号外水稲(地震対策追補)(平成23年3月29日発行)

ページ番号2001979  更新日 平成23年3月29日

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《東北地方太平洋沖地震の影響に対する技術情報》

  • 3月11日に発生した「平成23年東北地方太平洋沖地震」の影響で、亀裂や段差が生じている圃場が確認されています。播種の準備作業前に圃場の破損状況を早急に確認しましょう。
  • 破損がひどく予定通りに移植が行えない場合は、育苗日程を遅らせるなどの対策をとりましょう。
  • 農道の路肩に崩れがないか等点検し、農作業事故を未然に防ぎましょう。

1 圃場及び圃場周辺の被害の確認並びに補修等の対策

(1)被害の確認

圃場及び圃場周辺の農道などに地割れや畦畔の崩落等の異常がないか点検を行い、異常が確認された場合には、市町村の担当課や土地改良区へ連絡してください。
また、取水施設や農業用排水路などの農業水利施設は現在、土地改良区等が状況を点検中です。
水田への通水可能時期について、土地改良区等に確認のうえ作業をすすめましょう。
なお、圃場や施設に破損や異常が確認された場合は、各市町村や土地改良区等に補修等のスケジュールを良く確認して、作業をすすめましょう。

(2)圃場の補修等の対策について

圃場に地割れや高低差等が生じた場合、漏水や苗の水没が発生します。
被害の程度が大きく重機による補修が必要な場合は、災害復旧事業の対象となる可能性もありますので市町村担当課へ連絡し、今後の対応を検討してください。
また、移植が大幅に遅れることが想定される場合は、育苗日程を遅らせるなどの対策をとります。

ケース 対策・対応
漏水対策 亀裂深が耕盤層(深さ20cm付近)より深い場合は重機による復旧作業が必要となります。
重機による復旧が必要な圃場については、災害復旧事業の対象となる可能性もありますので市町村担当課
へ連絡し、今後の対応を検討してください。
亀裂が耕盤に達していない場合でも丁寧に代かき作業を行うなどの漏水対策を行いましょう。
畦畔に亀裂が発生している場合は畦畔の修復、畦塗り作業が必要です。
畦畔際に亀裂が発生した場合は畦畔板や仮設畦畔を設置するなどの漏水対策を行います。
なお、修復が十分できず減水深が大きい圃場では、除草剤の効果が劣ることからジャンボ剤、フロアブル
剤を使用しないでください。
高低差対
田面に高低差が生じた場合、代かきを丁寧に行うなどして均平化に努めます。
しかし、高低差が10cmを超える被害水田では代かき作業だけでの均平化は困難なことからレーザーレベ
ラーやバックホー等を使用した運土による田面均平化作業が必要となります。
こうした圃場は、災害復旧事業の対象となる可能性もありますので市町村担当課へ相談し、今後の対策を
検討してください。
修復が十分できず苗が水没する地点では、苗が軟弱徒長となるので、分げつするまでは浅水管理等の水位
調整を図ります。
沈降部分では藻類の発生、隆起部ではヒエ等の雑草が発生しやすいので、部分的に追加除草を行います。

2 移植日を遅らせる場合の技術対策

(1)補修等で移植日が遅れる場合の注意点

ア 移植日にあわせて、浸種を遅らせる等育苗日程を変更する。
イ 主食用米の高品質安定生産のために適期移植を基本とする(農作物技術情報水稲1号参照)。
やむを得ず移植日を遅らせる場合でも県南で6月上旬、それ以外の地域では5月末までに移植を完了する。
ウ 修復が移植時期までに終わらない圃場は他作目への転換を検討する。

(2)やむを得ず育苗日数を伸ばす場合の注意点

ア 播種前であれば、苗質の種類を稚苗から中苗、成苗にすることで、育苗日数を延長することが可能です。表を参考にしてください。
苗の種類を変更するときは[1]播種量 [2]移植時の使用箱数 [3]苗追肥 [4]移植時の苗の掻き取り量に注意します。

表

イ 育苗の後半で苗が黄化してきた場合は追肥を行います。
硫安等の肥料で窒素成分1g相当量を500ミリリットルの水に溶かし1箱に散布します。
散布後に水をさっとかけて、葉上の肥料を流します。
ウ 草丈が18〜20cmを超える場合は地上から12〜13cmを残して剪葉します。
このときなるべく新葉を損傷しないように注意してください。

(3)その他

育苗施設の破損等、苗の確保が困難な場合は直播栽培での作付けを検討しましょう。
直播栽培については中央農業改良普及センター県域グループか最寄りの農業改良普及センターまでお問い合わせ下さい。

3 農作業安全

農道の路肩に崩れがないか、育苗施設の破損による危険箇所、漏電、水漏れ等ないか点検し農作業事故を未然に防ぎましょう。

注意!
この記事は発行年月日時点の内容のまま公開していますので、ご覧になった時点の法規制(農薬使用基準等)等に適合しなくなった内容を含む可能性がありますから、利用にあたってはご注意下さい。

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このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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