号外 高温対策の農作物技術情報(平成22年8月5日発行)

ページ番号2002008  更新日 平成22年8月5日

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岩手県内では気温の高い状態が続いています。以下を参考にして農作物、家畜の適切な管理に努めてください。
作業環境の整備、高温となる時間帯の作業を避け、発汗で失われる水分・塩分を補給するなど、作業者の健康管理に十分配慮し、熱中症(熱射病・熱けいれん・熱まひ)を防ぎましょう。
また、暑さにより集中力が低下しますので、農作業安全には十分注意しましょう。

 

水稲

平年より早く出穂期を迎えています。
斑点米カメムシや穂イモチの防除時期も早まりますので適期防除に注意が必要です。
また、登熟期も高温が予想されますので、登熟を低下させない水管理で高品質米生産を目指します。

穂揃期以降も高温が予想されます。
登熟を低下させないため、適切な水管理を行ってください。

(1) 出穂開花期間中は湛水管理(浅水管理)、開花終了後は間断かんがいをし、田面がぬれた状態を維持しましょう。
(2) 穂揃期以降から登熟初期にかけて気温が高い時(昼30℃以上、夜23℃以上)は水の入れ替えを積極的に行い地温の低下を図ります。
用水に余裕のある地域はかけ流しも有効です。
(3) 登熟歩合・品質低下防止のため、早期落水は避けましょう。

斑点米カメムシ類の発生が確認されています。
出穂時期に注意し適期・徹底防除を行ってください。

(1) 転作牧草地やイネ科雑草地の隣接圃場及び斑点米の常発圃場では薬剤防除を徹底しましょう。
(2) 粉剤、乳剤による防除適期は穂揃い7日後です。出穂の前進に合わせ防除時期に注意しましょう。

穂いもち防除は、発病が見えてからでは手遅れとなります。
葉いもちの発生や出穂期の降雨等の状況に基づき、適切な防除を実施してください。

野菜

(1)ハウス果菜類の管理
トマト、ピーマンではサイドビニール及びツマ面を開放し、ハウス内気温の上昇を抑制しましょう。
高温により生長点が萎れる場合は、日中3時間程度、遮光資材を用いて遮光します。
また、葉からの蒸散量の増加と土壌水分状態に応じて、かん水量を加減します。
雨よけトマトは、高温時のホルモン処理は空洞果の原因になりますので、朝、涼しい時間帯に実施するとともに、トマト落花防止剤にジベレリンを併用します。
ピーマン・トマトの尻腐れ果を防止するためには、適正かん水に努めるとともにカルシウム剤の葉面散布を実施します。
(2)露地きゅうり
高温・乾燥により、くくれ果や曲がり果等の発生が増加しますので、かん水施設があれば活用し、未整備の場合は薄い液肥等を畦の肩部にかん注します。
一度に多量のかん水は湿害を誘発しますので注意が必要です。また、不良果を早めに摘果し、草勢の維持を図りましょう。
(3)露地葉茎菜類の管理
キャベツ、レタスとも軟腐病などの腐敗性の病害が発生していますので、結球開始期以降、腐敗性病害に効果のある薬剤を中心に防除を行います。
乾燥によりチップバーンが発生する恐れもありますので、薬剤防除時にカルシウム剤を混用して発生を軽減しましょう。
(4)雨よけほうれんそう
高温時は、遮光資材を活用してハウス内の気温、地温の上昇を防止しましょう。
遮光資材の種類は多数ありますので、遮光率の違いにより使用時期を調節してください。
また、播種時に十分なかん水を行うことが基本となりますが、乾燥しそうな場合は、生育途中でのかん水も行いましょう(本葉4枚頃から収穫予定の10日前まで)。

花き

(1)かん水
りんどう、小ぎくなどの露地品目は乾燥のため葉が萎れているものが目立っているほか、蕾の肥大や頂花の開花遅れも見られています。
開花遅れを避けるためかん水を励行します。
うね間潅水を行う場合は高温となる日中を避け、夜間にかん水して早朝には排水することを徹底してください。
(2)薬剤散布
高温時の薬剤散布を避けることは基本的な事項です。
高温時は薬害の発生が多くなるほか、作業者への影響も大きくなることから、薬剤散布は日中の高温となる時間帯を避け、早朝または夕方に散布することを徹底します。
(3)施設の換気
施設の開口部を開放して十分に換気できるようにしてください。また、循環扇等を効果的に利用してください。
(4)施設の遮光
必要に応じて遮光資材を展張し、気温や地温の低下を図ります。
なお、ストック、パンジー等育苗中のものについては徒長を避けるため過度の遮光とならないよう注意します。
(5)収穫・調製
気温が高い時期は収穫後の開花が進みやすいので、切り前を考慮します。
また、しおれやすいので収穫後は直射日光下におかず、できるだけ早く涼しい場所に移動し、水揚げするなど適切に管理します。

果樹

1.りんご

(1)土壌管理
土壌の乾燥が進まないよう、草生園では、草生の刈り取り回数を多くし、樹と草生の水分競合と蒸散防止を図ります。
清耕園では、除草を行うと共に、敷きわら等により土壌水分の保持に努めます。
(2)防除の注意点
高温により、ハダニ類等害虫の多発が懸念されますので、観察を強化し、必要な場合は防除を徹底しましょう。
30℃を越える高温下での薬剤散布は、薬害の発生も懸念されるので、朝の涼しいうちに散布が完了するよう努めましょう。

2.ぶどう

(1)土壌管理、防除はりんごに準じてください。
(2)ハウスや被覆栽培のぶどうは、ハウス上部やトンネル内が高温とならないよう、すそを開けて換気を図ります。

3.その他(西洋なし等)

(1)りんごの対策に準じてください。

畜産

牛の飼養環境対策

(1)屋根への散水、畜舎回りの遮蔽物の撤去、直射日光防止の遮光ネットの設置などにより、畜舎内温度の低下に努めます。
(2)強制送風(換気扇、ダクトなど)は昼間のみならず夜間も最大限に稼働させます。
その際、汚水処理が必要とならない程度の量を牛体に散水(ミスト以外)し送風すると、気化熱により体温を下げる効果があります。
(3)常に新鮮な水を十分に飲水できるようにします。
また、食欲が低下しているので、常に新鮮な飼料を採食できるよう給与回数を増やすとともに外気温が下がる夜間から早朝にも採食できるよう配慮し、できるだけ良質な粗飼料を給与します。
(4)配合飼料の給与量が多い搾乳牛は、粗飼料の摂取量が減ることにより、ルーメンアシドーシスの危険性が高くなります。
重曹を1頭あたり100〜200g程度給与して第一胃内のpHを調整します。
また、エネルギー充足の改善のため綿実や大豆等のバイパス油脂の利用も有効です(乾物あたり2〜3%が上限で
す)。
乳脂肪率の低下に対しては良質粗飼料の給与を基本とし、その他脂肪酸カルシウムを1頭あたり220〜330g程度を給与すると効果的です。
ただし、飼料中の脂質全体量は乾物あたり6%の上限を厳守します。

注意!
この記事は発行年月日時点の内容のまま公開していますので、ご覧になった時点の法規制(農薬使用基準等)等に適合しなくなった内容を含む可能性がありますから、利用にあたってはご注意下さい。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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