ってください。

2 飼料用とうもろこし

(1)雑草防除
土壌処理剤散布後に短時間での降水が多く、土壌処理剤の効果が長く続かなかった圃場もあると考えられるので、雑草の発生状況を確認し、雑草が小さいうちに生育期処理剤を散布します。
(2)虫害の早期発見
昨年、本県のスイ-トコ-ン畑でツマジロクサヨトウの幼虫の食害が確認されました。一昨年度から、全国で発生や食害が続いています。
ツマジロクサヨトウは大陸から飛来した成虫がとうもろこしの葉等に産卵し、発生した幼虫がとうもろこしの葉、茎などを食害し(写真1、2)、多発すると大きな被害となります。
圃場の見回りを行い、見慣れない食害痕等の早期発見に努め、異状が確認されたら最寄りの農業改良普及センターに相談してください。

写真1 2

(3)電気柵によるクマ、イノシシの食害防除
ア クマの食害を防ぐための電気柵は、7月下旬頃に設置しますのでまだ余裕がありますが、飼料用とうもろこしの播種後からイノシシの被害が確認された圃場では、電気柵を早めに設置し、終日通電させておきます。電気柵に触れると痛いことを確実にクマやイノシシに学習させます。
イ  電気柵に下草が触れると漏電し、侵入防止効果が劣ります。設置時期が早いほど、下草刈りはこまめに行うようにして下さい。
ウ  電線の設置段数と高さは、クマとイノシシ共に、三段張り、地上から20cm、40cm、60~70cmが目安になります。地面が盛り上がったところには支柱を追加し、漏電を防ぎます(図)。また、クマやイノシシは、最下段の電線下から潜って侵入しようとする場合が多いので、くぼ地にも支柱を追加し電気柵の高さを調整します(図)。

図

エ 電圧は通電時に最低5,000ボルト確保できるような電牧器を選択します。電圧は定期的にチェックし、電圧が維持されているか確かめます。正常時の電圧を電牧器本体に記録しておくと異常に気づきやすくなります(写真3)。また、アースの電圧も測定し、アースがしっかりと利いているか確認します。0.5kVよりも高ければ、アース本数の追加を検討してください(写真4)。
オ 圃場周辺の加害獣の侵入経路(竹やぶ、ススキ)を刈り倒し、見通しをよくします(写真5)。圃場の外周の見通しが悪いと、加害獣に電気柵を視覚的にアピールする効果が劣ります。

写真3 4 5

3 暑熱の影響の緩和(乳牛)

まずは、輻射熱や直射日光の遮断、送風量の確保など環境面の対策(農作物技術情報第2号を参照)を行い、次に飼料給与面からの対策も併せて行うことで、乳量、乳成分と種どまりを維持し、乳房炎と蹄の故障を予防します。
(1)飼料給与の対策
栄養の充足、ルーメンアシド-シスの予防・緩和のため、以下に留意してください。
ア 水
泌乳牛では、1日1 頭あたり100リットル以上の新鮮な水をいつも飲める環境が重要になります。水槽やウオータカップの掃除をいつもよりこまめに行います。
イ 粗飼料
食いつきの良い牧草(例えば適期に刈取り、発酵品質抜群の一番草)やトウモロコシサイレ-ジの在庫量のやり繰りが可能であれば、これらをやや多く給餌することを検討します。繊維と粗飼料からのエネルギ-摂取を確保するとともに、泌乳前期牛で起こりやすいルーメンアシド-シスを予防・緩和します。
ウ 重曹、ミネラル、ビタミン等
乳量の多い泌乳牛では、粗飼料摂取量、反芻回数、唾液分泌量が減少し、ルーメン内pH の低い時間が長く続くので、重曹を給与(100~200g/日・頭)します。放し飼いであれば自由採食も有効です(写真6)。また、発汗等によりカルシウム、リン、マグネシウムの要求量も増加するので乾乳後期牛を除き、通常の1から2割増で与えます。さらに、暑熱時の体温上昇で酸化ストレスが増加すると言われており、ビタミンE やセレンなどの抗酸化添加剤の補強も検討します。
エ 給餌方法
(ア)分離給与では、粗飼料を食い切ったのを確認してから配合飼料を給与します。給餌回数を増やし、1回の配合飼料の給餌量を減らします。牧草の摂取量を増やすため、牧草を細断し、給与できれば理想です。
(イ)TMR給与では、選び食い防止のため、粒度が粗くないこと、水分を含んでいること(50%前後)を確認します。必要に応じて二次発酵を緩和する添加剤を使用します。また、エサ押し回数を増やすことで、採食量を維持するとともに固め食いを緩和します。

図6

最後

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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