農作物技術情報 号外 浸冠水事後対策(平成29年8月25日発行)

ページ番号2001830  更新日 平成29年8月25日

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ヘッダ

8月24日に低気圧と前線の影響により、各地で大雨に見舞われ、圃場への浸冠水や土砂流入など農作物への被害が発生しています。
排水対策を中心に作目や圃場の状況に応じて適切な対策を講じてください。

農作業安全

事後対策等は安全を確認してから!
(1)被害確認のための圃場見回りや事後対策を実施する際は、河川の増水中や圃場が冠水している時は危険なので近づかないよう注意します。また、土砂崩れなどの恐れがある場所へは安全が確保されるまでは立ち入らないようにしましょう。
(2)水が引けた後に圃場に入る際には、作業道等がぬかるみ、路肩が崩れやすくなっていることが考えられます。農業機械が横転する危険がありますので、作業時には十分に注意して下さい。

水稲

速やかな排水と冠水後の圃場管理を万全に!!
(1)浸水や冠水した場合には、速やかに排水するよう努めてください。特に長時間冠水すると登熟に影響しますので、少しでも早く葉先を出すことが重要となります。ただし、稲体が水分を失いやすい状態にあるため、田面を急激に干さないようにしてください。
(2)排水路等にゴミなどが詰まっていると再び降雨があった場合に浸冠水しやすくなります。このため、土地改良区等と連携して排水路等のゴミを除去するなど点検・整備をしてください。
(3)倒伏した場合は収穫時に刈り分けし、土が付着した籾や青未熟粒等の混入を避けてください。また、穂に泥が付着すると調製時に玄米表面を汚し、外観品質を損なう恐れがあります。作業機はこまめに清掃し、品質低下を防止しましょう。
(4)冠水した水稲は病害虫に対する抵抗力が低下しやすく、特にいもち病に罹病しやすいので、穂いもち予防粒剤を散布したところでも、退水後ただちに薬剤防除を実施しましょう。

大豆

速やかな排水と冠水後の圃場管理を万全に!!
(1)排水溝(口)を点検・補修し、土壌表面水の速やかな排水に努めます。
(2)圃場にたまった水は直ちに排水し、長時間滞水しないように努めます。倒伏した株は莢が地面に接しないよう、早期に引き上げて子実肥大を促します。
(3)浸冠水被害を受けると病害虫が発生しやすくなります。発生状況を確認しながら、必要に応じて防除を行いましょう。

野菜

排水対策等を早急に行い、草勢回復に努めて下さい
(1)停滞水を直ちに排水するとともに、付着した泥土を洗い流してください。
(2)冠水や多湿によって病気の発生が懸念されるので、品目ごとに使用基準に従い殺菌剤を散布して予防に努めてください(特にべと病、疫病、立枯性疫病など)。
(3)生育回復を図るため、被害葉や被害果、くず果の整理を早めに行ってください。また、整枝、誘引などの管理を徹底し、草勢の回復に努めてください。
(4)圃場表面が乾いたら、畦間の中耕を行うなど土壌中の空気の流通を図り、根の活性化に努めてください。
(5)障害の状況に応じて、液肥の葉面散布など追肥を行い、草勢の回復に努めてください。
(6)浸冠水や土に埋没するなど、回復の見込みのない場合は直ちに整理し、代替野菜の作付を検討して下さい。秋野菜では、かぶ、つけな類等があげられます。は種限界の目安は次の通りですので参考にして下さい。
かぶ:9月下旬
つけな類・中国野菜:9月下旬

花き

排水対策と冠水後の圃場管理を万全に!!
(1)滞水している圃場は速やかに排水を促してください。
(2)支柱ごと倒された場合、直ちに起こして支柱、ネットの修正を行います。また崩れた畦の修復も行います。
(3)風雨により折損があった場合は被害部分を速やかに取り除きます。また、茎葉の損傷や泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されるので、速やかに殺菌剤を散布します。

果樹

被害の軽減に努めましょう
(1)滞水した圃場は溝を切るなどして排水に努めます。
(2)枝のごみ、果実の泥を排除するとともに、果実腐敗性の病害や斑点落葉病・褐斑病等を防止するために、殺菌剤を散布して感染を予防します。また、果実に腐敗等が確認された場合は速やかに取り除きます。
(3)斜めに傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることになるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。

飼料作物

牧草地や飼料畑の排水対策、草勢回復に努めましょう
(1)滞水等がある圃場においては、溝を切るなどして速やかな排水に努めます。
(2)二番草の収穫が完了していない場合は、圃場が乾いたら速やかに収穫を行います。今後も不安定な天候が見込まれることから、無理に乾草調製を行わず、予乾サイレージ調製を基本とします。また、草勢を確保するため追肥を確実に行いましょう。
(3)土砂の流入により、収穫が見込めない牧草地は草地更新を検討します。今年度の秋播種を行う場合は、既に播種適期となっているので、土壌改良材、種子、肥料等の準備をすみやかに行い、直ちに播種作業に取りかかりましょう。飼料畑の場合は、倒伏が軽度の場合は回復が見込まれるので、所定の収穫時期を待って高刈りを行い、土壌が混入しないように注意してサイレージ調製を行います。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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