農作物技術情報 第2号 野菜(令和3年4月22日発行)
- 施設果菜類では朝晩は保温に努めますが、日中の急激な温度変化に注意しましょう。
- 露地葉根菜類では、土壌が適度に湿った状態で早めに圃場を準備し、速やかに播種や定植を行いましょう。
- 雨よけほうれんそうは、十分な潅水で生育を揃えるとともに、ホウレンソウケナガコナダニの防除を徹底しましょう。
1 生育概況
(1)施設果菜類の苗の生育及び定植後の生育は、一部、夜間の低温で生育は緩慢であるものの、概ね順調です。露地果菜類は現在育苗中ですが、生育は概ね順調で圃場の準備が進められています。
(2)露地葉菜類のうち、ねぎは3月下旬、レタスは高冷地で4月中旬頃から定植が始まっています。例年並みに定植が進んでいます
2 技術対策
(1)施設果菜類の管理
これからの時期は天気の変化が激しく、温度管理等に十分な注意が必要です。今後も最新の気象情報を参考にし、天候に応じた温度管理を心がけてください。特に定植して間もない圃場では、初期生育を良好に保つため、朝晩は保温管理を徹底するほか、日中は高温による葉焼け、萎れ症状に注意しましょう。
明け方の冷え込みが予想されるときは、低温による生育停滞や障害を起こさないよう、夕方早めにハウスを閉めます。また、誘引前では保温マットやべたがけ資材による保温管理を実施するとともに、誘引後では必要に応じて補助暖房を活用し、最低気温(きゅうりでは約12℃、トマトで約10℃、ピーマンで約17℃、いちごで約8℃)を確保します。
一方で、日中の最高気温が30℃を越えないよう換気を実施しますが、施設内の乾燥を防ぐため、乾燥した空気がハウス内に流入する場合には、風上の側窓、天窓は閉める、もしくは、少しの開放に止め、風下の側窓、天窓を中心に換気を実施します。
施設内が乾燥している等、かん水の必要がある場合には、日中の気温が高まる時間帯に行い、適湿を保つようにします。特に半促成きゅうりでは空中湿度の低下を防ぎ側枝の発生を促すため、状況に応じて通路かん水を行います。
(2)露地きゅうりの圃場準備
岩手県では、全県を挙げてキュウリホモプシス根腐病総合対策に取り組んでいます。重点実施事項は「基本の栽培管理を徹底する=根をしっかり張らせる管理」、「早期被害リスク把握による被害軽減」です。露地きゅうりでは圃場pHが低い傾向にありますので、まず最適pHである6.5を目標に改良します。排水不良の圃場においては、事前の対策をしっかり講じてください。
(3)露地葉菜類の霜害回避と事後対策
この時期に定植する葉菜類は、一般に低温に強く、霜害の心配は少ないですが、定植から活着までの間に強い霜に当たると被害を受ける場合があります。気象情報を参考にして、定植予定日直後に強い霜が予想される場合には、定植時期をずらし、被害を回避します。
アスパラガスが降霜により被害を受けた場合は、被害茎を早めに取り除き株の消耗を軽減するとともに、次の若茎の萌芽を促進します。
(4)露地葉菜類の適期定植とべたがけ資材除去
圃場準備や作業の遅れから、苗の定植適期を逸する恐れがあります。育苗温度を低めにする等管理に留意するとともに、苗が老化した場合は次作用の苗を用いる等作業計画を調整します。圃場準備は無理せず、適度な土壌水分になるのを待って行います。乾燥時には、スプリンクラー等で散水するか降雨を待ちます。
4月中に定植するレタス、キャベツは、風のない温暖な日に定植を行ってください。低温が予想される状況でやむを得ず作業を行う場合には、べたがけ資材を利用し、植え傷みの防止、凍霜害の軽減を図りましょう。ただし、べたがけ資材の除去が遅れると高温による変形球発生等の障害が見られますので、表1を目安に除去します。
(5)雨よけほうれんそうの管理と害虫防除
日中好天で風が強い等の気象条件が続くと、予想以上に圃場が乾燥している場合があります。播種時の潅水は十分量行い、生育のムラが生じないようにします。
ホウレンソウケナガコナダニによる被害は、今年も既に一部地域で見られています。未熟な有機物(稲わら、籾がら等)の施用を避け、被害が見られた株は抜き取りハウスから離れた場所で処分し、土壌表面が乾燥しないように生育中潅水を行うとともに、有機入り配合肥料に比べ被害を軽減できる化学肥料を施用する等の対策を行います。また、薬剤防除は、播種前に効果のある殺虫剤(粒剤)を土壌施用するとともに、本葉2葉期及び4葉期頃に効果のある殺虫剤を十分量散布して、体系的に防除します。なお、例年被害の多い圃場では、ホウレンソウケナガコナダニのまん延防止を目的として、適用のある土壌くん蒸剤を土壌表面散布する防除方法も効果的です。
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