号外 台風対策(台風4号)(平成22年8月11日発行)

ページ番号2002009  更新日 平成22年8月11日

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台風4号が岩手県に最接近するのは8月13日と予想され、風雨が強まる見込みです。
今後の気象情報に注意するとともに、農作物被害を避けるための防止対策を適切に行いましょう。


水稲

浸冠水後の圃場管理を適切に!

事前対策

(1)浸冠水が予測されるような水田では、あらかじめ水尻を開放し排水を促すようにします。
(2)特に、北上川流域等の水害の常襲地帯では、浸冠水した場合でも排水がスムーズにできるよう、土地改良区等と連携して排水路等にゴミが詰まっていないか事前に点検・整備をしてください。

事後対策

(1)浸冠水した場合には、速やかに排水するように努めてください。
特に、長時間冠水すると登熟に影響するので、少しでも早く葉先を出すことが重要となります。
ただし、稲体が水分を失いやすい状態にあるため、田面を急激に干さないようにしてください。
(2)出穂後1か月は登熟にかんがい水を必要とするので、退水後も間断かんがいを続け、徐々に田面を固めるようにします。
(3)風による稲体の損傷や活力低下によっていもち病など病害の発生が懸念されるので、台風通過後はほ場を見回り、防除対策には万全を期してください。

大豆

排水対策と病害防除を十分に!

事前対策

(1)表面の排水を促進するため周囲溝や排水口などを点検・補修し、土壌表面水を速やかに排水できるようにします。
また、風雨が止むのを待って再び点検・補修し、排水を促進しましょう。

事後対策

(1)大豆は現在、着莢期を迎えていますが、風雨によって葉や茎がもまれ、傷つくことがあります。
台風通過後は傷口から様々な病原菌が入ったり、湿度が高まることによって紫斑病が発生する事があります。
開花後20から40日頃に薬剤防除を行いましょう。

野菜

排水対策と施設の保守点検を十分に!

事前対策

(1)大雨に備えて、排水溝の整備・点検を行います。
特に、圃場外からの侵入水を防止するため、圃場やハウスの周囲にあらかじめ排水溝を設けておきます。
(2)支柱・ネット等への茎や枝の誘引状況を点検し、しっかり固定します。
(3)強風で支柱が抜けたり、倒伏する恐れがありますので、畦の両端や畦の所々を補強し、支柱の倒伏・倒壊、株の倒伏を防ぎましょう。
(4)パイプハウスは、ハウスバンド(マイカー線)が切れていないか、緩んでいないかを点検するとともに、ビニールの破損があれば補修し、筋かいなどの補強を実施して強風に備えます。
(5)風が強い場合施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して病害が発生しやすくなるので循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
(6)露地圃場やハウス周囲に防風ネットを設置している場合、緩んでいるワイヤーは張り直し、ネットの破れているものや古くなっているものは補修、張り替えをします。
(7)被害が予想される場合、収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。

事後対策

(1)排水対策等
圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。
排水後、圃場作業が可能になったら畦間の中耕を行って土壌中に空気を送り、根の活性化に努めます。
(2)殺菌剤散布・葉面散布
台風通過後は、冠水や多湿、茎葉の損傷等により病気にかかりやすくなっていますので、品目ごとの防除基準に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防止します。
茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機により水をかけて洗い流した後、殺菌剤を散布します。
必要に応じて液肥を薄い倍率で施用または葉面散布し、草勢回復を促進します。

花き

排水対策と風による倒伏対策を十分に!

事前対策

(1)圃場に水路などからの水が入らないよう土嚢などで対策するとともに、排水路の点検を行い、排水しやすいよう整備してください。
(2)強風による折損や倒伏の恐れがあるので、支柱やネットの強度を確認し、補強してください。
また、ネット上げが不十分な場合、茎上部が風で折れることがあるので、適宜引き上げてください。
(3)施設栽培では被覆資材の破損が拡大しないように、ビニールの小さな破れや傷の補修を行います。
また、風が強い場合、施設を閉め切ることになりますが、湿度が上昇して灰色かび病などの病害が発生しやすくなるので循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。

事後対策

(1)台風の通過後、滞水している圃場は速やかに排水します。
(2)支柱、ネットの修復も行うとともに、倒れた茎は早めに起こし曲がりを軽減するように努めます。
(3)風による茎葉の損傷や泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されるので、速やかに殺菌剤を散布します。

果樹

りんご 暴風対策をしっかりと!

事前対策

(1)防風ネットを設置している園地では、ネットの張りを点検し、緩んでいるワイヤーは張り直し、破れたネットは張り替えるなど十分に効果が現れるよう準備します。
(2)わい性樹は強風で倒状することがあるので、主幹を支柱に2〜3ヵ所結束します。
長大な側枝を持つ樹形であれば、一層、バランスを崩しやすいので、丈夫な支柱で支え、はずれないよう縄で縛り固定します。
(3)高接ぎ樹では大切な更新枝を保護するよう添え木し、幼木も丈夫な支柱を立てておきます。
(4)降雨による表面水を速やかに排水できるよう、予め排水溝を切るなど対処してください。

事後対策

(1)倒木の処理
斜めに傾いたり、横になった樹体は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることがあるので、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。
紫紋羽病の発生園では、病害の蔓延を予防するためリゾレックス水和剤やフロンサイドSCを土壌かん注処理します。
この際、それぞれの農薬の使用時期は、リゾレックス水和剤が収穫60日前まで、フロンサイドSCが収穫45日前までですので、注意してください。
なお、使用前には、必ずラベル等で使用基準を確認してください。
また、樹の衰弱が予想される場合には、たい肥や土壌改良資材を根域に混和し埋め戻します。
(2)病害予防
園地が冠水した場合や、枝葉や幹に無数の傷が生じている場合には、果実腐敗性の病害やふらん病などの樹体病害感染の恐れがあります。
定期防除を早めるか、特別散布で殺菌剤を全面散布し感染を予防します。
また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合には、傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗布します。

ぶどう 棚の補強と排水対策を十分に!

(1)防風施設の設置、見直しを行います。(りんごの項事前対策(1)に同じ)
(2)棚が倒壊しないよう、棚内部の力線に補助支柱を配し、周囲柱、隅柱を補強しておきます。
(3)降雨により土壌が軟弱化しアンカー等が浮き上がることを軽減するため、排水溝を切り、速やかに排水できるよう対処します。

畜産

飼料作物 倒伏時の生育ステージ・折損の状態で刈取りの判断を!

(1)子実の登熟初期までに倒伏した個体は、折損していなければ立ち直る場合があるので、そのままの状態にしておきましょう(手で直すと茎・根などが折れることが多く、この場合の被害は逆に多くなります)。
(2)倒伏した場合の収穫にあたっては、ハーベスタの収穫方向をよく考え、作業機の運行速度を控えめにします。
また、やや高刈りとするなど収穫時の土壌などの混入を避けましょう。
(3)倒伏した場合は、切断長が粗くなりやすいことから詰込み密度を確保するために、十分な踏圧と早期密封に努め、発酵品質低下を抑制しましょう。

熱中症防止

日中の気温の高い時間帯を外して作業を行うとともに、休憩をこまめにとり、作業時間を短くする等作業時間の工夫を行うこと。
水分をこまめに摂取し、汗で失われた水分を十分に補給すること。
気温が著しく高くなりやすいハウス等の施設内での作業中については、特に注意。
 帽子の着用や、汗を発散しやすい服装をすること。
作業場所には日よけを設ける等できるだけ日陰で作業するように努めること。
 屋内では遮光や断熱材の施工等により、作業施設内の温度が著しく上がらないようにするとともに、風通しをよくし、室内の換気に努めること。
作業施設内に熱源がある場合には、熱源と作業者との間隔を空けるか断熱材で隔離し、加熱された空気は屋外に排気すること。

次の定期号は8月25日(水曜)発行の予定です。気象や作物の生育状況により号外を発行することがあります。

注意!
この記事は発行年月日時点の内容のまま公開していますので、ご覧になった時点の法規制(農薬使用基準等)等に適合しなくなった内容を含む可能性がありますから、利用にあたってはご注意下さい。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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