号外 台風事後対策(台風18号)(平成21年10月9日発行)

ページ番号2002043  更新日 平成21年10月9日

印刷大きな文字で印刷

台風第18号が通過し、農作物や農業関係施設等への被害が発生しています。
農作物被害をできるだけ低減するよう、事後対策を適切に行いましょう。

りんご

(1)落果の処理

品種ごとに分けて拾い集め、傷の程度によって選別します。
その内、農薬散布実績を確認し、農薬使用基準の収穫前日数が守られているものでかつ生食が可能な果実は、JA等出荷・販売団体と協議のうえ集荷可能な場合は、できるだけ生果として販売しましょう。
但し、販売する場合には、落果品であることを明示してください。
落果の加工仕向けについては、果汁のパツリンの汚染を防止するため、土壌に触れた果実は、原則、果汁原料用には利用せず、やむを得ず利用する場合には、低温保管、早期利用、腐敗果及び傷害果の選別等を徹底してください。
傷がひどく用途のない果実は家畜の餌か堆肥化を図ります。
放置すると病害の発生源になったり、冬期に野ネズミの餌となるので適切に処分します。

(2)倒伏樹への対策

倒伏樹の立て直しはできるだけ早く行います。
また直ちに起こせない場合は、根に水をかけることや、土などでマルチをして根の乾燥を防止します。

1)完全倒伏樹の対策

樹の立て直しにより樹体の維持が可能であるかどうかの判断は、その時点で葉が青々しているかどうかです。
既に葉が枯れている樹は断根がひどく、水分の吸収が不可能となっているため回復は不可能と考えられます。
また、葉の枯れが一部でとどまっていれば、時間がかかるものの回復は可能です。
回復が可能と判断される樹で、根が露出している樹に対しては根群の乾燥を防ぎ、いち早く樹を立て直します。
ただし、支柱がおれて、立て直した樹を固定できない場合はかえって樹体に負担がかかる可能性があるので、必ず樹を固定する手だてを講じることが必要です。
なお、すぐの作業が困難な場合は、早急に根部を乾燥から防ぐ対策が必要です。
例》土をかぶせる。麻袋等、吸湿性のある資材で根部を覆う、散水する…等

2)半倒伏樹の対策

とりあえず枯死に到ることはないと判断されるため、完全倒伏樹の立て直しが終了した後、速やかに作業に取りかかりましょう。

3)倒伏樹の立て直しの注意

倒伏した樹は、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることがあるので、露出した根が収まる程度の穴を掘り、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く立て直します。
この時、結果として、深植えになる可能性があるので、地上部の台木長の確保には十分注意します。
また、衰弱が予想される場合には、堆肥や土壌改良資材を根域に混和し埋め戻します。
なお、立て直し後の被害樹の早期回復のための具体的方法は、下表を参考としてください。

表

(3)病害予防

園地が冠水した場合や枝葉や幹に無数の傷が生じている場合、更に落果によるつる抜け、つる折れが多い場合は、腐らん病など樹体病害の感染の恐れもあるので、殺菌剤の特別散布を行い感染を予防します。
なおその際は、殺菌剤の農薬使用基準(使用回数、収穫前日数)を確認のうえ使用してください。
また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合は傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗ります。
紫紋羽病の発生園では、翌年春にリゾレックス水和剤またはフロンサイドSCをかん注処理し、り病蔓延を予防してください。
使用にあたっては、農薬使用基準を厳守してください。

水稲

(1)刈り取りをまだ行っていないところで圃場に滞水している場合は、速やかに刈り取りができるよう水尻を大きく掘り下げ、排水に努めてください。
(2)倒伏の著しいところは穂発芽などの被害粒が発生している場合があるので、仕分け刈り取りを行って、品質低下を防いでください。
(3)収穫した籾は高水分の場合が多いことから、収穫後速やかに乾燥機に搬入してください。
また高水分籾(25%以上の場合)を急激に乾燥すると胴割粒が発生しやすくなるので、二段乾燥して水分調整してから仕上げ乾燥を行ってください。
(4)ハセ掛け、棒掛け等の天日乾燥では、倒壊していないか点検し、倒壊した場合は速やかに修繕してください。
なお、乾燥期間は2週間程度を目安とし、乾燥不十分な場合は乾燥機を利用して仕上げ乾燥を行って下さい。

畑作

(1)明きょ、暗きょ等の排水路を点検し、ゴミの除去等を行って、表面水の滞水は早急にほ場外に排水しましょう。
(2)倒伏した大豆は品質低下が懸念されるので、特に適期収穫に留意してください。

野菜

(1)強風・大雨の後は、冠水や多湿、茎葉の損傷等により、病害が発生しやすくなっていますので、品目ごとの防除指針に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防止します。
茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機により水をかけて洗い流すとともに、殺菌剤の散布を実施します。
強風などで傷んだ茎葉や果実は摘除して病害発生を防ぎます。
(2)圃場に滞水している場合は、速やかに排水してください。

花き

(1)折損のあった茎葉は早急に除去します。また、風で倒れた場合、早めに起こし曲がりを軽減します。
(2)風雨で泥が葉に付いた場合、乾く前に水で洗い流してください。
(3)風による傷や雨や泥の跳ね上がりから病害の発生が助長されるので、天候回復後速やかに適用のある殺菌剤を散布し病害の発生を予防します。

飼料作物

飼料用とうもろこし

(1)既に刈り取り適期をむかえているので、倒伏や折損があった圃場は速やかに収穫を行ってください。
(2)トウモロコシの折損や倒伏があると、収穫調製の際にハーベスタ食い込み量の変動が大きく、切断刃の損傷やトウモロコシの詰まりを起こしやすくなるので、作業機の運行速度は控えめにしてください。
ハーベスタが詰まった場合や倒れたとうもろこしを刈りやすい状態に起こす作業など人力の作業が必要となる場合がありますが、必ず収穫機械のエンジンを切ってから作業してください。
また、切断長が粗くなりやすく原料密度が高まりにくい場合もあるため、十分な踏圧と早期密封をして、発酵品質低下や二次発酵を抑制します。
(3)トウモロコシ茎葉部に土砂の付着が多いと不良発酵の原因となるので、収穫作業は極力晴天時に行い、高刈りするなど土砂の混入に留意してください。
土砂付着が多い状態で収穫しなければならない場合は、ギ酸などの添加を行って下さい。
収穫後の踏圧作業は十分行い、速やかに密封します。

提供元:中央農業改良普及センター県域普及グループ
問い合わせ先:0197-68-4435

注意!
この記事は発行年月日時点の内容のまま公開していますので、ご覧になった時点の法規制(農薬使用基準等)等に適合しなくなった内容を含む可能性がありますから、利用にあたってはご注意下さい。

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
〒024-0003 北上市成田20-1
電話番号:0197-68-4435 ファクス番号:0197-71-1088
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。