農作物技術情報 号外 台風対策(平成30年10月4日発行)

ページ番号2001815  更新日 平成30年10月4日

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ヘッダ

気象庁発表(10月4日11時現在)によると、大型で強い台風第25号は10月7日に岩手県へ最も接近すると思われます。
徐々に雨風が強まることが予想されます。今後の気象情報に注意するとともに、農作物被害を避けるための防止対策を適切に行いましょう。

人命第一の観点から、圃場の見回り等については、気象情報を十分に確認し、大雨や強風時には行わないでください。
また、大雨等が治まった後の見回りにおいても、増水した水路その他の危険な場所には近づかず、足下等、圃場周辺の安全に十分に注意し、転落、滑落事故に遭わないよう慎重に行ってください。

水稲

適期を迎えた水田は早めの刈取を!台風通過後は速やかな排水を!!

事前対策
(1)ひとめぼれやあきたこまちなど多くの品種は刈取適期を迎えています。適期を迎えた水田では収穫作業を進めましょう。
(2)まだ刈り取りできない水田では、排水路等にゴミなどが詰まっていると浸冠水しやすくなります。特に、北上川流域等の水害の常襲地帯では排水路のゴミを除去するなど点検・整備をしてください。
(3)浸水や冠水が予測されるような水田では、あらかじめ水尻を開放し、排水を促しましょう。
 

事後対策
(1)穂が水に漬かると玄米品質に影響を及ぼしますので、浸水や冠水した場合には速やかに排水するよう努めてください。また、圃場に流れ込んだゴミなどを片付けましょう。
(2)台風通過後は、コンバインによる刈取作業が実施できるように速やかに排水するよう努めてください。
(3)倒伏した場合は収穫時に刈り分けし、土が付着した籾や青未熟粒等の混入を避けてください。また、穂に泥が付着すると調製時に玄米表面を汚し、外観品質を損なう恐れがあります。作業機はこまめに清掃し、品質低下を防止してください。

畑作物

排水対策と圃場管理をしっかり行う!

事前対策
圃場表面の排水を促進するため周囲溝や排水口などを点検・補修し、速やかに排水できるようにします。

事後対策
台風の通過後は再び周囲溝や排水口の点検・補修を行い、排水を促進しましょう。

大豆
圃場にたまった水は直ちに排水し、長時間滞水しないように努めます。倒伏した株は莢が地面に接しないよう、早期に引き上げて圃場を乾かし、収穫作業に備えます。

小麦
播種作業は無理をせず、圃場が乾いてから行いましょう。
出芽前後の圃場は大雨の影響で、除草剤の効果が不安定になり、湿害を被ることが考えられます。圃場を観察し、今後の管理が難しい場合は、作目転換や播種し直すことも考えましょう。

野菜

排水対策と施設の保守点検を万全に!

事前対策
(1)果菜類は若採りするなど、収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。
(2)これまでの大雨等による排水溝の損傷や詰まりがないか、整備・点検を行います。
(3)防風ネットやハウスは、緩んでいるワイヤーやハウスバンドを張り直し、ネットやフィルムの破れている部分は補修しておきます。特にハウスでは筋交いなどの補強を行い強風に備えます。
(4)風が強く施設を閉め切る時間が長くなると、湿度が上昇して病害が発生しやすくなりますので、循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
(5)強風で支柱が抜けたり、倒伏する恐れがありますので、畦の両端や所々で支柱を補強します。併せて支柱・ネット等への茎葉の誘引状況を点検し、しっかり固定します。

事後対策
(1)圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら畦間の中耕を行って土壌中に空気を送ります。
(2)茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機により水をかけて洗い流します。浸水や多湿、茎葉の損傷等により病気にかかりやすくなっていますので、品目ごとの防除指針に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を予防します(特にべと病、疫病、立枯性疫病、軟腐病など)。
(3)強風などで傷んだ茎葉や果実は摘除するとともに、整枝、誘引などの管理を徹底し、必要に応じて薄い倍率で液肥を施用または葉面散布し、草勢の回復に努めます。
(4)冠水や土に埋没するなど、回復の見込みのない場合は直ちに整理し、次年度の栽培に向けた対策を検討します。
(5)施設が破損した場合は、速やかに補修を行ってください。

花き

排水対策と風による倒伏対策を万全に!

事前対策
(1)圃場への流入水対策

用水路の点検を行い、ごみの除去や壊れた箇所の補修を行います。増水によっていつも水が溢れる場所は、土嚢等(肥料袋に土を入れたものでも代用可能)で補強します。
(2)支柱・ネットの補強
支柱やネットの強度を点検、補強します。ぐらつく支柱は打ち直し、風の影響を受けやすい圃場は支柱を増設します。
ネットは適正な位置に調整し、弛みがある場合はネットの両サイドにロープを入れて補強します。また、横木の設置、増設は、支柱・ネットの補強に有効です。
(3)圃場の排水対策
水のたまりやすい場所は、事前に排水溝を設置します。併せて、排水路を点検し、上述した用水路と同様に対策を講じます。
(4)ビニルハウスの対策
被覆資材の破れや傷の補修を行うとともに、パッカーやスプリング等の固定部品を点検します。また、マイカー線の増締めや増設によって被覆資材の締め付けを補強します。風が強まってきたら、入口、サイド、天窓、妻窓を完全に閉め、入口は飛ばされないようしっかりと固定します。なお、換気扇が設置されている場合、強風時はハウス内の気圧を下げるために稼動させますが、風が弱まったら直ちに停止します。

事後対策
(1)株の立て起こし、支柱・ネットの修復
強風によって株が倒伏・傾倒した場合は、時間が経過するほど茎の曲がりが戻りにくくなるので、風が弱まったら直ちに株を立て起こします。併せて、支柱・ネットを修復します。
(2)圃場の排水
圃場が冠水した場合は、特にキク類で萎ちょう症状(水焼け)が発生しやすくなるので、速やかに圃場外へ排出します。
(3)病害対策
風による茎葉の折損や泥の跳ね上がりによって病害の発生が助長されるので、殺菌剤を散布します。この際、株に付着した泥を洗い落とすために、動噴の圧力を高めにして十分量を散布します。併せて、施設栽培では換気を徹底し、施設内の湿度の低下を図ります。
(4)被害株及び茎葉の除去
出荷不能となった株や折損した茎葉は、圃場外に持ち出して処分します。

図

果樹

りんご・西洋なし 暴風対策と被害軽減対策をしっかりと!

事前対策
(1)収穫期を迎えている品種は、果実品質と散布した農薬の安全使用基準(収穫前日数)を確認し、農作業安全に留意しながら、収穫可能なものは収穫を進めましょう。
(2)防風ネットを設置している園地では、ネットの張りを点検し、緩んでいるワイヤーは張り直し、破れたネットは張り替えるなど十分に効果が現れるよう準備します。
(3)わい性樹は強風で倒状することがあるので、主幹を支柱に2~3ヵ所結束します。長大な側枝を持つ樹形であれば、一層、バランスを崩しやすいので、丈夫な支柱で支え、はずれないよう縄で縛り固定します。
(4)高接ぎ樹では大切な更新枝を保護するよう添え木し、幼木も丈夫な支柱を立てておきます。
(5)降雨による表面水を速やかに排水できるよう、予め排水溝を切るなど対処してください。

事後対策
(1)落果の処理
落下した果実は速やかに収集し、出荷団体や農業共済組合等と協議のうえ、それぞれの用途に応じて適正に処理しましょう。
(2)倒木の処理
斜めに傾いたり、横になった樹体の立て直しは、できるだけ早く行います。ただし、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることがあるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。また、すぐに起せない場合は、露出した根に土をかけるなどして乾かないようにしましょう。
(3)病害予防
園地が冠水した場合や、枝葉や幹に無数の傷が生じている場合には、果実腐敗性の病害やふらん病などの樹体病害感染の恐れがあります。このような場合は、定期防除を早めるか、特別散布で殺菌剤を全面散布し、感染を予防します。また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合には、傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗布します。

ぶどう 棚の補強と排水対策を十分に!

(1)防風施設の設置、見直しを行います。(りんごの項事前対策(2)に同じ)
(2)棚が倒壊しないよう、棚内部の力線に補助支柱を配し、周囲柱、隅柱を補強しておきます。
また、雨よけハウス等は、ハウスやフィルムが飛ばされないよう、ハウスバンドやフィルム留め具等の点検を行い、ビニールの破損があれば補修しておきます。
(3)降雨により土壌が軟弱化しアンカー等が浮き上がることを軽減するため、排水溝を切り、速やかに排水できるよう対処します。
 

畜産

飼料畑の排水対策の徹底、停電時対応の確認

事前対策
(1)飼料作物を作付している圃場では、排水溝の点検を行い雨水の排水を促します。特に、とうもろこしは湿害に弱いので排水対策を徹底します。
(2)停電により、搾乳が出来ない場合を想定して、発電機の準備や使用方法を確認しておきます。また、可能であれば貯水タンクに水を確保しておきます。
(3)強風により畜舎や施設の破損が懸念されるので、畜舎周辺を点検し、必要であれば修繕や補強を行います。また、畜舎内に雨水が入らないよう排水溝の点検等を行います。
 

事後対策
(1)飼料作物を作付している圃場で、滞水している場合は速やかに排水するよう努めます。飼料作物の収穫時には、飛来物が混入しないように注意します。
(2)とうもろこしが倒伏、折損した場合はできるだけ早期に収穫します。ハーベスタの収穫方向をよく考え、作業機の運行速度を控えめにし、やや高刈りとするなど、収穫時の土壌などの混入を避けます。また、切断長が粗くなりやすいことから、詰込み密度を確保するために十分な踏圧と早期密封に努め、発酵品質の低下を防ぎます。

サイレージ調製においては土が付着した材料は不良発酵しやすく、また詰め込み密度が低下する場合は、開封後の二次発酵が起こりやすくなります。ギ酸やプロピオン酸などの添加剤の使用を検討します。

被害圃場が一部の場合は、サイロを区分し被害圃場と健全圃場の材料を混ぜないように調製しましょう(サイレージ品質低下の拡大防止やその後の給与の都合)。

倒伏材料によるサイレージ化は発酵の安定に通常より時間を要するため、当年産の給与開始時には被害の少ない圃場から開封する様に努めます。
(3)畜舎内に浸水や雨漏りした場合、高温多湿となり不衛生になりますので、台風通過後は畜舎やその周辺の排水を徹底し、敷料交換、排せつ物の除去、空気の入れ替え等により乾燥を図り、消毒を実施します。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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