農作物技術情報 号外 少雨対策(平成27年6月5日発行)

ページ番号2001882  更新日 平成27年6月5日

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  • 盛岡地方気象台は6月5日に「少雨に関する岩手県気象情報 第1号」を発表しました。降水量の少ない状態が今後2週間程度続く見込みです。農作物の生育にとって重要な時期ですので、今後の気象情報に注意しながら、少雨に対応した農作物の生産管理を適切に行ってください。
  • 本県では4月下旬以降、雨が少ない状態が続き、5月の積算降水量を平年と比較すると、盛岡で平年の約59%に対し、宮古で35%、久慈で28%、二戸で42%と沿岸・県北地域ほど、その程度がより強くなっています(表1)。
  • 降水が少ないことに加え、気温の高い状況も続いています。高温となる時間帯の作業を避け、発汗で失われる水分・塩分を補給するなど、作業者の健康管理に十分配慮し、脱水症状および熱中症(熱射病・熱けいれん・熱まひ)を防ぎましょう。

表1

水稲

用水が不足する地域・水系では、水稲の生育段階に応じた水管理に努めましょう。
また、水路や畦畔などからの漏水防止にも努めましょう。

1 活着期

移植直後の水不足は、苗が活着せずに枯死したり、活着遅れによる生育の遅延が懸念されます。この時期は多くの水が必要な時期ですので、葉先が出る程度の湛水深を確保しましょう。

2 分げつ期

水不足の影響は初期ほど大きく、分げつ発生が阻害され、有効茎(穂が出る分げつ)の減少につながりますので、田面水確保に努めましょう。

畑作物

小麦

小麦の生育は平年より1週間程度早まっており、現在登熟ステージとしては、乳熟期〜糊熟期〜黄熟期に該当します。
今後は収穫に向けた準備等を早めに行うことが基本となります。
本年のような干ばつ傾向が生じた年は、一般に粒が小さくなりやすい傾向があります。乾燥調製の工程や篩い目の選定などについて十分留意して下さい。

大豆

県北部では播種が進んでいますが、主産地となる県中南部での播種はこれから本格化します。土壌水分が少ない状況が続いているので、以下を参考に計画的に作業を進めてください。
1 土壌水分をなるべく保持するため、事前耕起は最小限に留めることが基本となります。また、播種前の雑草対策には非選択性除草剤を上手に活用しましょう。
2 畦立播種は湿害回避には有効な反面、土壌が乾燥しやすい圃場では干ばつ傾向が助長されることがあります。圃場条件を見極めて、平畦か畦立てを選択するようにしましょう。
3 土壌が乾燥している場合、覆土は厚めに行うことと、鎮圧をしっかり行いましょう。
4 除草剤散布に関してはなるべく粒剤の使用を避けるとともに、播種後直ちに除草剤散布を行うよう努めます。希釈水量は最大水量を推奨します。
5 転換畑については必ず排水溝・明渠を施工します。干ばつが続いた際には排水溝・明渠を利用して畦間潅がいの実施を検討します。
6 土壌が極度に乾燥している場合、中耕培土を行うと根を傷めて乾燥害を助長することがあります。天気予報と土壌水分などを勘案して、中耕培土の実施の有無・時期・回数などを検討して下さい。

野菜

1 播種・定植時の対策

(1)深耕や有機物の施用により土の保水力を高め、健全な根の伸長に努めます。
(2)降雨後や潅水施設を活用し土壌が十分に水分を含んだ状態で播種・定植を行います。または、播種直前に耕起し、表土が湿っているうちに播種します。
マルチ栽培の場合は、降雨または潅水後直ちにマルチを張り、土壌表面からの水分の蒸散を防止します。
(3)畦づくりは、乾燥害を軽減するため平畦とします(但し、生育中の湿害対策のため、排水溝も考慮してください)。
(4)播種後の鎮圧は十分行い、下層土からの水分上昇を促します。
(5)干ばつで適期播種が不可能な場合には、セル成型育苗やペーパーポット育苗による移植栽培に切り替えます。また、補植苗を準備します。

2 播種・定植後及び生育中の対策

(1)敷わら等により土壌水分の保持に努めます。
(2)潅水施設や潅水できる条件にある場合は、潅水を行い生育促進を図ります。果菜類など畦立している品目では畦間潅水の実施、それ以外の品目ではスプリンクラーや多孔管を利用した散水方法があるので圃場条件及び野菜の種類に応じて行います。
(3)生育や収量に応じた追肥を行いますが、肥効を高めるために潅水と合わせ液肥を効果的に使用します。また、果菜類の尻腐果、葉菜類の縁腐れや心腐れ発生を防ぐためにカルシウム剤の葉面散布を行います。
(4)果菜類では摘葉を計画的に行い葉からの蒸散量を抑制するとともに、不良果の摘果や場合によっては収穫を早め(果実の若どり)、着果負担を軽減します。
(5)収穫物は速やかに涼しい場所に保管し鮮度の低下を防ぎます。
(6)乾燥状態が続くと、ハダニ類、アザミウマ類、アブラムシ類の発生が多くなるので、適期防除を徹底します。

花き

りんどう

1 圃場が乾燥している場合は、通路や株元に水を入れる等して順調な生育を促します。特に本年定植苗は、極端に乾燥すると生育が著しく悪くなることもあるので、マルチ内が乾燥しないように注意します。
2 雨が少なく乾燥が続くと害虫の発生が多くなるので、ハダニ類、アザミウマ類、アブラムシ類等の発生状況に注意して、薬剤散布による防除を徹底します。

小ぎく

1 圃場が乾燥している場合は、通路や株元に潅水を行うことで生育の促進を図り、草丈の確保や、側枝の生育を促します。
2 雨が少なく乾燥が続くとアブラムシ類、アザミウマ類、ハダニ類の発生が多くなります。発生状況に注意して薬剤散布による防除を行います。

果樹

果樹共通

果樹では、今のところ、少雨による目立った影響は出ていませんが、今後も土壌乾燥が続く場合は下記のような対策を検討してください。
まとまった雨(10mm前後の降雨)が1週間以上ない場合には、潅水の実施を検討しましょう。特に幼木は根量が少なく、乾燥の影響を受けやすいため、優先して実施してください。
また、養水分の競合を避けるため草生を短く維持し、樹冠下に刈草やわら等でマルチします。また、畑地潅がい施設の整備が進められている地域では、適宜潅水を実施します。

飼料作物

1 暑熱対策

(1)畜舎の換気を十分に行い、飼養密度の緩和や畜舎の日よけに努めましょう。
(2)給水器の清掃を行い、清潔な飲水を十分に確保します。

2 牧草

牧草類の刈取りは通常(10cm程度)よりやや高刈りとし、刈取り後の再生が悪化しないように努めます。

3 飼料用トウモロコシ

土壌・生育期処理剤の散布は飼料用トウモロコシや雑草の生育状況を確認し、使用時期に従って行います。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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