凍霜害対策 −農作物技術情報号外−(平成21年5月14日発行)

ページ番号2002031  更新日 平成21年5月14日

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  • 本日(14日)11時時点の盛岡地方気象台の天気予報によると、明朝(15日)の最低気温が盛岡で4℃、二戸で1℃と予想され、また県内全域に霜注意報が発表されており、山沿いを中心に霜のおりるおそれがあります。
  • 現在県内のりんごの生育ステージは、落花期〜幼果期で低温に対し弱い時期であり、またぶどうについても新葉が展開し低温に弱い時期となっていますので、凍霜害に対する事前対策の徹底を図りましょう。
  • なお、他の作物についても、事前・事後対策に努め、凍霜害による被害の軽減を図りましょう。

りんご

1 生育ステージと凍霜害発生危険限

界温度 現在、県内の多くの地域で落花期前後となっており、中心花のがく立ちも見えてきています。
結実した果実でも氷点下の低温に遭遇した場合、果実の奇形、果皮のさびなどの障害を受けることがありますので
(表1)、園地内の霜溜まり解消、除草の実施など事前対策を進め、降霜が予想される場合は、燃焼法や防霜ファンなど事前対策を講じましょう。

また、凍霜害の発生した園地では、荒摘果を実施した後、奇形果、さび果などの障害が確認できるようになるのを
待って仕上げ摘果を進めてください。

表1

2 凍霜害対策

(1)凍霜害の事前防止対策

ア 霜溜まりの解消
傾斜地の場合、園地下方の障害物は、霜溜まりを作りやすいので除去します。
例えば、園地周囲の防風ネットが冷気の流れをせき止めるような場合は、巻き上げておくか除去します。

低温層の発生位置をできるだけ低くするため、マルチを除去し草刈り等で清耕状態にしておきます。

イ 燃焼法による防止
燃焼法で対応可能な園地では、燃料を十分準備しておきます。
例)市販の防霜資材、灯油、霜カット等

火点数は概ね40カ所/10a以上を確保し、風上側に多く配置します。
着火は気温が0℃になる直前に行いましょう。

なお福島県では、灯油にせん定枝チップを混用した燃焼法が利用されており、灯油をそのまま燃焼させたときと比較し黒煙の発煙量が少なく、燃焼時間も長くなり、点火性も良く、資材費等の面からも有効で、1.5mの高さで2〜4℃の気温上昇が期待できるとされておりますので参考にしてください(表2)。

表2

ウ 防霜ファンの準備

防霜ファンを設置している園地では、動作の確認、始動温度(2℃)の確認をしておきます。

エ 1輪摘花・摘果を控える

摘花・摘果作業は1花(果)そう1花(果)とする「1輪摘花(果)」を避け、数花(果)そうに1花(果)そうを残す「株摘み」とします。

オ 散水氷結法

畑地かんがい施設が整備されている地域では、スプリンクラーかん水による散水氷結法が可能ですので、防霜ファン同様に始動温度の設定等準備しておきます。

(2)被害発生後の事後対策:被害が発生した場合は次の対策を講じてください

ア 被害状況の確認
凍霜害発生後、被害状況を把握するためにはナイフなどで花や幼果を割り、内部の状況を肉眼で確認して下さい。
確認する内容は、メシベ〜胚珠の色が健全か否かです。

イ 結実前の被害
ア)被害を受けていない健全な花には人工授粉を行い、結実確保に努めます。

イ)摘花(果)作業は被害様相が明らかになり、結実を確認してから行いましょう。
また、結実しても、さび果、不正形果が多くでるので、予備摘果は多めに残し、仕上げ摘果でよい果形のものを残
すように吟味します。
ウ)中心果の被害にあったものは側果で代用します。
エ)胚珠の黒変したものは落果するので、被害程度に応じて摘花(果)の強さを加減します。

ウ 結実後の被害
ア)種子(胚珠)が最も弱く枯死しているものが多いので、果実の肥大状況等の様子を確認してから摘果を始めま
しょう。
イ)摘果作業は被害の軽いものから始め、肥大が良好で、形状の良いもの(長めの果実)、さびの少ないものを残します。
なお終了時期と程度は基準に従います。

ぶどう

1 凍霜害対策

(1)凍霜害の事前防止対策
ぶどうについても発芽以降は耐凍性が急激に低下しますので、場合によっては凍霜害防止対策が必要となります。防止対策はりんごに準じます。

(2)凍霜害を受けた場合の事後管理
ア 被害樹の新梢本数、花穂着生状況や着房の可否等、被害の程度を確認します。
イ 被害が少ない場合は、摘房で調整し着房数を確保します。
ウ 被害が多い場合は、芽数が少なく新梢が強勢となる場合があるので、芽かき、摘房程度を軽くし、場合によっては副芽も利用するなど新梢数、着房数を確保します。
それでもなお新梢が強勢である場合は、摘心を実施して結実を確保します。
エ 被害程度が甚だしく、新梢数、結実量の確保が難しい樹については、可能な限り着房させる他、副芽や潜芽などから発生した新梢について、花穂が無くても誘引等を実施して翌年の結果枝として養成します。

 

注意!
この記事は発行年月日時点の内容のまま公開していますので、ご覧になった時点の法規制(農薬使用基準等)等に適合しなくなった内容を含む可能性がありますから、利用にあたってはご注意下さい。

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農林水産部 農業普及技術課 農業革新支援担当(農業研究センター駐在)
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