農作物技術情報 第2号 畑作(令和3年4月22日発行)
- 小麦 今年の小麦の生育は、3月の気温が高く経過したことから生育量は大きく、生育ステージは4月上中旬の低温でやや緩慢となりましたが、平年より3日程度早まっています。減数分裂期以降の後期追肥や赤かび病防除については、それぞれ生育ステージを確認して準備を進め、適期に行いましょう。
- 大豆 排水対策を早い時期から実施して、圃場条件を整え、適期播種に備えましょう。
小麦
1 生育状況
融雪後、3月の気温が高めで経過したことから生育量は大きく、生育ステージは4月上中旬の低温によりやや緩慢となりましたが、平年より3日程度早まっています(写真1、2)。今後は作業が水稲などと重なることから、除草剤散布や減数分裂期以降の追肥、赤かび病の防除等は、生育状況を確認しながら計画的に行います。
2 病害の発生状況
雪腐病は、融雪が遅かった県中部地域を中心に発生がみられましたが、全般に被害は大きくなりませんでした。コムギ縞萎縮病・ムギ類萎縮病の発生は、例年よりも少なくなりました。
3 今後の管理
(1)排水対策
圃場の排水口や明渠の点検補修を行い、スムーズに排水できるようにします(写真3)。
(2)雑草防除
連作圃場を中心に、すでに雑草が見え始めています。圃場の中に入り、小麦をかき分けて発生を確認しましょう。茎葉処理除草剤を上手に使用することで、その後の作業が容易になります。
(3)後期追肥の実施
減数分裂期以降の窒素追肥で、子実の充実とタンパク質含量の向上を図ります。
生育量や品種によって追肥の有無、時期、量が異なりますので表1を参考にしてください。
追肥の対応は、減数分裂期に生育栄養診断を行い、その結果に基づいて追肥量を判断しますが、地力を考慮し、圃場にあわせた判断が必要となります。
(4)赤かび病の防除
開花始期~盛期に必ず薬剤防除を行います。2回目の防除は1回目の防除から7~10日後に行います。曇雨天が続く場合には、さらに追加防除を行います。小麦は出穂してから1週間~10日程度で開花しますが、気象条件によってその期間は変動します。このため、開花の観察をこまめに行い、適期防除に努めます。また、罹病穂の抜き取りは穂が緑色で判別しやすいうちに行います。
大豆
1 圃場の選定
3作以上の連作圃場、雑草の多発圃場、排水不良圃場への作付けは避けます。
2 過度な連作防止
過度な連作による病害虫の蔓延、地力の低下、雑草の多発などが問題となっています。マメシンクイガ、ダイズシストセンチュウ、黒根腐病などは、大豆の連作により発生リスクが高まりやすい病害虫です。
また、大豆2作程度に対し、水稲2~3作程度が地力維持、病害虫対策の観点からバランスがよいという報告があります。堆肥の利用や輪作、水稲とのブロックローテーション等、長期的な展望を持って、計画的な土地利用に努めてください。
3 排水対策
大豆は初期の湿害が収量、品質に大きく影響する作物です。初期生育が順調であれば、その後の生育も良好に経過します。額縁明渠や弾丸暗渠等は、播種直前ではなく圃場が乾いている時期に余裕を持って行うと、排水効果はもちろん、播種前の整地作業等の準備もスムーズに進みます。
4 播種適期
播種期は、出芽時に晩霜の心配のない頃を播種早限とし、霜による強制登熟で未熟粒が多発する心配のない頃に収穫できる播種時期を播種晩限と設定します。概ね、県北部では5月中下旬、県中部では5月中旬から6月上旬、県南部では6月上中旬が播種適期となります。
5 適正な栽植密度の確保
畦間は70cm程度を標準としますが、中耕培土等の中間管理や、収穫に用いる機械の幅に応じて作業が効率的に行えるように設定します。品種ごとに好適な栽植密度とするためには、株間の調整が必要です(表3)。
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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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