号外 凍霜害対策(平成23年5月31日発行)

ページ番号2001985  更新日 平成23年5月31日

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本日(31 日)10 時時点の盛岡地方気象台の天気予報によると、明朝(6 月1 日)の最低気温が二戸で2℃と予想され、また、内陸部に霜注意報が発表されており、山沿いを中心に霜の降りる恐れがあります。
事前・事後対策に努め、凍霜害による被害の軽減を図りましょう。

果樹

1 りんご

(1) 生育概況

  • 県内の定点観測結果によると、県全域で開花期間は終了し、結実期をむかえています。
  • 開花状況は平年より4〜5日程度遅れ、概ね昨年並みとなっています。一方、昨年の高温等の影響により、花が少ない園地や樹がみられています。

表

(2)凍霜害対策

一般に、結実期から幼果期以降の降霜は果実表面にサビが発生する可能性があります。気象情報に注意し、対策等管理の徹底が必要です。
 凍霜害の防止対策
具体的には、
ア 霜溜まりを除去し、燃焼法で対応可能な園地では、燃料を十分準備します。
イ 防霜ファンを設置している園地では、動作、始動温度(2℃)を確認しましょう。
ウ 畑地かんがい施設が整備され、スプリンクラーかん水による散水氷結法が可能な地域では、防霜ファン同様に始動温度の設定等を確認してください。
被害発生後の対策
サビ等の被害状況は果実生育が進まないとはっきりしません。状況確認のため、摘果作業を遅らせると小玉果となり、収量減につながりますので摘果作業を進めましょう。

2 ぶどう

ぶどうについても発芽以降は耐凍性が急激に低下しますでの、凍霜害防止対策が必要となります。防止対策はりんごに準じます。

(1)被害発生後の対策

  • 被害樹の新梢本数、花穂着生状況や着房の可否等、被害の程度を確認します。
  • 被害が少ない場合は、摘房で調整し着房数を確保します。
  • 被害が多い場合は、芽数が少なく新梢が強勢となる場合があるので、芽かき、摘房程度を軽くし、場合によっては副芽も利用するなど新梢数、着房数を確保します。それでもなお新梢が強勢である場合は、摘心を実施して結実を確保します。
  • 被害程度が甚だしく、新梢数、結実量の確保が難しい樹については、可能な限り着房させる他、副芽や潜芽などから発生した新梢について、花穂が無くても誘引等を実施して翌年の結果枝として養成します。

 野菜

1 事前対策

(1)葉茎菜類

  • レタスやキャベツは、本来寒さには強いのですが、ハウス内で軟弱に育った徒長苗や老化苗は、活着が劣り低温に弱くなっています。そのため、定植から活着までの間に強い霜にあたると被害を受ける場合もあります。今回は降霜が予想されるので、定植予定の苗は定植時期をずらし、被害を回避するようにしてください。
  • いずれの品目も、定植後活着するまで、及び収穫間近の生育ステージでは凍霜害を受けやすくなっています。レタス、キャベツでは可能な限り不織布(タフベル、パオパオ90、パスライト、アグリテックスなど)によるべたがけ被覆を行ってください。

(2)果菜類

  • きゅうり、トマト、ピーマンなどの果菜類では夜間の保温が重要となります。霜注意報など凍霜害の危険性がある場合、施設栽培では早めにハウスを閉め保温を図ります。この場合、内部カーテンやトンネルなどの多重被覆が効果的です(保温マットも併用する)。既にトンネルを除去したハウスでは、暖房機や補助暖房等の活用により保温対策を行って下さい。無加温ハウスでは補助加温として小型のランプ型暖房機を1?当たり3個程度使用するのも有効です。
  • 露地栽培では、トンネル栽培の場合は被覆継続するほか夜間のみ保温マット等を追加し多重被覆として下さい。また、トンネル設備のない圃場ではホットキャップを利用するなど、保温に努めて下さい。
  • 定植後、本畑での奇形果等の発生防止のための最低気温は、いちごで8℃、きゅうりで12℃、トマトで10℃、ピーマンで17℃程度の確保が必要となります。
  • 降霜が予想される日は晴天となりやすく、急激にハウス内温度が上昇します。保温被覆の除去が遅れ日中の高温障害が発生する事例が多く見られますので、温度管理には十分気をつけて下さい。

2 事後対策

(1)葉茎菜類

  • 定植時期をずらした苗は少しずつ外気にならすとともに、定植圃場の土壌水分が適切な状態でマルチフィルムを張り地温を確保するなど、天候の回復を待って定植を行いましょう。
  • レタス、キャベツでは、べたがけ資材の除去が遅れると高温による変形球発生などの障害が見られますので、天候が回復したら結球開始期までには除去するようにします。
  • アスパラガスでは、降霜により被害を受けた場合は、被害茎を早めに取り除き株の消耗を軽減するとともに、次の若茎の萌芽を促進しましょう。

(2)果菜類

  • 凍霜害により生長点や茎葉が焼けてしまった場合は、焼けた部分を切除し作物に登録のある殺菌剤を散布して下さい。切除する割合が大きい場合は、追肥・葉面散布を行い早めに側枝の生育を促しましょう。
  • 極端な低温に遭遇し奇形果が発生した場合は、早めに摘果しその後の生育や果実肥大を促して下さい。

花き

1 小ぎく

(1) 定植直後の苗が被害を受けやすいことから、降霜が予想される場合には、定植を避けるとともに、定植した苗についてはべたがけ資材等による被覆を行います。
(2) 霜害が発生した場合には、枯死した部分からの病害発生を防ぐために、早めに薬剤散布します。

2 施設花き

(1) 降霜が予想される場合には、夕方早めにハウスを閉めて保温に努めます。できればトンネルやべたがけによる被覆を行います。
(2) 翌日、好天により急速に温度が上昇しますので、温度管理に注意して下さい。

飼料用トウモロコシ

1 降霜があった場合は、被害株の再生の可否を早急に判断する必要があります。目安として2〜3 葉期に霜に当たった場合、播種時の覆土が2cm より浅いと枯死し、深ければ再生しますが、株の状態を良く観察してください。
2 再生の可能性が低いと判断される場合は直ちに播き直しを行いましょう。前に播種した品種の相対熟度よりも小さい品種を選びましょう。

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