農作物技術情報 号外 大雨事後対策(令和3年6月4日発行)

ページ番号2003765  更新日 令和3年6月7日

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タイトル

  • 6月4日に大雨警報が発表され大雨が続いていることから、県内各地で農作物被害が懸念されます。大雨経過後に安全を確認し、事後対策を実施しましょう。

農作業安全

事後対策等は安全を確認してから!

(1)被害確認のための圃場見回りや事後対策を実施する際は、河川の増水中や圃場が浸水している時は危険なので近づかないよう注意します。また、土砂崩れなどの恐れがある場所へは安全が確保されるまでは立ち入らないでください。
(2)圃場に入る際には、作業道等がぬかるみ、路肩が崩れやすくなっていることが考えられます。農業機械が横転する危険がありますので、作業時には十分に注意してください。

水稲

速やかな排水と圃場管理を万全に!

(1)浸冠水した場合には、少しでも早く葉先を出すよう速やかに排水するよう努めます。
(2)浸冠水によって稲体が傷つく等、水分を失いやすい状態にあることから、排水後は、新しい用水に入れ換え、水を切らさないように管理します。
(3)泥水の流入により養分過多となり葉色が濃く、病害に侵されやすくなっている水田では追肥を控えます。
(4)「黄化萎縮病」の発生も懸念されます。分げつ期では、第7 葉の抽出期が最も菌が感染しやすく、感染株は萎縮や葉が黄化して症状が激しいと枯死に至りますので、常発地では、発生が認められたら直ちに登録のある薬剤を水面施用します。
(5)また、浸冠水を受けた稲はいもち病に罹病しやすいので、発病の有無を観察すること。発病が認められた場合は、直ちに薬剤を茎葉散布します。
 

畑作物

速やかな排水と生育回復に努めましょう!

【麦・大豆共通】
圃場にたまった水は直ちに排水し、長時間滞水しないように努めます。

【小麦】
(1)「ゆきちから」で必須となっている2回目の赤かび病防除について、まだ実施していない場合は直ちに実施してください。また、今後も雲雨天が続く場合は、追加防除を実施してください。
(2)倒伏により、赤かび病の発生や登熟不良による品質低下が助長されます。仕分け収穫が徹底できるよう倒伏状況をしっかり把握し、計画的な収穫に向け準備してください。
【大豆】
(1)冠水により回復の見込みがない場合は再播種の検討が必要です。地域ごとに播種適期は異なりますが、再播種する場合、生育量確保のためできるだけ播種量を増やして対応してください。

 

野菜

排水対策と施設の点検を十分に!

【露地】
(1)排水対策等
圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら、畦間の中耕を行って土壌中の通気性を改善します。
(2)殺菌剤散布・葉面散布
大雨後は冠水や多湿、茎葉の損傷等により病気にかかりやすくなっていますので、品目ごとの防除基準に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防止します。露地のきゅうりは、べと病や黒星病、斑点細菌病を対象に、露地のピーマンは灰色かび病を対象に防除を行います。キャベツは、株腐れ病、レタスは灰色かび病や腐敗病、ねぎ、たまねぎはべと病の防除を行います。
茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機により水をかけて洗い流した後、殺菌剤を散布します。
果菜類は、強風などで傷んだ茎葉や果実は摘除して草勢回復を図ります。
必要に応じて液肥を薄い倍率で施用または葉面散布し、草勢回復を促進します。
【施設】
(1) 排水対策等
ハウス内が冠水した場合、ハウス外に排水できるよう排水路をつくり、排水を促します。強風でビニールの破損等がある場合、早急にビニールの張替えや補修を行います。
(2) 殺菌剤散布
ハウス内の湿度が長時間高い状態が続き、病害の発生しやすい状態です。きゅうりのべと病、トマトやピーマンは灰色かび病の防除を行います。ほうれんそうもべと病の防除を行います。

花き

排水対策と事後の栽培管理を速やかに!

(1)大雨後、滞水している圃場は速やかに排水します。特にキク類で萎ちょう症状(水焼け)が発生しやすくなるので、確実に圃場外へ排出します。
(2)強風によって株が倒伏・傾倒した場合は、時間が経過するほど茎の曲がりが戻りにくくなるので、風が弱まったら直ちに株を立て起こします。併せて、支柱・ネットを修復します。
(3)風による茎葉の損傷や、泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されるので、速やかに殺菌剤を散布します。

果樹

排水対策等により被害の軽減に努めましょう!

(1)大雨により滞水した圃場は溝を切るなどして排水に努めます。
(2)滞水により枝に付着したごみ、果実の泥を排除するとともに、果実腐敗性の病害や斑点落葉病・褐斑病等を防止するために、殺菌剤を散布して感染を予防します。また、果実に腐敗等が確認された場合は速やかに取り除きます。
(3)地盤が緩んだことにより、傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることになるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。

飼料作物

排水対策、生育回復に努めましょう!

(1)滞水等がある圃場は、明渠や溝を切るなどして速やかな排水に努めます。
(2)牧草は、圃場が乾いたら速やかに一番草の収穫を行うとともに、草勢を確保するため追肥を確実に行います。
(3)飼料用とうもろこしでは、土壌処理剤の効果が続かず、雑草の発生が懸念されます。圃場観察をしっかり行い、生育期処理剤の散布が遅れないようにします。
(4)土砂の流入により、生育の回復が見込めない場合は、速やかに圃場準備し、極早生のトウモロコシ、エン麦やイタリアンライグラスを播種し、自給飼料を確保します。
(5)畜舎内への浸水や雨もりがある場合、多湿となり不衛生なので、畜舎やその周辺の排水を徹底し、敷料交換、排せつ物の除去、空気の入替により畜舎内を乾燥させるとともに消毒します。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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