農作物技術情報 号外 台風事後対策(平成28年9月1日発行)

ページ番号2001866  更新日 平成28年9月1日

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台風第10号は8月30日に本県を縦断し、沿岸・県北地域を中心に圃場や農業施設(ハウス・畜舎等)に大きな被害が発生しています。
農作業安全に留意しながら、早期復旧に向けて事後対策を実施しましょう。
農薬の特別散布を実施する場合は、使用前に必ずラベル等で使用基準を確認しましょう。

農作業安全 事後対策は安全を確認してから!

(1)被害確認のための圃場見回りや事後対策を実施する際は、河川や水路が増水中の場合や圃場が冠水している場合は危険なので、近づかないようにしてください。また、土砂崩れなどの恐れのある場所へは、安全が確保されるまでは立ち入らないようにしましょう。
(2)水が引けた後に圃場に入る際は、路肩が緩んでいたり、圃場や作業道等がぬかるんで、農業機械等が横転する危険があります。作業時には十分注意してください。

稲 速やかな排水と冠水後の圃場管理を万全に!

(1)浸冠水した場合には、速やかに排水するよう努めてください。特に長時間冠水すると登熟に影響しますので、少しでも早く葉先を出すことが重要となります。ただし、稲体が水分を失いやすい状態にあるため、田面を急激に干さないようにしてください。
(2)排水路等にゴミなどが詰まっていると再び降雨があった場合に浸冠水しやすくなります。このため、土地改良区等と連携して排水路等のゴミを除去するなど点検・整備をしてください。
(3)倒伏した場合は収穫時に刈り分けし、土が付着した籾や青未熟粒等の混入を避けてください。
また、穂に泥が付着すると調製時に玄米表面を汚し、外観品質を損なう恐れがあります。作業機はこまめに清掃し、品質低下を防止しましょう。

大豆 速やかな排水と冠水後の圃場管理を万全に!

(1)圃場にたまった水は直ちに排水し、長時間滞水しないように努めます。倒伏した株は莢が地面に接しないよう、早期に引き上げて子実肥大を促します。
(2)浸冠水被害を受けると病害虫が発生しやすくなります。発生状況を確認しながら、必要に応じて防除を行いましょう。

野菜 排水対策と病害対策を十分に!

(1)圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら畦間の中耕を行って土壌中に空気を送ります。
(2)台風通過後は、浸水や多湿、茎葉の損傷等により病気にかかりやすくなっていますので、品目ごとの防除指針に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を予防します。なお、茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機により水をかけて洗い流した後、殺菌剤を散布します。
(3)強風などで傷んだ茎葉や果実は、摘除して草勢回復を図ります。また、必要に応じて薄い倍率で液肥を土壌潅注または葉面散布し、草勢回復を促進します。
(4)施設野菜では、破損部分があれば補修を行います。また、施設内では過湿の状態にあり、病気の発生が懸念されますので、速やかに換気し、薬剤散布により病害の発生予防に努めましょう。

き 排水対策と病害対策を十分に!

(1)台風の通過後、滞水している圃場は速やかに排水し、長時間滞水しないようにします。
(2)支柱、ネットの修復を行うとともに、倒れた茎は早めに起こし、曲がりを軽減するように努めます。
また、根の浮き上がった株については茎葉を立て直し、土寄せしましょう。
(3)折れた茎葉は圃場外に持ち出すとともに、茎葉の損傷がひどく回復の見込みがないものは、抜き取り処分しましょう。
(4)風による茎葉の損傷や泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されますので、速やかに殺菌剤を散布しましょう。
(5)施設花きでは、破損部分があれば補修を行います。また、施設内では過湿の状態にあり、病気の発生が懸念されますので、速やかに換気し、薬剤散布により病害の発生予防に努めましょう。

果樹 被害軽減対策をしっかりと!

(1)園地、園道に滞水がある場合には、溝を切るなどして排水に努めます。特にぶどう棚では降雨により土壌が軟弱化し、アンカー等が浮き上がることを軽減するため、速やかに排水対策を行います。
(2)斜めに傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることになります。このため、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。
(3)園地が冠水した場合や枝葉や幹に無数の傷が生じている場合、果実腐敗性の病害や腐らん病など樹体病害の感染の恐れがあります。こうした場合は定期防除を早めるか、または特別散布で殺菌剤を全面散布し感染を予防します。また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合は、傷口をなめらかに切り塗布剤を塗ります。
(4)りんごの場合、紫紋羽病の発生園では、病気の蔓延を予防するため、本病に登録のある剤を土壌潅注処理します。また、樹の衰弱が予想される場合には、堆肥や土壌改良資材を根域に混和し埋め戻します。

畜産 飼料畑の排水対策の徹底、畜舎内の清掃と消毒

(1)飼料作物を作付している圃場で滞水している場合は、速やかに排水するよう努めます。飼料作物の収穫時には、飛来物が混入しないように注意して作業を行います。
(2)強風により、とうもろこしの折損や倒伏が見られた場合、子実の登熟初期までに倒伏した個体は、折損していなければ立ち直る場合がありますので、そのままの状態にしておきます(手で直すと茎・根などが折れることが多く、被害は逆に多くなります)。
(3)倒伏した場合の収穫は、ハーベスタの収穫方向をよく考え、作業機の運行速度を控えめにし、やや高刈りとするなど、収穫時の土壌などの混入を避けます。また、切断長が粗くなりやすいことから、詰込み密度を確保するために十分な踏圧と早期密封に努め、発酵品質の低下を防ぎます。
(4)折損等の被害が著しい場合は、圃場準備を急ぎ、エンバクやイタリアンライグラスを播種して、自給飼料確保を図ります。
(5)畜舎内への浸水や雨漏りが発生した場合、高温多湿となり不衛生になりますので、台風通過後は畜舎やその周辺の排水を徹底し、敷料交換、排泄物の除去、空気の入れ替え等により乾燥を図り、消毒を実施します。特に搾乳機器は十分な点検を行い、消毒等の衛生対策を徹底します。
(6)酪農家では、停電により長時間搾乳ができなかったことで乳房炎の発生が懸念されます。搾乳ができなかった時間が16時間を越えると乳房炎のリスクが高まります(下表)。早期発見に努めるとともに、発症が疑われる場合は、速やかに獣医師の診察を受け、被害軽減に努めましょう。

表

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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