農作物技術情報 号外 暴風対策(平成27年9月30日発行)

ページ番号2001897  更新日 平成27年9月30日

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  • 「発達する低気圧に関する岩手県気象情報 第1号」が平成27年9月29日に盛岡地方気象台から発表されました。急速に発達しながら日本海を北東へ進む低気圧の影響で、岩手県では10月1日から2日にかけて、大荒れとなるおそれがあります。1日は南よりの風が次第に強まり、2日は西よりの風に変わる見込みですので、暴風に警戒してください。今後の気象情報に注意するとともに、農作物被害を避けるための防止対策を適切に行いましょう。
  • 人命第一の観点から、圃場の見回り等については、気象情報を十分に確認し、暴風が治まるまでは行わないでください。

水稲

低気圧の接近前に安全を確認しながら刈取作業を進めましょう!

事前対策

(1)収穫適期を迎えた圃場では、低気圧の接近前までに安全を確認した上で、無理のない範囲で収穫作業を行いましょう。また、自然乾燥で乾燥が進んだものは脱穀作業を進めましょう。
(2)コンバイン等の収穫機械は圃場に放置せず、格納するようにしましょう。

事後対策

(1)圃場管理
ア 自然乾燥のハセや穂ニオが倒れていないか、稲束が飛ばされていないかを確認しましょう。
イ 圃場内に風で飛び込んできたゴミや異物がないか確認しましょう。
(2)刈取作業
ア 倒伏したままの稲の稈は切れやすく、コンバインが詰まりやすくなりますので、作業速度はできるだけ遅くしてください。
イ 穂発芽等により品質低下がみられる場合は刈分けしましょう。
ウ 高水分状態での刈取作業は、脱ぷ、コンバインの詰まりや収穫ロスにつながるので避けましょう。
(3)乾燥調製
高水分籾を急激に乾燥すると、胴割れ粒の発生により品質の低下につながりますので、二段乾燥により水分を調整してから仕上げ乾燥を行いましょう。
(4)仕分け集荷
倒伏により泥が付着した籾は仕分け集荷し、十分な品質チェックを行いましょう。
(5)農作業安全
ア コンバインにワラ等が詰まった場合には、必ずエンジンを止めてからこれらを取り除くようにしましょう。
イ 夕方の事故が多いので、暗くなってきたら翌日に作業を回すなど、焦らず、慎重な作業を心がけましょう。

野菜

施設の保守点検を十分に!

事前対策

(1) 露地果菜類やねぎについては、収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。
(2) 強風に備え露地圃場やハウス周囲に防風ネットを設置している場合、緩んでいるワイヤーや針金を張り直し、ネットの破れている部分は補修します。
(3) パイプハウスは、ハウスバンド(マイカ線)が切れていないか、緩んでいないかを点検するとともに、ビニールの破損があれば補修しておきます。筋交いなどの補強を実施して強風に備えます。
(4) 強風で支柱が抜けたり、倒伏する恐れがありますので、畦の両端や畦の所々で支柱を補強し、支柱の倒伏・倒壊、株の倒伏を防ぎます。
(5) 支柱・ネット等への茎葉の誘引状況を点検し、しっかり固定します。

事後対策

(1) 露地栽培では茎葉の損傷等により病害の発生が助長されますので、品目ごとの防除基準に従って殺菌剤を散布します。
(2) ハウス栽培では病害の蔓延を防ぐために風が弱まったら直ちに換気を行い、防除基準に従って殺菌剤を散布します。

花き

風による倒伏対策を十分に!

事前対策

(1)強風による折損や倒伏の恐れがありますので、支柱やネットの強度を確認し、補強してください。
また、ネット上げが不十分な場合、茎上部が風で折れることがありますので、適宜引き上げてください。
(2)施設栽培では被覆資材の破損が拡大しないように、ビニールの小さな破れや傷の補修を行います。
また、風が強い場合、施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して灰色かび病などの病害が発生しやすくなりますので、循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。

事後対策

(1)支柱、ネットの修復も行うとともに、倒れた茎は早めに起こし、曲がりを軽減するよう努めます。
(2)風による茎葉の損傷や泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されるので、速やかに殺菌剤を散布します。

果樹

りんご 防風対策と被害軽減対策をしっかりと!

事前対策

(1)中生品種は、安全使用基準の収穫前日数を確認し、収穫が可能なものは収穫を進めましょう。
(2)防風ネットを設置している園地では、ネットの張りを点検するとともに、破れたネットは張り替えましょう。また、緩んでいるワイヤーは張り直し、十分に効果が現れるよう備えます。
(3)わい性樹は強風で倒状することがありますので、主幹を支柱に2〜3ヵ所結束します。長大な側枝を持つ樹形は、特にもバランスを崩しやすいので、丈夫な支柱で支え、はずれないよう縄で縛り固定します。
(4)高接ぎでは大切な更新枝を保護するよう添え木し、幼木も丈夫な支柱を立てておきます。

事後対策

(1)倒木の処理
斜めに傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることになってしまいます。このため、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。
紫紋羽病の発生園ではリゾレックス水和剤(使用時期:収穫60日前まで)またはフロンサイドSC(使用時期:収穫45日前まで)を潅注処理し、蔓延を予防してください。また、衰弱が予想される場合には、堆肥や土壌改良資材を根域に混和し埋め戻します。各品種とも処理日と収穫開始可能日を必ず確認し、適正使用を厳守してください。
(2)病害予防
枝葉や幹に無数の傷が生じている場合、果実腐敗性の病害やふらん病など樹体病害の感染の恐れが生じます。このため、特別散布で殺菌剤を散布し、感染を予防します。また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合は、傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗ります。

畜産

飼料用トウモロコシ 倒伏・折損時は早期に収穫を!

収穫時の作業機の運行速度はやや控えめに!

電気柵 水辺近くの電牧器は念のため撤収を!!

事前対策

(1)停電により、搾乳が出来ない場合を想定して、発電機の準備や使用方法を確認しておきます。また、可能であれば貯水タンクに水を確保しておきます。
(2)強風により畜舎や施設の破損が懸念されるので、畜舎周辺を点検し、必要であれば修繕や補強を行います。
(3)河川や用水路等水辺近くの圃場で放牧や獣害用の電気柵を設置している場合は、念のため電牧器本体を撤収し、浸水等による紛失、故障等を防ぎます。

事後対策

(1)トウモロコシの熟期は、完熟期に近い圃場も見受けられますので、収穫作業を速やかに進めます。倒伏や折損した場合、できるだけ早期に収穫します。滞水等がある場合は、溝を切るなどして排水に努め、作業機が圃場に入れるようにします。
(2)収穫にあたっては、ハーベスタの収穫方向をよく考え、作業機の運行速度を控えめにします。
また、土壌の混入はサイレージの品質低下を招くため、やや高めに刈ります。
(3)倒伏や折損の場合は、切断長が粗くなりやすいことから詰込み密度を確保するために、十分な踏圧と早期密封に努め、発酵品質低下を抑制しましょう。また、詰め込み密度が低下する場合、開封後、二次発酵が起こりやすくなります。ギ酸やプロピオン酸などの添加剤の使用を検討します。

注意!
この記事は発行年月日時点の内容のまま公開していますので、ご覧になった時点の法規制(農薬使用基準等)等に適合しなくなった内容を含む可能性がありますから、利用にあたってはご注意下さい。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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