果樹の凍霜害対策 −農作物技術情報号外−(平成21年4月17日発行)

ページ番号2002022  更新日 平成21年4月17日

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  • 現在、県内のりんごの生育ステージは展葉期前後となっていますが、4月第2〜3半旬の高温により平年よりも5日程度生育が進んでいます。
  • 今後、開花期に近づくにつれ、凍霜害を被る危険性が高くなりますので、毎日の気象情報に注意し事前対策の徹底を図りましょう。

りんご

1 生育概況

定点観測地点の調査結果(表1)によると、県内全域で展葉期前後の生育ステージに達しています。
生育進度は、発芽期まではほぼ平年並みでしたが、4月第2〜3半旬の高温で急激に生育が促進され、展葉期では平年よりも5日程度生育が進んでいます。
現状のまま生育が進むと、県中南部では4月第6半旬〜5月第1半旬には、開花始期を迎える可能性があります。
一般に展葉期を過ぎて開花期に近づく程、凍霜害を被る危険性が高くなりますので、4月後半からは毎日の気象情報に注意し、事前対策の徹底を図りましょう。
特に例年凍霜害を被る園地では注意してください。

表1

2 展葉期以降の低温に注意

県内各地の「ふじ」の生育ステージ推移予測とその時期の凍霜害発生危険限界温度を示したのが表2です。
凍霜害発生温度や被害の様相は品種や部位、生育ステージ、低温遭遇時間などによって異なりますが、一般に展葉期を過ぎて開花期に近づくほど、凍霜害の危険性が高くなります。
また今年は生育が平年よりも早まっており、最低気温が平年並みになっただけで被害が発生する可能性もありますので、例年以上に気象情報に注意し事前対策の徹底を図りましょう。

表2

3 凍霜害対策

降霜は、無風、晴天の日で、降雨の1〜2日後は特に危険性が高く、さらに前日夕方18時の気温が6度以下の場合は要注意です(図1)。
但し、強い放射冷却現象が起きた場合は、前日夕方が10℃以上でも翌朝の最低気温が2℃以下になる場合もあるので、時期になったら毎日の気象情報に注意しましょう。

図1

(1)凍霜害の防止対策
ア 霜溜まりの解消
傾斜地の場合、園地下方の障害物は、霜溜まりを作りやすいので除去します。
例えば、園地周囲の防風ネットが冷気の流れをせき止めるような場合は、巻き上げておくか除去します。
低温層の発生位置をできるだけ低くするため、マルチを除去し草刈り等で清耕状態にしておきます。
イ 燃焼法による防止
降霜は、数日間連続することが多いので、燃焼法で対応可能な園地では、燃料を十分準備しておきます。
例)市販の防霜資材、灯油、霜カット等
火点数は概ね40カ所/10a以上を確保し、風上側に多く配置します。
着火は気温が0℃になる直前に行いましょう。
なお福島県では、灯油にせん定枝チップを混用した燃焼法が利用されており、灯油をそのまま燃焼させたときと比較し黒煙の発煙量が少なく、燃焼時間も長くなり、点火性も良く、資材費等の面からも有効で、1.5mの高さで2〜4℃の気温上昇が期待できるとされておりますので参考にしてください(表3)。

表3

ウ 防霜ファンの準備
防霜ファンを設置している園地では、動作の確認、始動温度(2℃)の確認をしておきます。
エ 1輪摘花を控える
摘花作業は1花そう1花とする「1輪摘花」を避け、数花そうに1花そうを残す「株摘み」とします。
オ 散水氷結法
畑地かんがい施設が整備されている地域では、スプリンクラーかん水による散水氷結法が可能ですので、防霜ファン同様に始動温度の設定等準備しておきます。
(2)被害発生後の対策:被害が発生した場合は次の対策を講じてください
ア 被害状況の確認
凍霜害発生後、被害状況を把握するためにはナイフなどでつぼみや花を割り、内部の状況を肉眼で確認して下さい
(図2参照)。
確認する内容は、メシベ〜胚珠の色が健全か否かです。
そして以下の点を確認し、被害の少ない品種、少ない部位を確実に結実できるように結実対策を実施しましょう。
(ア)中心花と側花の被害程度(中心花及び側花は結実可能であるか)
(イ)樹上部と目通り高さの被害程度(樹上部の花は結実可能であるか)
(ウ)傾斜した園地では、園地下部と上部の被害程度
(エ)品種毎の被害程度(被害の少ない品種は何か)

図2

イ 人工授粉の徹底

被害を免れた花を確実に結実させるため、徹底して人工授粉を行います。

ウ 摘花・摘果

摘花作業は慎み、摘果剤の散布も控え、荒摘果は正常なガク立ちと果実肥大を確認後、過剰な着果を除く程度に行います。

注意!
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