農作物技術情報 号外 台風対策(平成26年9月22日発行)

ページ番号2001918  更新日 平成26年9月22日

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気象庁発表(9月22日9時現在)によると、台風16号が北上中であり、9月25日から26日にかけて岩手県に影響を及ぼす恐れがあります。今後の気象情報に注意するとともに、農作物被害を避けるための防止対策を適切に行いましょう。
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人命第一の観点から、圃場の見回り等については、気象情報を十分に確認し、大雨や強風が治まるまでは行わないでください。また、大雨等が治まった後の見回りにおいても、増水した水路その他の危険な場所には近づかず、足下等、圃場周辺の安全に十分に注意し、転落、滑落事故に遭わないよう慎重に行ってください。
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水稲 排水路等の点検整備と冠水後の圃場管理を万全に!
事前対策
(1)排水路等にゴミなどが詰まっていると浸冠水しやすくなります。土地改良区等と連携して排水路等のゴミなどを除去するなど点検・整備をしてください。
事後対策
(1)圃場が浸冠水した場合、穂が水に漬かると玄米品質に影響を及ぼしますので、速やかに排水するよう努めてください。
(2)倒伏した場合は収穫時に刈り分けし、土が付着した籾や青未熟粒等の混入を避けてください。また、穂に泥が付着すると調製時に玄米表面を汚す等、外観品質を損なう恐れがあります。このため、作業機はこまめに清掃し、品質低下を防止してください。

大豆 排水対策を十分に!
事前対策
(1)表面の排水を促進するため周囲溝や排水口などを点検・補修し、土壌表面水を速やかに排水できるようにします。
事後対策
(1)圃場にたまった水は直ちに排水し、長時間滞水しないように努めます。倒伏した株は莢が地面に接しないよう株どうしを重ねて持ち上げておきましょう。

野菜 排水対策と施設の保守点検を十分に!
事前対策
(1)局地的な大雨に備え、排水溝の整備・点検を行いましょう。特に、圃場外からの浸入水を防止するため、圃場やハウスの周囲にあらかじめ排水溝を設けておきます。
(2)強風に備え露地圃場やハウス周囲に防風ネットを設置している場合、緩んでいるワイヤーや針金を張り直し、ネットの破れている部分は補修しておきます。
(3)パイプハウスは、ハウスバンド(マイカ線)が切れていないか、緩んでいないかを点検するとともに、ビニールの破損があれば補修しておきます。筋交いなどの補強を実施して強風に備えます。
(4)風が強い場合は施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して病害が発生しやすくなるので循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
(5)強風で支柱が抜けたり、倒伏する恐れがありますので、畦の両端や畦の所々で支柱を補強し、支柱の倒伏・倒壊、株の倒伏を防ぎます。
(6)支柱・ネット等への茎葉の誘引状況を点検し、しっかり固定します。
(7)収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。
事後対策
(1)排水対策等
圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら畦間の中耕を行って土壌中に空気を送ります。
(2)殺菌剤散布・葉面散布
台風通過後は、冠水や多湿、茎葉の損傷等により病気にかかりやすくなっていますので、品目ごとの防除基準に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を予防します。
茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機により水をかけて洗い流した後、殺菌剤を散布します。
強風などで傷んだ茎葉や果実は摘除して草勢回復を図ります。
必要に応じて薄い倍率で液肥を施用または葉面散布し、草勢回復を促進します。

花き 排水対策と風による倒伏対策を十分に!
事前対策
(1)圃場に水路などからの水が入らないよう土嚢などで対策するとともに、排水路の点検を行い、排水しやすいよう整備してください。
(2)強風による折損や倒伏の恐れがあるので、支柱やネットの強度を確認し、補強してください。また、ネット上げが不十分な場合、茎上部が風で折れることがあるので、適宜引き上げてください。
(3)施設栽培では被覆資材の破損が拡大しないように、ビニールの小さな破れや傷の補修を行います。また、風が強い場合、施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して灰色かび病などの病害が発生しやすくなるので循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
事後対策
(1)台風の通過後、滞水している圃場は速やかに排水します。
(2)支柱、ネットの修復も行うとともに、倒れた茎は早めに起こし曲がりを軽減するように努めます。
(3)風による茎葉の損傷や泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されるので、速やかに殺菌剤を散布します。

りんご 防風対策と被害軽減対策をしっかりと!
事前対策
(1)強風で倒木が発生しないよう、防風ネットの設置、支柱との結束を確認してください。
事後対策
(1)滞水した圃場は溝を切るなどして排水に努めます。
(2)強風により枝葉や幹に無数の傷が生じている場合や園地が冠水した場合は、腐らん病など樹体病害や果実腐敗性の病害の感染の恐れもあるので、特別散布で殺菌剤を全面散布し、感染を予防します。また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合は傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗ります。
(3)斜めに傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることになるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。

畜産 飼料畑の排水対策の徹底、停電時対応の確認
事前対策
(1)飼料作物を作付している圃場では、排水溝の点検を行い雨水の排水を促します。特に、とうもろこしは湿害に弱いので排水対策を徹底します。
(2)停電により、搾乳が出来ない場合を想定して、発電機の準備や使用方法を確認しておきます。また、可能であれば貯水タンクに水を確保しておきます。
(3)強風により畜舎や施設の破損が懸念されるので、畜舎周辺を点検し、必要であれば修繕や補強を行います。また、畜舎内に雨水が入らないよう排水溝の点検等を行います。
事後対策
(1)とうもろこしの熟期は、糊熟期から黄熟期と推察されますので、倒伏や折損した場合、できるだけ早期に収穫します。滞水等がある場合は、溝を切るなどして排水に努め、作業機が圃場に入れるようにします。
(2)収穫にあたっては、ハーベスタの収穫方向をよく考え、作業機の運行速度を控えめにします。また、土壌の混入はサイレージの品質低下を招くため、やや高めに刈ります。
(3)倒伏や折損の場合は、切断長が粗くなりやすいことから詰込み密度を確保するために、十分な踏圧と早期密封に努め、発酵品質低下を抑制します。
(4)収穫調製時の水分含量が高い場合は、廃汁が多く出ますので、処理方法(溝や貯留槽の点検、汲み取りと散布場所)を考えておきます。
(5)折損等の被害が著しい場合は、圃場の片付け、耕起等の準備を急ぎ、エンバクやイタリアンライグラスを播種して、自給飼料確保を図ります。
(6)畜舎内に浸水や雨漏りした場合、高温多湿となり不衛生になりますので、台風通過後は畜舎やその周辺の排水を徹底し、敷料交換、排泄物の除去、空気の入れ替え等により乾燥を図り、消毒を実施します。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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