農作物技術情報 号外 台風対策(平成28年8月15日発行)

ページ番号2001863  更新日 平成28年8月15日

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気象庁発表の台風情報(8月15日5時現在)によると、台風7号は今後、本州東部〜東岸を北上する予報となっており、岩手県でも16日夜半以降風雨による農作物への影響が懸念されます。
今後の気象情報に注意するとともに、農作物被害を避けるための防止対策を適切に行いましょう。
人命第一の観点から、圃場の見回り等については、気象情報を十分に確認し、大雨や強風が治まるまでは行わないでください。また、大雨等が治まった後の見回りにおいても、増水した水路その他の危険な場所には近づかず、足下等、圃場周辺の安全に十分に注意し、転落、滑落事故に遭わないよう慎重に行ってください。

水稲

速やかな排水と冠水後の圃場管理を適切に!!

事前対策

(1)現在、穂揃期を迎えているところが多く、浸水や冠水した場合、稔実歩合や登熟歩合の低下等の被害を受けやすい時期となっています。
(2)排水路等にゴミなどが詰まっていると浸水や冠水しやすくなりますので、土地改良区等と連携して排水路のゴミなどを取り除きましょう。
(3)浸水や冠水が予測されるような水田では、あらかじめ水尻を開放し排水を促しましょう。

事後対策

(1)浸水や冠水した場合には、速やかに排水するように努めてください。特に、長時間冠水すると登熟に影響しますので、少しでも早く排水して水稲の葉先を出すことが重要となります。
(2)台風通過後は、稲体が水分を失いやすい状態にあるため、田面を急激に干さないよう間断潅がいしましょう。
(3)冠水した水稲は、病害虫に対する抵抗力が低下しています。穂いもち予防粒剤を散布した圃場でも、上位葉に葉いもちの発生が見られる圃場では、退水後直ちに茎葉散布による薬剤防除を実施しましょう。

大豆

排水対策と病害防除を十分に!

事前対策

(1)表面の排水を促進するため周囲溝や排水口などを点検・補修し、土壌表面水を速やかに排水できるようにします。

事後対策

(1)台風の通過後は再び周囲溝や排水口の点検・補修を行い、排水を促進しましょう。
(2)現在、着莢期を迎えていますが、風雨によって葉や茎がもまれ、傷つくことがあります。この結果、傷口から様々な病原菌が侵入したり、湿度が高まることによって紫斑病が発生しやすくなります。開花後20日から40日頃に薬剤防除を行いましょう。

野菜

施設の暴風対策と排水対策を十分に!

事前対策

(1)大雨に備え、排水溝の整備・点検を行います。特に、圃場外からの侵入水を防止するため、圃場やハウスの周囲にあらかじめ排水溝を設けておきます。
(2)露地圃場やハウス周囲に防風ネットを設置している場合、緩んでいるワイヤーや針金を張り直し、ネットの破れている部分は補修します。
(3)パイプハウスは、ハウスバンド(マイカー線等)が切れていないか、緩んでいないかを点検するとともに、ビニールの破損があれば補修し、筋かいなどの補強を実施して強風に備えます。
(4)風が強い場合、施設を閉め切ることになり、湿度が上昇して病害が発生しやすくなりますので、循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
(5)露地圃場では強風で支柱が抜けたり、倒伏したりする恐れがありますので、畦の両端や畦の所々を補強し、支柱の倒伏・倒壊、株の倒伏を防ぎましょう。
(6)支柱・ネット等への茎や枝の誘引状況を点検し、しっかり固定します。
(7)被害が予想される場合、収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。

事後対策

(1)排水対策等
圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら畦間の中耕を行って土壌中に空気を送り、根の活性化に努めます。

(2)殺菌剤散布・葉面散布
台風通過後は、冠水や多湿、茎葉の損傷等により病気にかかりやすくなっていますので、品目ごとの防除指針に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防止します。
茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機等により水で洗い流した後、殺菌剤を散布します。
強風等で傷んだ茎葉や果実を摘除するとともに、必要に応じて液肥を薄い倍率で施用または葉面散布し、草勢回復を促進します。

花き

風による倒伏対策と排水対策を十分に!

事前対策

(1)圃場に水路などからの水が入らないよう土嚢などで対策するとともに、排水路の点検を行い、排水しやすいよう整備してください。
(2)強風による折損や倒伏の恐れがありますので、支柱やネットの強度を確認し、補強してください。
また、ネット上げが不十分な場合、茎上部が風で折れることがありますので、適宜引き上げてください。
(3)施設栽培では被覆資材の破損が拡大しないように、ビニールの小さな破れや傷の補修を行います。
また、風が強い場合、施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して灰色かび病などの病害が発生しやすくなりますので、循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。

事後対策

(1)台風の通過後、滞水している圃場は速やかに排水します。
(2)支柱、ネットの修復を行うとともに、倒れた茎は早めに起こし曲がりを軽減するように努めます。
(3)風による茎葉の損傷や泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されますので、速やかに殺菌剤を散布します。

果樹

りんご

暴風対策をしっかりと!

事前対策

(1)防風ネットを設置している園地では、ネットの張りを点検し、緩んでいるワイヤーは張り直し、破れたネットは張り替えるなど十分に効果が現れるよう準備します。
(2)わい性樹は強風で倒状することがあるので、主幹を支柱に2〜3ヵ所結束します。長大な側枝を持つ樹形であれば、一層、バランスを崩しやすいので、丈夫な支柱で支え、はずれないよう縄で縛り固定します。
(3)高接ぎ樹では大切な更新枝を保護するよう添え木し、幼木も丈夫な支柱を立てておきます。
(4)降雨による表面水を速やかに排水できるよう、予め排水溝を切るなど対処してください。

事後対策

(1)倒木の処理
斜めに傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることがあるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。
紫紋羽病の発生園では、病害の蔓延を予防するため本病に登録のある剤を土壌潅注処理します。なお、使用前には、必ずラベル等で使用基準を確認してください。また、樹の衰弱が予想される場合には、堆肥や土壌改良資材を根域に混和し埋め戻します。
(2)病害予防
園地が冠水した場合や、枝葉や幹に無数の傷が生じている場合には、果実腐敗性の病害やふらん病などの樹体病害感染の恐れがあります。定期防除を早めるか、特別散布で殺菌剤を全面散布し感染を予防します。また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合には、傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗布します。

ぶどう

棚の補強と排水対策を十分に!

(1)防風施設の設置、見直しを行います。(りんごの項事前対策(1)に同じ)
(2)棚が倒壊しないよう、棚内部の力線に補助支柱を配し、周囲柱、隅柱を補強しておきます。
(3)降雨により土壌が軟弱化しアンカー等が浮き上がることを軽減するため、排水溝を切り、速やかに排水できるよう対処します。

畜産

施設等の暴風対策と飼料畑の排水対策の徹底、停電時対応の確認
水辺近くの電牧器は念のため撤収を!!

事前対策

(1)強風により畜舎や施設の破損が懸念されるので、畜舎周辺を点検し、必要であれば修繕や補強を行います。また、畜舎内に雨水が入らないよう排水溝の点検等を行います。
(2)飼料作物を作付している圃場では、排水溝の点検を行い雨水の排水を促します。特に、とうもろこしは湿害に弱いので排水対策を徹底します。
(3)停電により、搾乳が出来ない場合を想定して、発電機の準備や使用方法を確認しておきます。また、可能であれば貯水タンクに水を確保しておきます。
(4)河川や用水路等水辺近くの圃場で放牧や獣害用の電気柵を設置している場合は、念のため電牧器本体を撤収し、浸水等による紛失、故障等を防ぎます。
事後対
(1)飼料作物を作付している圃場で、滞水している場合は速やかに排水するよう努めます。飼料作物の収穫時には、飛来物が混入しないように注意します。
(2)強風により、とうもろこしの折損や倒伏が懸念されますが、子実の登熟初期までに倒伏した個体は、折損していなければ立ち直る場合があるので、そのままの状態にしておきます(手で直すと茎・根などが折れることが多く、この場合の被害は逆に多くなります)。
(3)倒伏した場合の収穫は、ハーベスタの収穫方向をよく考え、作業機の運行速度を控えめにし、やや高刈りとするなど収穫時の土壌などの混入を避けます。また、切断長が粗くなりやすいことから詰込み密度を確保するために、十分な踏圧と早期密封に努め、発酵品質の低下を防ぎます。
(4)折損等の被害が著しい場合は、圃場準備を急ぎ、エンバクやイタリアンライグラスを播種して、自給飼料確保を図ります。
(5)畜舎内に浸水や雨漏りした場合、高温多湿となり不衛生になりますので、台風通過後は畜舎やその周辺の排水を徹底し、敷料交換、排泄物の除去、空気の入れ替え等により乾燥を図り、消毒を実施します。

注意!
この記事は発行年月日時点の内容のまま公開していますので、ご覧になった時点の法規制(農薬使用基準等)等に適合しなくなった内容を含む可能性がありますから、利用にあたってはご注意下さい。

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このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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