農作物技術情報 号外 低温・寡照対策(平成29年8月17日発行)

ページ番号2001827  更新日 平成29年8月17日

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ヘッダ

今後の天候
県内は8月上旬から日照が少なく、気温が低い状態が続いています。8月17日に仙台管区気象台から発表された「東北地方1か月予報」では、今後8月25日頃まで気温の低い状態が続く見込みです。
8月26日以降の平均気温は平年並か高くなる見込みですが、湿った空気や気圧の谷の影響を受けやすいため、向こう1ヶ月の降水量は平年並か多い、日照時間は少ない見込みとなっています。

県内の水稲は現在、北上川流域の移植栽培では登熟期を迎えています。低温少照の気象経過により登熟が緩慢です。いもち病の発生しやすい状況なので、圃場を観察し、いもち病が確認された場合には追加防除を行いましょう。(農作物病害虫防除速報ナンバー8 水稲編-5、平成29年8月7日、岩手県病害虫防除所)

水稲

いもち病が確認された場合には、追加防除を行いましょう。

  • 水稲は現在、北上川流域の移植栽培では登熟期を迎えています。低温少照の気象経過により登熟が緩慢であり、いもち病の発生しやすい状況です。
  • 岩手県病害虫防除所の調査によると、穂いもちの重要な伝染源となる上位葉(止葉、次葉、第3葉)への発生はほぼ平年並でしたが、7月第5~6半旬にかけて葉いもちが急増し、上位葉にも発生しています。
  • 生育の遅い水稲等で上位葉での葉いもちの発生や穂いもちへの感染が懸念されますので、圃場を観察し、いもち病が確認された場合には追加防除を行いましょう。
  • 登熟期は間断潅がいを行い、田面が濡れた状態を維持しながら、根の活力を保つよう管理してください。早期に落水して田面が乾くと、腹白粒の増加や玄米千粒重の低下、強制登熟による胴割れ米等の発生要因となりますので、出穂後35日頃を目安に落水してください。
  • 直播栽培や県北沿岸部では、出穂が遅れています。まだ出穂していない圃場では、平均気温20℃以下の低温が予想される場合は、10cm程度の深水管理をしましょう。

大豆

排水は速やかに・病害防除は適期に!

  • 低温と寡照が続くと、降雨がそれほど多くなくても圃場は湿った状態が継続し、湿害を被ります。速やかに排水できるよう、今のうちに排水溝などを点検し、補修してください。
  • 病害の発生が懸念されます。圃場を観察し、薬剤防除は適期に行いましょう。

野菜・花き

草勢維持管理・病害防除を徹底しましょう

  • 露地品目では長雨による過湿を防ぐため、圃場の排水対策を徹底しましょう。
  • 病害の発生が懸念されるので、薬剤散布間隔をあけないように予防散布に努めましょう。
  • 施設品目では、不要な枝葉を整理し通風や採光を図るとともに、効率的な防除を行いましょう。また、保温より換気を行ってハウス内の湿度を下げることを優先しましょう。
  • ハウスピーマンでは、出荷規格の大きさに達した果実は速やかに収穫するとともに、下垂枝に着果した肥大不良果を摘果し、過着果による草勢低下を回避しましょう。
  • ハウストマトでは、7月の高温の影響で裂果が発生しやすい状況ですので、かん水量に注意するとともに追肥を適切に行い草勢維持を図りましょう。
  • 露地きゅうりでは、炭疽病の蔓延防止のために、摘葉を基本に整枝は控え目とします。曲がり果や尻太果などは摘果し、追肥を実施して草勢の維持・回復を図りましょう。
  • レタスでは、多湿条件により腐敗性病害の発生が多くなりますので、天候に応じて薬剤散布を行いましょう。
  • ねぎでは、べと病が増加する恐れがあります。薬剤散布を行うとともに、無理な土寄せによる生育の停滞を招かないようにしましょう。
  • 雨よけほうれんそうはハウス内の通風を良くしてべと病の発生を防止するとともに、雨水の流入による生育不良を防ぐために、ハウス周辺の排水対策を再度確認しましょう。
  • りんどうの花腐菌核病は低温で発生しやすい病害です。例年よりも発生が早まる可能性がありますので、適期防除に努めましょう。

果樹

受光体制・着果量の改善と病害防除を徹底しましょう

  • りんごは、現在、来年の花芽形成期に入っており、日照不足による花芽形成の抑制が心配されます。また多湿条件下で病害の感染・発生が懸念されます。日光や薬液が樹冠内部までよく通るよう、誘引や徒長枝整理等を行い、樹冠内部の受光体制の改善に努めましょう。
  • りんごなどでは、日照不足による光合成能の低下により果実肥大の鈍化も懸念されますので、生育不良果等を中心に摘果を行い、いま一度着果量を見直しましょう。
  • ぶどうなど、特に温度が生育に影響する品目は、着色の進みや糖度上昇、そして酸抜けの遅れなど、着果負担を軽減して成熟を早める管理が必要となる場合もあるので、成熟の進みに注意しながら、必要に応じて摘房等着果調整を行いましょう。
  • りんご、ぶどうなどの早生品種の収穫の際は、果実の着色と内部品質が一致しないまま収穫期を迎える場合も考えられますので、特にもりんごでは果肉の硬度や地色の抜けに注意して、収穫が遅れないよう適期収穫に努めましょう。

畜産

調製は手早く行いましょう

  • 牧草の収穫は、天候の回復を待ち収穫時期を遅らせると、牧草の倒伏や三番草の収量減などの悪影響も出ます。乾草調製が難しい天候の時は、水分40~70%で手早くロールベールラップサイレージで調製します。
  • 突発的な大雨に備えて、畜舎や圃場排水溝の点検を行い、流入水の防止や排水対策に万全を期してください。また、ふん尿の管理も徹底し、流出が無いようにしてください。

図1

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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