号外 高温対策(平成23年7月19日発行)

ページ番号2001987  更新日 平成23年7月19日

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岩手県内では7月に入り気温の高い状態が続いています。以下を参考にして農作物、家畜の適切な管理に努めてください。
作業環境の整備、高温となる時間帯の作業を避け、発汗で失われる水分・塩分を補給するなど、作業者の健康管理に十分配慮し、熱中症熱射病・熱けいれん・熱まひ)を防ぎましょう。
また、暑さにより集中力が低下しますので、農作業安全には十分注意しましょう。

水稲

【カメムシ類防除】
水田畦畔等やイネ科植物を主体にした牧草地で、アカスジカスミカメの発生量が増加しています。

このことに対して7 月14 日にアカスジカスミカメに関する注意報が発表されました。斑点米カメムシ類の密度を低下させるため、水稲の出穂15〜10 日前に水田畦畔や牧草地、雑草地等の草刈りを徹底しましょう。

野菜

1 ハウス果菜類の管理

トマト、ピーマンではサイドビニール及びツマ面を開放し、さらに遮光資材(遮光幕、塗布剤等)を併用し、ハウス内気温の上昇を抑制しましょう。特に、生長点を換気している高さより低くすることが重要です。また、葉からの蒸散量の増加と土壌水分状態に応じて、かん水量を加減します。通路散水も有効です。循環扇や換気扇を設置している場合は、積極的に強制換気して下さい。
雨よけトマトは、高温時のホルモン処理は空洞果の原因になりますので、朝、涼しい時間帯に実施するとともに、トマト落花防止剤にジベレリンを併用します。ピーマン・トマトの尻腐れ果を防止するためには、適正かん水に努めるとともにカルシウム剤の葉面散布を実施します。

2 露地果菜類の管理

きゅうりは高温・乾燥により、くくれ果や曲がり果等の発生が増加します。
露地果菜においてもかん水施設がある場合はかん水の回数を増やし、未整備の場合は薄い液肥等を畦の肩部にかん注します。
一度に多量のかん水は湿害を誘発しますので、少量多回数とするか、通路散水などを行って下さい。また、不良果を早めに摘果し、草勢の維持を図りましょう。

3 露地葉茎菜類の管理

露地葉茎菜類では軟腐病などの腐敗性の病害の発生が懸念されすので、腐敗性病害に効果のある薬剤を中心に防除を行います。
また、キャベツ、レタスでは乾燥によりチップバーンが発生する恐れもありますので、薬剤防除時にカルシウム剤を混用して発生を軽減しましょう。

4 雨よけほうれんそうの管理

高温時は、遮光資材を活用してハウス内の気温、地温の上昇を防止しましょう。遮光資材の種類は多数ありますので、遮光率の違いにより使用時期を調節してください。
また、播種時に十分なかん水を行うことが基本となりますが、乾燥しそうな場合は、生育途中でのかん水も行いましょう(本葉4枚頃から収穫予定の10 日前頃まで)。

果樹

1 りんご

(1)土壌管理
土壌の乾燥が進まないよう、草生園では、草生の刈り取り回数を多くし、樹と草生の水分競合と蒸散防止を図ります。
清耕園では、除草を行うと共に、敷きわら等により土壌水分の保持に努めます。
幼木・若木は成木と比較して乾燥に弱いので、肥料袋などを利用した点滴灌水が有効です。

(2)防除の注意点
高温により、ハダニ類等害虫の多発が懸念されますので、観察を強化し、必要な場合は防除を徹底しましょう。
30℃を越える高温下での薬剤散布は、薬害の発生も懸念されるので、朝の涼しいうちに散布が完了するよう努めましょう。

2 ぶどう

(1)土壌管理、防除はりんごに準じてください。
(2)ハウスや被覆栽培のぶどうで、日焼けと考えられる症状が見られています。ハウス上部やトンネル内が高温とならないよう、つま面やすそを開けて換気を図ります。

3 その他(西洋なし等)

(1) りんごの対策に準じてください。

花き

1 かん水

昨年、りんどう、小ぎくは長期の高温により開花が遅れました。開花遅れを避けるためかん水を励行してください。
うね間潅水を行う場合は高温となる日中を避け、夜間にかん水して早朝には排水することを徹底してください。

2 病害虫防除

(1)害虫防除
昨年と同様に高温の影響による害虫の激発が予想されます。
特に、小ぎくのオオタバコガ、りんどうのリンドウホソハマキの発生に注意してください。
病害虫発生予察情報に留意し、各地の防除ごよみに従い防除を徹底します。
(2)薬剤散布
高温時の薬剤散布を避けることは基本的な事項です。
高温時は薬害の発生が多くなるほか、作業者への影響も大きくなることから、薬剤散布は日中の高温となる時間帯を避け、早朝または夕方に散布することを徹底します。

3 施設の換気

施設の開口部を開放して十分に換気できるようにしてください。
また、循環扇等を効果的に利用してください。

4 施設の遮光

必要に応じて遮光資材を展張し、気温や地温の低下を図ります。
なお、ストック、パンジー等の育苗については徒長を避けるため過度の遮光とならないよう注意します。

5 収穫・調製

気温が高い時期は収穫後の開花が進みやすいので、切り前を考慮します。
また、しおれやすいので収穫後は直射日光下におかず、できるだけ早く涼しい場所に移動し、水揚げするなど適切に管理します。

畜産

【牛の飼養管理対策】
牛は、発汗による体熱放散が十分にできませんので、環境温度と体感温度を低下させる対策が必要です。
また、ル−メン内での発酵熱の大きい粗飼料を中心として採食量が減少するので、良質粗飼料を準備するとともに、泌乳牛では、ル−メンアシド−シスを予防しつつエネルギ−やミネラルを充足する対策が重要になります。

1 環境温度と体感温度の低下対策

(1) 遮光ネットの設置による日光の遮断、屋根裏への断熱材の取り付け、屋根表面への散水や石灰塗布などにより、畜舎外から畜舎内に伝わる熱さを緩和します。
(2) 強制送風(換気扇、ダクトなど)は昼間のみならず夜間も最大限に稼働させます。風は、熱放散の高い頸部や肩部を確実に流れるように、送風機の設置位置の調整や台数を増加します。
(3) 牛対の毛刈りは体熱放散に有効です。分娩直前から泌乳最盛期の牛を優先して実施します。

2 飼料給与の対策

(1) 新鮮な水を十分に飲水できるようにします。水槽の掃除はこまめに行います。
(2) 嗜好性と消化の良い粗飼料(適期収穫)を給与します。外気温が低下する夜間から早朝にも採食できるようにしてあげて下さい。
(3) 配合飼料の給与量が多い搾乳牛は、ル−メンアシド−シスを予防するため、配合飼料の給与回数を増やすか一部を可溶性繊維の多いビ−トパルプ(3〜3.5kg 上限/日・頭)で代替します。また、重曹(100〜200g/日・頭)を給与し、ル−メン内pHを緩衝します。
(4) エネルギ−補給のため、綿実などの油脂の給与も有効です。ル−メン微生物の活性と乳脂肪分率の維持を考慮し、綿実の給与量は1 頭あたり1 日2kg 程度が上限です。また大豆油やパ−ム油を原料とするバイパス油脂の給与も有効ですが、リノ−ル酸含量が多いものは、繁殖に有益であっても乳脂肪合成を阻害する場合があるので、給与量については推奨量を参考にします。
(5) 発汗やよだれの増加により、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、リンなどのミネラル要求量も通常の10−20%増加します。乾乳後期牛を除き、鉱塩を切らさないようにするとともに、重曹を補給し、リン酸カルシウムを増給します。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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