水稲追肥特集号(平成21年7月13日発行)

ページ番号2002034  更新日 平成21年7月13日

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1,水稲の生育概況

7月10日に各農業改良普及センターが実施した水稲の一斉調査(24カ所、5品種)の結果、県全体で草丈は56.9cmと平年より0.4cm長く、葉数も10.3枚で平年より0.1枚多くなっています。1m 当たりの茎数は621本で平年より8%多い状況です。
6月25日現在までの水稲の生育は平年を下回って推移したものの、6月下旬以降は気温が高く経過したこともあり、生育は平年並みまで回復しています。
表1 平成21年生育診断ほの地帯別生育状況(7月10日現在) 各農業改良普及センター調べ

表1

注:平年値は原則として平成16年から20年までの5か年の平均値を用いた.

表2 平成21年生育診断ほの品種別生育状況(7月10日現在) 各農業改良普及センター調べ

表2

注:平年値は原則として平成16年から20年までの5か年の平均値を用いた.

2,追肥

良食味米生産の観点から、品種、気象および生育状況をみきわめて、以下を参考に適期に適量を施用しましょう。
(1)品種ごとの追肥の考え方
ア かけはし
生育量は平年並み、土壌中の窒素が多めに残存していると思われるので、幼穂形成期に葉色の低下するほ場は少ないと予想される。
葉色の低下した圃場以外では基本的に追肥は実施しない。また、減数分裂期追肥は品質を低下させるので実施しない。
イ いわてっこ
生育量は平年並み〜やや多い。土壌中の窒素がやや多めに残存していると思われるので、県北沿岸地区においては基本的に追肥は見合わせる。
内陸部などの生育量が確保された圃場においても、葉色の低下を必ず確認したうえで、幼穂形成期から減数分裂期までの間に1kg/10aを上限とした追肥を行う。
ウ あきたこまち
生育量は平年並みだが、生育・葉色のばらつきが大きい。
土壌中の窒素の残存もやや多いと思われるので、かならず葉色の低下を確認した上で、幼穂形成期から減数分裂期に1kg/10aを上限に追肥を行う。
エ どんぴしゃり
沿岸部においては、生育量は少なめであるが、内陸部においては平年を上回る。
籾数・収量確保のため、幼穂形成期に2kg/10aを基本に追肥を実施する。追肥時期が遅れないように注意する。
オ ひとめぼれ
生育量は平年より多めであるが、生育・葉色のばらつきが大きい。
土壌中の窒素の残存はやや多いが、生育量の確保できた圃場では急激に葉色が低下すると考えられるので、幼穂形成期を中心に2kg/10aを上限に追肥を行う。
(2) 留意事項
ア 7月10日現在、葉数の進展からみた生育の進度は平年並みとなっているものの、幼穂の発達にばらつきがみられるので、生育ステージをしっかりと把握すること(図1)。
イ 生育量や葉色の程度により、必要に応じて追肥量や追肥時期を変更する。
ウ 減数分裂期より遅い時期の追肥は精米中のタンパク質含量を高め、食味および食味値の低下の原因となるので実施しない。
エ 今後の低温に関する情報やいもち病の発生状況に関する情報に注意して適切な対応を取る。
オ 復元田等の葉色の濃い圃場では基本的に追肥は行わない。

図1

図1 幼穂形成期の模式図
表3 生育診断ほにおける生育ステージの平年値 各農業改良普及センター調べ

表3

注:平年値は原則として平成16年から20年までの5か年の平均値を用いた.
どんぴしゃりは統計年次が少ないため参考値.

3,今後の水管理

県内の水稲はこれから低温に弱い生育ステージ(幼穂形成期〜減数分裂期)を迎えます。
冷害を回避するため、以下を参考に気象条件・生育状況に応じた水管理を徹底しましょう。
なお、冷害回避で不可欠な深水管理は多量の用水を必要とするので、市町村・JA・土地改良区等が連携して、必要な時期にできる限りの用水が供給できるよう、計画的な配水に努めるとともに、限られた用水を効率的に利用するための圃場管理を実施してください。

(1)基本的な水管理

ア 中干し
中干しは幼穂形成期までに終了し、幼穂形成期以降は落水しないこと。
イ 前歴深水管理
幼穂形成期の数日前から徐々に入水して、初期は4〜6cm、その後も徐々に深めてゆき、減数分裂期初期には10cmとする。
ただし、高温が予想される場合には、中干しが不十分な圃場を中心に、間断かんがいにより根の活力を高める(低温襲来時に深水管理ができる体制を整えておくこと。)。
ウ 減数分裂期(出穂前16〜7日)
低温が予想される場合は10cm以上の深水管理を実施する。
特に、17℃以下の低温が予想される場合は、15cm以上の深水とする。
低温のおそれが全くない場合は間断かんがいとする。

(2)効率的水管理を実施するための圃場等管理

ア 畦畔や水路の点検を徹底し、ネズミ穴等、水漏れのある箇所をしっかりと補修する。
イ 水田の水尻を完全に閉じる。この際、水尻から用水がオーバーフローしないよう、水尻の高さは十分に確保する。
ウ 水田の暗渠排水栓を完全に閉じて、水田外への用水の流出を抑える。
エ 少量の水でも速やかにほ場全体に水が行き渡るよう、ほ場周囲や中央に溝切りを行う。
オ 休耕田や耕作放棄田等への用水の流入を防止する。

図2

注意!
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