農作物技術情報 号外(浸冠水事後対策)(平成25年8月9日発行)

ページ番号2001944  更新日 平成25年8月9日

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8月9日12時22分に気象庁から、記録的な大雨に関する全般気象情報第4号が出され、岩手県ではこれまでに経験したことのない大雨になっているところがあります。
今後、ほ場への浸冠水や土砂流入など農作物への被害が発生する恐れがありますので、排水対策を中心に作目やほ場の状況に応じて適切な対策を講じてください。

≪農作業安全≫ 事後対策等は安全を確認してから!

(1)被害確認のためのほ場見回りや事後対策を実施する際は、河川の増水中やほ場が冠水している時は危険なので近づかないよう注意する。また、土砂崩れなどの恐れがある場所へは安全が確保されるまでは立ち入らないように注意しましょう。
(2)水が引けた後にほ場に入る際も、路肩がゆるんでいたり、ほ場や作業道等がぬかるんでおり、農業機械等が横転する危険がありますので、作業時には十分に注意して下さい。

≪水稲≫ 速やかな排水と冠水後のほ場管理を万全に!!

(1)現在、水稲生育は出穂期を迎えているところが多く、浸冠水した場合、稔実や登熟歩合の低下等の被害を受けやすい時期となっています。
(2)浸水や冠水したほ場では、速やかに排水するよう努めてください。特に、冠水した場合には被害が大きくなるので少しでも早く葉先を出すことが重要です。ただし、稲体が水分を失いやすい状態にあるため、田面を急激に干さないようにしてください。
(3)排水路等にゴミなどが詰まっていると再び降雨があった場合に浸冠水しやすくなりますので、土地改良区等と連携して排水路等のゴミなどを除去するなど点検・整備をしましょう。
(4)冠水した水稲は病害虫に対する抵抗力が低下しやすく、特にいもち病に罹病しやすいので、穂いもち予防粒剤を散布したところでも退水後ただちに薬剤防除を実施しましょう。

≪大豆≫ 速やかな排水と冠水後のほ場管理を万全に!!

(1)排水溝(口)を点検・補修し、土壌表面水の速やかな排水に努めましょう。
(2)開花前であれば、ほ場表面が乾いてから畦間を浅く中耕し、土壌中の空気の流通を図り、根の健全化に努めてください。また、葉の黄化が見られるほ場では、中耕と同時に窒素追肥を行い、生育の回復を図ります。追肥量は、窒素成分で10aあたり3〜4kgとします。

≪野菜≫ 排水対策等を早急に行い、樹勢回復に努めて下さい!

(1)停滞水を直ちに排水するとともに、付着した泥土を洗い流してください。
(2)冠水や多湿によって病気の発生が懸念されるので、品目ごとに防除基準に従って殺菌剤を散布して予防に努めてください。(特にべと病、疫病、立枯性疫病など)。
(3)生育回復を図るため、被害葉や被害果、くず果の整理を早めに行ってください。また、整枝、誘引などの管理を徹底し、樹勢の回復に努めてください。
(4)ほ場表面が乾いたら、畦間の中耕を行うなど土壌中の空気の流通を図り、根の活性化に努めてください。
(5)障害の状況に応じて、液肥の葉面散布など追肥を行い、草勢の回復に努めてください。
(6)浸冠水や土に埋没するなど、回復の見込みのない場合は直ちに整理し、代替野菜の作付を検討して下さい。秋野菜では、だいこん、かぶ、つけな類等があげられます。は種限界の目安は次の通りですので参考にして下さい。
だいこん:8月下旬
かぶ・つけな類・中国野菜:9月下旬

≪花き≫ 排水対策と冠水後のほ場管理を万全に!!

(1)滞水しているほ場は速やかに排水を促してください。
(2)支柱ごと倒された場合、直ちに起こして支柱、ネットの修正を行います。また崩れた畦の修復も行います。
(3)風雨により折損があった場合は被害部分を速やかに取り除きます。また、茎葉の損傷や泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されるので、速やかに殺菌剤を散布します。
(4)草勢が弱っている場合は液肥の施用や葉面散布により回復をはかります。

≪果樹≫ 被害の軽減に努めましょう!

(1)滞水したほ場は溝を切るなどして排水に努めます。
(2)枝のごみ、果実の泥を排除するとともに、果実腐敗性の病害や斑点落葉病・褐斑病等を防止するために、殺菌剤を散布して感染を予防します。また、果実に腐敗等が確認された場合は速やかに取り除きます。
(3)斜めに傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることになるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。

≪飼料作物≫ 排水対策、草勢回復に努めましょう!

(1) 滞水等があるほ場においては、溝を切るなどして速やかな排水に努めます。
(2) 牧草は、ほ場が乾いたら速やかに二番草の収穫を行うとともに、草勢を確保するため追肥を確実に行います。
(3) 土砂の流入により、収穫が見込めない場合は草地更新を検討します。今年度の秋播種を行う場合は、土壌改良材、種子、肥料等の準備をしましょう。

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