農作物技術情報 号外 台風対策(平成24年6月18日発行)

ページ番号2001960  更新日 平成24年6月18日

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気象庁発表(6月18日13時現在)によると、台風4号が岩手県に接近するのは6月20日と予想されています。今後の気象情報に注意するとともに、農作物被害を避けるための防止対策を適切に行いましょう。

水稲 排水路等の点検整備と冠水後の圃場管理を万全に!
事前対策
(1)浸冠水が予想されるような水田では、あらかじめ水尻を開放し排水を促すようにします。
(2)特に、北上川流域等の水害の常襲地帯では、浸冠水した場合でも排水がスムースにできるよう、排水路等にゴミなどが詰まっていないか事前に点検・整備をします。
事後対策
(1)浸冠水した場合には、少しでも早く葉先を出すよう速やかに排水するよう努めます。
(2)ただし、稲体が水分を失いやすい状態にあることから、排水する際は田面を急激に干さないようにします。
(3)泥水の流入により養分過多となり葉色が濃く、病害に侵されやすくなっている水田では追肥を控えます。
(4)浸冠水を受けた稲はいもち病に罹病しやすいので、発病が認められたら直ちに茎葉散布します。
(5)また、浸冠水による「黄化萎縮病」の発生にも注意します。分げつ期では、第7 葉の抽出期が最も菌が感染しやすく、感染株は萎縮や葉が黄化して症状が激しいと枯死に至ります。常発地では、発生が認められたら直ちにメタラキシル粒剤を水面施用します。

畑作物 排水対策を十分に!
事前対策
地表の排水を促進するため、周囲溝や排水口などを点検・補修し、土壌表面水のすみやかな排水につとめます。
事後対策
麦・大豆共通
圃場にたまった水は直ちに排水し、長時間滞水しないように努めます。
大豆
(1)土壌が乾くのを待って、除草を兼ねて中耕培土を行い新根や分枝の発生を促します。培土の高さは初生葉が隠れる程度(第1本葉の付け根付近まで)です。
(2)湿害によって葉の黄化が見られた場合は、窒素追肥を行った後中耕培土を行い生育の回復をはかります。追肥量は窒素成分量で10 アール当り3〜4kgとします。
(3)病害虫防除は通常通りとします。

果樹
りんご 防風対策と被害軽減対策をしっかりと!
事前対策
(1)防風ネットを設置している園地では、ネットの張りを点検し、緩んでいるワイヤーは張り直し、破れたネットは張り替えるなど十分に効果が現れるよう準備します。
(2)わい性樹は強風で倒状することがあるので、主幹を支柱に2〜3ヵ所結束します。長大な側枝を持つ樹形であれば、一層、バランスを崩しやすいので、丈夫な支柱で支え、はずれないよう紐で縛り固定します。
(3)高接ぎでは大切な更新枝を保護するよう添え木し、幼木も丈夫な支柱を立てておきます。
(4)降雨による表面水を速やかに排水できるよう、予め溝を切るなどして対処します。
事後対策
(1)倒木の処理
斜めに傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることになるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。紫紋羽病の発生園ではリゾレックス水和剤またはフロンサイドSCを潅注処理し、蔓延を予防してください。また衰弱が予想される場合には、堆肥や土壌改良資材を根域に混和し埋め戻します。
なお、使用時期はリゾレックス水和剤が収穫60日前まで、フロンサイドSCが収穫45日前までです。各品種とも処理日と収穫開始可能日を必ず確認し、適正使用を厳守してください。
(2)病害予防
園地が冠水した場合や枝葉や幹に無数の傷が生じている場合、果実腐敗性の病害やふらん病など樹体病害の感染の恐れもあるので、定期防除を早めるか、または特別散布で殺菌剤を全面散布し、感染を予防します。また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合は傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗ります。
ぶどう 棚の補強と排水対策をしっかりと!
(1)防風施設の設置、見直しを行います。(りんごの項事前対策(2)に同じ)
(2)棚が倒壊しないよう、棚内部の力線に補助支柱を配し、周囲柱、隅柱を補強しておきます。
(3)降雨により土壌が軟弱化しアンカー等が浮き上がることを軽減するため、排水溝を切り、速やかに排水できるよう対処します。
(4)雨よけハウス等は、ハウスバンド(マイカー線)が切れていないか、緩んでいないかを点検するとともに、ビニールの破損があれば補修します。筋交いなどの補強を実施します。
(5)枝葉や幹の傷からの病害予防については、りんごの事後対策(2)に準じます。
おうとう 雨よけハウスの補強と排水対策をしっかりと!
(1)防風施設の設置、見直しを行います。(りんごの項事前対策(1)に同じ)
(2)倒伏防止のため主幹を支柱に結束をするとともに、主枝の折損を防ぐため、丈夫な支柱で支え、はずれないよう紐で縛り固定します。
(3)雨よけハウス等は、ハウスバンド(マイカー線)が切れていないか、緩んでいないかを点検するとともに、ビニールの破損があれば補修します。筋交いなどの補強を実施します。
(4)枝葉や幹の傷からの病害予防については、りんごの事後対策(2)に準じます。

野菜 排水対策と施設の保守点検を十分に!
事前対策
(1)局地的な大雨に備え、排水溝の整備・点検を行いましょう。特に、圃場外からの浸入水を防止するため、圃場やハウスの周囲にあらかじめ排水溝を設けておきます。
(2)強風に備え露地圃場やハウス周囲に防風ネットを設置している場合、緩んでいるワイヤーや針金を張り直し、ネットの破れている部分は補修します。
(3)パイプハウスは、ハウスバンド(マイカー線)が切れていないか、緩んでいないかを点検するとともに、ビニールの破損があれば補修しておきます。筋交いなどの補強を実施して強風に備えます。
(4)風が強い場合は施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して病害が発生しやすくなるので循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
(5)強風で支柱が抜けたり、倒伏する恐れがありますので、畦の両端や畦の所々で支柱を補強し、支柱の倒伏・倒壊、株の倒伏を防ぎます。
(6)支柱・ネット等への茎葉の誘引状況を点検し、しっかり固定します。
(7)収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。
事後対策
(1)排水対策等
圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら畦間の中耕を行って土壌中に空気を送ります。
(2)殺菌剤散布・葉面散布
台風通過後は、冠水や多湿、茎葉の損傷等により病気にかかりやすくなっていますので、品目ごとの防除基準に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防止します。茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機により水をかけて洗い流した後、殺菌剤を散布します。強風などで傷んだ茎葉や果実は摘除して草勢回復を図ります。必要に応じて液肥を薄い倍率で施用または葉面散布し、草勢回復を促進します。

花き 排水対策と風による倒伏対策を十分に!
事前対策
(1)圃場に水路などからの水が入らないよう土嚢などで対策するとともに、排水路の点検を行い、排水しやすいよう整備してください。
(2)強風による折損や倒伏の恐れがあるので、支柱やネットの強度を確認し、補強します。また、ネット上げが不十分な場合、茎上部が風で折れることがあるので、適宜引き上げます。
(3)施設栽培では被覆資材の破損が拡大しないように、ビニールの小さな破れや傷の補修を行います。また、風が強い場合、施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して灰色かび病などの病害が発生しやすくなるので循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
事後対策
(1)台風の通過後、滞水している圃場は速やかに排水します。
(2)支柱、ネットの修復も行うとともに、倒れた茎は早めに起こし曲がりを軽減するように努めます。
(3)風による茎葉の損傷や泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されるので、速やかに殺菌剤を散布します。

畜産 転作田の排水対策の徹底、停電時対応の確認
事前対策
(1)飼料作物を作付している転作田では、排水溝の点検を行い雨水の排水を促します。特に、とうもろこしは湿害に弱いので対策の徹底が必要です。
(2)停電による搾乳の一時的な停止などを想定して、発電機の準備や借用方法を確認しておきます。また、可能であれば貯水タンクに水を確保しておきます。
事後対策
(1)とうもろこし圃場で滞水している場合は速やかに排水するよう努めます。
(2)強風により、とうもろこしの折損や倒伏が懸念されますが、この時期の倒伏は、立ち上がりが期待できますので、雌穂の登熟を待ち、黄熟期に収穫してください。折損等の被害が著しい場合は、圃場準備を急ぎ、エンバクやイタリアンライグラスを播種して、自給飼料確保を図ってください。

注意!
この記事は発行年月日時点の内容のまま公開していますので、ご覧になった時点の法規制(農薬使用基準等)等に適合しなくなった内容を含む可能性がありますから、利用にあたってはご注意下さい。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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