農作物技術情報 号外 融雪対策(平成25年3月5日発行)

ページ番号2001928  更新日 平成25年3月5日

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計画的に融雪対策を進めよう!
この冬は例年に比べ降雪量が多く、過去最高の積雪量となった地域もあります。
春の作業が遅れないよう計画的に融雪対策を実施し、春作業の準備を進めましょう。

図

1 融雪対策

(1)除雪

ア 除雪機等の利用により、圃場外に排雪する。
イ 除雪する際は周辺の圃場や交通等への影響がないよう留意する。
ウ 除雪にあたり、施設や作業者・通行人の安全に十分配慮する。

(2)融雪資材の散布

ア 融雪資材の種類と使用量

表

イ 散布時の留意点
(ア)散布時期

  • 最高気温が0℃を越える日が続き、10cm 以上の新雪が降り積もる見込みがなくなる時期になったらなるべく早く散布する。
  • 降雪が続いているときは、資材を散布した層が堅雪になる恐れがあることから散布を見合わせる。
  • 散布後の積雪が多く散布した資材が見えなくなるような場合は、2回目の散布も考慮する。

(イ)散布量
過剰に散布しても効果は変わらないので、適量を散布する。

(ウ)散布方法

  • 雪が深くなければ(20cm 程度)ブロードキャスターでの散布が、雪が深くても堅雪で歩行に支障がなければ背負式動力散布機での散布が可能。
  • 全面散布が難しい場合は、吹きだまりや日陰など、融雪が遅れそうなところに処理する。
  • 足場が不安定なので、作業に当たっては安全に十分配慮する。

(エ)効果
融雪資材の散布により、雪解けが5〜10日早まることが期待される。

2 排水対策

(1)圃場の地温上昇を促進するため、融雪水が圃場から速やかに流れるよう排水溝を整備する。
(2)排水溝が詰まることのないよう見回りを実施する。

3 施設管理

(1)冬期間被覆資材を外していた施設では、施設利用時期に合わせて内部の除雪や融雪対策を実施する。また、計画的に被覆資材を張り、内部の温度を上げて融雪を促す。
(2)施設周辺の除雪を実施するとともに、施設内への融雪水侵入を避けるため、排水溝設置など排水対策を徹底する。
(3)施設の利用開始前に施設の構造や被覆資材を点検し、修理、補強を行う。

4 作物毎留意点

(1)水稲

ア 融雪の遅延により春作業の遅れが懸念されるところでは、除雪や前記融雪資材利用により融雪を促進し育苗用地を確保する。
イ 育苗センターなど大量に苗を生産する施設においては、組織的な取り組みにより育苗用地の確保を計画的に進める。
ウ 融雪水が圃場内に滞水したままでは圃場の乾燥が遅れ、目標としている田植え時期に向けた圃場作業の遅れが懸念されるので、水尻を開放する等融雪水の排水に努める。

(2)畑作物(小麦)

ア 県内の主力品種ナンブコムギの耐寒雪性は「強」であるが、根雪期間が100日を超えると雪腐病の発生が心配される。
イ 県内では12月上旬に根雪になったところもあることから、3月中旬には消雪を図る必要がある。
ウ 3月中旬以降も残雪が予想される場合は、前記資材等の利用により融雪を促進する。

(3)野菜

ア 県南地域より順次露地野菜の定植準備が始まるので、圃場に積雪がある場合は融雪資材を散布して日射吸収による融雪を図る。
イ 排水溝を設置して融雪水を速やかに圃場外に排出し、定植前に十分地温を高めておく。

(4)花き

ア りんどうは例年3月下旬頃から生育開始するので、盆需要期の開花が遅い地域では早生種圃場の除雪を急ぐ。
イ 小ぎく等の露地圃場は準備(施肥・耕起等)期間を考慮して融雪を進める。

(5)果樹

ア 融雪促進材の散布は3月中旬に、好天が1日以上続く日を選んで行い、その後状況を見て数回行う。
イ 融雪に伴う枝折れを防ぐため、散布前に雪に埋まった枝は掘り出しておく。
ウ 融雪促進材として土壌改良資材を使用する場合、成分の過剰とならないよう春の施肥量に注意する。

(6)牧草・飼料作物

ア 牧草の冬枯れは積雪期間が長いほど被害が大きくなり、低地、くぼ地のある草地で発生しやすいため、融雪促進に努める。
イ 融雪後は速やかにほ場観察を行い、プラウによる溝切りなどによって融雪水の排水に努める。
ウ 冬枯れが発生した圃場は次の対応をおこなう。
(ア)被害程度が比較的軽い草地では、施肥管理を行い経過観察する。
(イ)草勢の回復が不十分な場合や被害程度が著しい草地では、1番草収穫後の完全更新もしくは簡易追播を検討する。

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